駐車場でゆっくり停める直前に、キーキーという音が混じるようになる。走行距離が伸びたセレナC27でよく出る症状で、ブレーキパッドの交換時期が近いことを知らせている場合が多い。ところがいざパッドを買おうとすると、最初にフロント用かリア用かで商品が分かれる。しかも商品によって適合表記に並ぶ型式の数が違うので、車検証の型式を確かめてから選ぶ順序になる。
フロント用とリア用で商品が分かれる — 掲載4点の早見表
セレナC27は前後ともディスクブレーキで、ブレーキパッドは前にも後ろにも付いている。前後は別の商品として売られていて品番も違うので、「セレナC27用のパッド」という1つの買い物にはならない。前だけ替えるのか、後ろだけか、両方かをまず決めることになる。
もう1つ、買う前に見るのが自分の型式だ。C27世代には7つの型式があり、商品の適合表記にそれが並んでいるかどうかで判断する。とくにリア用は、7型式すべてを並べる商品と、前の世代と一緒に一部の型式までしか並べない商品が混ざっている。
この記事で扱うのはフロント用2点・リア用2点の合計4点。
| 商品 | 取付位置 | 商品名の適合表記 | 実売価格(2026年8月時点) |
|---|---|---|---|
| エムズ部品 B153 | フロント | C27 GC27 GFC27 GNC27 GFNC27 HC27 HFC27 | 3,900円 |
| アケボノ AN-821WK | フロント | H28.8-/C27 [2000cc/-](排気量表記) | 4,990円 |
| アケボノ AN-768WK | リア | H28.8-/C27 [2000cc/-](排気量表記) | 4,190円 |
| ディクセル EC | リア | C27 GC27 GFC27 GNC27 GFNC27 HC27 HFC27 | 5,984円 |
価格はいずれも確認時点のAmazon実売で、日々動く。適合表記の欄は商品名にどう書かれているかであって、その部品が対応する範囲そのものではない点に注意したい。
前後どちらにもパッドが付いている理由
自動車カタログに掲載された諸元表では、セレナC27のブレーキ形式は前が「ベンチレーテッドディスク」、後ろが「ディスク」となっている。確認できたのは型式 DBA-C27 のセレナ S(2018年9月・FF・車両重量1630kg)と、型式 DAA-HFC27 のセレナ e-パワー ハイウェイスターV(2018年3月・FF・車両重量1760kg)の2グレード分で、C27の全型式・全グレードがこの形式だと断定できるところまでは確認していない。
ブレーキ専業メーカーの曙ブレーキ工業の説明では、ペダルを踏んだ力はブレーキブースターで増され、マスターシリンダーで液圧に変わり、配管を通ってピストンを押す。そのピストンが摩擦材であるブレーキパッドを、車輪と一緒に回るディスクローターに押しつけ、両側からはさむことで回転が止まる。パッドはローターと擦れて減ることが前提の消耗品で、後ろもディスクである以上、リア側の摩擦材もライニングやシューではなくパッドになる。
交換のサインを4つの手がかりで見分ける
キーキー音はパッドウェアインジケーターの音
JAFのQ&Aによると、パッドの残量が少なくなるとパッドウェアインジケーターが直接ブレーキディスクと接し、キーキーという音で交換時期を知らせる。整備解説記事によれば仕組みには機械式と電気式があり、機械式はパッドが一定の薄さまで減るとインジケーターがローターに接触して音を出すもの、電気式は厚みが基準を下回ると電線がローターに接触して回路が切れるもので、多くは2mm程度で知らせるという。鳴っていた音が途中で止まった場合は、ローターを傷つけている可能性が高い状態とされているので、鳴りやんだことを回復と読まないほうがいい。
残量は点検孔から見る
同じくJAFは、摩耗の確認はホイールを外し、ブレーキキャリパーの点検用の窓から行うと説明している。キャリパー中央付近の点検孔からパッドの厚みを目視し、必要ならスケールを当てて測る。残量の基準としては、2mm以下程度になったら交換するように定められている、と案内されている。ホイールを付けたまま隙間から覗く方法では裏側のパッドや減り方の偏りまでは見えないので、正確に見たいならホイールを外すことになる。
走行距離の目安は一般論として使う
