Z4 G29 の異音は、屋根を開け閉めしたときか、段差を越えたときか、ブレーキを踏んだときかで、疑う部品が変わる。部品を替える段になると、さらに sDrive20i か M40i か、型式が 3BA-HF20 か 3BA-HF30/3BA-HF30T かで、選べる商品が分かれる。まず音がどこから・どんな場面で出るかを押さえ、次に自分の車のグレードと型式を車検証で確かめる順で読み進めてほしい。
Z4 G29 の異音は、音の場所と出る場面で見当を付ける
異音の解説は、音が出る場面ごとに疑う部品を分けている。G29 も同じで、いつ・どこから・どんな音が出るかが分かれば、見当はかなり絞れる。G29 ならではの見当として、海外の部品販売店による G29 の購入前の手引きは、ソフトトップのシールの傷みによる高速での風切り音と、前のコントロールアームのブッシュの摩耗による段差でのゴトゴトを挙げている。
| 聞こえる場所 | 出やすい場面 | まず疑う所 | 急ぎ方 |
|---|---|---|---|
| 頭上(屋根まわり) | 高速走行・屋根の開け閉め | ソフトトップのシール、開閉の動き | 雨漏りが出る前に点検 |
| 足回り(前) | 段差・カーブ・急ブレーキ | コントロールアームのブッシュ、スタビライザーのリンク | 早めに点検 |
| ブレーキ | ブレーキを踏んだとき | パッドの摩耗、ローター、錆・小石 | 警告灯・擦れる音はすぐ点検 |
| 室内 | シートベルトを収めたとき | ベルトの金具とパネルの当たり | 急がない |
| エンジンルーム・駆動系 | 冷えた状態での始動時・走行中・ハンドル操作 | 留め具の緩み、チェーンまわり、ベアリング、ジョイント | 続くなら点検 |
ブレーキの警告灯が点いたとき、ブレーキからの音でパッドの残りが無いと分かったときは、乗り続けずに早めに整備工場で点検を受ける。ほかの音も、出所の特定には整備工場の診断が要ることが多い。
対象の Z4 G29 の型式・グレードと装備
BMW Japan の発表資料によると、新型の Z4 は 2019年3月25日から全国の BMW 正規ディーラーで販売が始まった。モデルは sDrive20i(Sport Line・M Sport もある)と M40i で、右ハンドル仕様。屋根はソフトトップだ。
| グレード | 型式(車種カタログ) | エンジン | 足回りの装備(発表資料) |
|---|---|---|---|
| sDrive20i | 3BA-HF20 | 2.0L 直列4気筒ターボ | sDrive20i M Sport は M スポーツ・サスペンションを装備し、アダプティブ M スポーツ・サスペンションをオプションで選べる |
| M40i | 3BA-HF30(2019年3月・2019年10月の発売の型)/3BA-HF30T(2020年4月以降の発売の型) | 3.0L 直列6気筒ターボ | アダプティブ M スポーツ・サスペンションが標準 |
車種カタログでは、どの型式も後輪駆動(FR)で、一覧の最も新しい型は2025年7月の発売。同じ G29 でも、グレードと装備で足回りの部品が違うことがある。部品を選ぶときは、車検証の型式とグレードを先に確かめる。
頭上から聞こえる風切り音・きしみ(ソフトトップまわり)
BMW Japan の発表資料によると、G29 のソフトトップは時速50km以下の走行時も約10秒で開け閉めできる。走行中に開け閉めできるのは時速50km以下に限られる。
シールのひび・硬化・縮みを見る
海外の部品販売店による G29 の購入前の手引きでは、ソフトトップのシールが傷むと、高速での風切り音や、A ピラーの角からの雨漏りにつながることがあるとし、シールのひび・硬化・縮みをよく見るよう勧めている。後ろからぶつけられると、外から見て分からないまま折りたたみの骨組みや制御部が傷むことがある、とも書いている。
開け閉めを何度か繰り返して音と動きを確かめる
止めた状態で屋根の開け閉めを何度か繰り返し、動きと音を確かめる。いつもと違う音や引っかかりがあれば、シールの状態とあわせて整備工場に伝える。走行中に試すなら時速50km以下のときだけにする。
段差やカーブで出るゴトゴト・ギシギシ(足回り)
前のコントロールアームのブッシュ
海外の部品販売店による G29 の購入前の手引きでは、G29 はスポーティな足回りの味付けで前のコントロールアームのブッシュに大きな負担がかかり、摩耗すると段差でのゴトゴトや、ハンドルの手応えのあいまいさが出るとしている。購入前の点検でも、がたとゴトゴトを確かめるよう勧めている。段差で前からゴトゴト聞こえ、ハンドルの手応えもあいまいになってきたら、まずここを疑う。
スタビライザーのリンク・ブッシュ
