eKワゴンのタイヤを自分で履き替えるとき、準備の中身は「車に専用のジャッキが積んであるかどうか」で分かれる。確認日時点の三菱の公式サイトにある取扱説明書(ウェブ版)では、B33W にはジャッキが標準で搭載されていないので、まずラゲッジフロアボードの下に別売のジャッキが入っているかを確かめてほしい。なお同じ eKワゴンでも4WD は別の型式の B36W で、この記事は2WD の B33W を前提に書いている。
B33W のタイヤ交換で先に知っておく3つのこと
作業を始める前に、次の3つだけは頭に入れておきたい。
- ジャッキアップポイントは、取扱説明書の図で矢印が指す位置。取扱説明書は、それ以外の場所にジャッキをかけないよう求めており、車体が変形するおそれがあるとしている。
- B33W のホイールナットの締め付けトルクは98N・m(10kg・m)。eKワゴン/eKクロスの取扱説明書では、タイヤの項にこの値が載っている。
- ジャッキは専用品を別に用意する。確認日時点の取扱説明書(ウェブ版)によると、B33W にはジャッキ、ジャッキハンドルバー、ジャッキハンドル兼ホイールナットレンチが標準で搭載されていない。公式サイトの主要装備の欄外にも「ジャッキ、ジャッキハンドル兼ホイールナットレンチは別売となります。」とある。ジャッキアップには、この車両専用のジャッキを使う。
ここで使った主要諸元・主要装備・取扱説明書(ウェブ版)は、どれも確認日時点の三菱の公式サイトの掲載で、どのページにも版や発行年月の記載が無い。主要諸元の欄外にも「仕様変更は発表なく実施することがあります。」とある。年式や仕様で装備が違う可能性があるので、ジャッキの有無とジャッキアップポイントの図は、実車に備え付けの取扱説明書とラゲッジルームで確かめてほしい。
用意する道具と、B33W で別に買うもの
標準で積まれていない物
取扱説明書は、ジャッキアップには「この車両専用のジャッキを準備してください。」とし、入手は三菱の販売会社に相談するよう案内している。専用品なので、量販店で探すより先に販売会社に聞くのが早い。
輪止めと停止表示板(停止表示灯)も標準では積まれていない。輪止めは、タイヤを止められる大きさの石や木片で代用できると取扱説明書にある。
そのほかの道具は、タイヤメーカーのブリヂストンの解説が挙げるジャッキ、L字型(または十字)のレンチ、トルクレンチ、輪止め、軍手で足りる。トルクレンチは、ナットを車両指定のトルクで正確に締めるための工具だ。B33W は純正のジャッキハンドル兼ホイールナットレンチも別売なので、ナットを回すレンチも別に要る。市販のレンチを買うなら、実車のホイールナットの大きさ(二面幅)に合うものを選ぶ。ナットの大きさは今回の資料では確かめられていないので、実車のナットで測ってから買ってほしい。
別売のジャッキの取り出し場所
取扱説明書によると、別売のジャッキと工具は、ラゲッジルームのラゲッジフロアボードを持ち上げて取り出す。2WD車は、後席を車両の前方へスライドさせてから取り出す。ジャッキやラゲッジフロアボードを内装の部品にぶつけないよう注意する。
ジャッキアップポイントの位置と、かけるときの注意
取扱説明書の図で位置を確かめる
B33W のジャッキアップポイントについて、取扱説明書の文章は「矢印の位置がジャッキアップポイントです。」だけで、前輪・後輪のどのあたりかは図でだけ示されている。車に備え付けの取扱説明書か、三菱の公式サイトのウェブ版の「工具・ジャッキについて」の図で、矢印の位置を見てからジャッキをかけるのが確実だ。
ブリヂストンの一般的な説明では、ジャッキアップポイントはボディの縁の部分にあり、凹みや三角の印が付いている。これは車種を問わない説明なので、図と実車の両方で場所を照らし合わせてほしい。
ジャッキをかけるときに守ること
- ジャッキアップポイント以外のところにはジャッキをかけない。
- ジャッキの溝をポイントに合わせる。合っていないと、ポイントそのものが曲がることがある(ブリヂストン)。
- ジャッキの上下に台やブロックなどを入れない。
