タンクの荷室でつまずきやすいのは、カタログで見た荷室高1,080mmを自分の車でも使える前提で荷物を用意してしまうことだ。この数値はデッキボードを跳ね上げた状態、しかも応急用タイヤを積んでいない車に限った値で、スペアタイヤ付きの車は跳ね上げた状態で使うこと自体が想定されていない。荷室容量はリヤシートを使ったままで約205L、後席を両側とも格納すれば約958L。まず自分の車がどちらの仕様かを確かめ、そのうえで後席のスライドと倒し方を配分していくのが、この車の荷室の使い方になる。
205Lと958L、広さを決めるのは後席の位置
荷室容量はVDA法で、リヤシート使用状態が約205L、リヤシートを格納した両側ダイブイン時が約958L。どちらもデッキボードを通常の位置に置いた状態の値だ。荷室長は後席のスライド位置で500〜740mmまで変わるので、後席の足元をどれだけ譲るかがそのまま奥行きになる。
駆動方式は関係ない。トヨタの容量寸法表には2WDも4WDも荷室寸法・容量は同じと明記されており、2WDのM900Aと4WDのM910Aで荷室の広さは変わらない。ここで扱うのは2016年11月から2020年9月までに造られたM900A(乗車定員5名、室内長2,180mm・室内幅1,480mm・室内高1,355mm)だ。
同じM900Aでも変わるのは装備のほうで、応急用タイヤを選んだ車とパンク応急修理キットの車では床下の中身とデッキボードの使い方が違う。
入るかどうかは、この寸法で判断する
荷室の寸法早見表
| 状態 | 荷室長 | 荷室幅 | 荷室高 |
|---|---|---|---|
| リヤシート使用時 | 500〜740mm | 1,300mm | 985mm |
| 6:4の片側ダイブイン時 | 1,540mm | 1,300mm | 985mm |
| 両側ダイブイン時 | 1,540mm | 1,300mm | 1,110mm |
荷室長の測定位置は、リヤシート使用時がリヤシートバック下側からロアバックカバーまで(シート角度はニュートラル)、ダイブイン時はリヤシートヘッドレストからロアバックカバーまで。幅の1,300mmはラゲージサイドトリムのえぐり部で、どの状態でも同じ値が公表されている。高さ985mmはデッキボード標準時の全車共通値、1,110mmはラゲージボード上面から天井までだ。後席を1列分たたむだけで奥行きは1,540mmまで伸びるが、幅は増えない。
開口部と床の高さも先に見る
荷室の中に空間があっても、バックドアの開口部を通らない荷物は積めない。自動車情報メディアの計測記事では、開口部のいちばん広い部分が1,077mm、地上からデッキボード上面までが608mm、デッキボードを外した床面までが527mmとされている。メーカーが公表している数値ではないので参考値として扱いたいが、608mmと527mmの差の約80mmが、ボードの下にある空間の深さの目安になる。
多機能デッキボードの上げ方
多機能デッキボード(防汚シート付)は全グレード標準装備で、6:4分割可倒式リヤシート、デッキボックス、買い物フック、トレイ式デッキサイドトリムポケット、ラゲージルームランプも全車に付く。ボードを上げて固定する手順は工具なしで、後席のヘッドレストを支点にする。
- フックをバンドから取り出す
- ヘッドレストを上げ、そのステーにフックをかける(決められた位置にかけて固定する)
- アジャスターを動かしてひもの長さを調整する
荷物を載せたままボードを操作しない。指をはさむおそれがある。ボードの上に立ったり無理な力をかけたりしないことと、フックを使わないときは必ずもとの位置に戻してバンドで固定することも取扱説明書に書かれている。出したままだとバックドアや荷物にはさんで壊れる。
応急用タイヤ仕様か、パンク修理キット仕様か
ここがこの車の荷室でいちばん効く分岐になる。主要装備一覧表の脚注には、スペアタイヤを選択した場合はタイヤパンク応急修理キットと多機能デッキボードの防汚シートが非装着になり、床下のデッキボックスは小型になり、デッキボードを跳ね上げるとスペアタイヤが露出した状態になる、と書かれている。容量寸法表の側も、スペアタイヤ付仕様はボードの跳ね上げ状態での使用を想定していないと注記している。
