夏の午後に駐車場へ戻ると、GRJ76Kのダッシュボードは手を置けないほど熱を持っている。通販でサンシェードを探すと「ランクル70用」と書かれた商品が並ぶが、その棚には2014年の再販モデル向けと2023年からの現行モデル向けが混ざっている。選択が分かれるのは商品タイトルの型式表記で、ここを飛ばして価格やレビュー数から入ると、自分の車に向けて作られていない商品を引く。GRJ76Kを名指ししていて今買えるのは、フロントガラス用の傘型3製品だ。
GRJ76Kを名指ししている3製品
| 製品 | タイトルの型式表記 | 構造 | 価格 |
|---|---|---|---|
| 車種別表記の傘型 | ランクル70 GRJ76K 用 | 傘型・折り畳み式 | ¥4,980 |
| 折りたたみ傘タイプ | 70系/GRJ76K/GRJ79K | 柄が自由に曲がる | ¥4,880 |
| 折りたたみ傘タイプ(大) | 70系/GRJ76K/GRJ79K | 柄が曲がる+スリット入り | ¥4,480 |
価格はAmazonの実売価格(確認時点)で、変動する。3製品はどれもフロントガラス用で、サイドガラス用やリアガラス用でGRJ76Kを名指しした商品は、販売できる状態を確認できなかった。先に見るのは価格でもレビュー数でもなく、商品タイトルの型式表記。ランクル70という名前の車は今2台あり、名前だけの表記ではどちらを指すのか決められないからだ。
「ランクル70」が2台あることから始める
ランドクルーザー専門店フレックスの再販モデル解説によると、GRJ76Kは2014年8月に発売され2015年に販売を終えた期間限定のバンで、型式の完全表記はCBF-GRJ76K-RKMNK。同時に売られたピックアップはCBF-GRJ79K-DKMNKとなる。ボディサイズは全長4,810mm×全幅1,870mm×全高1,920mm、エンジンは1GR-FE、総排気量3,955cc。
KINTOマガジンの現行モデル解説によると、今の新車のランクル70は2023年11月29日に発売された別のモデルで、全長4,890mm×全幅1,870mm×全高1,920mm、直列4気筒2.8Lディーゼルターボ(排気量2,754cc)、価格480万円(税込)。再販モデルとの違いとして、ヘッドライトが角型からLEDの丸型へ、シートがファブリックから合成皮革とファブリックの組み合わせへ変わったと説明されている。中古車カタログでは、この現行モデルの型式はGDJ76Wと表記される。
全長の差は80mm、外から一目で分かるのはヘッドライトが角型か丸型か。車検証の型式欄がGRJ76Kなら、ここで扱う対象に当たる。
サンシェードで下がるのは、どこの温度か
JAFのユーザーテストでは、2012年8月22・23日に埼玉県戸田市の駐車場で、晴れ・外気温35度の条件下、正午から4時間の温度が測られている。対策なしの黒い車は車内最高57℃・車内平均51℃・ダッシュボード最高79℃。サンシェードを装着した車は車内最高50℃・車内平均45℃・ダッシュボード最高52℃。窓を3cm開けた車は45℃・42℃・75℃、エアコンを作動させた車は27℃・26℃・61℃だった。
数字を並べると、効き方が一様でないことが分かる。ダッシュボード最高温度は79℃から52℃へ27℃の差がついた一方、車内平均温度の差は6℃にとどまる。サンシェードは車内をまるごと涼しくする道具ではなく、日が直接当たる面の温度上昇と、そこに置いた物やダッシュボード表皮の傷みを抑える道具として見るほうが実測に合う。この値はGRJ76Kで測ったものではないので、そのまま自分の車の効果として持ち出さない。
サンシェードだけでは埋まらない部分
装着した車でも車内最高は50℃に達している。同じJAFの検証では、エンジンを停止して5分後に車内温度が約5℃上がり、15分後には熱中症の指標である熱中症指数が危険レベルへ届いた。窓を閉め切った黒い車は停止30分後で約45℃、15時頃には55℃を超えている。
サンシェードを付けたことを理由に、人やペットを車内へ残す判断をしてはいけない。この道具でできるのは駐車中の日射対策までで、乗り込む前に窓を開けて熱気を逃がし、走り出してからエアコンで下げるという順番は変わらない。冷風の出方が弱いと感じるなら、サンシェードより先に送風経路を疑ったほうがよい。
