3列シートのSUVを選ぶとき、最後まで引っかかるのは「3列目を起こしたまま、荷物はどれだけ載るのか」という一点に尽きる。CX-80の荷室容量は、3列目使用時で258L、3列目を格納すると687L、2列目の背もたれまで倒すと最大1,971Lまで広がる(公表値)。数字だけを見ると3列目使用時は心もとないが、床下のサブトランクボックスや引っ張り荷重20kgのラゲッジフックを組み合わせれば、7人乗車でも旅行カバンを積む余地は残る。ここではシート状態別の容量早見表と、取扱説明書に沿った正規の格納手順、荷崩れを防ぐ積み方をまとめる。
シート状態別の荷室容量早見表(258L/687L/1,971L)
CX-80の荷室は、どのシートを倒すかで性格が大きく変わる。まずは3段階の容量と、その状態で現実的に積めるものを並べて把握しておくと、旅行前の積み込み計画で迷わなくなる。
| シート状態 | 乗車人数の目安 | 荷室容量(公表値) | 積めるものの目安 |
|---|---|---|---|
| 3列目を使用 | 6〜7名 | 258L | ゴルフバッグ、ベビーカー、機内持ち込みサイズのスーツケース |
| 3列目を格納 | 4〜5名 | 687L | ボストンバッグ2つ+大型トランク、キャンプ道具一式 |
| 2列目まで格納 | 1〜2名 | 最大1,971L | 家具、長尺物、自転車 |
マツダは公式サイトで、3列目シート使用時でもゴルフバッグやベビーカーを積める空間だと説明している。258Lという数字は乗用車のトランク1個ぶんに近く、7人乗車の日は「大物を1つ+分散した手荷物」という発想に切り替えると収まりやすい。
一方で3列目を1列たたむだけで容量は258Lから687Lへ、およそ2.7倍に増える。自動車メディアの試用レポートでも、3列目を倒した状態でボストンバッグ2つと大型トランクが無理なく収まったと報告されている。5人以下で出かける日は、3列目を最初から格納しておくのが荷室運用の基本形になる。
なお公表容量はあくまで規定の測定方法で算出した数値で、実際に積める量は荷物の形と積み方で変わる。角のあるコンテナやスーツケースは公表値に近い効率で積めるが、丸みのあるバッグや寝袋は空間を食う。数字は上限ではなく目安として扱いたい。
荷室まわりの装備と型式を先に押さえる
積載の工夫に入る前に、自分の1台がどの仕様なのかを把握しておく。CX-80はパワートレインとシート仕様の組み合わせが多く、荷室アクセサリーの適合を調べるときに型式が効いてくる。
型式とパワートレインの対応
| パワートレイン | 型式(カタログ値) | 駆動方式 |
|---|---|---|
| 3.3Lディーゼル(XD) | 3DA-KL3P | 2WD/4WD |
| 3.3Lディーゼル+マイルドハイブリッド(XD-HYBRID) | 3CA-KL3R3P | 4WD専用 |
| 2.5Lプラグインハイブリッド(PHEV) | 5LA-KL5S3P | 4WD専用 |
ボディサイズは全長4,990mm×全幅1,890mm×全高1,710mm(カタログ値)。ラゲッジマットやラゲッジトレイを探すときは、車名だけでなくこの型式と乗車定員・2列目の形状まで指定して適合を確認する。CX-80は6人乗りと7人乗りで荷室側の形状が変わるため、車名だけで選ぶと合わない製品を掴みやすい。
ハンズフリー機能付パワーリフトゲート
CX-80はハンズフリー機能付パワーリフトゲートを全車標準装備している。アドバンストキーのスイッチ、ハンドル右下のクラスタースイッチでの開閉に加えて、リアバンパー中央下部のセンサーが足の動きを感知し、リアゲートを自動で開閉する。両手が荷物でふさがった状態でも開けられるので、買い物袋を一度地面に置く手間が要らない。
