170系シエンタのバッテリーは、同じ年式・同じ車名でも車両型式によって指定が3系統に分かれる。ハイブリッドのNHP170G、アイドリングストップ付きのNSP170G・NSP172G、そして4WDガソリンのNCP175Gで、それぞれ別の型番が割り当てられている。ここで扱うのはNCP175Gの1本だけで、車検証の型式欄がこれなら答えは46B24L(寒冷地仕様は55D23L)に決まる。
NCP175Gの適合型番は46B24L、寒冷地仕様は55D23L
バッテリーメーカーであるジーエス・ユアサ バッテリーの公式適合検索によると、シエンタ NCP175G の適合行は2つある。DBA-NCP175G(1NZ-FE・販売開始2015年7月)と3BA-NCP175G(1NZ-FE・販売開始2020年6月)で、どちらも仕様欄が「4WD」、環境対応欄が「充電制御」。標準搭載が46B24L、寒冷地仕様が55D23Lで、前期型と後期型で型番は変わらない。
NCP175Gという型式が指すのは、1NZ-FEを積む4WD車だ。トヨタが配布しているシエンタの取扱説明書の車両仕様欄では、同じ170系でもNSP170GとNSP172Gが2NR-FKEのFF(前輪駆動)と記載されており、燃料タンク容量もFFが42L、4WDが45Lと分かれている。NCP175Gだけエンジンも駆動方式も別系統で、バッテリーの区分が違うのもここに由来する。
同じシエンタでも型式が違えばバッテリーは別物
型番の取り違えは、170系の中での混同と、先代80系との混同の2方向で起きる。公式適合検索の区分けを並べると、どこで分岐しているかが見える。
| 車両型式 | エンジン | 区分 | 標準搭載 | 寒冷地仕様 |
|---|---|---|---|---|
| DBA-NCP175G / 3BA-NCP175G | 1NZ-FE | 4WD・充電制御 | 46B24L | 55D23L |
| DBA-NSP170G / 5BA-NSP170G | 2NR-FKE | ISS | S-95 | S-95 |
| DBA-NSP172G / 5BA-NSP172G | 2NR-FKE | ISS | S-95 | S-95 |
| DAA-NHP170G / 6AA-NHP170G | ハイブリッド | — | LN0 | LN0 |
| 80系 NCP81G / NCP85G | — | — | 46B24R | 46B24R |
アイドリングストップ車用のS-95は該当しない
NSP170GとNSP172Gは環境対応欄が「ISS(アイドリングストップ車)」で、標準搭載も寒冷地仕様もS-95。NCP175Gは充電制御区分であってISS区分ではないから、この値はNCP175Gの適合型番にはならない。S-95は電池工業会規格のアイドリングストップ車専用型式で、外形寸法区分のSは通常車用でいうD26相当。46B24LのB24とはケースサイズがそもそも違う。170系のシエンタで検索するとS-95が先に出てくることが多いので、4WDガソリン車のオーナーはここで止まる必要がある。
なお170系のハイブリッド車はLN0、後継の10系もLN1やLN2で、こちらはEN規格系。JIS規格の46B24Lとは体系ごと別になる。
80系の46B24Rは端子位置が左右逆
先代80系(UA-NCP81G、DBA-NCP81G、UA-NCP85G、CBA-NCP85G、DBA-NCP85G)は、公式適合検索では5区分すべてが46B24R。170系のNCP175Gが指定する46B24Lとは末尾のRとLだけが違い、この1文字は端子(極性)の位置が左右逆であることを表す。数字とサイズ記号が同じなので通販の検索結果では並んで出てくるが、端子位置が違えばケーブルが届かず、無理に付ければ電子部品の破損や火災につながる。
46B24Lという型番の読み方
ジーエス・ユアサ バッテリーが公開しているバッテリー型式の解説では、JIS規格の型番は4つの要素に分解できるとされている。
- 46=性能ランク。始動性能と容量の総合性能を表す数値で、大きいほど性能が上。50未満は2刻み、50以上は5刻みで表示される
- B=短側面のサイズ区分。幅129mm(127mmの場合もある)・箱高さ203mm
- 24=バッテリーの長さの概寸法で、約24cm
- L=端子の極性位置。プラス側の短側面から見てプラス端子が左にあるものがLタイプ、右にあるものがRタイプ