- 柔らかい地面の上ではジャッキアップしない。ジャッキが倒れるおそれがある。
ジャッキアップの前の準備
取扱説明書の手順に沿って、次の順で準備する。
- 交通の妨げにならない、平坦で硬い場所に停める。ブリヂストンの解説も、砂利や土の上での作業は避けるとしている。
- 人と荷物を車から降ろす。
- パーキングブレーキをかけ、セレクターレバーを P にする。
- ジャッキをかける位置と対角線の位置にあるタイヤに輪止めをする。前輪を上げるときは後輪の後ろ側、後輪を上げるときは前輪の前側に置く。やむをえず傾斜地で作業するなら、対角線の位置のタイヤの下り側に輪止めをする。
- B33W の標準のホイールは、主要装備では14インチスチールホイール(フルホイールカバー付)なので、先にフルホイールカバーを外す。
- タイヤが地面に着いているうちに、ホイールナットを少しだけ緩める。ブリヂストンの解説の言葉どおり「軽く緩める程度で構いません。」で、ここで外してしまわない。
タイヤ交換の手順
ジャッキアップ
ジャッキにジャッキハンドルバーとジャッキハンドルをセットし、ジャッキの上部がジャッキアップポイントに当たるまでジャッキを手で回す。ジャッキハンドルバーはジャッキハンドルの穴に確実に差し込み、握ったまま回す。外れるとケガのおそれがある。
ジャッキハンドルを回して、タイヤが地面から少し離れるまで上げる。高く上げる必要はない。ジャッキアップしている間は絶対に車の下に入らず、エンジンも始動しない。ジャッキが外れると重大なケガにつながり、エンジンをかけると車が動き出すおそれがある。
タイヤを外して付ける
ナットを外してタイヤを外したら、外したタイヤは車体の下に入れておく。ジャッキが外れたときの備えだ(ブリヂストン)。
取り付けは、いちばん上のナットから入れるとタイヤが手前に倒れてこない。サイドに回転方向の矢印(ROTATION)や OUTSIDE/INSIDE の表示があるタイヤは、その向きどおりに付ける。違う向きでは性能が出ないうえ、安全面にも影響するおそれがある。ホイールとナットの座面の形が合っているかも見ておく。
仮締めと本締め
ナットは2〜3回に分けて、できるだけ対角線の順で均等に仮締めする。次に車体を完全に下ろし、ジャッキに力がかからなくなってから外す。そのうえでトルクレンチを使い、98N・mで本締めする。手の感覚で締めると締め付け不足や締めすぎを招くおそれがあり(ブリヂストン)、無理に締めるとボルトが破損する場合もある(JAF)。最後に輪止めを外す。
交換した後に確かめること
- 空気圧を指定値に合わせる。指定空気圧は運転席ドアの開口部に表示されている。保管していたタイヤや新品タイヤは、空気が抜けていたり足りなかったりすることがある(ブリヂストン)。
- 走り出しは、急に速度を上げたり、カーブを勢いよく曲がったりしない。
- タイヤを付けてから約100km走ったら、ナットが緩んでいないかトルクレンチで点検(増し締め)する(ブリヂストン)。
- ジャッキと工具は元の場所に戻す。車室内に放っておくと思わぬ事故につながるおそれがある。
トルクレンチが手元に無いまま作業したなら、JAF の解説が案内するとおり、できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場で規定のトルクの本締めを頼む。JAF は、トルクレンチを車に積んでおくと便利だとしている。自分で履き替えを続けるなら、1本買っておくほうが話が早い。
日ごろの点検は、取扱説明書では月に1回、タイヤが冷えている走行前にエアゲージで空気圧を見る。スリップサインが接地面と同じ高さになったら交換時期で、ゴムは少しずつ劣化するので5〜7年を目安に点検を受ける。
B33W の純正タイヤ・ホイールの規格
純正サイズ
今の世代の eKワゴンは、eKクロスと同時に2019年3月28日に発売された(三菱のプレスリリース)。確認日時点の主要諸元では、5BA-B33W(2WD)の G と M のタイヤはどちらも155/65R14で、主要装備では「155/65R14タイヤ+14インチスチールホイール(フルホイールカバー付)」が G・M とも標準、メーカーオプションの設定は無い。
