車検証を手にLEDバルブを注文しようとして手が止まっているなら、先に決めるべきことは2つある。初度登録年月から自分の車が200系の何型かを割り出すことと、純正ヘッドランプがハロゲンかHIDかLEDかを確かめることだ。この2つが決まればヘッドライトとフォグの球が確定し、残りの箇所は年式を問わず同じ形状で買える。
買う前に決める2つのこと
中古車カタログの型式別の諸元によると、TRH214Wはハイエースワゴンの2WD・2.7Lガソリン(2TR-FE)・ワイドボディのロングに与えられる型式で、乗車定員10名、全長4,840×全幅1,880×全高2,105mm、ホイールベース2,570mmの3ナンバー車だ。問題は、この型式が2004年8月から現行まで20年以上使われ続けていること。頭に付く排出ガス規制記号がCBA-から3BA-へ変わっているだけで、型式そのものは同じままだ。初度登録が2005年の個体と2024年の個体では、ヘッドライトとフォグに入っている球が違う。
だから、車検証の初度登録年月(初度検査年月)で自分の車が何型かを決め、次にヘッドライト裏の口金でハロゲンかHIDかLEDかを確かめる。この順番でしか適合は絞れない。逆に言えば、ポジション(車幅灯)のT10、ナンバー灯のT10、バックランプのT16、テールとブレーキのT20ダブル、ウインカーのT20ピンチ部違いは年式を通して同じなので、この5か所は先に注文してよい。
自分のTRH214Wが200系の何型か
200系の変遷をまとめた解説によると、型と年式の区分は1型が2004年8月〜2007年8月、2型が2007年8月〜2010年7月、3型が2010年7月〜2013年11月、4型が2013年11月〜2017年11月、5型が2017年11月〜2020年3月、6型が2020年4月〜2022年3月、7型が2022年4月〜2023年12月、8型が2024年1月〜2025年12月、9型が2026年1月から。
灯火に関わる節目は4つある。3型でHIDヘッドライトが、4型でLEDヘッドライトが、7型でLEDフォグランプが採用され、9型で新デザインのLEDヘッドライト(Bi-Beam)になった。3型は2012年5月を境に前期と後期へ分かれ、この区切りがフォグランプの形状変更と一致する。ここが決まらないと次の表は使えない。
年式区分ごとの純正バルブ形状
LEDとHIDの専門メーカーが公開している200系ハイエースのバルブ適合ガイドによると、箇所別の形状は次のとおり。
| 箇所 | 2004年8月〜2012年4月ごろ | 2012年5月〜2013年11月 | 2013年12月〜2022年3月 | 2022年4月以降 |
|---|---|---|---|---|
| ヘッドライト | H4(ハイ・ロー兼用) | H4 | H4/純正LED車はハイビームのHB3のみ | H4/純正LED車はハイビームのHB3のみ |
| フォグ | HB4 | PSX26W | PSX26W | L1B |
| ポジション | T10 | T10 | T10 | T10 |
| ウインカー | T20ピンチ部違い | T20ピンチ部違い | T20ピンチ部違い | T20ピンチ部違い |
| バックランプ | T16 | T16 | T16 | T16 |
| ナンバー灯 | T10 | T10 | T10 | T10 |
| テール・ブレーキ | T20ダブル | T20ダブル | T20ダブル | T20ダブル |
動くのはヘッドライトとフォグの2行だけで、残りの5か所は通しで同じ。フォグはHB4からPSX26W、さらにL1Bへと2回変わっており、7型で純正LEDフォグが採用されたときにL1Bへ移った。それ以前のPSX26W用は7型以降には使えない。純正HID仕様車は3型前期(2010年7月〜2012年4月)から存在し、この場合はロービームがD4R、ハイビームがHB3になる。
純正ヘッドランプの種類で交換できる箇所が変わる
同じ適合ガイドの整理では、純正でLEDヘッドランプが付いている車はロービームがユニットと一体になっており、球だけを差し替えることができない。この場合に手を入れられるのはハイビーム(HB3)、ポジション、フォグ、ウインカーなどに限られる。純正HID仕様車も同じで、ロービームはD4Rのバーナーだから、ハロゲン用のLEDバルブは入らない。