寒冷地仕様の55D23LのDは、幅173mm・箱高さ204mmの区分を指す。サイズ記号はAからHの順に大きくなり、B24(幅129mm・長さ約24cm)とD23(幅173mm・長さ約23cm)では幅が40mm以上違う。標準地仕様と寒冷地仕様は互いに載せ替えられる関係にない。
買う前に確定させる2つの確認
適合表の値は当たりをつけるためのもので、最後は現車で決める。順番は次の2段階になる。
- 車検証の「型式」欄を見る。 公式適合検索に載っているシエンタの車両型式は170系だけでも3BA-NCP175G、5BA-NSP170G、5BA-NSP172G、6AA-NHP170G、DAA-NHP170G、DBA-NCP175G、DBA-NSP170G、DBA-NSP172Gの8区分あり、頭のアルファベット記号まで含めて照合しないと隣の行を読んでしまう。NCP175GならDBA-(2015年7月から)か3BA-(2020年6月から)のどちらかになる
- ボンネットを開けて、いま載っているバッテリー天面のラベルを読む。 型式はふたの部分に表示されている。ここで46B24Lか55D23Lかが分かれば、標準地仕様と寒冷地仕様のどちらを買うかも同時に確定する
同社の適合検索には「車名、排気量、車両型式、エンジン型式、年式が同じでも、車種によってはマイナーチェンジ、特殊仕様車およびオプション設定車などでは搭載バッテリーが異なる場合があります」という但し書きが付いている。型式が合っていても、現物の確認を飛ばさないほうがいい。
交換品が満たすべき条件
守るべき条件は、車両側とバッテリー側の両方から示されている。取扱説明書の警告欄には「交換前と同一のケースサイズ、かつ20時間率容量(20HR)が同等以上のバッテリーを使用してください」とあり、理由としてケースサイズが違うと正しく固定されないこと、20時間率容量が小さいと使用していない期間が短くてもバッテリーがあがることの2点が挙げられている。バッテリーメーカー側も「新車搭載と同じサイズ・端子極性(Rタイプ・Lタイプ)・性能ランクを満たすバッテリーを搭載してください」と明記している。
整理すると、サイズと端子極性は動かせない条件、性能ランクは満たしたうえで上げてよい条件という区別になる。NCP175Gなら「B24Lという枠は維持したまま、頭の数字だけ46より大きいものを選ぶ」が安全側の選択だ。
もう1つ、NCP175Gは適合検索で充電制御車に分類されている。同社は「充電制御車にお乗りの場合や、チョイ乗りが多い場合などは、同じ型式表示でも、充電受け入れ性の高い製品を選びましょう」と案内しており、同じ46B24L枠の中でも充電制御車対応をうたう製品を選ぶ意味はある。
判断軸をまとめると、標準地か寒冷地かのサイズ区分、端子位置がLであること、充電制御車対応の明示、性能ランクの数値、そして製品補償の期間と廃バッテリーの回収手段の有無。最初の2つは必須条件、残り3つは比較材料と考えればいい。
標準地仕様と寒冷地仕様、それぞれの選択肢
前節の条件に沿って選ぶと、候補はサイズ区分でまず2つに割れる。以下の価格はAmazonの実売価格(確認時点の値)で、変動する前提で見てほしい。
標準地仕様(46B24L枠)
同じB24L枠でも性能ランクが65・75・80と違う製品が並ぶ。適合表の46は下限であって上限ではないから、この範囲ならどれも条件を満たす。
Gシリーズ G-65B24L 充電制御車対応バッテリー(NCP175G 標準地仕様・2015年7月から2020年6月)
性能ランク65。¥8,980で、今回並べた中では最も価格が低い。商品ページはDBA-NCP175G(平成27年7月から令和2年6月)の表記で出ている。
インディゴ 75B24L 充電制御車対応バッテリー(NCP175G 4WD 対応表記あり・互換品番 46B24L から 70B24L)
性能ランク75で¥10,350。互換品番として46B24Lから70B24Lまでを明示しているので、いま載っている型番が何であれB24L枠なら対応する。
パナソニック カオス N-80B24L/C8 標準車・充電制御車用(NCP175G 標準地仕様・2020年6月から2022年8月)
性能ランク80で¥21,650。3製品の中では価格が最も高い代わりに、ブルーバッテリー安心サポートが付く。長めに乗るつもりで、補償まで含めて選ぶならこの枠になる。
