ヘッドライトの片側が暗くなり、交換用のバルブを探し始めたところで手が止まります。通販サイトで年式と車種を選んでも、G29型のZ4だけは候補が一件も出てきません。これは在庫切れでもデータ登録漏れでもなく、G29の灯火が前後ともLEDで構成されていて、差し替える電球そのものが車に付いていないためです。探すべきものが型番ではないと分かれば、切れたときに何をすればよいかも見えてきます。
BMW Z4(G29)の灯火別バルブ型番一覧
G29の外装灯は、発光素子とレンズと制御回路が灯体に組み込まれたLEDユニットです。ソケットに差し込む規格バルブが使われていないため、H7やD1Sのような型番の欄が埋まりません。灯火ごとの光源と、切れたときの交換単位をまとめると次のようになります。
| 灯火 | 光源 | 交換用バルブ型番 | 交換の単位 |
|---|---|---|---|
| ロービーム | LED(標準はLEDヘッドライト) | なし | ヘッドライト・ユニット |
| ハイビーム | LED(アダプティブLEDは4分割制御) | なし | ヘッドライト・ユニット |
| デイタイム・ランニング・ライト | LED | なし | LEDモジュール/ユニット |
| ポジション・ランプ | LED(DRLと共用) | なし | LEDモジュール/ユニット |
| フロント・ウインカー | LED | なし | ヘッドライト・ユニット |
| コーナリング・ライト | LED(アダプティブLED選択時) | なし | ヘッドライト・ユニット |
| テール/ブレーキ/リア・ウインカー | LED(L字型のリア・ライト) | なし | リア・ライト・ユニット |
| フォグランプ | 前部に独立したフォグランプの設定なし | なし | - |
BMWの公式発表資料はG29のヘッドライトについて「LEDヘッドライトを標準装備」と明記し、リアも細身のLEDライトだとしています。 前部に独立したハロゲンやHIDのフォグランプを持つ構成は、公式資料の装備一覧に登場しません。
グレードが違っても灯火の光源は変わる部分がない
日本仕様のZ4はsDrive20iとM40iの2本立てですが、どちらもLEDヘッドライトが出発点です。エンジンが直4のB48B20Bか直6のB58B30Cかで灯火の規格が入れ替わることはなく、グレードごとにバルブを調べ分ける作業は発生しません。違いが出るのはヘッドライトの機能面だけで、電球の型番という切り口では両者とも「該当なし」に収まります。
ヘッドライトは標準がLED、アダプティブLEDはオプション
G29のヘッドライトには2つの仕様があります。どちらを積んでいてもバルブ交換ができない点は同じですが、不具合の出方と修理の見積もりが変わるため、自分の車がどちらかを把握しておくと話が早くなります。
標準装備のLEDヘッドライト
BMWは新型Z4の発表時から、LEDヘッドライトを標準装備としてきました。ロービームもハイビームもLEDで、外側の端に光源を縦方向に並べたデザインが外観上の特徴になっています。2022年9月に発表された2023年モデル(LCI)でも、この縦配置のLEDヘッドライトは引き継がれました。
アダプティブLEDヘッドライト(ハイビームは4分割)
上位の仕様がアダプティブLEDヘッドライトです。BMWの説明では、ハイビームが独立して点消灯できる4つのLEDセグメントに分割されており、前方カメラが対向車や先行車をとらえると、その部分だけを落として相手を眩惑せずに照らし続けます。追加のLEDモジュールによるコーナリング・ライト機能も併せ持ち、高速走行時にはロービームの照射距離が伸びる制御も入ります。このアダプティブLEDヘッドライトは前期・後期を通じてオプション扱いで、2023年モデルでも標準装備には格上げされていません。
自分のZ4がどちらか見分ける
見分け方は消灯時の見た目ではなく、機能で確かめるのが早道です。夜間にハイビームを自動制御に入れて走り、対向車が来たときに配光の一部だけが欠けるように暗くなればアダプティブLED、ハイビーム全体が一律に落ちるなら標準のLEDヘッドライトです。ステアリングを切った側の照射範囲が広がる挙動が出るかどうかも手がかりになります。新車時の仕様書やディーラーでの車台番号照会でも確認できます。
車検証の型式で確認する(3BA-HF20/3BA-HF30T)
部品を照会するときは、通称のG29ではなく車検証に記載された型式で伝えると話が通りやすくなります。G29型Z4は2019年3月に日本での販売が始まり、車検証上の型式はグレードで2種類に分かれます。
sDrive20iは3BA-HF20
直列4気筒のsDrive20iが3BA-HF20です。排気量1,998ccのB48B20B型で、最高出力は145kW(197ps)/4,500rpm。G29の販売台数の中心はこちらで、バルブ通販の適合検索で入力を求められるのもこの型式になります。
M40iは3BA-HF30T
直列6気筒のM40iが3BA-HF30Tです。排気量2,997ccのB58B30C型で、最高出力は285kW(387ps)/5,800rpm。型式が分かれていても灯火の光源は同じLEDで、HF30Tだから電球が使われている、という関係にはなりません。
バルブ通販でG29が「適合なし」になる理由
型式まで特定して検索しても結果がゼロ件になるため、データベースの不備を疑う人が出てきます。実際に複数の適合表を突き合わせると、そもそもG29の行が用意されていないことが分かります。
国内外の適合表にG29の行が無い
国内のバルブ販売店の適合ページでは、型式3BA-HF20・年式「G29[2019年03月〜販売中]」という車種指定まで用意されていながら、表示されるのは適合する商品を取り扱っていない旨の一文だけです。国内のバルブ適合表サイトでも、Z4として掲載があるのはE85/E86世代とE89世代までで、G29の項目自体が存在しません。海外のバルブメーカーが公開しているZ4向けの一覧も、収録範囲が2003〜2008年であったり、2003〜2023年対応と掲げながら実際の記載が2016年で止まっていたりします。
