夏タイヤとスタッドレスを自分で入れ替えるときに起きやすい失敗の1つが、車体の下の掛けやすそうな所にジャッキを当ててしまうことだ。マツダの取扱説明書は、指定位置以外にジャッキを掛けると車体が変形したり、ジャッキが外れたりするおそれがあると警告している。2015〜2018年の CX-3 DK5AW の場合、ジャッキを掛ける場所は取扱説明書に目印つきで決まっていて、ナットを締める強さも数値で示されている。
先に押さえる3つのこと(指定位置・ジャッキ・締め付けトルク)
2015〜2018年の CX-3 DK5AW が対象のマツダの取扱説明書(2015年2月〜の版と2017年6月〜の版)から、作業の要を先にまとめる。
- ジャッキアップ指定位置(ジャッキポイント)は、車体の下にある、目印となる2つのふくらみの間の中央。ジャッキはそこに直角にセットする
- 使うジャッキは、車に搭載されているジャッキ。取扱説明書はそれをその車専用のものとしている
- ホイールナットの締め付けトルクは108〜147N·m(12〜14kgf·m)。値が載っている版の範囲は「締め付けトルクと増し締め」の節に書く
あとの節では、この3つを準備から本締めまでの流れに沿って説明する。
対象の CX-3 DK5AW と取扱説明書の版
CX-3 DK5AW は、マツダ CX-3(DK)のうち車台番号が DK5AW で始まる型式だ。車種カタログでは、駆動方式は4WD、エンジンは1,500ccの水冷直列4気筒 DOHC 直噴ターボ(ディーゼル)として掲載されている。マツダの発売時のニュースリリースでは、CX-3 は2015年2月27日に「SKYACTIV-D1.5」専用車として発売され、4WD は「i-ACTIV AWD」、変速機は6EC-AT と6MT が設定された。
マツダはオーナーサポートで CX-3 の取扱説明書を版ごとに公開していて、DK5AW が対象になっている版は次の3つだ。
| 取扱説明書の版 | 対象の車台番号 |
|---|---|
| 2015年2月〜2016年10月 | DK5AW-100001〜 |
| 2016年11月〜2017年5月 | DK5AW-200001〜 |
| 2017年6月〜2018年4月 | DK5AW-200001〜 |
作業の前に、車検証の車台番号に合う版の取扱説明書を手元に用意する。この記事の数値や手順も、最後はその版で確かめてほしい。
作業前の準備
作業場所とシフト・パーキングブレーキ
取扱説明書が示す、ジャッキアップする前の準備は次のとおり。
- 交通の妨げにならず、平らで固く、安全に作業できる場所へ車を移動する
- マニュアル車はチェンジレバーを1速か R に、オートマチック車はセレクトレバーを P に入れる
- ブレーキペダルを踏んだままパーキングブレーキを確実にかけ、エンジンを止める
- 必要に応じて非常点滅灯を点け、停止表示板を使う
- 人や荷物を降ろし、工具とジャッキを取り出す
- 輪止めを用意する
取扱説明書は、チェンジレバーが1か R、セレクトレバーが P に入っていても、車が動いてジャッキが外れ、思わぬ事故につながるおそれがあると警告している。シフトとパーキングブレーキだけに頼らず、輪止めを必ず使う。
輪止めは対角のタイヤに
輪止めは、ジャッキを掛ける位置の対角にあるタイヤに置く。前輪を上げるときは後輪の前後、後輪を上げるときは前輪の前後だ。JAF もパンクしたタイヤの対角線上のタイヤに輪止めをかけるよう案内している。
取扱説明書によると、輪止めは標準装備ではない。マツダ販売店で買えるほか、タイヤを固定できる大きさの石や木材でも代用できる。
ジャッキの取り出し方
取扱説明書の手順では、ジャッキは荷室から次の順で取り出す。
- ラゲッジボードを開く
- ラゲッジボードを手前に引きながら、タブに立てかける
- Bose サウンドシステム装備車だけ、ラゲッジマットをめくる
- Bose サウンドシステム装備車だけ、サブトランクボックスを取りはずす
- カバーを取りはずす
- ちょうネジを左に回してはずし、ソケットをゆるめてジャッキを取り出す
自分でやるか、店に任せるか
