通販の商品ページに並ぶ「ハリアー対応」という表示だけを頼りに、荷室幅の最大値である1,265mmを基準にして幅130cm級のマットを買うと、荷室のいちばん狭い区間でタイヤの張り出しに乗り上げて浮く。80系の荷室幅は1,005〜1,265mmと場所によって25cm以上変わり、マットの短辺を決めるのは大きい側ではなく狭い側だからだ。AXUH80で車中泊マットを選ぶときに効く数字は、荷室の幅と長さと高さの3つ、それも幅のある値の小さい側に集まっている。まずその数字を出し切ってから、測り方と厚みの決め方へ進む。
AXUH80のマット選びで先に決まる5つのこと
後席を倒したときのAXUH80の荷室は、長さ1,610〜1,805mm、幅1,005〜1,265mm、高さ700〜750mm。ここから決まることが5つある。
- マットの短辺は、幅の最大1,265mmではなく最狭の1,005mm側で決まる。1枚敷きなら幅100cm前後が目安になる。
- 長辺の上限は1,805mm。ただしこれはテールゲートから前席背もたれまでの空間の長さで、実際に寝転べる床面はそれより短い。
- 厚みの上限は荷室高700〜750mm。厚くするほど起き上がるときの余裕が減る。
- 後席を倒しても平面にはならない。傾斜と段差を埋める手を、マットと合わせて決めておく。
- 幅が足りないぶんを2枚並べて稼ぐ手は、荷室の張り出しの形のせいで素直には効かない。
理由と測り方は以降で扱う。急いでいるなら、この5つを持って商品ページの展開サイズ欄を見れば判断はつく。
AXUH80が指す範囲と、60系を混ぜないこと
AXUH80は、2.5Lのハイブリッド(エンジン型式A25A-FXS・総排気量2,487cc)を積む前輪駆動車の型式で、車検証の型式欄には6AA-AXUH80の形で載る。変速機は電気式無段変速機、乗車定員5名。4代目ハリアー(2020年6月〜)の型式は4つあり、6BA-MXUA80がガソリンの2WD、6BA-MXUA85がガソリンの4WD、6AA-AXUH85がハイブリッドのE-Fourにあたる。荷室まわりの寸法は80系として共通に扱えるが、後半で扱う電源の話だけはハイブリッドかどうかで変わる。
やっかいなのは、その前の60系だ。2020年6月より前の3代目(60系)は荷室寸法そのものが別で、後席を立てた状態で長さ1,010mm×幅1,125mm×高さ740mm、倒すと長さ1,860mm。80系とは長さも幅も違う。検索で出てくる「ハリアー 車中泊」の情報は世代が混ざっているので、60系の数字や製品の適合をそのままAXUH80に持ち込まない。商品ページに「ハリアー対応」とだけ書かれているときは、対応する年式と型式の記載を確認する。
荷室と室内の寸法を、寝床として読み直す
後席を立てたままの荷室は、長さ985mm×幅1,265mm×高さ750mm。荷室容量はリヤシート使用時で402〜409L(デッキボード装着時409L)。長さが1m弱しかないので、後席を使ったまま荷室だけで大人が横になることはできない。
後席を倒すと、長さ1,610〜1,805mm、幅1,005〜1,265mm、高さ700〜750mmに変わる。容量はリヤシート格納時で1,030〜1,049L。この幅のある値は、場所によって寸法が変わるという意味であって、誤差でも平均値でもない。だから最狭部の1,005mm、最低部の700mmが実際の制約になる。
ボディは全長4,740mm×全幅1,855mm×全高1,660mm、ホイールベース2,690mm、最低地上高190mm。室内寸法は室内長1,880mm×室内幅1,520mm×室内高1,215mm。ここで注意したいのは室内高1,215mmで、これは前席まわりを含む室内全体の値であり、荷室部分は700〜750mmしかない。さらに室内高1,215mmは調光パノラマルーフを装着していない車の値で、装着車は1,185mmになる。30mm低くなるぶん、マットを敷いたあとの頭上の余裕もその分減るので、厚みを目一杯取るつもりなら自分の車がパノラマルーフ付きかどうかを先に見ておく。
倒しても平らにならないし、1,805mmは寝床の長さではない
1,805mmという数字は、後席を倒した状態でテールゲートから前席シート背もたれまでを測ったメーカー計測値だ。空間の長さであって、寝転べる床面の長さではない。ハイブリッドの2WD実車で車中泊を試した自動車メディアのレポートでは、有効な床面は1,800mmに届かず、身長180cmの人がまっすぐ寝ころぶと頭が床面前端からはみ出したと報告されている。1,805mmはマットの長辺の上限としては使えるが、寝られる長さとしては読まない。