商品ページによって前期(2015年7月から2020年6月)と後期(2020年6月から2022年8月)で出品が分かれているが、適合検索ではDBA-も3BA-も同じ46B24Lなので、年式表記の違いで型番が変わるわけではない。載る型番は同じで、ページの書き方が違うだけだ。
寒冷地仕様(55D23L枠)
車検証と現車ラベルの確認で55D23Lだった場合は、B24Lの製品はサイズが合わない。D23L枠から選ぶ。
Gシリーズ G-85D23L 充電制御車対応バッテリー(NCP175G 寒冷地仕様 55D23L 適合・廃バッテリー回収伝票付き)
性能ランク85で¥13,200。廃バッテリー回収用の着払伝票がセットになっているので、外した古いバッテリーの持って行き先を別に探さずに済む。
交換作業の準備と手順
用意するもの
スパナ、ゴム手袋、保護メガネ、それに車両側ケーブルターミナルの清掃用にワイヤーブラシかサンドペーパー。取扱説明書も、バッテリーを扱うときは保護メガネを着用し、電解液が皮膚・衣服・車体に付かないようにすること、作業後は手を洗うこと、子どもを近付けないことを警告している。
走行直後に作業するなら、30分以上休ませてから始める。走行直後はバッテリー内にガスが貯まっており、爆発事故につながる恐れがある。同じ理由で、バッテリー付近での喫煙や火気は取扱説明書でも禁止されている。
外す順序と付ける順序
12V1個積みの手順は9段階になる。
- エンジンを止め、ライトや電装アクセサリーをすべてOFFにしてキーを抜く。車両のコンピューターが稼働している場合があるので、作業開始まで6分程度待つ(必要な待機時間は車両により異なる)
- マイナス端子(アース側)のケーブルターミナルを外す
- プラス端子のケーブルターミナルを外す
- 取り付け金具を外してバッテリーを積み替える
- 新しいバッテリーを、金具にがたつきが出ない状態まで固定する
- プラス端子にケーブルターミナルを付ける
- マイナス端子にケーブルターミナルを付ける(端子カバーがある車両はカバーを元通りに戻す)
- エンジン始動前にケーブルターミナルと取り付け金具のゆるみを確認し、工具をエンジンルームに置き忘れていないか確かめる
- エンジンを始動する
外すときはマイナスが先、付けるときはプラスが先。この順序には理由がある。取扱説明書の警告欄には「必ず-端子を先にはずしてください。+端子を先にはずすと、+端子が周辺の金属部分にふれた場合、火花が発生し火災につながるおそれがある他、感電し重大な傷害におよぶか、最悪の場合死亡につながるおそれがあります」とある。バッテリーメーカー側も、車体とマイナス端子が直結していてボディにマイナスの電気が流れているので、プラスから外すと工具の端が車体に触れてショートし、バッテリーの爆発や車両側コンピューターの故障につながると説明している。手順の中でここだけは省略も入れ替えもきかない。
作業中の勘所
マイナス端子とプラス端子が工具などの金属で接触すると、スパークによる引火爆発や火災の原因になる。古いバッテリーを外したら搭載位置の周りを掃除する(取り付け台に小石や砂が残っていると電槽が破損したり固定が甘くなる)。ケーブルターミナルが腐食していればサンドペーパーやワイヤーブラシで落とす。端子の締め付けは力任せにすると破損するので、ケーブルターミナルを左右に動かして動かない程度が目安になる。
端子を外したあとに車側で起きること
取扱説明書は「バッテリー端子をはずすと、コンピューターに記憶されている情報が消去されます。バッテリー端子をはずすときは、トヨタ販売店にご相談ください」と記している。液栓やインジケーターがステーに近いとバッテリー液(硫酸)がもれ出す恐れがあるとして、交換自体を販売店に相談するよう案内する記述もある。自分で作業するか店に頼むかは、この案内を読んだうえで決めることになる。
再接続後は初期設定が必要な項目がある。取扱説明書が挙げているのはパワースライドドア(充電・交換後の再接続時、ヒューズ交換時)、パーキングサポートブレーキ、パノラミックビューモニター(脱着中にハンドル操作を行ったとき、バッテリー能力低下時など)、パワーウインドウ(正常に働かないとき)の4項目。いずれもグレードやオプションで装備の有無が分かれる。
バッテリーメーカーの手順にも「バッテリーの交換時にラジオ、時計、カーナビなどの電装品およびコンピューターのメモリバックアップが必要かどうかは、事前に自動車販売店や車両の取扱説明書等で確認をしてください」という但し書きがある。バックアップを取れば設定が全部残る、という前提では動かないほうがいい。