整備解説記事が挙げている一般的な目安では、新品の厚みは10mm程度で、1万km走るごとに1mmずつ減っていき、2〜3mm程度で交換時期。点検は新品から3万〜5万km走ったあたりが目安とされる。ただしこれは車種を問わない一般論であって、セレナC27固有の摩耗速度として確認できた値ではない。実際の減り方は走り方と使う道で変わる。
点検の周期は法令側で決まっている
自動車点検基準の別表第六では、制動装置の点検箇所として「ブレーキ・ディスク及びパッド」が挙げられ、1年ごとの欄に「ディスクとパッドとのすき間」と「パッドの摩耗」、2年ごとの欄に「ディスクの摩耗及び損傷」が置かれている。つまりパッドの摩耗は1年ごとの項目だ。ただし注記により、この2項目は走行距離が1年当たり5千km以下の自動車について、前回行うべき時期に点検を行わなかった場合を除き、行わないことができるとされている。
車検証で自分の型式を確かめる
C27世代の7つの型式
自動車カタログの型式一覧でC27世代として掲載されているのは、DBA-C27・DAA-GC27・DAA-GFC27・DAA-GNC27・DAA-GFNC27・DAA-HC27・DAA-HFC27 の7つ。車検証の型式欄に書かれているのはこのどれかで、商品の適合表記に自分のものが並んでいるかを見ればいい。
F・N・Hの読み方
諸元を突き合わせると、記号の対応はこう読める。DAA-GFC27 に載るのはハイウェイスターやハイウェイスターV、ニスモなどで駆動方式はFF、標準的な寸法は全長4,770mm・全幅1,740mm・全高1,865mm。DAA-GNC27 は主要グレードがフルタイム4WDで、標準グレードは全長4,690mm・全幅1,695mm・全高1,875mm。DAA-HFC27 はカタログ上「e-パワー ハイウェイスターV」として載っている。ここからFは全幅の広いハイウェイスター系のボディ、Nは4WD、Hはe-POWERと読み取れる。ただし直接確認したのはこの3型式で、残りは同じ規則に従っているという読み取りにとどまる。
日産が公開しているカタログのアーカイブによると、C27のカタログは2016年8月版と2019年8月版の2本立てで、2016年8月版には2016年8月から2019年8月まで掲載していた旨が書かれている。世代としての販売期間は2016年8月から2022年11月まで。e-POWERの型式はC27の途中から加わり、カタログ上は2018年3月のグレードとして掲載されている。
選ぶ基準は4つ、この順番で使う
- 取付位置。フロント用かリア用かを最初に決める。前後まとめて替えるなら2点買うことになる。
- 適合表記。車検証の型式がその商品の適合表記に書かれているか。ここが合っていなければ残りの条件は意味を持たない。
- 部品の系統。純正納入メーカーや純正採用をうたう補修品を取るか、摩擦材と適正温度域をメーカーが公表している社外品を取るか。前者は元と近い感触を期待する選び方、後者は公表スペックを見て選ぶやり方になる。
- 付属品と価格。組付け用グリスが付くかどうかと実売価格を比べる。
3番目について、低ダストをうたう商品でも、ダストの減り方は数値で書かない。ディクセルの公表資料にはダストや効きの比較が図として置かれているだけで、数値も優劣の説明文も載っていないためだ。
フロント用のおすすめ2点
フロント側は、曙ブレーキ工業の品番 AN-821WK が代表格になる。商品ページのスペック欄では位置が「フロント」、純正品番が「AY040-NS178」、適合が「日産 セレナ C27 GC27 GFC27 GNC27 GFNC27 HC27 HFC27」とされていて、C27の7型式が1つの品番で受けられる形になっている。
価格を抑えるなら エムズ部品 B153
商品名の適合表記に7型式がそのまま並んでいるのがこちら。ガソリン車もe-POWER車も4WDも、表記の上では対象に入る。今回集めたフロント用のなかでは安い部類だった。型式が商品名に書かれている商品は、車検証と1文字ずつ突き合わせられるぶん判断が早い。
エムズ部品 フロントブレーキパッド B153(セレナC27 7型式の適合表記あり)
純正品番との対応が分かる アケボノ AN-821WK
