BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式 Z4 sDrive30i・sDrive35i)では、ランフラットタイヤが標準装備でスペアタイヤが無く、車輪の交換に使う工具も販売店のオプション用品とされている。パンクしたら、側面に RSC の印のあるランフラットタイヤならまず交換せずに走れる範囲で動き、ランフラットタイヤでない車は走り続けない。夏・冬タイヤの履き替えなどで自分で作業するなら、ジャッキは取扱説明書の図が示す位置に当て、ホイールボルトは締める値を確かめてからトルクレンチで締める。
E89 のタイヤ交換で先に知っておく3つのこと
- BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式 Z4 sDrive30i・sDrive35i)では、ランフラットタイヤが標準装備で、パンクしてもすぐに車輪を交換する必要はないとされる。パンクしたときに使えるスペアタイヤは無く、交換工具は販売店のオプション用品として用意されている。ランフラットタイヤは側面を補強したタイヤと専用のホイールの組み合わせで、空気が抜けても条件付きで走り続けられる。タイヤの側面の「RSC」を丸で囲んだ印で見分けられる。
- ジャッキポイントは取扱説明書の図で確かめる。同じ取扱説明書は位置を図で示すだけで、文章では説明していない。
- 締め付けトルクは取扱説明書の車輪交換の項に載っておらず、二次の出典で値が分かれる。締める値の確かめ方は後の「ホイールボルトのねじと締め付けトルク」の節にまとめた。
パンクしたら、まず交換せずに走れる範囲を確かめる
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式)では、ランフラットタイヤの空気が抜けたら、急ブレーキ・急ハンドルを避けて慎重に 80km/h 未満まで速度を落とし、80km/h を超えないよう求めている。空気圧が完全にゼロになってから走り続けられる距離の目安は、乗員と荷物の量で次のように変わる。
| 乗員と荷物 | 走り続けられる距離の目安 |
|---|---|
| 1人・荷物なし | 約250km |
| 1人で荷室いっぱい、または2人で荷物なし | 約150km |
| 2人で荷室いっぱい | 約50km |
走っている間に異常な振動や大きな音が出たら、傷んだタイヤが壊れたしるしのことがある。速度を落としてできるだけ早く安全な場所に止め、走り続けずに BMW の販売店に連絡する(同じ取扱説明書)。普段の走行で異常な振動を感じたときも、すぐに速度を落とし、ホイールとタイヤを点検してもらう。必要ならレッカーで運ぶ。
ランフラットタイヤを付けていない車は、パンクの表示が出たら走り続けない。同じ取扱説明書は、走り続けると重い事故につながるおそれがあるとしている。ランフラットタイヤ以外では、空気の抜けたタイヤで走らない。今付いているタイヤがランフラットかどうかは、側面の RSC の印で確かめる。
E89 のジャッキポイントの位置と当て方
正確な位置は取扱説明書の図で見る
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式)の「ジャッキを当てる位置」の項は、ジャッキポイントは図に示す位置にある、とだけ書いている。文章では説明していないので、手元の取扱説明書の図を開いて位置を確かめるところから始める。
一般には敷居の前輪の後ろと後輪の前とされる
Z4 の各世代(E85・E86・E89・G29)をまとめたドイツの解説サイトでは、ジャッキポイントは車重を受けるために補強された所で、ふつうは前輪の少し後ろと後輪の少し前の、車体の下の敷居(サイドシル)にあるとされる。小さな切り欠き・三角・矢印などの印で示されることが多いという。ただし E89 だけを個別に示した説明ではなく、同じサイトも正確な位置は取扱説明書で確かめるよう書いている。
当て位置以外には当てない
ジャッキはメーカーが定めた当て位置にだけ当て、床下・オイルパン・足回りの部品には当てない。同じドイツの解説サイトが ADAC(ドイツ自動車連盟)の注意として載せている。ジャッキは当て位置の真下に置き、受け皿が当て位置の真下に来るようにする。
作業の前にそろえる物
