BMW X4(G02)のタイヤ交換で見落としやすいのは、BMW X4 の取扱説明書(米国向け・2021年版)が、車載ジャッキを夏タイヤと冬タイヤの履き替えのような頻繁な使用向けではなく、故障時に応急用やスペアのホイールを付けるときだけ使う道具としている点だ。パンクの場面で使うなら、同じ取扱説明書のとおり、交換するタイヤに最も近いジャッキアップポイントの四角いくぼみにジャッキを差し込み、ボルトは対角の順に140Nmで締める。準備からジャッキのかけ方、交換後の確認まで、取扱説明書の手順に沿って順に見ていく。
X4 G02 のジャッキアップポイントと締め付けトルク
BMW X4 の取扱説明書(米国向け・2021年版)では、車載ジャッキ用のジャッキアップポイントは図で位置が示されている。交換するタイヤに最も近いジャッキアップポイントの四角いくぼみに車載ジャッキを差し込むのが基本で、ジャッキがホイールハウス(タイヤの収まる部分)の近くのジャッキアップポイントに入っていることを確かめるよう書かれている。位置は図で示され、字では細かく説明されていないので、場所はお手元の車の取扱説明書の図で確かめてほしい。
ホイールボルトは交換後に対角の順に締め、締め付けトルクは140Nm(101 lb ft)。ロックボルトも同じ140Nmだ。この値もお手元の取扱説明書で確かめておく。
ここで使う取扱説明書は、BMW X4 の米国向けの英語版(2021年版)だ。日本仕様の車では、積んでいる工具・車載ジャッキ・応急用ホイールの有無や、装着しているタイヤの種類(ランフラットかどうか)が違うことがありうる。作業の前に、お手元の車の取扱説明書(車内の表示を含む)と荷室床下の装備、タイヤ側面の表示を確かめる。
対象は G02 世代(2018〜2025年)
英語版 Wikipedia の BMW X4 の項目によると、X4 の第2世代(G02)は2018年2月にオンラインで公開され、2018年7月に販売が始まった。生産は2018年3月〜2025年11月で、X3(G01)と並行して開発され、G01 をもとにしている。BMW は2025年を X4 の最後のモデルイヤーとしている。主なグレードは xDrive30i・xDrive20d・xDrive30d・M40i・M40d だ。
先代の F26(生産は2014年7月〜2018年3月)は別の世代になる。F26 に乗っているなら次の記事を見てほしい。
X4 M と X4 M Competition は2019年に加わったモデルで、型式コードは F98(G02 とは別のコード)。ここで示す手順と値は「BMW X4」の取扱説明書(米国向け・2021年版)から取っており、X4 M の取扱説明書は確かめていない。X4 M に乗っている人は、お手元の取扱説明書で確かめてほしい。
パンクしたら、まず交換が要るかを見る
取扱説明書では、ランフラットタイヤや修理キットを使っているときは、すぐにホイール交換が要るとは限らない。一方、普通のタイヤならパンクしたまま走り続けず、修理キットかホイール交換で対処する。
ランフラットタイヤの見分け方
取扱説明書によると、ランフラットタイヤは側面の補強によって、空気が完全に抜けても限られた条件で走り続けられる。見分け方は、タイヤ側面にある RSC の文字が入った丸いマーク(Run-flat System Component)だ。
パンクしたランフラットタイヤでは穏やかに運転し、80km/hを超えない。走れる距離は、平均的な積載でよい条件なら最大80kmほどとされている。
修理キットで足りる損傷
取扱説明書では、タイヤ修理キットは小さな損傷を一時的に塞いで走り続けられるようにするもので、穴がおよそ4mm以上だと効かないことがある。収納場所は荷室の床下の収納だ。
応急用ホイールを積む車もあり、付けたときも80km/hまで。応急用ホイールは必要なときに1本だけ付ける。JAF の案内でも、応急用タイヤはあくまで応急用で、パンクしたタイヤは速やかに修理して元に戻すよう勧めている。
交換に使う道具と置き場所
取扱説明書(米国向け・2021年版)では、応急用ホイールとホイール交換の工具は荷室の床板の下にある。ただし「車の装備によって」工具や応急用ホイールを取り出すと書かれ、必要ならホイール交換の工具は販売店でアクセサリーとして入手できるともある。工具や車載ジャッキが積まれていない車もありうる。日本仕様の車の装備は確かめていないので、出先で困る前に、お手元の車の荷室床下と取扱説明書で確かめておきたい。
荷室の床下まわりの使い方は次の記事にまとめてある。
ロックボルトのアダプター
取扱説明書では、ホイールのロックボルトには特殊なコードがあり、そのコードに合うアダプターでしか外せない。アダプターは車載工具の中か、その近くの収納にある。外すときはアダプターをロックボルトに当ててボルトを回して外し、外したらアダプターを外す。付けるときは必要に応じてアダプターを回してロックボルトに合わせ、ロックボルトを締める。締めた後はアダプターを外して片付ける。
トルクレンチを用意する理由