商品名に「メーカー純正採用 アケボノブレーキ」と入る。品番から見れば7型式に対応する部品だが、この商品名の表記は「日産 セレナ ブレーキパッド フロント H28.8-/C27 [2000cc/-] AN-821WK」で、2000ccという排気量が書かれているだけで型式は並んでいない。この書き方だとe-POWER車(HC27・HFC27)が含まれるのかどうかを商品名から読み取れないので、e-POWERに乗っているなら型式で確認してから買う。なお「純正採用」は純正品と同一であることを意味する言葉ではない。
アケボノ AN-821WK フロントブレーキパッド(純正品番 AY040-NS178 対応・セレナC27用)
リア用のおすすめ2点
リア側の代表的な補修品は曙ブレーキ工業の品番 AN-768WK。参考までに、日立Astemoのリア用 HN019Z は適合が「セレナ C27系」「16.08~」「リア」で、代表純正品番として AY060-NS048、AY060-NS053、AY060-NS057、AY060-NS059、AY060-NS060、AY060-NS907、D4060-4BA0B、D4060-9N00A が並んでいる。リア側は1つの補修品に複数の純正品番が紐づいていて、そのぶん商品ページの適合表記の書き方に幅が出る。
純正採用をうたう アケボノ AN-768WK
商品名は「日産 セレナ ブレーキパッド リア H28.8-/C27 [2000cc/-] AN-768WK」で、フロント側の同シリーズと同じく年式と排気量による書き方になっている。この品番はC26世代(HFC26)向けの前後セット商品でもリア側として案内されているもので、後述する世代をまたぐ例にあたる。
アケボノ AN-768WK リアブレーキパッド(セレナC27 平成28年8月以降)
材質と温度域が分かる ディクセル EC
ブレーキ部品メーカーのディクセルが公表しているのは、ECタイプの材質が「NAO(ノンアスベストオーガニック材)」、適正温度が「0〜450℃」で、想定の使い手はノーマルパッドの効きが物足りない人、初めてスポーツパッドを試す人、ストリートのみで使う人、車検交換でコストを抑えたい人だという。上位のESタイプは適正温度が「0〜600℃」で、ワインディングやミニサーキット、ジムカーナ寄りの人が想定に挙がっている。街乗り中心ならECタイプの想定に収まる。
この商品は適合表記が「セレナ C27 GC27 GFC27 GNC27 GFNC27 HC27 HFC27 H28.8~」で7型式がそろって並ぶ。リア用で4WDやe-POWERの型式まで商品名で確かめたいなら、現状ここが最も判断しやすい。単価は今回のリア用のなかでは高い側になる。
ディクセル EC エクストラクルーズ リアブレーキパッド(セレナC27 7型式の適合表記あり)
リア用にC25やC26が並ぶ理由と、買う前の確認
リア用の商品名には、C27より前の世代の型式が一緒に並んでいることがある。実例として「セレナ C25 NC25 CC25 CNC25 C26 FNC26 HC26 HFC26 NC26 C27 GC27 GFC27」と並べたものや、「デュアリス KJ10 KNJ10 セレナ C25 … C27 GC27 GFC27」と並べたうえで純正品番 AY060-NS053 を挙げたものがある。曙の AN-768WK もC26向けセットのリア側として案内されている。一方フロント側はC26向けが AN-726WK、C27向けが AN-821WK と別品番で、リア側だけ世代をまたいで同じ補修品が案内される場合がある、という構図になっている。
ただしこれを「セレナのリアパッドは世代共通だから何でも付く」と読み替えてはいけない。確認できたのは特定の商品の適合表記と、特定の品番が複数世代で案内されているという事実までだ。世代が並んでいることは、自分の型式が並んでいることの代わりにはならない。
実務としては車検証を手元に置いて確認する。販売店が確認に使うと案内している項目は、車台番号・型式・初年度登録・型式指定・類別区分の5つ。適合表記に自分の型式が見当たらない、あるいは排気量だけで書かれていて判断できないときは、この5つを添えて販売店に問い合わせる。「グレードや年式によって複数でますので、必ず事前に適合確認が必要です」と書かれている商品もあれば、検索を依頼しない場合は自己責任とする立て付けの商品、ブレーキパッドを返品・キャンセル不可としている出品もある。迷ったら聞いてから買うほうが結果的に早い。