適合を決めるのは型式ではなく、何型かと、純正でどの種類のライトが付いているかの2つ。同じ年式のワゴンGLでも装備の組み合わせで純正ヘッドランプの種類は変わるので、点灯時の光り方で見当を付けず、ヘッドライト裏のカバーを開けて口金の形を見てから注文する。
形状の名前だけでは選び分けられない箇所
ウインカーの「T20ピンチ部違い」は、口金の側面にある左右のツメの高さが揃っていない非対称タイプを指す呼び方だ。同じT20でも左右対称の品はソケットに入らない、または向きが合わないことがあるので、通販では「ピンチ部違い」または「ピンチ部違い対応」と書かれた品を選ぶ。
テールとブレーキの「T20ダブル」は、1本の球で尾灯(暗く光る側)と制動灯(明るく光る側)の両方を受け持つ構造だ。シングル球に替えるとブレーキを踏んでも明るさが変わらなくなるので、ここだけは値段でシングルに寄せない。
交換作業の進め方
始める前の段取りと着手する順番
平坦で安全な場所に駐車し、エンジンを止め、バッテリーのマイナス端子を外す。ハイエース専門店が公開している交換手順の解説では、工具としてプラスドライバー(3番)、クリップクランプツール(内張りはがし。マイナスドライバーでも代用できる)、手袋が挙がっている。別の解説では10mmのソケットレンチと、グロメット外し用のマイナスドライバーも使う。
着手する順番は難易度どおりにする。ルームランプ・ナンバー灯・バックランプはレンズや周辺の内張りを外すだけで手が届く。ポジションとヘッドライトはフロントグリルを外してユニットを引き出すので一段上がり、フォグはバンパー下やインナー側からの作業になって手間がさらに増える。初めてなら、グリルを外さない箇所でこの車の留め具の外れ方に慣れてからヘッドライトへ進む。点灯直後のバルブは熱い。消してしばらく置いてから触り、ハロゲンバルブのガラス部分は素手で持たず、手袋のまま口金側をつかむ。
フロントグリルとヘッドライトユニットの外し方
グリルは上部(左右と中央)のクリップ4つを外し、続いて両端のビスを取り外す。下部はフックで留まっているので、中程の両端や下部のフックを折らないよう、進行方向へまっすぐ引いて抜く。留め具の呼び方は解説によって違い、ボルト2か所とグロメット4か所に加えて下側が爪、という説明もある。ただし上側の留め具を全部外してから下のツメを真っすぐ抜く、という順序は共通している。
グリルを外すとヘッドライトユニットの固定ビス2本が現れる。位置はユニットの外側上部と内側の中ほど。ビスを抜いてもユニット側に爪が残っているので、それに逆らわずまっすぐ前へ引き出す。カプラーは4つあり、内側から光軸調整、ポジション、ヘッドライト、ウインカーの順に並ぶ。バルブはゴムカバーを外し、留め具を起こして抜き差ししてから、カバーとカプラーを戻す。取り付けは2点のクリップをボディ側の受けに入れて押し込み、グリルは下側のスナップから入れて、そのあと上部のビス(両端と中央の4か所)とスナップ2か所を戻す。
ユニットが固くて引き出せない、爪が割れそうな手ごたえがある、カプラーが固着して抜けない。この段階で力を掛け続けると留め具が折れ、ユニットががたつく原因になる。樹脂の爪は一度折れると戻らず部品交換だ。無理だと感じたら整備工場に持ち込む。
交換後にその場で確かめること
すべての灯火を点けて、点灯するか、色が想定どおりか、左右で明るさと色みが揃っているかを見る。ウインカーは左右とも出して点滅の速さを確かめ、テールとブレーキはブレーキを踏んで明るさがはっきり変わるかを見る。点かないときはカプラーの差し忘れ、片側だけ点かないときはバルブの向きや極性、ソケットに入りきっていないことを疑う。ヘッドライトまわりを触ったあとはグリルのツメの浮きとビスの締め忘れも見て、光軸はテスターのある店で測ってもらう。
ウインカーをLEDにすると起きる高速点滅
純正のウインカーは球が切れると点滅を速くして知らせる仕組みを持っている。消費電力の小さいLEDに替えると、抵抗が減ったことを球切れと誤認して高速点滅(ハイフラ)になる。保安基準の細目を定める告示では、方向指示器は毎分60回以上120回以下の一定の周期で点滅するものと定められており、ハイフラのまま乗るとこの条件を外れる。
対策は2通り。抵抗内蔵タイプのLEDバルブを選べばバルブ交換だけで済む。抵抗器やLED対応リレーを追加する方法もあるが、こちらは配線を触る作業になり、失敗すると走行に必要な灯火が使えなくなる。自信がなければ前者を選ぶか、整備工場に任せる。