E89 は交換工具が標準で積まれていない前提で、次の物を先にそろえる。
- ジャッキ
- 輪止め(浮かせない車輪に当てる)
- リジッドラック(車の下に手や体を入れるときに車を支える台)
- トルクレンチ(ボルトを規定の力で締める)
- ホイールロックボルト用のアダプター(ロックボルトの付いた車)
トルクレンチは省かない。締め付けの値を確かめても、手の感覚では規定の力で締めたかどうか分からない。
ジャッキアップの前に車を固定する
- 固く平らな場所に止める。芝・砂・ゆるい砂利の上は避ける
- AT 車はセレクターを P に、MT 車はギアに入れ、パーキングブレーキをかけて車が動かないことを確かめる
- 持ち上げる車輪と対角の車輪に輪止めをする
- 持ち上げる前に、ジャッキが安定して正しい位置から動かないことを確かめる
ジャッキだけで支えた車の下には、もぐらない・手を入れない。どうしても下に入るときは、車の重さに耐えるリジッドラックで支える。
タイヤ交換の手順
手順1:地面に着いたままボルトをゆるめる
車輪が地面に着いている間に、ホイールボルトを先にゆるめる。米国の整備データのサイトが示す E89 の整備手順も、ゆるめる、持ち上げて確実に支える、最後に規定のトルクで締める、の順だ。ロックボルトの付いた車は、アダプターをロックボルトに差し込んでから回して外す。
手順2:必要な高さまでゆっくり上げる
ジャッキはゆっくり上げ、必要な高さまでにとどめる。高く上げるほど不安定になるので、ジャッキがずれないか見ながら上げる。
手順3:車輪を付け替えて対角の順に締める
ボルトを外して車輪を付け替え、ボルトは対角(星の形)の順に締める。規定のトルクで締めるのは作業の最後で、確かめた値に合わせたトルクレンチを使う。ロックボルトを締め戻したらアダプターを外す。アダプターの正面にはコード番号が刻まれているので、なくしたときのために番号を控えて安全な所に保管しておく(BMW の取扱説明書)。
手順4:少し走ったら締め直す
交換の後、少し走ったらトルクレンチで締め直す。目安は出典で違い、Z4 の各世代をまとめたドイツの解説サイトは約 50km 走った後(ADAC の注意として)、米国の整備データのサイトは 50〜100 マイル走った後としている。
ホイールボルトのねじと締め付けトルク
E89 のホイールはナットではなくボルトで留める方式で、ねじは M12×1.5 とされる。米国の整備データのサイトと、海外のタイヤ・ホイール販売店の E89 の適合表の両方が同じ値を載せている。同じ適合表では、2009〜2013 年と 2013 年からの後期型の両方とも、ボルト穴の配置(PCD)は 5×120、ハブの穴の径は 72.6mm とされる。
締め付けトルクは、出典ごとに次のとおり分かれる。
| 出典 | 締め付けトルク |
|---|---|
| BMW の取扱説明書(米国向け 2010 年式)の車輪交換の項 | 載っていない |
| 米国の整備データのサイト | 120N·m(90 ft-lbs) |
| 海外のタイヤ・ホイール販売店の E89 の適合表 | 115N·m |
米国のサイト自身も、工場の整備書で確かめるよう断っている。どちらの値もメーカーの整備書そのものではないので、締める値は BMW の販売店か整備書で確かめてから、トルクレンチで締める。
新しいタイヤに替えるときの決まり
ランフラットと承認済みの組み合わせを選ぶ
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式)は、新しいタイヤを付けるときや夏・冬タイヤを履き替えるときは、安全のためにランフラットタイヤを付けるよう勧めている。パンクでタイヤを傷めた後は、できるだけ早く元のホイールとタイヤの組み合わせに戻す。使うのは BMW がその車で試験・承認したホイールとタイヤの組み合わせだけにし、操縦性を保つために同じ銘柄・同じ溝の形のタイヤにそろえる。新しいホイールはバランスを取り、空気圧監視(TPM)の付いた車では、その電子部品の付いたホイールを使う。
再生タイヤは使わず、6年以内に替える
同じ取扱説明書は、安全を損なうおそれがあるので再生タイヤは使わず、減り具合にかかわらず 6 年以内にタイヤを替えるよう勧めている。
前後の入れ替えはしない