なお車両はエンジンスイッチの状態を常に記憶していて、バッテリー脱着後はあがる前の状態に復帰する。脱着はエンジンスイッチをOFFにしてから行う。この車は押しがけによる始動ができない点も、取扱説明書に明記されている。
いつ交換するか
ジーエス・ユアサ バッテリーの解説記事では、使用頻度や走行距離といった使用環境で寿命が変わるため一概に寿命時期を想定するのは非常に困難だとしたうえで、前回の交換から2〜3年が経過しているなら車検時に相談するとよいと案内している。年数で断定できる部品ではない、というのが出発点になる。
見落としやすいのは、車検に通ったことがバッテリーの状態の証明にはならないという点だ。保安基準でバッテリーについて見るのは固定と端子の絶縁で、電圧やバッテリー液は点検対象に入っていない。合格=良好ではない。
長持ちさせる側の指針としては、1〜2週間に1回は1時間以上走行すること、放電状態での長期放置を避けることが挙げられている。動機づけとしてもう1つ、JAFが公表している2025年度のロードサービス出動理由では、四輪・二輪合計で「バッテリー上がり」が997,116件・構成比43.17%で1位。一般道路の四輪に限ると「過放電バッテリー」が769,024件・35.73%で1位、「劣化/破損バッテリー」が195,717件・9.09%で3位になっている。呼ばれる理由の上位が、予防で減らせる領域に集まっている。
外した古いバッテリーの処分
使用済みの自動車用バッテリーは鉛や希硫酸を含むので、一般の家庭ごみとしては処分できない。購入した店に引き取りを相談するか、住んでいる自治体の取り決めに沿って処分する。国内のバッテリー製造事業者は鉛再資源化協会(SBRA)を設立し、使用済み自動車用バッテリーの回収と再資源化事業を行っている。回収伝票が同梱される商品を選んでおけば、この手間は最初から片付く。
よくある質問
NCP175Gにアイドリングストップ車用のS-95は使えますか
使えない。S-95の外形寸法区分Sは通常車用でいうD26相当で、46B24LのB24とはケースサイズが違う。取扱説明書にもStop & Startシステム装着車向けにS-95以上という記述があるが、これはアイドリングストップ機構を持つ仕様に向けた記述で、適合検索でISS区分に入っているのは2NR-FKEを積むNSP170GとNSP172Gのほうだ。
80系シエンタ用の46B24Rは付きますか
付かない。末尾のRとLは端子の極性位置を表していて、RとLでは+端子が左右逆になる。メーカーも端子位置は同じものを取り付けるよう明記しており、違うものを付ければ電子部品の破損や焼損、火災の原因になる。数字が同じでも別物として扱う。
46B24Lより性能ランクの大きいバッテリーに替えてよいですか
条件を満たせば替えてよい。取扱説明書が求めているのは、交換前と同一のケースサイズであることと、20時間率容量が同等以上であること。B24Lというサイズと端子位置を維持したまま、頭の数字を65や80に上げるのはこの条件の中に収まる。逆に、数字が大きくてもD23のようにサイズ区分が違うものは条件から外れる。
前期型と後期型で適合バッテリーは変わりますか
変わらない。適合検索ではDBA-NCP175G(2015年7月から)と3BA-NCP175G(2020年6月から)のどちらも標準搭載46B24L、寒冷地仕様55D23Lで同じ値になっている。商品ページの年式表記が分かれていても、選ぶ型番は共通と考えていい。
自分の車が寒冷地仕様かどうかはどう見分けますか
いま載っているバッテリーのラベルを見るのが確実だ。エンジンルームを開けて天面の表示が46B24Lなら標準地仕様、55D23Lなら寒冷地仕様。書類だけでは判別しにくいが、現物の型式は必ずどちらかを示している。
まとめ
NCP175Gのバッテリーは標準地仕様が46B24L、寒冷地仕様が55D23L。前期でも後期でも同じで、同じ170系のNSP170G・NSP172G(S-95)やNHP170G(LN0)、先代80系(46B24R)とは別物になる。買う前にやることは2つで、車検証の型式欄でNCP175Gだと確かめ、次にボンネットを開けて現物のラベルの型式を読む。この2つが揃えば、あとは同じサイズ・同じ端子位置の枠内で、性能ランクと補償を見て選ぶだけだ。
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