前輪駆動の車から CX-80 に乗り換えた人がやりがちなのが、それまでの感覚でタイヤチェーンを前輪に付けてしまうことだ。マツダは CX-80 の電子取扱説明書で「タイヤチェーンは後輪に取り付けます。」と定めていて、2WD と AWD で書き分けていない。付ける車輪を固めたら、あとは自分の標準タイヤのサイズに合うチェーンを選び、付けたら速度を抑えて走ればいい。
CX-80 のチェーン選びで先に押さえる4つの決まり
次の4つを外さなければ、大きく間違えることはない。根拠はすべてマツダの CX-80 電子取扱説明書で、詳しくは後の節で順に説明する。
| 項目 | CX-80 での決まり |
|---|---|
| 付ける車輪 | 後輪(2WD・AWD とも) |
| タイヤ | 標準タイヤのみ。仕様表のサイズは 235/60R18 と 235/50R20 の2つ |
| チェーンの種類 | 純正品以外はボディーなどに干渉し、傷をつけるおそれがある |
| 走り方 | 30 km/h以下。積雪路・凍結路以外では外す |
紹介する商品は、商品名に「CX-80 KL系 に適用」と書かれた社外の非金属チェーン1つだけだ。確認できたのは商品名だけなので、買うなら試し付けで隙間を確かめる前提で考える。確実さを最優先するなら、マツダ販売店に純正品を相談する道を先に検討していい。
自分の CX-80 の型式とタイヤサイズを確かめる
型式とパワートレイン
マツダのニュースリリースによると、CX-80 の国内販売は2024年10月10日に始まった。パワートレインは3.3L直列6気筒ディーゼルの SKYACTIV-D 3.3、そこにモーターを組み合わせた e-SKYACTIV D 3.3(XD-HYBRID)、2.5L直列4気筒ガソリンとモーターの e-SKYACTIV PHEV の3種類で、マツダは駆動方式を「後輪駆動ベースのAWD」と説明している。
型式は、車種カタログのグレード別諸元・グレード一覧で次のように分かれる。
| パワートレイン | 型式 | 駆動 |
|---|---|---|
| ディーゼル | 3DA-KL3P | 2WD・4WD(2WD の XD Sパッケージは FR と記載) |
| XD-HYBRID | 3CA-KL3R3P | 4WD |
| PHEV | 5LA-KL5S3P | 4WD |
自分の車がどれに当たるかは車検証の型式欄で分かる。なお2026年3月19日の商品改良で、グレード構成が一部入れ替わっている。
18インチと20インチの2サイズ
マツダの CX-80 電子取扱説明書の仕様表に載るタイヤサイズは、235/60R18 103V(ホイール 18×7-1/2J)と 235/50R20 104W(ホイール 20×7-1/2J)の2つだ。幅は同じ235でも、偏平率(60と50)とリム径が違う別のサイズなので、チェーンも自分のサイズに合わせて選ぶ。
自分のサイズは、運転席ドアを開けたボディー側(Bピラー)に貼られたラベルで確かめられる。マツダのよくあるご質問によると、20インチにはエクストラロード(XL)規格のタイヤを採用している。構造を強くしてスタンダード規格より高い空気圧を入れられるようにし、負荷能力を高く設定した規格だ。
車種カタログのグレード別諸元(2024年10月〜2026年3月のモデル)では、XD Sパッケージが前後とも 235/60R18、PHEV Lパッケージと PHEV プレミアムモダンが前後とも 235/50R20 と記載されている。ほかのグレードはここでは確かめていないので、ラベルかタイヤ側面の刻印で自分のサイズを見てほしい。サイズの全体像はこちらにまとめてある。
取扱説明書が定めるチェーンの決まり
チェーンは後輪に付ける
取扱説明書の「タイヤチェーンについて」は、冒頭で後輪への取り付けを定めている。このページは 2WD と AWD を分けて書いていないので、どちらの CX-80 でも付けるのは後輪だ。
付ける車輪を間違えたときの影響は、JAF のユーザーテスト(2018年2月実施)が分かりやすい。前輪が駆動輪の車でチェーンを駆動輪ではない後輪に付けたところ、坂道の途中でタイヤがスリップして上りきれず、カーブでは前輪が滑って走行ラインが外側へ大きく膨らみ、制動距離は前輪に付けた場合より約7m延びた。CX-80 で試したものではないが、JAF はカーブで対向車線に飛び出すなどの重大事故につながる可能性があるとまとめている。後輪駆動ベースの CX-80 では、前輪に付ける車とは付ける側が逆になると覚えておく。
標準タイヤと純正品が前提
取扱説明書には「標準タイヤのみタイヤチェーンを装着できます」とあり、標準以外のタイヤに付けるとチェーンがボディーなどに干渉して傷をつけることがあると書かれている。さらに「純正品以外のタイヤチェーンを使用するとボディーなどに干渉し、傷をつけるおそれがあります」とも書かれていて、マツダはどちらも詳しくは販売店に相談するよう案内している。社外品を選ぶなら、この注意を前提に、雪道に出る前に後輪へ一度付けてボディーやコイルスプリングとの隙間を自分の目で確かめる。
