夜のコンビニの駐車場で、ハスラーの片目だけが暗いことに気づく。翌日カー用品店の棚に立つと、H4・H8・T20・T16と似た記号の箱が並び、どれが自分の車のものか手が止まる。ハスラーはMR31S/MR41S(2014年1月〜2019年11月)とMR52S/MR92S(2020年1月〜)の2世代があり、さらに同じ型式のなかでハロゲン仕様・HID仕様・LED仕様に分かれていて、灯火によっては「そもそも交換できる球が付いていない」ことがある。小糸製作所(KOITO)の車種別電球適合表で公開されている5つの仕様区分をすべて突き合わせ、灯火位置ごとの型番と定格を一枚にまとめた。
仕様別バルブ型番の早見表
数値は小糸製作所(KOITO)の車種別電球適合表を正とし、LIGHT COLLECTION・fcl.・スフィアライトの各適合表で裏取りした値を並べている。先に押さえておきたいのは、ハスラーは全世代・全仕様を通してテール&ストップとハイマウントストップが純正LEDで、球交換の対象から外れている点だ。ブレーキランプが暗いと感じても、そこには交換できるバルブが存在しない。
MR31S/MR41S(2014年1月〜2019年11月)
初代は「ハロゲン仕様」「HID仕様」「Jスタイル」の3区分が適合表に登録されている。
| 灯火位置 | ハロゲン仕様 | HID仕様 | Jスタイル |
|---|---|---|---|
| ヘッドライト(ロービーム) | H4 12V60/55W | HID(D4S)42V35W | HID(D4S)42V35W |
| ヘッドライト(ハイビーム) | 設定なし | 設定なし | 設定なし |
| フォグランプ | H8 12V35W | H8 12V35W | 純正LED |
| ポジション(車幅灯) | T10 12V5W | 純正LED | 純正LED |
| フロントウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー | 同左 | 同左 |
| サイドウインカー | ASSY | ASSY | ASSY |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー | 同左 | 同左 |
| テール&ストップ | 純正LED | 純正LED | 純正LED |
| ハイマウントストップ | 純正LED | 純正LED | 純正LED |
| バックランプ | T16 12V16W(18W) | 同左 | 同左 |
| ライセンス(ナンバー灯) | T10 12V5W | 同左 | 同左 |
| ルームランプ(前・後) | T10×31 12V10W | 同左 | 同左 |
ハイビーム欄が「設定なし」になっているのは、H4がハイとローを1本で兼ねる形状で、ハイ専用の球が割り当てられていないためだ。
MR52S/MR92S(2020年1月〜)
現行型は「ハロゲン仕様」と「LED仕様」の2区分に整理されている。
| 灯火位置 | ハロゲン仕様 | LED仕様 |
|---|---|---|
| ヘッドライト(ロービーム) | H4 12V60/55W | 純正LED(交換不可) |
| ヘッドライト(ハイビーム) | 設定なし | 純正LED(交換不可) |
| フォグランプ | H8 12V35W | 純正LED |
| ポジション(車幅灯) | T10 12V5W | 純正LED |
| フロントウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー |
| サイドウインカー | ASSY | 純正LED |
| リアウインカー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー | T20ピンチ部違い 12V21Wアンバー |
| テール&ストップ | 純正LED | 純正LED |
| ハイマウントストップ | 純正LED | 純正LED |
| バックランプ | T16 12V16W(18W) | T16 12V16W(18W) |
| ライセンス(ナンバー灯) | T10 12V5W | T10 12V5W |
| ルームランプ(フロント) | T10×31 12V10W | T10×31 12V10W |
| ルームランプ(リア) | T10 12V8W | T10 12V8W |
世代を跨いで変わらない4か所
5つの仕様区分を横に並べると、初代から現行まで一度も規格が変わっていない灯火が4か所ある。前後ウインカーのT20ピンチ部違い・12V21Wアンバー、バックランプのT16・12V16W(18W)、ナンバー灯のT10・12V5W、そしてフロントのルームランプのT10×31・12V10Wだ。MR31Sからハスラーを乗り継いだ人が手元に残しているLEDバルブは、この4か所ならそのまま次の車体でも使える計算になる。
ヘッドライトは3系統に分かれる
ハスラーのヘッドライトはH4・D4S・純正LEDの3系統があり、世代ではなく仕様で決まる。ここを取り違えると、買った球がそもそもソケットに入らない。
ハロゲン仕様車はH4・12V60/55W