室内灯セットは適合表記のボディタイプまで見る
室内灯のLEDセットは「200系ハイエース専用」と銘打っていても、対象がバンの特定グレード・特定ボディ幅に限られていることがある。LEDルームランプを作っているメーカーの適合表記では、あるセットの適合が「4型〜7型 スーパーGL(ナローボディ車) 型式:KDH2##/TRH2##/GDH2## 年式:H25.12〜」と明記され、内容はマップランプ・ルームランプ・リアルームランプ・ステップランプの構成になっている。
TRH214Wは全幅1,880mmのワイドボディで乗車定員10名のワゴンだから、バンのスーパーGL(ナローボディ)とは室内灯の数も配置も違う。型式の欄にTRH2##とあっても、ボディタイプとグレードの表記が自分の車と合っているかまで読む。
車検で外れない色と明るさの線引き
平成18年(2006年)1月1日以降に製作された自動車について、保安基準の細目を定める告示は灯光の色を箇所別に決めている。走行用前照灯は白色で、すれ違い用前照灯もこれに準じる。前部霧灯(フォグ)は白色又は淡黄色で、かつその全てが同一であること。車幅灯・番号灯・後退灯は白色、尾灯と制動灯は赤色、方向指示器は橙色。2005年12月31日までに製作された車はヘッドライトが白か淡黄色でもよく、TRH214Wのごく初期の個体はこの旧い区分に入る。
明るさの条件は箇所ごとに書き方が違う。ロービームは、照射光線が他の交通を妨げず、すべてを同時に照射したとき夜間に前方40mの距離にある交通上の障害物を確認できる性能。車幅灯は前方300mから点灯を確認できること、番号灯は後方20mから数字を確認できること(番号標板面の照度が30lx以上であれば適合とされる)、後退灯は昼間に後方100mから点灯を確認できること。
検査場のテスターで測るときの判定値としては、車検の検査基準を解説した資料が1灯6,400カンデラ以上という数値を挙げている。これは実務で共有されている判定値であって、条文の文言そのものではない。ケルビンは光の色みの指標で明るさではないから、青白い高ケルビンを選ぶと測定値が落ちて届かないことがある。純正ハロゲン用のリフレクターにLEDを入れると、発光点の位置が純正球とずれて配光が崩れる。「車検対応」の表示があっても合否は実際の測定結果で決まるので、交換後に光軸を測ってもらう前提で考えたい。
よくある質問
同じTRH214Wなのに年式で適合バルブが変わる理由
型式は排出ガス規制記号だけを替えながら2004年8月から現行まで使われ続けており、その間にヘッドライトとフォグの仕様が変わったから。型式は車の区分であって、灯火の世代を表していない。
純正LEDヘッドランプの車でも交換できる箇所
ロービームは一体式で手を入れられないが、ハイビーム(HB3)、ポジション、フォグ、ウインカーは交換できる。ルームランプ、ナンバー灯、バックランプも年式を問わず対象になる。
イエローのLEDフォグと車検の関係
前部霧灯は白色又は淡黄色で、かつその全てが同一であることが条件なので、淡黄色そのものは範囲内。外れるのは左右で白と黄を混ぜた場合や、片側だけ替えて色が揃っていない場合だ。
全箇所まとめてLED化するときの作業量の目安
レンズを外すだけで届くルームランプ・ナンバー灯・バックランプ、グリルを外すポジションとヘッドライト、バンパー下から入るフォグ、と手間は3段階に分かれる。1日で全部を追うより、届きやすい箇所から日を分けて進めるほうが留め具を折りにくい。
抵抗内蔵バルブだけでハイフラは止まるのか
抵抗内蔵タイプならバルブ交換だけで済む。それでも速いままなら、抵抗器やLED対応リレーの追加という配線側の対策に移ることになる。
交換までの流れのまとめ
やることは1本の順番に畳める。車検証の初度登録年月で何型かを決める。ヘッドライト裏の口金でハロゲンかHIDかLEDかを確定する(純正LEDのロービームは対象外)。年式区分の表から必要な形状を控える。ウインカーは抵抗内蔵かどうかまで見る。室内灯はボディタイプとグレードの表記まで読む。こうして候補を1つに絞ったら、最後にメーカーの適合表で自分の型式と年式を照らして確定させる。ヘッドライトを触ったなら、光軸をテスターで測ってもらうところまでが一続きの作業だ。

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