30 km/h以下で走り、雪のない道では外す
チェーンを付けたら30 km/h以下で走る。マツダは、30 km/h以上で走るとチェーンにかかる負担が大きくなり、切れやすくなると説明している。また、積雪路・凍結路以外ではチェーンを付けたまま走らないよう書いていて、理由にチェーンの摩耗を早めることと、AWD 車では駆動系部品に悪影響をおよぼし故障につながるおそれがあることを挙げている。雪や氷が途切れたら外すところまでが、チェーンを使う作業だと考えておく。
チェーン規制と冬用タイヤ規制の違い
チェーン規制はスタッドレスでも通れない
国土交通省の案内によると、チェーン規制は大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪のときに行われる。この規制中は、スタッドレスタイヤを付けていても、4WD 車でも、チェーンを付けていない車は通れない。AWD の CX-80 も同じ扱いだ。
認められるチェーンは自動車用品店などで売られているものなら問題ないとされ、種類として金属チェーンタイプ、ウレタン&ゴムチェーンタイプ、布製カバータイプが挙がっている。スプレーのように薬剤を吹き付けるタイプでは通れない。規制区間は、国土交通省のページの記載時点で直轄国道8箇所・高速道路8箇所が指定されている。
高速道路の冬用タイヤ規制は別物
JAF の解説によると、高速道路の降雪時の規制には速度規制・冬用タイヤ規制・チェーン規制・通行止めの4種類がある。冬用タイヤ規制は「駆動輪へのチェーン装着」か「全車輪に冬用タイヤ装着」が条件で、2018年のチェーン規制関連の改正以降、かつてチェーン規制と呼ばれていたものはこう呼ばれるのが一般的になった。規制箇所はあらかじめ定められているので、JAF は雪の地域へ出かける前に確認し、チェーンを持っていくよう勧めている。
金属・非金属・布製の3種類の違い
JAF の解説では、タイヤチェーンは次の3種類に分かれる。
| 種類 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 金属チェーン(亀甲型・ハシゴ型など) | 高い駆動力、収納がコンパクト | 振動・騒音、使用後の錆対策 |
| ウレタン&ゴム(ネット型・分離型) | 軽量、低振動・低騒音、金属より制限速度が高め | 一部製品は着脱しにくい、収納ケースが大きい |
| 布製カバー | 軽量コンパクト、着脱しやすい、駆動力も高い | 耐久性が低い |
金属チェーンには車両移動やジャッキアップが要らないタイプもある。ウレタン&ゴムは低温で柔軟性がなくなり着脱しにくくなることもあり、JAF は非金属を選ぶなら JASAA(日本自動車交通安全用品協会)の規格に基づき実車走行試験で性能を確かめた認定品から選ぶのがよいとしている。非金属は制限速度が高めとされるが、CX-80 では種類にかかわらず取扱説明書の30 km/h以下を守る。
布製カバーには2つの見方がある
布製カバーは、国土交通省の案内ではチェーン規制で認められる種類に入っている。一方で JAF は、製品に「チェーン規制時には現場係官の指示に従ってください」という注意書きがある通り緊急時の脱出用という位置づけともいえるとして、耐久性の低さと規制に対応できない可能性をデメリットに挙げている。規制区間を通る予定がはっきりしているなら金属かウレタン&ゴム、たまの雪に備える緊急用なら布製と分けて考えるのが現実的だ。
CX-80 のチェーンを選ぶ5つの判断軸
1. 自分のタイヤサイズが対応サイズに入っているか
自分の標準タイヤ(235/60R18 か 235/50R20)が、チェーンの対応サイズに含まれているかを最初に見る。カーメイトが公開している購入前の確認事項では、タイヤ側面の刻印が 195/65R15 なら195がタイヤの幅、65が偏平率、15がホイールの径を表し、195R15 と 195/65R15 は別のサイズだとしている。18インチ用と20インチ用も別物なので、家族の別の CX-80 から流用できると決めつけない。
2. 使う場面に合う種類か
規制区間を通る予定があるか、緊急用として積んでおくかで、選ぶ種類が変わる。前の節の分け方をそのまま当てはめればいい。
3. 寒い中で付け外しできるか
JAF は、付けやすそうに見えるチェーンでも低温で柔軟性がなくなり着脱しにくくなることがあるので、気象条件の悪いなかで作業する前提で検討するよう勧めている。CX-80 は後輪に付けることも含めて、雪の中で自分が扱えるかを考える。
4. 作り手と認定の確かさ
非金属なら JASAA の認定品かどうかが目安になる。作り手や認定の表示が見当たらない商品は、その分だけ自分で確かめる手間が増えると考えておく。
5. 後輪まわりのボディーとの隙間