MR31S/MR41SのハロゲンモデルとMR52S/MR92Sのハロゲンモデルは、どちらもH4・12V60/55Wで共通している。ヘッドライトに限れば世代を跨いだ流用が成立する数少ない箇所で、H4対応をうたうLEDバルブやHIDキットはどちらの世代にも選べる。H4はハイとローが1本にまとまった3極構造のため、ハイビームだけを別に買い足す必要はない。
MR31S/MR41SのHID仕様・JスタイルはD4S
初代のHID仕様車とJスタイルは、ロービームがHID(D4S)・42V35Wになる。適合表のハイビーム欄は「設定なし」で、ハイ専用のバルブは割り当てられていない。D4Sは純正HID用のバーナーで、H4のハロゲン球ともLEDバルブとも互換性がないため、球が切れた場合はD4S対応のバーナーを選ぶことになる。スフィアライトの適合情報もMR31SのHID仕様をD4Sと記載しており、KOITOの表と一致している。
MR52S/MR92SのLED仕様車は球交換の対象外
現行型のLED仕様車は、ロー・ハイともに適合表の記載が「LED」で、交換用バルブの設定そのものが無い。fcl.の解説では、灯体にLEDチップが埋め込まれている構造のため、球だけを抜き差しする作業自体が成立しないとされている。暗くなった場合は灯具ユニットごとの交換になる。ボンネットを開けてバルブの根元に外せるゴムキャップと爪があるかを見れば、ハロゲン車かLED車かは数秒で見分けがつく。
フォグランプはH8と純正LEDが混在する
フォグはハスラーで最も表が割れる箇所で、同じ型式でも仕様によってハロゲン球と純正LEDに分かれる。
ハロゲンフォグはH8・12V35W
KOITOの適合表では、MR31S/MR41Sのハロゲン仕様・HID仕様と、MR52S/MR92Sのハロゲン仕様のフォグがいずれもH8・12V35Wと記載されている。世代が変わってもハロゲンフォグの規格はH8のまま据え置かれた形で、H8対応のLEDフォグバルブはどちらの世代でも選択肢に入る。
同じ型式でもフォグが純正LEDの個体がある
一方、MR31S/MR41Sの「Jスタイル」区分ではフォグの記載がLEDになっており、MR52S/MR92SのLED仕様車も同じくLEDだ。車検証の型式がMR31Sでも、Jスタイルならフォグに交換できる球は入っていないという状況が起きる。型式だけで判断せず、グレード名と実際のフォグ灯体を見るのが唯一の見分け方になる。
H8/H11/H16の互換表記に注意
社外のLEDフォグバルブには「H8/H11/H16対応」と書かれた商品が多く流通している。この3規格はカプラーの形状が近いため1品番で兼用できる設計になっているもので、ハスラーのH8フォグにはこの兼用タイプがそのまま使える。逆に、純正LEDフォグの個体にこの兼用バルブを買っても取り付ける場所が無い点は変わらない。
LED仕様車で交換できるのは5か所
現行のLED仕様車は「フルLEDだから何も触れない」と思われがちだが、適合表を読むと球が残っている灯火が5か所ある。
フロントウインカーは球のまま残る
LED仕様車でもフロントウインカーはT20ピンチ部違い・12V21Wアンバーの球のままで、純正LED化されているのはサイドウインカーの方だ。LED仕様車で交換できるのは、前後ウインカー・バックランプ・ナンバー灯・ルームランプの5か所にほぼ限られる。ヘッドライト・フォグ・ポジション・テール・ハイマウントはすべて純正LEDで、球交換の対象から外れている。
テール&ストップは全仕様で純正LED
テール&ストップとハイマウントストップは、初代のハロゲン仕様から現行のLED仕様まで、5つの区分すべてで「LED」と記載されている。ハスラーは初代の時点からリアコンビネーションランプがLED化されており、ブレーキランプの球交換という作業は最初から存在しない。ここはLIGHT COLLECTIONの適合表も同じ結論で、2つの表が独立して一致している。
ウインカーはT20ピンチ部違いで全車共通
前後ウインカーは全世代・全仕様でT20ピンチ部違い・12V21Wアンバーに統一されている。ハスラーのLED化で最も手を出しやすい箇所であり、同時に最も失敗しやすい箇所でもある。
通常のT20とは口金の爪の位置が違う
T20には通常タイプとピンチ部違いタイプがあり、口金側面にある爪の位置が左右対称か非対称かで区別される。ガラス部の見た目は同じサイズなので、通販で安い方を選ぶと届いてからソケットに座らないことに気づく。商品ページに「ピンチ部違い対応」の記載があるかどうかだけを見て選ぶと外さない。
LED化するとハイフラが出る
ウインカーは球切れを電流量で検知しているため、消費電力の小さいLEDに替えると車両側が球切れと誤認して点滅が速くなる。LIGHT COLLECTIONの適合表にも、LEDバルブをそのまま装着するとハイフラッシュになるのでハイフラ防止リレーか抵抗器を用意するか、抵抗内蔵モデルを選ぶよう注記がある。抵抗内蔵タイプを買うか、リレーごと交換するかの二択になる。
室内灯・ナンバー灯・バックランプ
外装以外の灯火は世代間の差が小さく、ほぼ同じ規格が引き継がれている。
ルームランプはリアだけ世代で変わる