取扱説明書の車両仕様の表では、155/65R14 75S の行のロードホイールは次のとおりだ。
| 項目 | 155/65R14 75S の行の値 |
|---|---|
| リムサイズ | 14×4.5J |
| P.C.D | 100mm(4穴) |
| インセット | 46mm |
ホイールの規格をもっと詳しく見たいなら、こちらにまとめてある。
交換するタイヤの決まり
取扱説明書は、タイヤを4輪同時に、指定サイズで同一銘柄・同一パターンのものに替えるよう求めている。サイズは運転席ドアの開口部の表示で確かめる。ロードホイールも指定サイズで同一種類を使い、リムサイズやインセットが同じでも他車用は使えない場合がある。交換後はホイールバランスを取り、バルブキャップは三菱の純正品を使う(純正以外は腐食して固着することがあり、工具で強く締めると破損するおそれもある)。
4WD の B36W(タイヤは同じ155/65R14)は、取扱説明書が特に注意を求めている。摩耗差やサイズ違いのタイヤでは ASC が正常に作動しないことがあり、回転差を吸収する機構に負荷がかかって過熱するおそれがある。
冬用タイヤ・タイヤチェーン・ローテーション
冬用タイヤも、取扱説明書では「4輪とも指定サイズで同一の銘柄、パターン(溝模様)のものに交換してください。」とされている。タイヤチェーンは必ず前2輪に付け、タイヤサイズに合うものを選ぶ。雪のない舗装路では外して走る。チェーンを付けると、ホイールカバーに傷がつくおそれがある。
ローテーションは、左右それぞれで前後のタイヤを入れ替える。取扱説明書は約5,000kmごとの実施をすすめており、入れ替えと同時に空気圧も点検する。冬用タイヤの銘柄選びは、こちらが参考になる。
パンクしたときの応急修理キット
確認日時点の取扱説明書では、B33W にスペアタイヤとジャッキは標準で搭載されておらず、パンクはラゲッジルームのパンクタイヤ応急修理キット(修理剤とエアコンプレッサー)で応急修理する。キットは主要装備で G・M とも標準装備だ。
ただし、次のときはキットで直せない。
- 約4mm以上の切り傷や刺し傷、タイヤのサイド部の損傷がある
- ほぼ空気が抜けた状態で走った、タイヤがホイールから外れた、ホイールが破損した
- 2本以上がパンクした、修理剤の有効期限が切れている
修理後は80km/h以下で注意深く走る。修理後に長期間の走行はできない。すみやかに三菱の販売会社か専門の修理業者で点検を受け、恒久修理かタイヤ交換をする。修理剤を使ったタイヤは、新しいタイヤへの交換がすすめられている。
よくある質問
B33W にジャッキは付いている?
確認日時点の三菱の公式サイトの取扱説明書(ウェブ版)では、B33W にジャッキは標準で搭載されておらず、別売だ。年式で違う可能性があるので、実車のラゲッジフロアボードの下で確かめる。
ホイールナットの締め付けトルクは?
B33W は、eKワゴン/eKクロスの取扱説明書(公式サイトのウェブ版)で98N・m(10kg・m)とされている。
ほかの車のジャッキは使える?
使わない。取扱説明書は、この車両専用のジャッキを使い、他車のジャッキは使用しないよう求めている。
ローテーションはどのくらいごと?
取扱説明書では約5,000kmごと。左右それぞれで前後を入れ替える。
トルクレンチが無いときは?
できるだけ早く、ガソリンスタンドや修理工場で規定のトルクの本締めを頼む(JAF)。
まとめ: 作業前のチェックリスト
- [ ] ラゲッジフロアボードの下に、B33W 専用のジャッキと工具がそろっている
- [ ] 実車のナットに合うレンチと、トルクレンチを用意した
- [ ] 取扱説明書の図で、ジャッキアップポイントの矢印の位置を見た
- [ ] 平坦で硬い場所に停め、対角線の位置のタイヤに輪止めをした
- [ ] B33W の本締めは98N・m、約100km走ったら増し締めの点検をする
同じ B33W のほかの手入れは、こちらにまとめてある。

コメント