選ぶときに見る4つの基準
1. 商品タイトルの型式表記
「ランクル70」「70系」だけの表記では、2014〜2015年の再販(GRJ76K)と2023年からの現行モデル(GDJ76W)のどちらを指すのか判別できない。GRJ76Kの文字が入っているか、逆にGDJ76W専用・2023年〜専用と書かれていないかを最初に見る。この分岐を飛ばすと、同じ「ランクル70用」の棚から自分の車に向けて作られていない商品を引く。
2. 固定方式
傘型はサンバイザーで上端を押さえる方式で、吸盤跡が残らず、開閉が速い。フロントガラス用のもう一方の定番であるジャバラ式は吸盤で留めるタイプが主流で、断熱材が日差しをさえぎり、使わないときは小さく折りたためる。設置と撤収の速さを取るか、畳んだ形を取るかで選択が分かれる。
3. 収納形状と置き場所
傘型は畳むと細長い棒状になるため、平たくなるジャバラ式とは置き場所の相性が違う。ドアポケット・シート脇・荷室のどこに常備するかを買う前に決めておくと、置き場所に困る失敗が減る。
4. UV表示の読み方
繊維製品の試験機関であるカケンテストセンターの解説によると、UPFはオーストラリア・ニュージーランド規格の紫外線防護係数で、波長290nmから400nmの遮蔽率を5nm間隔で測り、各波長に対する皮膚の感度と日光の相対エネルギーを係数に入れて算出する。UPF15はMinimum、UPF30はGood、UPF50および50+はExcellentという区分になる。同センターは、遮蔽率がどちらも95%の試料でも片方がExcellent、もう片方がMinimumと評価される例を挙げている。UPFと「UVカット率」は算出根拠の違う別指標なので、数字の大小で並べて優劣をつけない。
3製品を同じ観点で並べる
3製品はいずれも商品タイトルに「汎用」の語を含む。型式が書かれていても、車種専用に型を起こした設計とは限らない。型式表記は候補に残してよいかの足切りに使い、最終判断はフロントガラスの実寸との照合で行う。3製品の実測寸法は商品ページで確認できていないため、ここでは寸法を断定しない。
ランクル70 GRJ76K 用(型式を単独で明記)
タイトルに「ランドクルーザー ランクル70 GRJ76K 用」と型式を1つだけ掲げた傘型・折り畳み式。3本の中で唯一、現行のGDJ76Wを含まない表記で再販モデルだけを名指ししている。型式の読み替えを自分でやりたくない人はここから見るとよい。価格は¥4,980(確認時点)。
ランクル70 GRJ76K用 傘型フロントサンシェード(カーキャンパージャパン)
70系/GRJ76K/GRJ79K(柄が自由に曲がる)
バンのGRJ76Kとピックアップの型式GRJ79Kを1商品でまとめて対応表記した折りたたみ傘タイプ。UPF50/UVカットの表示があり、柄が自由に曲がる構造をうたう。柄が曲がるぶん、ダッシュボード上の突起物との位置関係を後から逃がせるのが、次のスリット入りと共通の使いどころ。価格は¥4,880(確認時点)。
70系/GRJ76K/GRJ79K対応 折りたたみ傘タイプ サンシェード(UPF50表示・柄が曲がる)
70系/GRJ76K/GRJ79K(スリット入り・大)
型式表記も傘の構造も1つ前と同じで、別型番として「スリット入り 大」と表示されている。違いはスリットの有無とサイズ表記なので、どちらを選ぶかはフロントガラスの実寸との突き合わせで決まる。価格は¥4,480(確認時点)。
70系/GRJ76K/GRJ79K対応 折りたたみ傘タイプ サンシェード(スリット入り・大)
取り付けから発進前までの手順
Car Watchが傘型サンシェードを実際に使った記事では、設置は「傘を開いて、フロントガラスにはめ込んでいくだけ。開いた状態でガラスにあて、バイザーを使って上部を押さえつける」と書かれている。片付けは傘のように閉じて幕を巻き取り、止めるだけで済む。吸盤を使わないので、ガラスに吸盤跡が残らない。同記事が扱った製品の収納寸法は、レギュラーサイズで長さ約27cm、ワイドサイズで約31cm、直径5〜6cmだった。