迷ったら次の3つで決めればいい。規定トルク(108〜147N·m)で締められるトルクレンチがあるか。平らで固く安全な作業場所があるか。交換後の増し締めを自分でできるか。トルクレンチが無いなら、少なくとも本締めはガソリンスタンドや整備工場に頼む前提で計画する。3つとも当てはまらないなら、最初から店に任せたほうが早い。
ジャッキアップ指定位置と車載ジャッキの掛け方
指定位置の目印は2つのふくらみ
取扱説明書のジャッキアップ指定位置は、車体の下にある、目印となる2つのふくらみの間の中央だ。2015年2月〜の版と2017年6月〜の版で同じ内容になっている。
ただし、指定位置が車体のどのあたりにあるかは取扱説明書の図で示されていて、本文の文字には前後左右のどこかの説明が無い。作業の前に、手元の取扱説明書の図と車体の下を見比べて、ふくらみの位置を見つけておく。
なお、マツダの海外向けの英語版 CX-3 取扱説明書(2016年)では、取扱説明書が示す前後のジャッキアップ位置だけを使い、パンクしたタイヤに最も近い位置にジャッキを掛けるよう案内している。国内の DK5AW 向けの版ではないので、位置そのものは国内版の図で確かめる。
車載ジャッキの掛け方
取扱説明書の、車載ジャッキでジャッキアップする手順は次のとおり。
- ジャッキを掛ける位置の対角のタイヤに輪止めをする
- ジャッキを地面に置く
- ジャッキの所定の部分を手で回し、指定位置の近くまで上げる
- ジャッキを指定位置(目印となるふくらみの間)の中央に直角にセットする
- ジャッキをゆっくり上げ、指定位置に正しくはまっているかを確かめる
- ジャッキレバーをジャッキにかけ、レバーにホイールレンチを組み付ける
- タイヤが地面から少し離れるまで車を上げる
取扱説明書は、車に搭載されているジャッキを使うよう定め、それ以外のジャッキを使うと車体が損傷したり思わぬ事故につながったりするおそれがあると警告している。ジャッキはタイヤ交換とタイヤチェーンの取り付け・取りはずし以外には使わない。使ったあとの工具とジャッキは、走行中に動かないよう所定の位置に固定する。
フロアジャッキを使いたいとき
ガレージジャッキ(フロアジャッキ)を使う場合の掛け位置は、取扱説明書の文字からは確かめられない。取扱説明書は、指定位置以外にジャッキを掛けることと、ジャッキの上下に台やブロックを入れることを禁じている。フロアジャッキで上げたいなら、掛けてよい位置をマツダ販売店に確かめるか、作業を整備工場やタイヤ店に任せる。
タイヤ交換の手順
ジャッキアップの前後を含めた流れは次のとおりだ。
- タイヤが地面に着いたまま、ホイールナットを少しだけ緩める。キャップ付きのホイールはキャップを外してから緩める(JAF の手順)
- 前の節の手順で、タイヤが地面から少し離れるまで上げる
- ナットを外して、タイヤを付け替える
- ナットを取り付け、がたつきが無くなるまで2〜3回に分けて仮締めする(JAF の手順)
- 車体を下ろし、ジャッキを外してから規定のトルクで本締めする
マツダの海外向けの英語版 CX-3 取扱説明書でも、ジャッキで上げる前に各ナットを左回りに1回転ずつ緩め、タイヤが地面から離れるまではナットを外さない、としている。
締める順番について、タイヤメーカーのコンチネンタルは、正しいトルクで締めるために決まった順序で締めると説明している。ナットが5〜10個のホイールなら星を描くように、4個のホイールなら十字型に対角線の順で締める。自分のホイールのナットの数を見て、どちらの順番かを決める。
締め付けトルクと増し締め
取扱説明書の規定トルク
CX-3(DK)の取扱説明書が示すホイールナットの締め付けトルクは、108〜147N·m(12〜14kgf·m)。DK5AW が対象の2015年2月〜2016年10月の版と2017年6月〜2018年4月の版で同じ値だ。取扱説明書は、タイヤを取り付けるときはこのトルクでホイールナットを締め付けるよう案内している。
JAF は、強く締めすぎるとボルトが壊れることがあるとして、規定値を取扱説明書で確かめてトルクレンチを使うよう案内している。トルクレンチが無い場合は、できるだけ早くガソリンスタンドや整備工場で規定トルクでの本締めを頼む。
