ASU60W で使う車中泊マットは、展開サイズ175×130cm前後・厚み5cm以上を軸に選ぶ。後席を倒せば荷室の長さは1,860mm まで伸びて大人が横になれるが、背もたれの裏と荷室床の間には段差が残り、バックドア側へ向かって傾斜も付く。つまりサイズと厚みを決めただけでは寝床にならず、段差を埋める手を同時に決めておく必要がある。通販の商品ページに書かれた「ハリアー対応」の一言では、この3つのどれも判断できない。
マット選びで決まるのは3つだけ
ASU60W の寝床は、次の4つの数字と条件で決まる。ここだけ読めばサイズ選びの判断はできる。
- 後席を倒したときの荷室長は1,860mm、室内幅は1,480mm
- 実際に寝られるスペースの目安は奥行き約165cm、前席を前へ出して約180cm
- 展開サイズは175×130cm前後、厚みは5cm以上
- 倒しても平面にはならないので、段差と傾斜を埋める手が別に要る
幅の1,480mm は室内のいちばん広いところの値で、荷室はタイヤハウスの張り出しで狭くなる区間がある。130cm がそのまま入るとは限らないので、幅だけは自分の車の実測で決める。理由と測り方は以下で順に見ていく。
ASU60W は60系後期にしかない型式
ASU60W は2.0L 直噴ターボの8AR-FTS(総排気量1,998cc)を積むFF車の型式で、変速機は6速オートマチック。2017年6月の一部改良でターボが追加されたため、60系のうち後期にしか存在しない。車検証の型式欄には DBA-ASU60W の形で載る。同じターボの4WDは ASU65W で、ボディ寸法・ホイールベース・室内寸法は ASU60W と共通、車両重量だけが4WD側で重くなる。グレードはエレガンス、プレミアム、プログレスなどが設定された。
注意したいのは、検索で出てくる「ハリアー 車中泊」の情報の多くが2020年6月以降の80系だという点だ。80系とは荷室の形状も寸法も別で、マットの推奨サイズも世代ごとに分けて示されている。80系の数字は ASU60W には当たらないので、最初に切り離す。
80系に乗っているならこちらを参照してほしい:
荷室と室内の寸法を寝床の目で見る
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 荷室(後席使用時) | 1,010×1,125×740mm |
| 荷室長(後席を倒したとき) | 1,860mm |
| 室内長×室内幅×室内高 | 1,965×1,480×1,220mm |
| 全長×全幅×全高 | 4,725×1,835×1,690mm |
| ホイールベース | 2,660mm |
後席を立てたままの荷室長は1,010mm しかない。1mちょっとでは大人が横になれないので、寝床にするなら後席を倒すのが前提になる。倒せば長さは1,860mm まで伸びる。
高さの読み方には注意がいる。室内高1,220mm は前席まわりを含む室内全体の最大値で、荷室部分の高さは740mm。マットを敷いたぶんだけ頭上は減るので、この740mm が厚みの上限を決める数字になる。実測レポートでは中央部の高さは120cm ほどあり、バックドア側へ行くほど低くなると報告されている。座って過ごせるのは中央付近だけと考えておきたい。
後席を倒しても平らにはならない
倒したあとに残るのが、背もたれの裏側と荷室床の間の段差、そしてバックドア側へ向かう傾斜だ。そのまま寝ると、体が一晩かけて傾斜の下側へずれていく。足元側を高くして水平に近づける調整が要ると考えておけばいい。
後席は6:4の左右分割可倒式で、左右それぞれリクライニングもできる。倒す角度を変えられるぶん、段差や傾斜の出方も倒し方で変わる。片側だけ倒せば、荷物置き場と寝床を左右で分けられる。
段差の高さについては、数値で示した確かな出典が見つからなかった。実測レポートにある15〜20cm は前席と後席の間にできる隙間の値で、段差の高さではない。ここは自分の車で測るしかない。
買う前に測る4か所
カタログ値は目安で、収まるかどうかは測らないと決まらない。後席を倒した状態で、次の4か所を測る。
- バックドア側の床から前席の背面までの長さ → マットの展開サイズの長辺
- タイヤハウスに挟まれた一番狭いところの幅 → 短辺
- 背もたれの裏と荷室床の段差の高さ → 段差を埋める手の選択
- 荷室の床からルーフまでの高さ → 厚みの上限
1は前席をどこまで前に出すかで変わる。運転席を自分の乗車位置にしたまま測った値と、目一杯前へ出した値の両方を控えておくと、後で迷わない。
サイズと厚みの決め方
展開サイズは175×130cm前後
60系の荷室は、後席を倒した状態で最大およそ180cm×130cm。市販の車中泊マットでは展開サイズ175cm×130cm 前後が収まりの目安になる。長辺が長すぎると前席の背面やバックドアに当たって浮き、短すぎると足が段差の上に乗る。
長さが足りないときは前席を前へスライドさせて稼げるが、その分だけ助手席側は使えなくなる。幅は一番狭いところで決まるので、実測値が130cm に届かないなら分割式を選んで合計幅で調整する手もある。ここに挙げた数字はどれも目安で、製品が隙間なく敷ける保証にはならない。最後は実測と商品ページの寸法を突き合わせて判断してほしい。
厚みは5cm以上、上は荷室高との相談
厚みが5cm 未満だと床の凹凸を拾って底付き感が出やすい。5cm が標準的な目安で、10cm 以上あれば自宅のベッドに近い寝心地になるとされる。段差が残る車なので、厚み自体が凹凸をある程度吸収してくれるという見方もできる。