手順にすると次の5つになる。
- 駐車してエンジンを停止する
- 骨と骨の先端の向きに注意しながら傘を開く
- 開いた状態でフロントガラスに当てる
- サンバイザーを下ろして上端を挟み込む
- 発進前に必ず取り外して畳む
5番目は使い勝手の話ではない。富山県警察は「運転席等の窓ガラスをサンシェード、カーテン、タオルなどで覆った状態で運転する行為の取締りを行っています」と告知している。JAF Mate Onlineの交通ルール解説では、運転中に助手席の窓へサンシェードを取り付ける行為を、道路交通法第55条2項(運転者の視野を妨げるような乗車・積載をして運転してはならない)と道路運送車両の保安基準第29条3項(前面ガラス及び側面ガラスは運転者の視野を妨げないものでなければならない)を根拠に違反と判定し、反則金6,000円・違反点数1点としている。発進前に外すところまでが1回の使い方だと考えておく。
買う前に実車で確認すること
くるまのニュースのサンシェード解説は「サイズによってはクルマのフロントガラスに適合しない場合があります」と注意しており、Car Watchも縦と横のサイズが自分の車に合うことが必要だとしている。商品タイトルの型式表記は販売者の申告であって、実車の窓形状に合うことの保証ではない。買う前にフロントガラスの縦と横を測っておく。
Car Watchは傘型の弱点として、ガラスが寝ている車では傘の柄が中央のディスプレイ部分に当たること、幕が破れる可能性があること、構造が傘なので骨と骨の先端に注意しながら開かないと同乗者の目を突く危険があることを挙げている。GRJ76Kのフロントガラスの傾きが寝ているのか立っているのかは一次資料で確認できていないので、車種側で断定はしない。ルームミラーの基部やセンター上部の表示部と柄が干渉しないかを、実車で目で見て確かめてから注文する。
よくある質問
現行のランクル70(GDJ76W)専用と書かれた商品はGRJ76Kに使えますか
使える、使えないのどちらも断定できない。両モデルのフロントガラス形状を比べた一次資料を確認できていないためだ。言えるのは、型式表記が違う以上、自分の車を名指ししている商品としては扱えないというところまで。同じランドクルーザーでも世代が変われば商品も別枠になるのは他の系統でも同じで、たとえば
は別の車の話として読むことになる。
走行中もサンシェードを付けたままにしてよいですか
だめだ。富山県警察が取締り対象として告知しており、JAF Mate Onlineの解説でも道路交通法と保安基準を根拠に違反と判定されている。透けて見えるタイプかどうかで扱いが変わるとは考えない。
サイドガラスやリアガラス用はどう選べばよいですか
くるまのニュースの解説では、サイドガラス用に吸盤タイプ、静電気で貼り付くタイプ、ハイメッシュ素材のワンタッチ式、マグネット式の遮光カーテンが挙げられている。純正サンバイザーに取り付ける半透明タイプもある。ただしGRJ76Kを名指しした商品は今回販売できる状態を確認できなかったので、汎用品をサイズで選ぶことになる。
サンシェードだけで夏の車内の暑さは防げますか
防げない。JAFの実測では装着した車でも車内最高は50℃で、車内平均の差は6℃だった。日が当たる面の温度を抑える道具と考え、乗車時の換気とエアコンを組み合わせる。
まとめ
最初にやることは車検証で型式と初度登録年月を確認することだ。GRJ76Kかどうかがはっきりすれば、商品タイトルの型式表記だけで候補を絞れる。次にフロントガラスの縦横を測り、ダッシュボード上の突起物と柄の位置関係を実車で見る。使うときは、発進前に外すところまでを1回の手順に含める。
3製品の選び分けはこうなる。型式を単独表記した傘型は、再販モデルだけを名指しした表記を重く見る人向け。柄が曲がる折りたたみ傘タイプは、突起物との当たりを後から調整したい場合。スリット入りの大は、フロントガラスの実寸が大きめに出たときの選択肢になる。
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