GRヤリスのスピーカー交換でつまずきやすいのが、車種名だけを頼りに汎用の取付部品を買ってしまうことだ。エーモン工業の車種別取付情報を見ると、ディスプレイオーディオ装着車のヤリス/GRヤリスは取付部品の欄が全て「×」で、適合不可と注記されている。さらにGRヤリスは、JBLプレミアムサウンドシステム(8スピーカー)が付いているかどうかで、選べる部品そのものが変わる。順番としては、自分の車の音響仕様を先に確定させてから本体を選ぶ。
仕様別・選べる部品の早見表
対象は2020年9月(令和2年9月)発売のGRヤリス、型式GXPA16とMXPA12。パーツメーカーの適合表でも「GXPA16・MXPA12/R2.9〜」の区切りで扱われている。
同じGRヤリスでも、JBL付きと非装着で用意する部品が別になる。
| 項目 | JBL非装着車 | JBL 8スピーカー装着車 |
|---|---|---|
| スピーカー変換ケーブル | 2スピーカー付き車用 | JBL 8スピーカー付き車用 |
| ドアのデッドニングセット | ヤリス/GRヤリス専用品あり | 対象外(付車除く) |
| 純正アンプ接続キット | 設定なし | 8スピーカー装着車専用品あり |
| 汎用の取付部品 | ディスプレイオーディオ装着車は適合不可 | 同左 |
ビートソニックの製品情報でも、GRヤリス(2020年9月以降)のJBLプレミアムサウンドシステム(8スピーカー)装着車専用のキットと、「ヤリス/GRヤリス専用(JBLプレミアムサウンドシステム付車除く)」のデッドニングセットが別々に設定されている。メーカーが製品を分けている以上、こちらも先に仕様を確定させるしかない。
自分のGRヤリスがどちらか確かめる
JBLプレミアムサウンドシステムはメーカーオプションの音響仕様なので、新車購入時の注文書・見積書のオプション欄に記載が残っている。中古で買った、書類が手元にないという場合は、車検証の車台番号を伝えてディーラーに照会するのが早い。仕様が確定しないうちは、車種専用をうたう部品でも買わない。 品番が分岐している以上、当てずっぽうで買うと片方は必ず無駄になる。
もうひとつ、年式の区切りも見ておきたい。GRヤリスは2024年4月の改良を境に前期・後期で部品設定が分かれる場合がある。クスコのパーツ情報では「GRヤリス(GXPA16)後期用」として2024年4月以降を対象にした製品が別立てで公開され、前期モデルとは異なるため装着前に年式を確認するよう案内されている。オーディオまわりも同じ前提で、年式の記載を確認してから注文する。
ディスプレイオーディオ側の構成から整理したい人は、こちらも参考になる。
スピーカーを選ぶときの3つの確認事項
本体のグレードや音の傾向より先に、物理的に付くかどうかを詰める。ここを飛ばすと、届いた箱を開けた時点で作業が止まる。
口径はメーカーの適合情報で確認する
取り付けられるスピーカーの口径は、車種・年式・グレード単位で決まる。カロッツェリアもインナーバッフルの製品情報で「車種の年式、グレードによっては、適合スピーカーの取付情報を確認する必要があります」と明記し、販売店または同社の車種別適合情報での確認を案内している。ただしGRヤリスは、その車種別適合情報の車種一覧に項目が見当たらない(ヤリスの掲載はある)。つまり、公開されている汎用の取付情報だけでは口径が確定できない。実車の口径は購入前に販売店・専門店・ディーラーで見てもらうのが確実だ。
変換ケーブルで純正配線を残す
スピーカー変換ハーネスは、車両側のスピーカーカプラーをそのまま使って社外スピーカーへつなぐ部品だ。純正配線を切らずに済むので、元に戻せる状態を保てる。エーモン工業の製品情報では、カプラー形状は車種・年式によって異なるため購入前に形状を確認するよう案内されており、汎用をうたう製品でも適合しない車種があると明記されている。GRヤリスでは、車種名と仕様が明記された専用品を選ぶ。
インナーバッフルという土台