センサーは足の動きを読む方式のため、荷物を抱えたまま作動させるときはバンパー下に足を入れる動作を意識する。冬場に厚手のブーツを履いていると反応が鈍ることがあり、その場合はクラスタースイッチやキーのスイッチで開ける。
6人乗りと7人乗りで変わる荷室の使い勝手
CX-80のシート仕様は、6人乗り(キャプテンシート)、6人乗り(センターウォークスルー)、7人乗り(6:4分割ベンチシート)の3タイプが用意される。荷室運用で差が出るのは2列目の分割方式で、7人乗りの6:4分割ベンチシートは片側だけを倒せるため、乗員を2列目に残したまま長尺物を積むという使い分けができる。
6人乗りのキャプテンシート仕様は2列目が独立するぶん、2列目を倒したときに中央部に隙間が生まれやすい。スキー板やカーテンレールのような細長い荷物を通すには都合がよく、逆に平らな面を作りたいときはボードを1枚渡すと安定する。
3列目シートの格納手順(取扱説明書の正規手順)
CX-80の3列目は電動格納ではなく、背もたれ背面のストラップを引く手動操作で倒す。順番を間違えるとヘッドレストが2列目に当たって傷が付くため、取扱説明書に載っている手順どおりに進める。
3列目を格納する手順
- サードシートのシートベルトをホルダーに固定する
- セカンドシートをいちばん前までスライドさせる
- ストラップを手前に引いて、ヘッドレストを倒す
- さらにストラップを手前に引いて、サードシートの背もたれを倒す
最初にシートベルトをホルダーへ固定するのが要点で、これを省くとベルトが背もたれと荷室床の間に噛み込み、次に3列目を起こしたときにベルトがねじれたまま出てくる。セカンドシートを前へ寄せる工程も、ヘッドレストの逃げ場を作るための操作なので飛ばさない。
3列目を元に戻す手順
- 背もたれを起こす
- 背もたれを後ろに押し付けてロックさせる
- 背もたれを前後に動かし、ロックがかかったことを確認する
- ヘッドレストを元の位置に戻す
ロックが半掛かりのまま走ると、加減速のたびに背もたれが動く。起こしたあとに前後へ軽く揺すり、動かないことを手で確かめてから人を座らせる。
格納状態でやってはいけない積み方
取扱説明書は、倒した背もたれの上や荷室内に人を乗せて走行しないよう警告している。あわせて、背もたれを倒して荷物を運ぶときは荷物を固定するよう求めている。急ブレーキや衝突時に荷物が前方へ飛べば、乗員に当たる経路がそのまま開いているためだ。
もう一点、背もたれが倒れている状態でヘッドレストに荷重をかけるとヘッドレストが破損するおそれがある、という注意も記載されている。倒した3列目の背面はフラットな荷室床のように見えるが、ヘッドレストの真上に重い荷物を置くのは避け、重量物は荷室の床面側へ寄せる。
サブトランクボックス(床下収納)とラゲッジボードの使い方
258Lという3列目使用時の容量が思ったより使えるのは、床下にサブトランクボックスがあるからだ。目に見える荷室面積が小さくても、細かい物を床下へ逃がせば上面を大きな荷物のために空けられる。
ラゲッジボードを溝に立てかけて開ける
サブトランクボックスを使うときは、ラゲッジボードを開いたあと、ボードを手前に引きながら溝に立てかける。この立てかけ操作でボードが保持されるため、片手でボードを支えたまま荷物を出し入れする必要がない。荷室の奥で身をかがめる姿勢が減り、雨の日の積み下ろしが楽になる。
床下に入れておくと収まりがよいのは、洗車用のタオルやクロス、パンク修理まわりの小物、汚れたレジャー用品、折りたたみのレジャーシートあたり。荷室上面に転がしておくとカーブのたびに動く小物を床下へ移すだけで、荷室が一気に片付く。濡れたものを入れるときは、そのまま放り込まず袋に入れてから収める。
トノカバーを床下に入れたときの制約