タイヤメーカーのブリヂストンは、本締めは必ずトルクレンチを使い、自動車メーカーが定める規定のトルクで締めるよう求めている。手で締めると締め付け不足や締めすぎを招き、走行中にホイールが外れる脱輪事故につながる危険があるという。コンチネンタルタイヤは、締めすぎるとネジ山がつぶれたりボルト側の部品が伸びたりし、ブレーキのローターやハブが歪むこともあるとする。ネジ部やホイールとの間にゴミ・砂・サビがあると見かけだけのトルクになり、正しく締まらないことがあるとも注意している。140Nmで締めるなら、トルクレンチは用意しておきたい。
ジャッキをかける前の準備
取扱説明書の準備の手順は次のとおり。
- 交通から安全な距離をとった、固く滑らない場所に停める
- ハザードランプをつける
- パーキングブレーキをかけ、セレクターレバーを P に入れる
- 交通の状況が許せばすぐに同乗者全員を降ろし、ガードレールの外側など危険の及ばない場所にいてもらう
- 車の装備に応じてホイール交換の工具と、必要なら応急用ホイールを取り出す
- 必要なら三角表示板などを適切な距離に置く
- 車が転がらないようさらに固定する
- ジャッキで上げる前に、ホイールボルトを半回転緩める
7番の固定について、取扱説明書は平らな場所なら、交換するタイヤと対角の位置にあるタイヤの前と後ろに輪止めか適当な物を置くよう勧めている。ゆるい下り坂では、前後両方の車軸のタイヤの下に、転がる方向に逆らうよう輪止めや石などを置く。8番は JAF も、ジャッキアップの前にホイールのナット(ボルト)を少しだけ緩めておく手順として案内している。
車載ジャッキのかけ方と上げる高さ
四角いくぼみに差し込み、最大3cmまで上げる
取扱説明書の手順では、片手でジャッキを持ち、もう片方の手でハンドル(クランク)を握る。ジャッキを四角いくぼみに差し込み、ハンドルを時計回りに回して伸ばす。ジャッキに荷重がかかったらジャッキから手を離し、片手でハンドルを回し続ける。
ジャッキの足がジャッキアップポイントの真下で垂直・直角に立っていることを確かめ、ジャッキの底面全体が地面に着いた状態で、交換するタイヤが地面から最大3cm浮くまで上げる。
取扱説明書は、車載ジャッキを使うと手や指を挟んでけがをするおそれがあるとして、説明どおりの手の位置を守り、使っている間に手の位置を変えないよう注意している。
車載ジャッキを使うときの禁止事項
取扱説明書の注意をまとめると次のとおり。
- ジャッキで上げた車の下に寝そべらない。走行できる状態にしない
- ジャッキの下に木片などの台を挟まない(支える力が落ちる)
- 柔らかい・凹凸のある・滑る地面(雪・氷・タイルなど)ではジャッキが滑るおそれがある。できれば平らで固く滑らない場所で交換する
- ジャッキが傾くと車が落ちるおそれがあり、横から力がかかるとジャッキから落ちることがある
- ほかの車や荷物を持ち上げない
- 固着して外れないホイールは、整備工場などに外してもらう
ジャッキだけで支えない
乗りものニュースの記事では、ジャッキだけで車を支えているとジャッキが外れて車が落ちたときに挟まれる危険があるとし、車を支えるリジッドラック(通称ウマ)を用意できるのがベストで、用意できない場合は代わりの保険として車体の下にタイヤ・ホイールを置くよう勧めている。タイヤメーカーのブリヂストンも、外したタイヤとホイールを車体の下に入れておくと万一ジャッキが外れても車体が落ちるのを防げるとし、タイヤは少し浮く程度でよく、高く上げすぎると車体が不安定になり危険だとしている。
ホイールの付け外しと締め付けの順
BMW X4 の取扱説明書は、ホイールを留める部品をボルト(ホイールボルト)と書いている。ナットで留める車とは違う点を頭に入れておく。車両メーカーの純正以外の軽合金ホイールを付けるときは、そのホイールに付属するボルトを使う必要がある場合がある、とも書かれている。
外して付ける手順
取扱説明書の手順は次のとおり。
- ボルトを外し、ホイールを外す
- 新しいホイール(または応急用ホイール)を当て、少なくとも2本のボルトを対角の順に手で締まるところまでねじ込む
- 残りのボルトも手で締め、すべてのボルトを対角の順に締める
- ジャッキのハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車を下ろす
- ジャッキを外して片付ける
- ボルトを対角の順に140Nmで締める
対角の順に分けて締める
タイヤメーカーのブリヂストンは、1か所をいきなり締めず、それぞれを均等に2〜3回に分け、時計回りに隣へ移るのではなく対角線の順で締めると確実に締まるとしている。コンチネンタルタイヤも、5〜10個で留めるホイールでは星を描くように締めるのが正しい順番で、整備士はまず規定トルクの半分で各ナットを締め、その後で規定トルクまで締めるとしている。
タイヤの回転方向と内外の刻印
ブリヂストンは、タイヤの回転方向や向きの指定を事前に確かめるよう案内している。回転方向の指定があるタイヤは側面に矢印と ROTATION の文字、内側と外側の指定があるタイヤは OUTSIDE や INSIDE の文字が刻印されており、指定どおりに付けないと性能が出ないうえ安全面にも影響するおそれがあるという。