取り付けの前提と、法令上の線引き
ディクセルが使用上の注意として公表しているのは次の点。交換・取付作業は陸運局認定の整備工場で行い、自動車メーカーのサービスマニュアルに従うこと。左右輪同時に行うこと(片輪だけの交換はブレーキの片効きの原因となり危険)。交換直後はパッドとローターに当たりが出ておらず一般に制動力が若干低下するので、馴染むまでは無理なブレーキングを控えること。パッドとローターの表面にオイル・グリス・ほこりなどを付けないこと。適正温度を超える範囲での使用は避けること。
法令の側では、道路運送車両法施行規則第三条が特定整備を定め、そのうち第一号から第七号までが分解整備と呼ばれる。制動装置に関する第五号が挙げているのは、マスタ・シリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキ・チャンバ、ブレーキ・ドラム、若しくはディスク・ブレーキのキャリパを取り外し、又は二輪の小型自動車のブレーキ・ライニングを交換するためにブレーキ・シューを取り外して行う整備または改造だ。条文が列挙しているのはキャリパを取り外して行う整備であって、パッド交換そのものは条文に書かれていない。ここから先、キャリパを外さない作業を誰がやってよいかという一般論までは踏み込まない。部品メーカー自身が認定工場での作業を案内している事実も、判断材料として残しておきたい。
よくある質問
フロントとリアは同時に替えるべきか
同時交換を求める根拠は、今回確認できた資料の範囲では見当たらなかった。部品メーカーが同時と指定しているのは左右輪であって、前後については触れていない。残量は前後で別に減るので、点検孔から見て減っている側を替えるのが素直な考え方になる。前後を1回で済ませたいなら2点買う前提で予算を組んでおく。
e-POWERだとブレーキパッドは減りにくいのか
減りにくいという説明は個人の投稿やQ&Aでは見かけるが、日産や部品メーカーが公表した裏付けは確認できなかった。だから何万km無交換でいけるといった見通しは書けない。カタログ諸元で分かるのは、ガソリンのセレナ S(DBA-C27・FF)が1630kg、e-パワー ハイウェイスターV(DAA-HFC27・FF)が1760kgという重量差があること、タイヤサイズは195/65R15で共通し、ブレーキ形式も前ベンチレーテッドディスク・後ディスクで同じという点までだ。グレードもボディも違う2台の比較なので、この130kgをe-POWERの分と読むこともできない。
残量が何ミリなら車検に通るのか
残量の数値と検査の合否を結ぶ基準は、今回確認できていない。分かっているのは定期点検基準に「パッドの摩耗」という項目があること、JAFが2mm以下程度で交換するよう案内していることまでで、この2つから「何ミリ以上なら通る」という線を引くことはできない。判断が必要なら点検の場で見てもらうことになる。
「純正採用」と書かれた商品は純正品と同じものなのか
同じものだとは言えない。確認できるのは、商品ページにその表示があることと、対応する純正品番(フロントなら AY040-NS178)が示されていることまでだ。ディーラーで付く部品と同一かどうかを判断する材料にはならないので、表示ではなく品番と適合表記のほうを見て選ぶ。
関連するおすすめ記事
まとめ
買う前に確認するのは次の4点。
- 買うのはフロント用かリア用か。前後は別部品で、両方替えるなら2点必要になる。
- 車検証の型式欄は7つのうちどれか。DBA-C27・DAA-GC27・DAA-GFC27・DAA-GNC27・DAA-GFNC27・DAA-HC27・DAA-HFC27。
- その型式が商品の適合表記に並んでいるか。排気量や年式だけの表記では、e-POWER(HC27・HFC27)と4WD(GNC27・GFNC27)の可否を読み取れない。
- 音が鳴る前に見ておく。パッドの摩耗は1年ごとの点検項目に入っている。
掲載した4点は、フロントで安く済ませるならエムズ部品 B153、純正品番との対応を確かめて選ぶならアケボノ AN-821WK。リアは年式と排気量の表記で足りるならアケボノ AN-768WK、7型式の並びと材質・温度域まで見て決めたいならディクセル EC、という並びになる。
この記事にはAmazonアソシエイトを含むアフィリエイト広告を含みます。

コメント