つまり荷室高1,080mmは、スペアタイヤ無し仕様だけが使える数値だ。見分け方は難しくない。デッキボードを上げて床下をのぞき、応急用タイヤが露出していればスペアタイヤ仕様、フロアボードの下にパンク応急修理キットが収まっていればキット仕様。ボード裏面に防汚シートがあるか、床下のデッキボックスが小型かどうかでも判断できる。停止表示板の置き場所も分かれていて、キット装着車はデッキボックスに、応急用タイヤ装着車はデッキボード下に収められる(ケースの大きさや形によっては入らない)。仕様が分からないまま跳ね上げ前提で荷物を用意するのは避けたい。
床下は工具置き場でもある
ジャッキと工具はフロアボードを取りはずして取り出す設計で、パンク応急修理キット装着車のキットも同じ場所にある。キットの中身はパンク修理剤ボトル、注入ホース、タイヤ空気充填用コンプレッサー、バルブコア回し、予備バルブコア、速度制限シール、取扱説明書だ。
応急用タイヤ装着車で応急用タイヤを取り出す手順は、リヤシートをいちばん前にスライドし、デッキボードのフックをヘッドレストのステーにかけて跳ね上げ、留め具を取りはずす、の順になる。収納するときはボデーとタイヤのあいだに指をはさまないよう気をつける。荷室が満載で後席も前に動かせない状態だと、パンクしたときにこの手順が踏めない。床下と後席まわりは、荷物で埋め切らずに残しておく場所だ。
バックドアが開かなくなったときの車内からの解除も同じで、右側リヤシートを格納し、デッキボードを上げ、カバーを開けてメカニカルキーなどでレバーを動かす(キーの先端に布を巻くと傷を防げる)。ここも後席の格納とボードの持ち上げが前提になっている。
後席の倒し方は2通りある
6:4分割可倒式なので、片側だけ倒せば後席に1名乗せたまま長尺物を積める。どちらの操作も、平坦な場所でパーキングブレーキを確実にかけ、シフトレバーをPに入れてから行う。走行中は操作しない。
背もたれだけを前に倒す
- リヤ中央席シートベルトのバックルを格納する
- ヘッドレストをいちばん下まで下げる
- リクライニングレバーを引きながら背もたれを前に倒す(ロックが解除されるまでレバーを引く)
- 上から押して背もたれを固定する
先に中央席のシートベルトとバックルを格納するのを飛ばさない。シートやバックルが壊れることがある。
座面ごと格納するダイブイン
- 車を停め、パーキングブレーキをかける
- フロントシートをいちばん前までスライドする
- リヤシートをいちばんうしろまでスライドする
- リヤシートのヘッドレストをいちばん下まで下げる
- 背もたれを前に倒して固定する
- シートロック解除ストラップを引いてロックを解除する
- 車外からシートバンド2箇所を持ち、リヤシートを持ち上げて格納する
シートバンドは必ず両手で持ち、シートの下は持たない。格納操作のとき以外はシートロック解除ストラップに触れない。ラゲージルーム側から操作するとシートの重みで体が前に引っぱられるので、そちら側からはやらない。防汚シートを使う車なら、ダイブインにしたうえでデッキボードを車両前側へ反転し、裏面のシートを前へめくって広げるとリヤシートを汚さずに積める。
もどしたら固定を確かめる
もどすときはフロントシートを最前端にしてから、シートバンドを持ってリヤシートを起こし、固定されるまで手を離さない。上から押して座面を固定し、リクライニングレバーを引いたまま背もたれを起こす。格納した状態から背もたれだけを起こして人を乗せてはいけない。もどしたあとはシートを前後に軽くゆさぶって固定を確かめ、シートのあいだにシートベルトがはさまっていないかも見る。倒した背もたれやラゲージルームに人を乗せて走らない。子どもが荷室に入り込まないようにも気をつけたい。
フルフラットは荷室を広げる操作ではない
リヤシートをF-FLATマークに合わせ、後席ヘッドレストを最下段まで下げ、背もたれをいちばんうしろに倒す。次に前席のヘッドレストを取りはずし、前席を最前端までスライドして背もたれを最後端まで倒す。ダイブインが荷室長1,540mmを作る操作なのに対して、こちらは室内で体を伸ばすためのアレンジで、目的が違う。
積み方の線引きと、満載時の光軸