自動車誌ベストカーの解説では、足回りのゴトゴト・ガタガタは、スタビライザーのジョイントやリンク、サスペンションアームなどから出やすく、急ブレーキのときやカーブを曲がるときに出やすいとしている。原因は経年劣化によるジョイントのがたつきやゴムブッシュの劣化で、ブッシュが切れると金属同士が擦れてギシギシと鳴ることもある。出所の特定にはプロの診断が要ることが多く、早めに整備工場で点検を受けるよう勧めている。
バンプラバーを選ぶときの条件
足回りの部品は、整備工場で出所が分かってから選ぶ。出所がバンプラバーだと分かったときの交換部品の候補が、CAPSOL のフロント ショック バンプラバー(補助ダンパー・左右共通・BMW 互換品)だ。
販売ページの商品説明では、この商品は対応の車に G29 Z4 20i を挙げ、品番 31336854700 の部品が付いた車両に限るとしている。M40i は、この商品説明の対応の車に名が無い。この品番が手元の Z4 G29 に付いている部品と同じかは、出品者の記載のほかの出典では確かめられていない。sDrive20i でも、車台番号で販売店に部品の品番を確かめてから選ぶ。
CAPSOL フロント ショック バンプラバー 補助ダンパー 左右共通 BMW互換品(G29 Z4 20i の記載)
ブレーキを踏んだときのキーキー・擦れる音
鳴きの主な原因と切り分け
潤滑油メーカーの LIQUI MOLY の解説では、ブレーキをかけたときの振動を伴わないきしみ音の原因として、パッドの摩耗、ディスクの厚み不足や縁のバリ、パッドとディスクの間に挟まった小石、ディスク表面の錆、可動部の潤滑不足を挙げる。軽い錆なら、短い距離を走ると落ちることがあるという。自動車誌ベストカーの解説では、一般の車のキーキーは、パッドの摩耗が進んで裏の金属がローターと擦れて出ることがあるとしている。
替えた後も鳴くときは、自動車メディアのブレーキの鳴きの解説が次の順で切り分けている。
- パッドを新品にしても鳴きが止まらない → ローターの偏摩耗(縁の段や表面の凹凸)を疑う。ローターの交換で収まることがある
- パッドもローターも新品なのに鳴く → キャリパーのゴム部品(ピストンシールやダストブーツ)の劣化を疑い、キャリパーのオーバーホールで対処する。走行距離の多い車や、スポーツ走行でキャリパーが高温になる車で起きやすい
警告灯が点いたとき
海外の BMW 部品店の解説では、G29 Z4 を含む BMW の車で、メーターまわりのブレーキライニングの警告灯が点くのはパッドの残りが薄くなった知らせで、できるだけ早くパッドを替えるべきとしている。警告灯が点いた後は摩耗センサーも交換が必要な部品になり、摩耗センサーはパッドを替えるたびに替えるべき、とも書いている。摩耗センサーはパッドの減りを知らせる部品で、音を止める部品ではない。
後輪の摩耗センサーの選び方
海外の BMW 部品店の適合一覧では、後輪のブレーキパッド摩耗センサー(BMW 品番 34356870354)は、G29 Z4 のうち Z4 M40i と Z4 sDrive30i の行に載る。sDrive30i は、BMW Japan の発表資料と車種カタログが挙げる日本の Z4 G29 のグレード(sDrive20i・M40i)には無い名で、日本の sDrive20i の行はこの一覧には無い。
販売ページの商品説明では、CAPSOL のリア ブレーキパッドセンサー(BMW 互換品)は、対応の車に G29 Z4 20i と M40i を挙げ、品番 34356870354 の部品が付いた車両に限るとしている。後輪用で、前輪には使えない。日本の sDrive20i に合うことは出品者の記載にしか無いので、sDrive20i は車台番号で部品の品番を確かめてから選ぶ。M40i も、品番 34356870354 の部品が付いた車両に限る条件は同じだ。
CAPSOL リア ブレーキパッドセンサー BMW互換品(G29 Z4 20i・M40i の記載)
室内のカタカタはシートベルトの金具を疑う
シートベルトを収めたときに金具がパネルに当たってカタカタ鳴るなら、手軽な対策の候補が Jusby の本革シートベルトカバー(黒ステッチ)だ。
販売ページの商品説明では、トヨタ スープラ(DB#2型)と BMW Z4(G29型)の専用品で、2個セット。運転席と助手席に付けられる。汎用品ではなく、シートベルトの大きさは種類が多いので、適合車種のほかには使えないとしている。取り付けは、付属の両面テープで留める方法と、付属の糸で手縫いする方法の2通り。同じ商品説明は、手触りと質感を上げるほか、シートベルトを収めたときのパネルへの傷つけとカタカタ音を防ぐとうたっている(出品者の記載)。