MR31S/MR41Sはフロント・リアともT10×31・12V10Wだが、MR52S/MR92Sはフロントが T10×31・12V10W、リアが T10・12V8W に変わっている。世代を乗り継いだ場合、ルームランプで流用できるのはフロントだけで、リア用は買い直しになる。T10×31は全長31mmのフェストン(両口金)球で、ウェッジ球のT10とは形が別物なので、買う前に既存の球を1本抜いて長さを見ておくと間違えない。
バックランプのT16とナンバー灯のT10
バックランプは全世代・全仕様でT16・12V16W(18W)、ナンバー灯はT10・12V5Wで共通している。定格が「16W(18W)」と併記されているのは、16WがECE規格、18Wが旧JIS規格での表示で、製造時期によって表記が違うだけで特性は同じという意味だ。バックランプのT16は口金がT10より一回り太いため、見た目が似ているT10のLEDを買うと差し込めない。
買う前に現車で確認したいこと
適合表は出発点であって最終確認ではない。KOITOの表にも、年式・型式・タイプ・グレードが一致していても特別仕様車などの条件で記載と異なる場合があるため、購入前に車輌に装着されている電球の形状と定格が一致しているか確かめるようにという注記が付いている。
適合表が外れる3つのケース
1つ目は特別仕様車と一部改良で、ハスラーの場合はまさにJスタイルがこれにあたる。同じMR31Sでもフォグとポジションが純正LEDに置き換わっている。2つ目は前オーナーによる社外品への交換で、中古で買った個体は純正状態とは限らない。3つ目は年式のまたぎで、MR52S/MR92Sはハロゲン仕様とLED仕様が併売されているため、初度登録年月だけでは仕様が決まらない。車検証で型式を確認したら、そのうえで交換したい灯火の球を1本抜き、口金の形と刻印を読むのが最短になる。ハロゲン球なら本体に「H4 12V60/55W」のような刻印が入っている。球が抜けない、あるいは球そのものが見当たらない場合は、その灯火が純正LEDである可能性が高い。
二重レンズ・イエローキャップ装着車の注意
KOITOの適合表には、二重レンズやイエローキャップが装着された車両には純正相当球以外を使わないようにという注記もある。高効率バルブを入れるとレンズの変色や変形といった不具合を起こす可能性があるためで、該当するかどうかは販売店に問い合わせる形になる。ハスラーで社外の高効率ハロゲンバルブを検討する場合は、この一文を頭に入れておきたい。
よくある質問
ハスラーのヘッドライトの型番はH4で合っていますか
ハロゲン仕様車であれば、MR31S/MR41SもMR52S/MR92SもH4・12V60/55Wで共通している。ただし初代のHID仕様車とJスタイルはD4S、現行のLED仕様車は純正LEDで球交換ができない。型式ではなく仕様で決まるので、ボンネットを開けてバルブの根元にゴムキャップがあるかどうかを見て判断する。
ハスラーのブレーキランプの球はどれですか
ハスラーはテール&ストップもハイマウントストップも、初代のハロゲン仕様から現行のLED仕様まで全区分で純正LEDのため、交換用のバルブが存在しない。ブレーキランプが点かない場合は球切れではなく、リアコンビネーションランプのユニット側かバルブ切れ警告に関わる不具合を疑うことになる。
MR52S/MR92SのLED仕様車でもLED化できる場所はありますか
前後ウインカー(T20ピンチ部違い)、バックランプ(T16)、ナンバー灯(T10)、ルームランプ(フロントT10×31・リアT10)が球のまま残っている。ヘッドライト・フォグ・ポジション・テール・ハイマウントは純正LEDなので対象外になる。
フォグランプはH8とH11のどちらを買えばいいですか
ハスラーのハロゲンフォグはKOITOの適合表でH8・12V35Wと記載されている。社外LEDでよく見る「H8/H11/H16対応」の兼用タイプはカプラー形状が共通なのでそのまま使える。ただしJスタイルとLED仕様車のフォグは純正LEDで、そもそも球が入っていない。
ウインカーをLEDにしたら点滅が速くなりました
ハイフラッシュと呼ばれる現象で、LEDの消費電力が小さいために車両側が球切れと誤検知している。抵抗内蔵タイプのLEDバルブに替えるか、ハイフラ防止リレーへの交換、または抵抗器の追加で解消する。バルブの向きや配線の不良ではない。
まとめ
ハスラーのバルブ選びは、車検証の型式を見るだけでは終わらない。MR31S/MR41SにはハロゲンとHIDとJスタイル、MR52S/MR92Sにはハロゲン仕様とLED仕様があり、ヘッドライトはH4・D4S・純正LEDの3系統、フォグはH8か純正LEDに分かれるからだ。
一方で、前後ウインカーのT20ピンチ部違い・12V21Wアンバー、バックランプのT16・12V16W(18W)、ナンバー灯のT10・12V5W、フロントルームランプのT10×31・12V10Wの4か所は、初代から現行まで規格が変わっていない。そしてテール&ストップとハイマウントストップは全仕様で純正LEDのため、そもそも交換する球が無い。棚の前で悩むより、交換したい灯火の球を1本抜いて刻印を読むほうが早く答えにたどり着く。

コメント