床面の形も平らではない。同じレポートでは床面が車の前へ向かって斜めに高くなると書かれ、別の解説でも後席背面に傾斜ができるため寝ている間に体が後ろへずれ落ちる可能性があるとされている。段差と傾斜はクッションやマットで埋める前提で考える。段差の高さをAXUH80の値として数値で示した出典は取れていないので、実際の高さは自分の車で測るしかない。
買う前に測る4か所
カタログ値は目安で、収まるかどうかは測らないと決まらない。後席を倒した状態で、次の4か所を測る。
- バックドア側の床から前席の背面までの長さ → マットの展開サイズの長辺
- タイヤの張り出しに挟まれた、いちばん狭いところの幅 → 短辺
- 後席背面と荷室床のつなぎ目にできる段差の高さと傾斜 → 段差を埋める手の選択
- 荷室の床からルーフまでの高さ → 厚みの上限
2は、いちばん広いところを測っても意味がない。必ず狭いところで測る。1は前席をどこまで前に出すかで変わるので、運転席を自分の乗車位置にしたまま測った値と、目一杯前へ出した値の両方を控えておく。この2つの差が、あとで長辺を選ぶときの逃げ幅になる。
展開サイズは最狭幅から逆算する
短辺は1,005mm側に合わせる
短辺は最狭部の1,005mmで決める。1枚敷きなら幅100cm前後が収まりの目安で、最大幅1,265mmを基準に130cm級を選ぶと、狭くなっている区間で張り出しに乗って浮く。幅を稼ぐために2枚並べる手も素直には効かない。荷室のタイヤの張り出し部分の形状が斜めになっているため、2枚並べると収まりが悪くどうしても浮き上がってくる、と検証記事で指摘されている。幅は1枚もので最狭部に合わせるか、張り出しの形に合わせて敷ける形状のものを選ぶ。
長辺は170〜180cm級から選ぶ
長辺は1,805mmを上限にしつつ、実際の床面はそれより短いので、170〜180cm級を選んだうえで前席との隙間を荷物で埋めるか、前席を前へスライドさせて稼ぐ。長辺が長すぎると前席の背面やバックドアに当たって浮き、短すぎると足が段差の上に乗る。どちらに転んでも寝ている間に効いてくるので、測った長さの範囲に収まるものを取る。
厚みは荷室高700〜750mmの中で決める
厚み5cmと8cmを敷き比べた検証記事では、8cmなら大人1人が寝られるサイズがあり段差も解消できたと結論づけられている。ただしこの検証記事には対象車の世代・型式の明記がないので、そういう結果があるという扱いで読む。
AXUH80側の制約は荷室高700〜750mm、パノラマルーフ装着車はさらに低い。厚くするほど起き上がるときの余裕が減り、収納したときのかさも増える。一方で、この車は傾斜と段差が残るので、厚みそのものが凹凸をある程度吸収する役割も持つ。座って着替えるところまでやるなら薄め、寝るときの底付きを避けたいなら厚めと、自分の使い方で振り分ける。個人的には、段差の残る車では厚み側に寄せたほうが後悔が少ないと思う。
素材3タイプと、空気の入れ方
車中泊マットの素材はウレタン、インフレーター(自動膨張式)、エアーの3タイプに分かれる。ハイブリッドの2WD実車で車中泊を試したレポートでは、空気で膨らむキャンプ用の厚手なインフレーターマットが勧められている。厚みを取りやすく、畳めば荷室に積みっぱなしにできるあたりが、この車の条件に合う。
空気の入れ方は電動ポンプ付き・自動膨張式・手動式で分かれ、設営と撤収にかかる時間が変わる。毎回の出し入れが面倒だと結局使わなくなるので、寝心地だけでなく準備の手数で選ぶ視点も要る。あわせて見ておきたいのが、使わない期間の収納性(畳んだときの大きさと置き場所)、2人で使うサイズがあるか、カバーを外して洗えるかの3点。車中泊では結露や汗でカバーが湿るので、洗えるかどうかは長く使ううえで効いてくる。
電動ポンプを使うなら、電源を先に確認する
ハイブリッド車に設定されるアクセサリーコンセント(AC100V・1500W)は非常時給電システム付きで、駐車中にも給電できる。メーカーの取扱説明書に載っている手順は、ブレーキペダルを踏まずにパワースイッチを2回押し、READY表示がないことを確認してからAC100Vスイッチを3回連続で押す、というもの。使えるのは消費電力の合計が1500W以下の電気製品で、規定容量を超えると保護機能が働いて給電が止まる。電力は駆動用電池から供給され、燃料残量警告灯が点灯するまで給電機能を使える。
ただしこの装備はメーカーオプションなので、装着車にしか付いていない。買う前に見るのは、AC100Vのコンセントが自分の車に付いているか、その口の位置からマットを敷く場所まで届くか、ポンプのコードの長さ、モバイルバッテリーや乾電池でも動くかどうか。付いていない車、あるいはガソリンのMXUA80なら、ポンプが電池で動くタイプかどうかが分かれ目になる。
マット以外に先に決めておくもの