適合が無いのはデータ不足ではない
4つの独立した適合表が揃ってG29を空欄にしているのは、調査が追いついていないからではなく、載せるべき規格バルブが存在しないためです。ハロゲンのH7やHB3、放電式のD1SやD3Sは、ソケットに差し込む消耗品として設計されているので銘柄を選べます。G29のLEDは灯体と一体で、差し込み口を持ちません。適合表の空欄は情報の欠落ではなく、交換対象の電球が最初から無いという事実の裏返しです。
先代Z4(E85/E86・E89)の型番は流用できない
Z4という車名で検索すると、先代までのバルブ情報が数多く出てきます。ここが最も誤購入につながりやすい場所です。
先代で使われていたバルブ規格
海外のバルブ適合表によると、2003〜2008年のE85/E86はロービームがH7またはD2S/D2R、ハイビームがD2S/D2RまたはD3S/D3R、フォグランプがH11という構成でした。2009〜2013年のE89はロービームがD1S/D1R、フォグランプがH11。2014〜2016年のE89はロービームにD1S/D1Rが挙がっています。先代までは規格バルブで光る車だったわけです。
G29に持ち込めない理由
こうした型番はいずれもE85/E86・E89のもので、G29には対応していません。灯体の構造が違うため、D1SやH11を買っても差し込む場所がありません。「Z4のバルブはD1S」という記述を見かけたら、それはE89までの話で、G29には当てはまらないと切り分けてください。 車名だけが同じで中身が入れ替わった世代交代の典型例です。
LEDが点かなくなったときにすること
バルブを買う工程が無くなるかわりに、点検と部品交換の段取りが前に出てきます。
点検で不良箇所を切り分ける
片側が不点灯になっても、原因がLED素子とは限りません。制御基板やコネクタ、電源側の不具合でも同じ症状が出るため、診断機で不良箇所を特定するところから始まります。メーターに球切れ警告が出ている場合、その表示内容も切り分けの材料になります。
交換の単位はユニットまたはモジュール
正規ディーラーでの修理はヘッドライト・ユニット単位の交換が基本線です。ただし症状によっては、灯体内部のLEDモジュールや制御基板だけの不良ということもあり、BMWを扱う専門の整備工場では灯体を開けて部品単位で対応する例があります。デイタイム・ランニング・ライト部分は独立したLEDモジュールとして供給されており、ここだけの交換で済む場合もあります。見積もりが高額になったときは、ユニットまるごと以外の選択肢があるか聞いてみる価値があります。なお交換後は車両側への登録作業やコーディングが必要になることがあり、この点も作業を依頼する先を選ぶ材料になります。
後退灯や室内灯に電球が残っている可能性
BMWは世代によって、外装灯の大半をLEDにしながら後退灯だけ電球を残す構成を採ることがあります。同じ車台世代でも仕向地や年式で構成が変わるため、G29の後退灯やナンバー灯、室内灯に規格バルブが使われているかどうかは、公開されている適合表からは読み取れませんでした。前述のとおりG29はどの適合表にも収録されていないためです。ここを正確に知りたい場合は、推測でバルブを買わず、車載の取扱説明書の灯火のページを見るか、車台番号でのパーツ照会をディーラーに依頼するのが近道になります。実際に部品が特定できてから買っても遅くはありません。
よくある質問
BMW Z4 G29にH7やD1Sのバルブは使えますか
使えません。G29のヘッドライトはLEDが灯体に組み込まれた構造で、H7やD1Sを差し込むソケットを持ちません。BMWの公式資料もLEDヘッドライトを標準装備としており、規格バルブの型番は設定されていません。
先代Z4(E89)用として売られているバルブは流用できますか
流用できません。E89はロービームがD1S/D1R、フォグランプがH11という規格バルブの車で、灯体の構造がG29とは別物です。車名が同じでも世代が違えば取り付け部が変わるため、E89向けと明記された商品はG29の適合対象外と考えてください。
片側だけ暗くなってもユニットごとの交換になりますか
正規ディーラーではヘッドライト・ユニット交換になるのが基本です。ただし不良がLEDモジュールや制御基板に限られていれば、灯体を開けて部品単位で直せる場合があります。見積もりが出た段階で、ユニット交換以外の方法があるか確認する余地は残ります。
明るさに不満がある場合、社外LEDに交換できますか
差し込み口が無いため、電球を替えて明るくするという手段は取れません。光量や配光に不満がある場合は、まず光軸の調整とレンズの曇り・黄ばみの有無を点検するのが順序です。灯体そのものを社外品や上位仕様に載せ替える方法もありますが、保安基準への適合と車両側の制御が絡むため、施工実績のある店で相談してください。
まとめ
BMW Z4(G29)に探すべきバルブの型番はありません。ヘッドライトはLEDが標準で、上位のアダプティブLEDはハイビームを4分割制御するオプション。リアもL字型のLEDライトで、前部に独立したフォグランプの設定もありません。国内外4つの適合表がそろってG29を空欄にしているのは、収録漏れではなく差し替える電球が無いためです。
先代のE89までは「ロービームはD1S」で通用しましたが、G29でその型番を買っても取り付け場所がありません。 車検証の型式が3BA-HF20か3BA-HF30Tであることを確かめ、不点灯が起きたら診断から入り、ユニットかLEDモジュールかを見極めて交換する——これがG29での正しい手順になります。

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