カムリAVV50の荷室に大きめの箱を置くとき、壁に寄せて詰めたくなる。ただしAVV50はハイブリッド専用の型式で、リヤシート横の左側には荷物でふさいではいけない場所がある。容量そのものはVDA法で440Lとセダンでは広い部類だから、置いてはいけない場所さえ外せば使える範囲は広い。まずは自分の車の床下と左側の壁を確かめるところから始めたい。
荷室を使い始める前に押さえる3点
数字の上では、AVV50のトランクはセダンとして広い部類に入る。トヨタが運営するクルマ情報サイトのカタログでは、トランク容量はVDA法で440L、ゴルフバッグ4セットを収納できると案内されている。ただし数字だけで置き方は決まらない。先に確かめておきたいのは次の3点だ。
- リヤシート横(左側)には駆動用電池を冷やすための吸気口があり、荷物でふさいではいけない
- ラゲージルームの運転席側にあるカバーの中は補機バッテリーで、ものを載せる場所ではない
- 床下の中身は同じAVV50でも一定ではなく、応急用タイヤ搭載車とタイヤパンク応急修理キット装着車で入っているものが違う
この3点を踏まえたうえで、収納を増やす手は床下・後席の前倒し・置き方の見直しの3方向になる。順に見ていく。
440Lという数字が示すもの、示さないもの
440LはVDA法による値で、規定の大きさのブロックを敷き詰めて算出する。空間の体積であって、開口部の幅や高さを保証する数字ではない。発売当時の自動車メディアの試乗記は、この440Lをトヨタのハイブリッドセダンのなかで大きい部類と位置づけ、比較としてFFベースのSAI/レクサスHS250hが415L、FRベースのクラウンハイブリッドが376Lという値を挙げている。リヤ側に駆動用ニッケル水素バッテリーを積みながらこの容量、という点が評価されていた。
裏を返すと、手持ちのケースが入るかどうかは440Lからは判断できない。荷室の内寸や開口部の寸法を示す資料は確認できていないため、寸法の数値はあえて出さない。積む予定の荷物があるなら、メジャーで開口部と床の奥行きを測ってから選ぶのが確実だ。ハッチバックとの使い勝手の違いが気になるなら、同じトヨタのハイブリッドで比べてみるのも手になる。
ふさげない場所と開けない場所
リヤシート横(左側)の吸気口
トヨタの取扱書(カムリ ハイブリッド車)は、リヤシート横(左側)部にある駆動用電池冷却用の吸入口について、ふさいだりすると駆動用電池の過熱や出力低下の原因となると書いている。あわせて、この吸気口をふさぐように荷物などを置かないこと、目づまりしないよう定期的に清掃すること、吸気口に水や異物を入れないこと、駆動用電池周辺に多量の水をこぼさないことが注意として挙げられている。誤ってこぼした場合はトヨタ販売店で点検を受けるよう案内されている。
この記載は前期型(2012年9月版)と後期型(2015年10月版)の取扱書で同じで、位置も変わらない。背の高い箱を左の壁に密着させる置き方は、それだけで避ける。少しならよいという線引きは取扱書には書かれていない。
運転席側のカバーの中は補機バッテリー
AVV50の補機バッテリーはラゲージルーム(運転席側)のカバー内にあり、エンジンルームには載っていない。液の補充が不要なタイプのため、取扱書もバッテリー液量等の点検は不要としている。つまりここは日常的に開ける場所ではない。カバーの上に重いものを載せる、横から荷物を押し込む、といった使い方は想定されていない。荷室は左右それぞれに触らない場所があると考えて、置ける範囲を決めていく。
濡れたものを積むとき
取扱書の内装の手入れの項には、床・トランク内・駆動用電池の冷却用吸気口など車内に水をかけたり液体をこぼしたりしないという警告があり、駆動用電池や電気部品に水がかかると故障や車両火災につながるおそれがあるとされている。濡れた道具や水気のあるものを積むなら、こぼれない容器に入れるか、防水性のあるトレイやマットの上に置いて、液体が床や吸気口へ流れない形にしておく。
床下を開けて自分の車の仕様を確かめる
ラゲージマットの開け方
手順は単純だ。フックを持ってラゲージマットを持ち上げ、そのフックを使って固定する。これで両手が空き、床下の出し入れができる。作業が終わったら固定を解除してから閉じる。取扱書は、トランクを閉めるときにラゲージマットのレバーをトランクの端にかけたままにしないよう指示している(ラゲージマットが破損するおそれがある)。閉める前にマットが下りているかを毎回見る、それだけで防げる。
応急用タイヤ搭載車の床下
応急用タイヤ搭載車では、ラゲージマットの下にジャッキ、ツールトレイ、けん引フック、応急用タイヤ、ホイールナットレンチ、ジャッキハンドルが収まっている。応急用タイヤを取り出すときは、ラゲージマットを持ち上げて固定し、ツールトレイを取り出してから留め具をはずす。この仕様なら床下は工具と応急用タイヤでほぼ埋まっていて、収納に回せる余白はほとんど無い。
タイヤパンク応急修理キット装着車の床下