見落としやすい制約が1つある。取扱説明書には、トノカバーを収納しているときは収納したトノカバーにラゲッジボードがあたるため、ラゲッジボードを立てられないと明記されている。つまり「トノカバーを外して床下へ入れる」運用と「サブトランクを頻繁に開ける」運用は同時に成立しにくい。
3列目を格納して大物を積む日は、トノカバーを床下に押し込むのではなく、車から降ろして自宅に置いていくほうが扱いやすい。逆に日常使いでトノカバーを装着したままにしておくなら、床下スペースは小物置きとしてそのまま活かせる。どちらの使い方をするかを先に決めておくと、荷室の前で悩む時間が消える。
荷物の固定 — ラゲッジフックの引っ張り荷重は20kg
荷室に荷物を「置く」のと「固定する」のは別の作業だ。CX-80にはロープやネットを掛けるためのラゲッジフックが備わるが、掛けられる荷重には上限がある。
フックの荷重上限を守る
取扱説明書によれば、ラゲッジフックの引っ張り荷重は20kgで、ロープを掛けて強く引っぱらないよう注意が添えられている。20kgはロープ1本にぶら下がる力の上限であり、フックを支点にラチェットで締め上げるような使い方は想定されていない。
実務上は、フックを「荷物が動かないよう軽く押さえる」ために使い、荷物そのものの重量を受け止める金具として扱わない。ネットを張って上面を押さえる、コンテナ同士をロープで結んで一体化させる、といった使い方がフックの荷重範囲に収まる。
20kgを超える重量物の積み方
重量物はフックに頼らず、荷室の形状で動きを止める。基本は3つ。重い物を床面の前方(後席背もたれ側)に置く、軽い物を上に重ねる、荷物同士のすき間をなくす。急ブレーキで前方へ飛ぶ経路を、荷物自身と後席背もたれで塞いでしまう考え方だ。
滑り止め加工のラゲッジマットを1枚敷くだけでも、コンテナの横滑りは目に見えて減る。キャンプ用のコンテナボックスを2〜3個で荷室を区画し、そのなかに小物を収める方式にすると、走行中に荷室で物音がしなくなる。
3列目を倒した面に荷重をかけるとき
3列目の背もたれ背面は、格納すると荷室床の延長として機能する。ただしシートの背面であってラゲッジフロアそのものではないため、鋭い角の荷物や極端に重い物を直接置くと表皮が傷む。折りたたみコンテナやラゲッジマットを一枚挟んで面圧を分散させると、内装の状態を保ちやすい。
乗車人数別・現実的な積み方
同じ荷室でも、乗る人数によって最適解は変わる。人数ごとに積み方の型を持っておくと、出発前の判断が速くなる。
7人乗車(258L)で出かける日
3列目使用時は奥行きが限られるぶん、高さ方向を使う。スーツケースは寝かせず立てて積み、隙間に柔らかいバッグを詰める。人数分の手荷物はすべて荷室へ持ち込まず、2列目の足元、センターコンソール、ドアポケットへ分散させる。床下のサブトランクボックスに細かい物を逃がせば、荷室上面はスーツケース1個ぶんの面積を確保できる。
トノカバーを装着している場合、その上に物を載せるのは避ける。カバーは荷物を支える構造ではなく、急制動時に荷物が前方へ抜ける経路になる。
5人以下(687L)で使う日
3列目を格納すれば687L。ボストンバッグ2つと大型トランクが収まった実測例があり、家族4〜5人の1泊旅行なら余裕がある。キャンプ道具ならコンテナ2〜3個とテント、寝袋、椅子が現実的な積載量になる。荷物が軽くなる日は、3列目を起こしたままにせず先に倒しておくほうが積み下ろしが速い。
2人以下(最大1,971L)で長尺物を運ぶ
2列目の背もたれまで倒すと最大1,971Lまで拡大する。家具や長い資材を運ぶ場面が対象で、このときは荷物の先端が前席背もたれを越えないように積む。前方へ突き出した荷物は、急制動で乗員の頭部付近まで届く。長尺物は床面に寝かせ、ロープで前後を結んで一体化させておく。
荷室を汚さない・傷つけないための備え
CX-80の荷室は内装の質感が高いぶん、汚れと傷が目立ちやすい。積載の工夫と同じ比重で、保護の手当てをしておきたい。