インナーバッフルは、社外スピーカーをドアへ固定するための土台になる。カロッツェリアの製品情報によると、ドア内部では音の反射・干渉の影響で音が損なわれるため、高剛性MDFのバッフルでドアの共振を抑えると低域のレスポンスが向上し、遮音クッションがスピーカー背面からの逆相音を遮ることで音がクリアになるという。同社の該当シリーズは16cmと17cmに対応する。本体だけ買っても土台がなければ固定できないことがあるので、本体・バッフル・変換ケーブルは最初からセットで予算を組んでおく。
交換用スピーカー本体の候補
まず音そのものを新しくしたい、という入口の1本として挙げられるのがGSPRINGの16.5cmコアキシャル2WAYだ。商品情報上はトヨタ ヤリス・カローラ対応をうたう汎用品で、配線が付属する。Amazonの実売価格は確認時点で1,800円だった(価格は変動する)。
GSPRING 16.5cm 2WAYコアキシャルカースピーカー(配線付・1個)
注意点が2つある。ひとつは1個単位の販売で、左右2枚分なら2個必要になること。もうひとつは、商品説明の「トヨタ車対応」「ヤリス・カローラ対応」という表記が、GRヤリスへ無加工で付くことを保証するものではないという点だ。車名が近いだけの汎用品を適合の根拠にしない。 口径・取付穴・カプラー形状の3点が実車と合うかを、注文前に販売店や施工店で見てもらう。この確認さえ通れば、価格を抑えて音の入れ替えができる価格帯ではある。
変換ケーブルは仕様別に品番が分かれる
GRヤリス用として流通しているスピーカー変換ケーブルは、2スピーカー付き車用とJBL 8スピーカー付き車用で別品番になっている。どちらも2020年9月以降のGRヤリスを対象にした2本セットで、Amazonの実売価格は確認時点でいずれも1,980円だった。
JBLが付いていない車はこちら。
GRヤリス(2スピーカー付き車)用 スピーカー変換ケーブル 2本セット
JBLプレミアムサウンドシステム(8スピーカー)装着車はこちら。
GRヤリス(JBL 8スピーカー付き車)用 スピーカー変換ケーブル 2本セット
取り違えると使えないので、本体をカートに入れる前にどちらかを確定させる。 JBL装着車で社外スピーカーへ替える場合は、ケーブル以外の部品についても対応をうたっているかを1点ずつ確認したい。デッドニングセットのように「JBLプレミアムサウンドシステム付車除く」と明記された製品もある。判断がつかないところが残るなら、施工店に現車を見せて相談したほうが早い。
スピーカーを替えずに音を良くする
純正の見た目と配線をそのまま残したい人には、本体交換とは別の道もある。
ドア側の環境を整えるのがデッドニングだ。ビートソニックのフロントドアスピーカー用デッドニングセットDMS-SP04は「ヤリス/GRヤリス専用(JBLプレミアムサウンドシステム付車除く)」で、希望小売価格は5,720円(税込・税抜5,200円)。フロントドアスピーカーに貼り付けて不要な反射や振動を抑え、音の輪郭と低音の量感を改善する用途の製品だ。本体を替えずに手を付けられる最初の一手として現実的な金額に収まる。
ビートソニック デッドニングセット DMS-SP04(ヤリス/GRヤリス用)
JBL装着車には、純正アンプに接続して音質を上げるキットがある。ビートソニックのPSK-T601は適合が「トヨタ GRヤリス(2020年9月以降)/JBLプレミアムサウンドシステム(8スピーカー)装着車」で、価格は92,400円(税込)。同社は純正アンプに接続するだけで、配線加工なしに純正状態を損なわずに音質をアップグレードできると説明している。金額は張るが、JBL装着車のシステムを崩さずに手を入れたい場合の選択肢になる。
予算帯で見る組み合わせ
上に行くほど部品点数が増え、取付を依頼するなら工賃も積み上がる。工賃込みで比べたほうが判断を誤らない。
| 予算帯 | 組み合わせ | 何が変わるか |
|---|---|---|
| 数千円台 | 汎用コアキシャル+車種専用の変換ケーブル | スピーカー本体を新しくする。口径の適合確認が前提 |