タイヤパンク応急修理キット装着車にはスペアタイヤが載っておらず、代わりにラゲージアンダートレイがある。ラゲージマットを持ち上げて固定し、ツールトレイを取りはずすと、三角表示板収納スペースと小物入れが現れる。三角表示板については、大きさ・形によっては収納できない場合があると取扱書に注記があるので、手持ちの表示板が入るかは実際に合わせて確かめる。この仕様の搭載品は、ホイールナットレンチ、ジャッキハンドル、ラゲージマット、ジャッキ、ツールトレイ、けん引フック、タイヤパンク応急修理キットの組み合わせになる。
床下に何を移すか
ラゲージマットを持ち上げないと出し入れできない以上、買い物袋や飲み物のような毎回触るものは床下に向かない。ふだん使わないが降ろしたくないもの——三角表示板、汚れもの用の袋、けん引ロープあたりを床下へ移せば、上の荷室をそのまま広く使える。ただし入る量は仕様で変わるので、順番としてはまず開けて中身を見て、そのあとで何を移すか決める。
トランク内の装備と、前期・後期の記載差
トランク内には買い物フックがある。取扱書は破損を防ぐために過度の負荷をかけないよう注意しているので、重い荷物を吊るす用途ではなく、袋物が横倒しにならないよう引っかけておく程度の使い方になる。買い物フックは前期型(2012年9月版)の取扱書にも載っている装備だ。
一方、後期型(2015年10月版)にあるラゲージマット、ラゲージアンダートレイ(タイヤパンク応急修理キット装着車)、三角表示板収納スペース、小物入れの項目は、前期型のトランク内装備の項には見あたらない。ただしこれは取扱書の記載の差であって、前期型にこれらの装備が無いことを確認したものではない。トヨタは取扱説明書を2011年9月〜2014年8月生産分と2014年9月〜2017年6月生産分の2区分で用意しており、この区切りが前期・後期の目安になる。結局のところ、自分の車のトランクを開けて何が付いているかを見るのが早い。
後席の背もたれを倒して長い荷物を積む
倒す手順と、分割形態の確かめ方
リヤシートは折りたたむことができる。操作はシート側ではなく、トランク内のレバーを引いて背もたれを前方に倒す方式で、この手順は前期型・後期型の取扱書で同じだ。倒す前に平坦な場所へ停め、パーキングブレーキを確実にかけ、シフトレバーをPに入れておく。
引っかかるのは分割形態のほうだ。背もたれの分割比率や、左右どちら側が倒れるのかを明示した記載は、前期・後期どちらの取扱書の本文にも無い。図では背もたれ全体ではなく片側の一部だけが前方に倒れる形で描かれ、トランク内のレバーも1つとして描かれている。6:4分割で両側倒せるという前提で長尺物の積載を計画しない——自分の車のトランク内でレバーの位置と数を確認するのが確実だ。なお発売当時の自動車メディアの試乗記には、後席の右側だけだが背もたれを倒してトランクスルーが可能という記述がある。これは媒体の記述で、取扱書で裏づけられた仕様ではない。
戻すときに見るところ
もとの位置に戻すときは、シートの間や背もたれの後ろにシートベルトを挟み込まないようにする。ガイドからはずれていたらガイドに通し直す。戻したあとはシートを前後に軽くゆさぶって固定されていることを確かめ、シートベルトを挟んでいないことと、ガイドに通っていることを目で見て確認する。取扱書は、走行中に前倒し操作をしないこと、倒した背もたれの上やトランクに人を乗せて走行しないこと、子どもがトランクに入らないよう注意することもあわせて求めている。守らないと重大な傷害におよぶか、最悪の場合死亡につながるおそれがあるとされている警告だ。
積んではいけないもの、積んではいけない場所
取扱書の「荷物を積むときの注意」は具体的だ。燃料が入った容器とスプレー缶は引火のおそれがあり、積んではいけない。荷物はできるだけトランクに積む。後席の背もたれを折りたたんで荷物を積むときは、荷物を積み重ねない。寸法が長い荷物を積むときは、できるだけ前席シート背もたれの真うしろを避ける。トランクに人を乗せない(乗員用には設計されていない)。運転席足元、助手席やリヤ席(荷物を積み重ねる場合)、パッケージトレイ、インストルメントパネル、ダッシュボードには荷物を積まない。室内に積んだ荷物はすべて安定させる。ペダル操作や視界の妨げ、荷物の衝突が事故につながるという理由づけになっている。
重さの側にも警告がある。荷物を積み過ぎない、荷重を不均等にかけない。タイヤに負担がかかるだけでなく、ハンドル操作性やブレーキ制御の低下から思わぬ事故につながるとされている。重いものは低い位置に、左右に振り分けて置く——これが置き方の基本になる。重い荷物を積む機会が多いなら、タイヤ側の状態にも目を向けておきたい。
積み下ろしで起きるトラブルを避ける
トランクを開ける3つの経路