ただし厚くするほど荷室高740mm に対する頭上の余裕は減り、収納時にもかさばる。起き上がる動作を車内でするなら、10cm を超えるあたりから窮屈さが出てくると見ておきたい。
素材の選び分けと段差の埋め方
素材は3タイプ
ウレタン、インフレーター(自動膨張式)、エアーの3タイプに分かれる。空気の入れ方も電動ポンプ付き・自動膨張式・手動式と製品によって違い、設営と撤収にかかる時間が変わる。毎回の出し入れが面倒だと結局使わなくなるので、寝心地だけでなく準備の手数でも選びたい。
電動ポンプ式を考えているなら、電源をどこから取るかを買う前に確かめておく。見るのは車内のアクセサリーソケットの位置とマットを敷く場所からの距離、ポンプのコードの長さ、モバイルバッテリーや乾電池でも動くかどうか。寝る前に膨らませて朝にしまう使い方になるので、エンジンを切った状態で動くかが実用上の分かれ目になる。
使わない期間のことも決めておく
畳んだときの大きさと置き場所、2人で使うサイズがあるか、カバーを外して洗えるか。車中泊では結露や汗でカバーが湿るので、洗えるかどうかは長く使ううえで効いてくる。
段差を埋める3つの手
- 段差部分の形に合う車種専用設計のマットを選ぶ
- 高さを調整できるウレタン素材で、段差の低い側をかさ上げする
- 段差部分だけ別のパーツやクッションで埋める
専用設計は隙間ができにくい代わりに選べる製品の幅が狭い。汎用は選択肢が広く価格帯も選べる代わりに、段差の処理を自分で考えることになる。専用設計をうたっていても、対象の世代とグレードが自分の車と一致しているかは商品ページで確かめる。どの手を取るかでマットの仕様が変わるので、マットを選ぶ前に段差の埋め方を先に決める。傾斜への対処も同じ枠で、足元側を高くする分の材料をここで見込んでおく。
マット以外に先に決めておくもの
寝る面が窓に近く、外から車内が見えやすい。着替えや就寝のためには窓の目隠しが要る。視線を切るだけでなく、朝の日差しや街灯の明かりを抑える役割もある。
荷室の床下にはデッキボード下収納がある。メーカーオプションのスペアタイヤキットを積んでいなければ深さのある収納として使えるので、マットの収納袋や着替え、濡れたものの逃がし場所にできる。寝床の上に物を置かずに済むのは大きい。装着車では使えないため、自分の車の床下を一度開けて確認しておく。
泊まる場所と、寝ている間のエンジン
JAF が実車で行ったユーザーテストでは、マフラーの周りが雪で覆われた状態でエンジンをかけると、車内の一酸化炭素濃度が16分後に短時間暴露限度の400ppm に達し、その6分後には測定上限の1,000ppm に届いた。窓を5cm ほど開けた条件でも開始5分で100ppm 台、約40分後に400ppm へ上がり、その後すぐ800ppm 台に達している。一方、マフラー周辺を除雪した場合は終始ほとんど検知されなかった。寝ている間はエンジンを切るのが基本で、やむを得ずかけるならマフラー周辺の除雪が先だ。窓を少し開けるだけでは対策にならない。
泊まる場所も先に決めておきたい。国土交通省は「道の駅」を24時間利用できる休憩施設と位置づけたうえで、運転の途中に車内で仮眠をとることはかまわないとしつつ、駐車場など公共空間における宿泊利用は基本的に遠慮するよう示している。宿泊利用のための駐車スペースを別に設けている道の駅もあるので、詳細は各施設の案内で確認する。泊まる前提で出かけるなら、車中泊を受け入れている場所を選んでおく。
よくある質問
80系ハリアー向けの車中泊マットは60系にも使えるか
製品名の世代表記ではなく、寸法で判断する。80系は荷室の形状も寸法も別で、マットの推奨サイズも世代ごとに分けて示されている。展開サイズが175×130cm前後に収まり、実測した一番狭いところの幅に入るなら、表記が80系向けでも物理的には使える。逆に「60系対応」と書かれていても、実測に合わなければ浮くか足りない。
ASU60W で大人2人は寝られるか
長さは足りるが、幅で無理が出る。寝るスペースの幅は場所によって100〜140cm と変わり、実際に車中泊したレポートでは2人だと窮屈になると報告されている。1人なら余裕をもって使える寸法だ。
マットを敷けばフルフラットになるか
ならない。背もたれの裏と荷室床の段差、バックドア側への傾斜は、マットを敷いても残る。段差を埋める手と、足元側を高くする調整を別に用意して初めて水平に近づく。
厚みは何cmあれば足りるか
5cm が下限で、10cm 以上あれば寝心地は上がる。ただし荷室の高さは740mm しかないので、厚くするほど頭上が減る。凹凸が気になるかどうかは体格と寝方で変わるため、まず5cm 前後から試すのが無難だ。
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まとめ
購入ボタンを押す前に、この5つを確認してほしい。
- 車検証の型式欄が ASU60W か(80系の寸法を流用しない)
- 後席を倒した状態で、長さと一番狭いところの幅を実測したか
- 展開サイズは175×130cm前後に収まっているか
- 厚みは5cm 以上を確保したか(上限は荷室高740mm との相談)
- 段差と傾斜を埋める手を決めたか
寝る前にエンジンを切ること、そして泊まる場所を先に決めておくこと。この2つは装備の話ではないが、マットと同じくらい先に片付けておきたい。

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