カーメイトは購入前の確認事項として、フェンダーとタイヤの隙間が3cm以上、コイルスプリングとタイヤ裏面の隙間が2cm以上あいていることを挙げ、裏面は指幅や厚みを先に測っておいて指を差し込んで確かめる方法を案内している。これはカーメイト製チェーンの一般的な目安で、CX-80 で測った値ではない。純正品以外には干渉の注意が出ているので、社外品はこの目安を手がかりに試し付けで確かめる。
商品名に CX-80 KL系向けと書かれた非金属チェーン
紹介するのは、商品名が「【 CX-80 KL系 に適用】サイズ調整可能で在庫1つでOK 非金属タイヤチェーン 車用 スノー 8本入り 取り付け簡単 耐磨耗性 滑り止めチェーン 雪道/悪路/泥道/砂道対応」の非金属チェーンだ。ブランド表示はノーブランド品で、マツダの純正品ではない。Amazon実売価格は¥10,348(2026年10月4日の確認時点。価格は変動する)。
CX-80 KL系向け表記の非金属タイヤチェーン 8本入り(ノーブランド)
商品名から読み取れること
| 商品名の表記 | 読み取れること |
|---|---|
| CX-80 KL系 に適用 | 出品者が CX-80 KL系向けとうたっている |
| サイズ調整可能 | サイズを調整できると出品者がうたっている |
| 非金属タイヤチェーン | 金属ではないチェーン |
| 8本入り | 8本がセットになっている |
「取り付け簡単」「耐磨耗性」も出品者の表記だ。8本をどう組み合わせて付けるのか、1輪に何本使うのか、素材が何かは商品名からは分からないので、商品画像と説明で確かめる。
確認できていないこと
確認できたのは商品名とブランド表示だけで、どれも出品者の表記であり第三者が検証したものではない。対応するタイヤサイズの一覧、素材、JASAA の認定の有無、チェーン規制への対応、付属の取扱説明書の内容は確認できていない。235/60R18 と 235/50R20 のどちらに合うかも、商品ページで自分のサイズが含まれるかを照らすまでは分からない。選ぶなら、雪道に出る前に後輪へ試し付けする前提で選ぶ。
購入前と、雪道に出る前に確かめること
購入前の3つの確認
- 運転席ドアを開けたところのラベルかタイヤ側面の刻印で、自分のタイヤが 235/60R18 か 235/50R20 かを確かめる。
- 買おうとしているチェーンの対応サイズにそのサイズが含まれるかを、商品の説明や適合表で照らす。紹介した非金属チェーンも同じ手順で見る。
- インチアップした社外ホイールや、仕様表と違うサイズのタイヤを履いているなら、取扱説明書の「標準タイヤのみ」から外れるので、マツダ販売店に相談してから選ぶ。
確実さを最優先するなら、最初からマツダ販売店で自分のタイヤサイズに合う純正のチェーンを相談するのが近道だ。純正チェーンの品番・種類・価格はここでは確かめていないので、販売店で聞くといい。インチアップを考えている人は、チェーンが標準タイヤ前提である点を頭に入れたうえでホイールを選んでほしい。
シーズン前の試し付け
シーズン前の晴れた日に、一度後輪へ試しに付けておく。付け方を覚えるのと同時に、ボディーやコイルスプリングとの隙間を確かめられるので、雪の中で慌てずに済む。社外品は特にこの一手間を省かない。
よくある質問
CX-80 のチェーンは前輪と後輪のどちらに付ける?
後輪だ。2WD か AWD かは関係なく、取扱説明書の決まりに従う。
AWD でスタッドレスタイヤならチェーンは要らない?
チェーン規制の区間を通るなら要る。この規制は 4WD でもスタッドレスタイヤでもチェーンが無いと通れないので、雪の地域へ出かけるときは積んでおく。
布製のチェーンでもチェーン規制を通れる?
国土交通省の案内では、布製カバーは認められる種類に入っている。ただ耐久性が低いので、規制区間を通る予定が決まっているなら金属かウレタン&ゴムを選ぶほうが確実だ。
チェーンを付けたら何 km/h まで出せる?
30 km/h以下で走る。非金属や布製でも、CX-80 では取扱説明書の値を守る。
インチアップしたホイールにもチェーンを付けられる?
標準タイヤ以外は取扱説明書の条件から外れる。付けたいなら、先にマツダ販売店へ相談する。
まとめ
最初にやることは、自分の CX-80 のタイヤ側面の刻印か運転席ドアのラベルを見て、235/60R18 か 235/50R20 かを確かめることだ。型式は車検証の型式欄で分かるので、その次に見ておけばいい。
- チェーンは後輪に付ける
- 自分の標準タイヤのサイズに合うものを選ぶ
- 純正品以外は干渉のおそれがあるので、試し付けで隙間を確かめる
- 付けたら30 km/h以下で走り、雪のない道では外す
冬に向けたタイヤ全体の準備はこちら。
ほかのマツダ車でどの車輪に付けるかを見比べたい人は、次の2本が入口になる。
チェーン以外のパーツも含めて見たい人は、こちらにまとめてある。
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