開ける方法は3つある。車内のレバーを引き上げて解錠する、スマートキーを携帯してトランクのスイッチを押す、ワイヤレスリモコンのスイッチを押し続ける、のいずれかだ。スマートエントリー、ワイヤレス機能、ドアロックスイッチ、メカニカルキー、オートドアアンロック機能のいずれかで全ドアを解錠したときは、キーを携帯していなくてもスイッチで開けられる。閉めるときはトランクグリップを持ち、横方向に力をかけないよう引き下げてから、外側でトランクリッド上面を軽く押す。グリップで直接閉めると手や腕を挟むおそれがあると警告されている。
スマートキーを荷室に置いたまま閉めない
荷物を持ったままスマートキーをいったん荷室に置く動作には、閉じ込みの危険がある。すべてのドアが施錠されている状態でキーを置いたまま閉めると警告音が鳴り、車外のトランクオープンスイッチで開けられる。ただし置いた場所や周囲の電波状況によってはキーを検知できず、そのまま施錠されてしまうことがある。そのときは車内のトランクオープナーで開ける。閉める前にキーを手へ戻す、この一動作で済む話だ。
閉めきれないまま走らない
取扱書の排気ガスに関する警告には、走行中の留意事項としてトランクを閉じることが明記されている。排気ガスには無色・無臭の一酸化炭素が含まれ、車内に侵入すると眠気を招いて事故の原因になるほか、重大な健康障害や死亡につながるおそれがあるとされている。長尺物がはみ出してトランクが閉まらない状態は、この警告に反する使い方だ。閉じているのに車内で排気ガス臭がするときは、ドアガラスを開けて空気を入れかえ、すみやかにトヨタ販売店で点検整備を受ける。
このほか取扱書には、トランクリッド上の雪や氷などの重量物を取り除いてから開ける、強風時は周囲の安全を確かめる、半開状態で使わず全開で静止していることを確認する、走行前に閉まっていることを確認する、といった注意が並ぶ。トランクリッドにトヨタ純正品以外のアクセサリー用品を取り付けないこと、トランクの中で子どもを遊ばせないこと、子どもに開閉操作をさせないことも同じ項に書かれている。
収納用品を買う前に決めておくこと
ここまでを、買う前の判断条件に落とす。
- リヤシート横(左側)の吸気口をふさがない形と置き方を選ぶ。背の高い箱を左の壁に密着させない
- 運転席側の補機バッテリーカバーの上に重いものを載せない、押し込まない
- 床下を使うつもりなら、先にラゲージマットを開けて応急用タイヤ搭載車かタイヤパンク応急修理キット装着車かを確認する
- 走行中に動かないよう荷物を安定させる。ボックスや仕切りも固定できるかどうかで見る
- 水や液体が床・吸気口へ流れない形にする
- 寸法はカタログの数字ではなく自分の車で実測してから選ぶ
夜に積み下ろしをするなら、トランクを開けたときに点灯するトランクランプの位置も見ておきたい。荷物を高く積み上げるとランプの光がさえぎられ、奥が見えなくなる。
よくある質問
カムリAVV50の荷室は何リットル?
トランク容量はVDA法で440L。トヨタが運営するクルマ情報サイトのカタログでは、ゴルフバッグ4セットを収納できる容量として案内されている。VDA法はブロックを敷き詰めて算出する値なので、開口部の幅や高さは別に確かめる。
後席は倒せる?
折りたたむことはできる。操作はシート側ではなく、トランク内のレバーを引いて背もたれを前方に倒す方式だ。ただし分割比率や倒せる側は取扱書の本文に記載が無いため、レバーの位置と数を実車で確認してから積載を計画する。
床下には何が入っている?
仕様で違う。応急用タイヤ搭載車はジャッキ、ツールトレイ、けん引フック、応急用タイヤ、ホイールナットレンチ、ジャッキハンドル。タイヤパンク応急修理キット装着車はスペアタイヤが載っておらず、三角表示板収納スペースと小物入れがある。
荷物を置いてはいけない場所は?
リヤシート横(左側)にある駆動用電池の冷却用吸気口の前。ふさぐと駆動用電池の過熱や出力低下の原因になると取扱書が注意している。ラゲージルーム運転席側のカバー内は補機バッテリーなので、上に重いものを載せない。
三角表示板は床下に入る?
タイヤパンク応急修理キット装着車には三角表示板収納スペースがある。ただし大きさ・形によっては収納できない場合があると取扱書に注記されているので、手持ちの表示板を実際に合わせて確かめる。
まとめ
やることは3つの順番に収まる。まずラゲージマットを開けて、自分の車が応急用タイヤ搭載車かタイヤパンク応急修理キット装着車かを確かめる。次にリヤシート横(左側)の吸気口と運転席側の補機バッテリーカバーの位置を目で見て、荷物を置ける範囲を決める。そのうえで足りない分だけ収納用品を考える——候補をいくつも並べるより、使い方に合うものを1つに絞ってから、荷室で実測した寸法と置き場所に収まるかを最後に照らし合わせるほうが早い。
440Lは空間の広さであって、置ける場所の広さではない。この差を自分の車で埋める作業が、AVV50の荷室では効いてくる。次の型式であるAXVH70が気になっているなら、そちらの数値も見ておくと比較しやすい。

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