音の出所がシートベルトの金具かを確かめてから選ぶ。出所が別の所なら、カバーを付けても音は残る。
Jusby 本革シートベルトカバー 黒ステッチ スープラ DB#2型/BMW Z4 G29用 2個セット
エンジンルーム・走行中・ハンドル操作時の音
ここからは G29 に限らない一般の車の分類で、潤滑油メーカーの LIQUI MOLY の解説による。
エンジンルームのカタカタ
原因として、部品や留め具の緩み、冷えた状態での始動時の油圧タペットの音、タイミングチェーンやテンショナーの音、エンジンマウントの劣化、オイルの通り道の堆積物を挙げる。まずボルトや留め具の締まりを確かめ、チェーンまわりの音は専門の整備工場で点検してもらう。
走行中の笛のような音・うなり
原因として、ホイールベアリングの不具合、タイヤのバランスのずれ、ショックアブソーバーの故障やコイルスプリングの折れ、ギアボックスやデフの不具合を挙げる。自分で見られるのは、タイヤの傷と空気圧、ショックアブソーバーのオイル漏れや傷み、スプリングの折れだ。周期的な振動や大きな走行音があるときはホイールベアリングの摩耗を疑い、続くうなりや笛のような音は、ギアボックスの不具合のこともあるので整備工場に相談する。
ハンドルを切ったときのカチカチ
カチカチや低いブーンという音の原因として、ステアリングやドライブシャフトのジョイントの摩耗、ステアリングギアの不具合、潤滑不足などを挙げる。ジョイントと防じんカバーを点検し、ステアリングギアの点検は整備工場に頼む。
異音に気づいたら確かめる順番
1. いつ・どこから・どんな音かを書き留める
- いつ:冷えた状態での始動時・段差・ブレーキ・ハンドルを切ったとき・一定の速度で走っているとき・屋根の開け閉め
- どこから:前・後ろ・頭上・足元・エンジンルーム
- どんな音:キーキー・ゴー・ゴトゴト・ギシギシ・カタカタ・うなり
書き留めたことを、そのまま整備工場に伝える。出所の特定は診断に頼ることが多く、場面の情報が多いほど話が早い。
2. 急ぐ音から先に見る
ブレーキの警告灯や、パッドの残りが無いと分かった音は、ほかの音より先に整備工場へ持ち込む。
3. 部品を選ぶ前に4つを照らす
- 整備工場の点検などで、音の出所がその部品だと分かっているか
- 商品説明の対応の車に、Z4 G29 と自分のグレード(sDrive20i か M40i)が在るか
- 「品番〜の部品が付いた車両に限る」のような条件があるときは、車台番号で手元の車の部品の品番を確かめたか
- 前輪用か後輪用か、左右共通か
4. 保証や対策は車台番号で正規ディーラーに確かめる
新車の保証の残りや、メーカーの対策の有無は、車台番号を伝えて BMW 正規ディーラーで確かめる。
よくある質問
ブレーキの警告灯が点いたら、パッドだけ替えればよい?
摩耗センサーも一緒に替える。海外の BMW 部品店の解説では、警告灯が点いた後は摩耗センサーも交換が必要な部品になるとしている。後輪のセンサーの品番の照らし方は、ブレーキの節に書いた。
バンプラバーの商品は M40i にも使える?
CAPSOL のフロント ショック バンプラバーの商品説明が対応の車に挙げるのは G29 Z4 20i で、品番 31336854700 の部品が付いた車両に限るとしている。M40i は、この商品説明の対応の車に名が無い。G29 Z4 20i でも、この品番が手元の部品と同じかは出品者の記載のほかの出典では確かめられていない。M40i は、整備工場や販売店で車台番号から合う部品を確かめてほしい。
走行中に屋根を開け閉めしても大丈夫?
BMW Japan の発表資料によると、走行中に開け閉めできるのは時速50km以下に限られる。それより速いときは開け閉めしない。音を確かめるだけなら、止めた状態で繰り返す方が聞き分けやすい。
パッドを替えたら鳴くようになったのはなぜ?
自動車誌ベストカーの解説では、パッドが減っていなくても、性能の高いスポーツパッドに替えた後に鳴ることがあるとしている。鳴き止まないときは、パッドの裏に鳴き止めのグリースを塗るか、鳴き止めシートを使う方法がある。スポーツパッドでない新品のパッドで鳴くなら、ブレーキの節のローター・キャリパーの切り分けに進む。
まとめ
最初にやるのは、実車で音の場所と出る場面を確かめることだ。屋根のシールにひびや縮みが無いか、段差で前からゴトゴト鳴らないか、ブレーキの警告灯が点いていないかを、自分の目と耳で見ておく。そのうえで車検証の型式とグレードを照らし、品番の条件がある部品は車台番号で今付いている部品の品番を確かめてから選ぶ。ブレーキの警告灯や擦れる音は、ほかより先に整備工場で点検を受ける。
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