デッキサイドの買い物フックは1kg以上のものを吊り下げない(フロントのフックは3kgまで)。使わないときは必ずもとの状態に戻す。燃料が入った容器とスプレー缶は引火のおそれがあるので積まない。荷物はできるだけラゲージルームにまとめ、運転席足元や助手席への積み重ね、インストルメントパネルやフタのない小物入れには置かない。シートの背もたれより高く積まないのと、後席を倒して長い物を積むときは前席背もたれの真うしろを避けるのも取扱説明書の線引きだ。荷重が片側に偏る積み方もしない。
マルチリフレクターハロゲンヘッドランプの車には手動光軸調整ダイヤルがあり、荷室を満載にしたら回す。取扱説明書の目安表でM900Aが読むのはFF車の欄で、荷室満載時は全乗員なら2、運転者のみなら3。荷物なしなら運転者のみと運転者+助手席乗員が0、全乗員が1になる。LEDヘッドランプのグレードはオートレベリング付きなので、この操作はいらない。
夜の積み下ろしで効く照明と電源
ラゲージルームランプは「点灯」「消灯」「ドアポジション」の3段切りかえで、ドア連動にしておけばバックドアを開けたときに点く。左側のデッキサイドランプもドア連動で、エンジンスイッチがアクセサリーモードかOFFなら約10分後に自動で消える。右側のデッキサイドランプ(スイッチ付)はグレードやオプションで有無が分かれる。
アクセサリーソケット(DC12V・120W)は、カスタム系がフロントとデッキサイド右側の2か所、標準系はフロントのみ。荷室で電源を使いたいならカスタム系かどうかを確認する。デッキサイドのトレイ式ポケットはボトルホルダー付きで全車に付く。
荷物の性格で、どの状態にするか決める
後席に人を乗せるなら、荷室長は500〜740mmの範囲で配分する。買い物袋やベビーカーのように高さより奥行きが要るものは、後席を前寄りにするだけで足りることが多い。
背の高い物を積みたいときはデッキボードの跳ね上げが効くが、これはスペアタイヤ無し仕様に限られる。長尺物なら6:4の片側だけをダイブインすれば、後席に1名残したまま1,540mmを確保できる。引っ越しやアウトドアのように量で押すときは両側ダイブインで958Lまで使う。
そして開口部を通らない荷物は、中をどう変形させても積めない。1,077mmの幅と608mmの床面高さで先に判断し、そこで無理なら車外に積む方向へ切り替えたほうが早い。
よくある質問
M900A(2WD)とM910A(4WD)で荷室の広さは違う?
違わない。トヨタの容量寸法表に2WDも4WDも荷室寸法・容量は同じと明記されている。駆動方式で積める量が変わるという前提で車を選ぶ必要はない。
デッキボードを跳ね上げれば全車で荷室高1,080mmになる?
ならない。1,080mmはスペアタイヤ無し仕様の値で、スペアタイヤ付仕様は跳ね上げた状態での使用が想定されていない。全車共通で使えるのはデッキボード標準時の985mmのほうだ。
後席は片側だけ倒せる?そのとき荷室の長さは?
6:4分割可倒式なので片側だけ倒せる。片側ダイブイン時の公表値は荷室長1,540mm・荷室幅1,300mm・荷室高985mm(デッキボード標準時)で、長さは両側格納時と同じだ。
床下に荷物を入れっぱなしにしてもいい?
すすめない。フロアボードの下にはジャッキと工具、キット仕様ならパンク応急修理キットが入っており、いずれもボードを取りはずして取り出す。応急用タイヤ装着車は後席を前へスライドさせてデッキボードを跳ね上げる手順も要る。埋めてしまうと、必要な場面で取り出せなくなる。
まとめ
荷物を積む前に確認しておきたい点を並べておく。
- 容量はリヤシート使用時が約205L、両側ダイブイン時が約958L
- 荷室長は後席スライドで500〜740mm。片側でも倒せば1,540mm
- デッキボードを上げて床下を見て、応急用タイヤ仕様かキット仕様かを判別する
- スペアタイヤ仕様なら跳ね上げ前提の高さは当てにしない
- 大物は開口部の幅と床面の高さで、通るかどうかを先に判断する
最初にやることは1つで、デッキボードを上げて床下をのぞくことだ。そこで自分の車の仕様が分かれば、あとの手順はどれを選ぶかの問題になる。

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