ラゲッジマットとトレイ
専用設計のラゲッジマットは、荷室の形状に合わせて立ち上がりが付くため、こぼれた液体や砂を車体側へ回さずに受け止める。防水トレイタイプは、濡れたレジャー用品や汚れた靴、園芸用品を積む機会が多い人に効く。滑り止めの効果も同時に得られるので、荷物の固定という観点でも一石二鳥になる。
リアバンパー上面の保護
荷室で最も傷が入りやすいのは、荷室内ではなくリアバンパーの上面だ。重い荷物を持ち上げるときに縁で擦り、塗装に線傷が入る。ステップガードや保護フィルムを貼っておくと、積み下ろしのたびに気を遣う必要がなくなる。
3列目背面と2列目背面の保護
3列目を格納すれば3列目の背面が、2列目まで倒せば2列目の背面が荷室床になる。どちらもシート表皮であり、ラゲッジフロアのような耐摩耗の仕上げではない。倒した面を荷室として使う頻度が高いなら、その面まで覆えるサイズのマットを選ぶと内装の傷みを抑えられる。
よくある質問
CX-80は3列目を使ったままでも荷物を積めますか?
3列目使用時の荷室容量は258L(公表値)で、マツダは3列目シート使用時でもゴルフバッグやベビーカーを積める空間だと説明している。奥行きは限られるため、スーツケースは立てて積み、細かい荷物は床下のサブトランクボックスと2列目足元に分散させると収まりやすい。
CX-80の3列目シートは電動で格納できますか?
取扱説明書に載っている手順は手動操作だ。サードシートのシートベルトをホルダーに固定し、セカンドシートをいちばん前までスライドさせたうえで、背面のストラップを手前に引いてヘッドレストを倒し、さらにストラップを引いて背もたれを倒す。戻すときは背もたれを起こして後ろへ押し付けてロックさせ、前後に動かしてロックを確認してからヘッドレストを戻す。
荷室のフックにはどれくらいの荷重をかけられますか?
取扱説明書では、ラゲッジフックの引っ張り荷重は20kgと記載され、ロープを掛けて強く引っぱらないよう注意されている。荷物の重量そのものを支える金具ではなく、ネットやロープで荷物の動きを押さえるための装備として使う。
トノカバーを床下に収納すると不都合はありますか?
ある。取扱説明書には、トノカバーを収納しているときは収納したトノカバーにラゲッジボードがあたるため、ラゲッジボードを立てられないと明記されている。サブトランクボックスを頻繁に開ける使い方をするなら、トノカバーは床下へ入れず車外に降ろしておくほうが扱いやすい。
CX-60とCX-80では荷室の使い勝手がどう違いますか?
CX-80は3列シートで、3列目を格納した状態の容量が687L(公表値)。2列シートのCX-60とは想定する使い方がそもそも異なり、乗車定員を優先するか荷室の常時容量を優先するかで選択が分かれる。3列目を常用しないなら、CX-60の荷室運用と比べたうえで判断する価値がある。
まとめ:容量の数字より「シートの使い分け」で決まる
CX-80の荷室は、258L・687L・最大1,971Lという3段階を、乗車人数に応じて意識的に切り替えることで実力を発揮する。5人以下で出かける日に3列目を起こしたままにしておくのが、最ももったいない使い方だ。
積載の実務でおさえる点は多くない。3列目はシートベルトをホルダーに固定し、セカンドシートを前に出してからストラップを2回引く。荷物はラゲッジフックの引っ張り荷重20kgの範囲でネットやロープを使い、重量物は床面前方に寄せて動きを止める。床下のサブトランクボックスに小物を逃がし、トノカバーを床下へ入れるとラゲッジボードが立てられなくなる点だけ覚えておく。この4つを押さえれば、7人乗車の日でも荷室の前で立ち往生することはなくなる。

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