交換した後に確かめること
取扱説明書が交換の後に挙げる手順は次のとおり。
- 外したホイールは必要なら荷室に積む
- 次の機会にタイヤの空気圧を確かめて調整する
- タイヤの空気圧の警告の機能(取扱説明書では Flat Tire Monitor / Tire Pressure Monitor)を初期化・リセットし直す
- 校正されたトルクレンチでボルトが締まっていることを確かめる
- 損傷したタイヤは最寄りの販売店の整備工場などで交換してもらう
トルクレンチが無いとき
JAF の案内では、無理に締め付けるとボルトが破損する場合があるので、取扱説明書に記載の規定のトルクで締めるよう求めている。トルクレンチがない場合は、本締めの後できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場で規定のトルクで本締めしてもらうか、不安が残れば JAF に連絡するよう勧めている。
走行後の増し締めの目安
走行後の増し締めの距離は、BMW の取扱説明書の指定ではなく、タイヤメーカーの一般的な案内として目安にする。コンチネンタルタイヤは交換後50〜100kmを目安に走ってからナットを点検し、必要なら締め直すよう勧め、初期走行の変化などでまれに緩むことがあるとしている。ブリヂストンは取り付け後約100km走った段階でトルクレンチで緩みを点検するよう案内し、走ることで部品がなじみ初期の緩みが出ることがあるとしている。
季節の履き替えは店に任せる選択肢も
BMW X4 の取扱説明書は、車載ジャッキを夏タイヤから冬タイヤへの履き替えのような頻繁な使用向けではなく、故障時の応急用としている。季節の履き替えに車載ジャッキを使うのは、取扱説明書の想定から外れる。
乗りものニュースの記事では、ジャッキはパンタグラフ式よりフロアジャッキなどが望ましく、リジッドラックもあるとよいとしたうえで、年に2回ほどしか作業しないなら、ディーラーや整備工場、カー用品店に任せるのが費用面でも安全面でもおすすめだとしている。ブリヂストンも、平らで安定した作業場所を確保できない場合や少しでも不安がある場合は、無理せずタイヤ専門店に頼むよう勧めている。道具と作業場所が揃っていないなら、店に任せるのが無理のない選び方だ。
自分でフロアジャッキを使う場合にも注意がある。取扱説明書が示すのは車載ジャッキを差し込むジャッキアップポイント(四角いくぼみ)で、フロアジャッキやリフトをかける位置や、フロアジャッキ用のゴム製アダプター(ジャッキパッド)については、X4 G02 について書いた一次の出典を確かめていない。BMW 用として売られているジャッキパッドの X4 G02 への適合も確かめていないので、使う場合は販売元の適合の案内とお手元の車のジャッキアップポイントの形を照らし、分からなければ整備工場に相談する。
よくある質問
ジャッキアップポイントはどこにある?
BMW X4 の取扱説明書(米国向け・2021年版)では、交換するタイヤに最も近いジャッキアップポイントの四角いくぼみに車載ジャッキを差し込む。位置は図で示されているので、お手元の取扱説明書の図で場所を見ておく。
ホイールボルトの締め付けトルクは?
BMW X4 の取扱説明書(米国向け・2021年版)では140Nm(101 lb ft)で、対角の順に締める。ロックボルトも同じ値だ。X4 M(F98)の取扱説明書は確かめていないので、X4 M ならお手元の取扱説明書の値を見る。
ランフラットタイヤがパンクしたらすぐ交換が要る?
取扱説明書では、ランフラットタイヤならすぐにホイール交換が要るとは限らない。穏やかに運転して80km/hを超えないことが前提で、走れる距離は平均的な積載でよい条件なら最大80kmほどだ。ランフラットかどうかは、側面の RSC の丸いマークで見分ける。
ロックボルトのアダプターはどこにある?
取扱説明書では、車載工具の中か、その近くの収納にある。コードに合うアダプターでしか外せないので、出かける前に置き場所を確かめておくとよい。
季節の履き替えに車載ジャッキを使ってよい?
取扱説明書は、車載ジャッキを夏冬の履き替えのような頻繁な使用向けではなく、故障時の応急用としている。季節の履き替えは店に任せる選択肢を先に考えたい(判断材料は上の節を参照)。
まとめ
まず車検証で型式と初度登録年月を確認し、手元の車が G02 世代かを確かめる。そのうえで要点は次のとおり。
- BMW X4 の取扱説明書(米国向け・2021年版)では、車載ジャッキは交換するタイヤに最も近いジャッキアップポイントの四角いくぼみに差し込み、タイヤが地面から最大3cm浮くまで上げる
- 同じ取扱説明書では、ボルトは対角の順に140Nmで締め、交換後は空気圧の確認、空気圧の警告の機能の初期化、校正されたトルクレンチでの確認を行う
- 日本仕様の車は工具・車載ジャッキ・応急用ホイールの有無やタイヤの種類が違うことがありうるので、お手元の取扱説明書と荷室床下の装備で確かめる
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