| 1万円台〜数万円 | デッドニング(5,720円のセット等)やインナーバッフルを追加 | ドア側の環境ごと整える |
| 6万円台〜 | 車種専用設計パッケージ、JBL車向け純正アンプ接続キット | 設計思想ごと別枠になる |
車種専用設計の代表がソニックデザインのSonicPLUSで、GRヤリス(A16系)専用モデルがある。ソニックデザインの製品情報では、価格は税込でフロント用TF-A16Eが63,800円、リア用TR-A16Eが63,800円、フロント+リアのTFR-A16Eが127,600円。上位のMグレードはフロント用121,000円・フロント+リア242,000円、最上位のFグレードはフロント用264,000円・フロント+リア528,000円。フルレンジユニットとエンクロージュアを組み合わせた構成で、汎用スピーカーとは価格帯も設計思想も別枠になる。
最初の1台目としては、数千円台の本体+専用ケーブルで様子を見て、物足りなければデッドニングを足す順序をすすめたい。 車全体のカスタム予算の中で位置づけを決めたい人は、こちらもあわせて見ておくといい。
取り付けの流れとDIYの線引き
作業の骨格はこうなる。ドア内張りを外す、純正スピーカーを取り外す、必要ならインナーバッフルを介して社外スピーカーを固定する、変換ケーブルで車両側カプラーに接続する、防水シートと内張りを元通りに戻す。変換ケーブルを使えば純正配線を切らずに済むので、後から純正へ戻せる状態を保てる。作業前にバッテリーのマイナス端子を外すといった電装作業の基本手順は省略しない。
内張りのクリップを割る不安があるなら、最初から専門店に頼んだほうが結果的に安く付く。 JBL装着車のようにシステム構成が複雑な場合はなおさらだ。内張り脱着や配線の勘所は、他の電装作業の記事も参考になる。
内張りを戻した後にビビリ音が出た場合は、こちらが手掛かりになる。
よくある質問
GRヤリスに付くスピーカーの口径はどれ?
数値を断定できる公開情報が見当たらない。カロッツェリアの車種別適合情報にもGRヤリスの項目がなく、汎用の取付情報だけでは確定しない。実車のドアを開けて販売店・専門店で見てもらうのが唯一確実な方法になる。口径は「調べてから買う項目」と割り切ったほうがいい。
JBLプレミアムサウンドシステム付きでもスピーカーは交換できる?
JBL 8スピーカー付き車用として設定された変換ケーブルは流通している。ただしデッドニングセットのようにJBL装着車が明確に対象外の製品もあり、部品ごとに対応が分かれる。1点ずつ対応表記を確認し、判断がつかないなら施工店に相談する。
純正の配線を切らずに交換できる?
車種専用の変換ケーブルを使えば、車両側のスピーカーカプラーに差すだけでつながる。純正配線に手を入れないので、売却時などに元へ戻せる。逆に言えば、このケーブルを用意しないと配線を切る話になってしまう。本体と同時に注文しておく。
スピーカー交換だけで音は変わる?
本体の入れ替えで音は変わるが、ドア側が鳴りやすい状態のままだと出方が安定しないことがある。予算が許すならデッドニングを併せると、低音の出方が整いやすい。逆に、まず本体だけ替えて様子を見る進め方でも構わない。
まとめ
最初にやることは、実車のドアと車両側カプラーを見て現物を確かめること。口径と端子形状は公開情報だけでは詰め切れないので、販売店や施工店で実車を見てもらう。書類の確認はその次で、注文書のオプション欄か、車検証の車台番号を使ったディーラー照会でJBLプレミアムサウンドシステムの有無を確定させる。
そこまで済んだら、スピーカー本体と、仕様に対応した変換ケーブルをセットで用意する。GXPA16・MXPA12のGRヤリスは2スピーカー付き車用とJBL 8スピーカー付き車用で品番が分かれるので、ここだけ間違えなければ手戻りはほぼ起きない。
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