寝る面が窓に近く、外から車内が見えやすい。着替えや就寝には窓の目隠しが要る。目隠しは視線を切るだけでなく、朝の日差しや街灯の明かりを抑える役割もある。なお運転席まわりでシェードを使ったまま走行することは罰則の対象になると注意されているので、目隠しは停めてから付ける。
荷室のデッキボードの下にも収納スペースがあり、小物や工具を収められるアンダートレイが備わっている。マットの収納袋や着替えの逃がし場所にすれば、寝床の上に物を置かずに済む。装備の有無と深さは自分の車の床下を開けて確かめる。後席は片側だけでも両側でも倒せるので、荷物と寝床を左右で分ける手もある。大人2人で寝る場合、実車レポートでは前席と後席の空間を手荷物で埋め、そのうえで厚手のインフレーターマットを敷いて斜めに寝れば2人の就寝も可能としている。裏を返せば、荷物で隙間を埋める手間と厚みのあるマットが前提で、まっすぐ2人並べるという話ではない。
泊まる場所と、寝ている間のエンジン
寝ている間はエンジンを切る
JAFが実車で行ったユーザーテストでは、マフラーの周りが雪で覆われた状態でエンジンをかけると、車内の一酸化炭素濃度が16分後に短時間暴露限度の400ppmに達し、その6分後には測定上限の1,000ppmに届いた。窓を5cmほど開けた条件でも開始5分で100ppm台、約40分後に400ppmへ上がり、その後すぐ800ppm台に達している。一方、マフラー周辺を除雪した場合は終始ほとんど検知されなかった。排気ガスは車体の下にたまり、内気循環にしていても車体のすき間から入ってくる。一酸化炭素は無色無臭で、溜まっても気づけない。寝ている間はエンジンを切るのが基本で、やむを得ずかけるならマフラー周辺の除雪が要る。窓を少し開けるだけでは対策にならない。
ハイブリッドだから静かで安全、とも言えない。取扱説明書には、給電中に駆動用電池の残量が減ると自動でエンジンが始動して充電を行うと書かれている。同じ説明書は、換気が悪い場所や囲まれた場所では給排気装置を設置すること、給排気設備のない車庫内など換気の悪い場所では使用しないことを求めている。アイドリングを規制する条例のある地域では条例に従う。READY表示灯が点灯した状態で車から離れない。
泊まる場所を先に押さえる
国土交通省は「道の駅」について、運転の途中で疲労回復のために車内で仮眠をとることはかまわないとしつつ、駐車場など公共空間における宿泊利用は基本的に遠慮してほしいと示している。宿泊利用のための駐車スペースを別に設けている道の駅もあるので、詳細は各施設の案内で確認する。泊まる前提で出かけるなら、車中泊を受け入れている場所を先に押さえておく。
よくある質問
60系ハリアー向けの車中泊マットはAXUH80にも使えるか
寸法が合えば使えるし、合わなければ使えない。「ハリアー用」という表示ではなく、展開サイズの数字を自分で測った値と突き合わせて判断する。60系と80系は荷室の長さも幅も別の値なので、世代名だけを頼りにしない。
幅130cmのマットはAXUH80の荷室に敷けるか
荷室幅が1,265mmある区間には載るが、1,005mmまで狭くなる区間で張り出しに乗り上げる。全長にわたって床に接した状態にはならないと考えたほうがいい。
身長180cmでも足を伸ばして寝られるか
床面だけでは足りない。実車レポートでは頭が床面前端からはみ出したと報告されている。前席との隙間を荷物で埋めるか、前席を前へスライドさせて長さを作る前提になる。
マットを敷けばフルフラットになるか
床面は車の前へ向かって斜めに高くなり、後席背面には傾斜が残るので、マットを敷いても完全な平面にはならない。足元側にクッションを足して寝る向きの傾きを調整する、という詰め方になる。
エンジンを切ったままマットの電動ポンプを使えるか
非常時給電システム付きのアクセサリーコンセントが付いている車なら、取扱説明書の手順で駐車中でも給電できる。ただしこの装備はメーカーオプションで、装着車にしか付いていない。付いているかどうかを先に確かめる。
まとめ
最初にやることは、後席を倒して自分の車の荷室を測ることだ。いちばん狭いところの幅、バックドアから前席背面までの長さ、床からルーフまでの高さ、後席背面のつなぎ目の段差。この4つの数字が手元にあれば、商品ページの展開サイズ欄だけで判断がつく。型式が6AA-AXUH80かどうかの確認は、そのあとで車検証を見れば足りる。
決め方の順番は、最狭幅1,005mm側から短辺を決める、1,805mmを寝床の長さと読み違えない、厚みは荷室高700〜750mmの中で選ぶ、傾斜と段差を埋める手を先に決める、の4つ。60系の寸法を流用しないこと、電動ポンプを使うなら自分の車の電源装備を確かめること、そして寝る前にエンジンを切ることも、あわせて持っておきたい。

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