同じ取扱説明書では、前後でサイズの違うタイヤを付けているときは、前後の車輪の入れ替え(ローテーション)は許されない。全部のタイヤが同じサイズでも、BMW は前後の入れ替えを勧めていない。
純正タイヤサイズと空気圧の確かめ方
出典に載る前後異径の組み合わせ
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式 sDrive30i・sDrive35i)のタイヤの表と、海外のタイヤ・ホイール販売店の E89 の適合表には、前後でサイズの違う次の組み合わせが載っている。
| ホイール | 前 | 後 |
|---|---|---|
| 17インチ | 225/45R17 | 255/40R17 |
| 18インチ | 225/40R18 | 255/35R18 |
| 19インチ | 225/35R19 | 255/30R19 |
付いているタイヤのサイズは、年式・グレード・装備(スポーツの装備の有無やホイールのインチ)で違う。荷重指数・速度記号も出典で違い、米国向けの取扱説明書の表には同じサイズで速度記号 V と W の両方の行がある。替えるタイヤは、今付いているタイヤの側面の表示で前後それぞれのサイズと指数を確かめてから選ぶ。
空気圧は冷えた状態で見る
空気圧は、タイヤが冷えた状態(走ったのが 2km 以内か、2 時間以上止めた後)で、少なくとも月に 2 回と遠出の前に確かめ、必要なら直す。規定の空気圧は、運転席のドアを開けたときのドアの柱の表示にも載っている(BMW の取扱説明書)。
冬タイヤとスノーチェーンの注意
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式)では、溝の深さは 3mm を下回らないようにし、摩耗の印(スリップサイン)まで減ると残りは 1.6mm とされる。冬タイヤは溝が 4mm を下回ると、冬道に向かなくなるのがはっきり分かるほど性能が落ちる。
スノーチェーンは、同じ取扱説明書では BMW が試験して安全と判断し勧める、特定の細い目のチェーンだけを使い、後輪だけに 2 本一組で付け、50km/h を超えないこととされる。チェーンを付けたままパンク表示(FTM)の初期化はしない。表示が誤るおそれがある。
よくある質問
E89 にスペアタイヤや車載ジャッキは積まれている?
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式 Z4 sDrive30i・sDrive35i)では、パンクしたときに使えるスペアタイヤは無く、車輪の交換に使う工具は販売店のオプション用品とされる。工具が標準で積まれているとは書かれていないので、ジャッキは自分で用意する前提で考える。
パンクしたまま何 km 走れる?
ランフラットタイヤなら、乗員と荷物の量で変わる。同じ取扱説明書の目安は、2人で荷室いっぱいの約 50km から、1人・荷物なしの約 250km まで幅がある(条件ごとの値は「パンクしたら」の節の表)。ランフラットタイヤでない車は、空気の抜けたタイヤで走らない。
ホイールボルトの締め付けトルクは何 N·m?
BMW の取扱説明書(米国向けの 2010 年式)の車輪交換の項には載っておらず、二次の出典では 115N·m と 120N·m に分かれる。どちらか一方に決めつけず、販売店か整備書で確かめてから締める。
前後のタイヤを入れ替えてよい?
BMW の取扱説明書では、前後でサイズの違うタイヤを付けているときは入れ替えは許されない。同じサイズでも BMW は勧めていないので、入れ替えない前提で考える。
まとめ
作業の前に、次の点を順に確かめる。
- 今のタイヤが側面に RSC の印のあるランフラットか(取扱説明書〈米国向けの 2010 年式 Z4 sDrive30i・sDrive35i〉ではスペアタイヤは無い)
- ジャッキポイントを手元の取扱説明書の図で確かめたか
- 締め付けトルクを販売店か整備書で確かめ、トルクレンチを用意したか
- 輪止めとリジッドラックをそろえたか
- 替えるタイヤのサイズと指数を、今のタイヤの側面で前後それぞれ確かめたか
同じ E89 の整備・装備の記事は次のとおり。

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