2段階で締め、締めすぎない
タイヤメーカーのコンチネンタルによると、整備士はまず規定トルクの半分の値にトルクレンチを設定して各ナットを締め、そのあと規定トルクに設定し直して正しい値まで締める。
同社は、ナットを締めすぎるとネジ山がつぶれたりホイールスタッドが伸びたりして重大な問題が起きる可能性があり、ブレーキのローターやハブが歪むこともあると説明している。どの車も同じトルクで締めてよいわけではなく、詳細はオーナーズマニュアル等に書かれている、とも述べている。
増し締めは50〜100kmが目安
コンチネンタルは、タイヤ交換後は50〜100kmを目安に走ってから、ナットを点検し、必要なら締め直すよう説明している。走行中はナットに荷重や力がかかり続けるうえ、取り付け時にゴミ・砂・サビがあると「偽のトルク」が出て適正に締まらないことがあり、最悪の場合は走行中にホイールが外れることもあるという。この距離はタイヤメーカーの一般的な目安で、マツダの指定ではない。
純正タイヤサイズと空気圧、冬用タイヤの注意
2015〜2018年の CX-3 DK5AW が対象の取扱説明書の標準タイヤは、次の2サイズだ。空気圧は4WD 車の値で、DK5AW は4WD の型式になる。
| タイヤサイズ | ホイール | 空気圧(4WD 車・前輪/後輪) |
|---|---|---|
| 215/60R16 95V | 16×6-1/2J・インセット50mm・ピッチサークル直径114.3mm | 250kPa(2.5kgf/cm2)/ 250kPa(2.5kgf/cm2) |
| 215/50R18 92V | 18×7J | 250kPa(2.5kgf/cm2)/ 250kPa(2.5kgf/cm2) |
取扱説明書では2WD 車の後輪は230kPa(2.3kgf/cm2)なので、2WD の CX-3 の情報と混同しないようにしたい。自分の車のタイヤサイズと適正空気圧は、運転席ドアを開けたボディー側に貼られたラベルで確かめる。
冬用タイヤについて、取扱説明書は前後輪とも必ず指定された同一サイズ、同一種類のものを使うよう定めている。指定された組み合わせ以外のタイヤを装着すると走行安定性が損なわれ、思わぬ事故につながるおそれがある。タイヤチェーンはタイヤサイズに合った純正品を準備し、使う前に一度装着して手順を覚えておく。
パンクしたときの応急修理キット
2015〜2018年の CX-3 DK5AW の取扱説明書によると、スペアタイヤは標準で搭載されていない(扱いはマツダ販売店に相談するよう案内している)。パンクに備えて格納されているのはタイヤパンク応急修理キットで、タイヤの接地面に刺さったくぎやネジなどによる軽度のパンクを一時的に修理するものだ。刺さったくぎやネジは抜かずに応急修理する。
ジャッキを使ったタイヤの付け替えは、主に季節ごとの入れ替えの作業と考えておくといい。
ジャッキアップ中にやってはいけないこと
取扱説明書の警告と注意をまとめる。
- ジャッキアップ指定位置以外にジャッキを掛けない
- ジャッキの上下に台やブロックなどを入れない(車体の変形やジャッキの外れのおそれ)
- 必要以上にジャッキアップしない(車体が不安定になる)
- ジャッキアップした状態でエンジンをかけない
- ジャッキアップした車の下には入らない(万一ジャッキが外れると重大な傷害のおそれ)
- 人を乗せたままジャッキアップしない
シフトとパーキングブレーキだけで車を止めておけると考えず、輪止めを併用する。
よくある質問
フロアジャッキはどこに掛ければいい?
取扱説明書の文字からは、フロアジャッキの掛け位置を確かめられない。マツダ販売店に掛けてよい位置を確かめるか、作業を整備工場やタイヤ店に任せる。
ホイールナットの締め付けトルクは?
2015〜2018年の CX-3 DK5AW が対象の取扱説明書(2015年2月〜2016年10月の版と2017年6月〜2018年4月の版)では108〜147N·m だ。車体を下ろしてからトルクレンチで本締めする。
増し締めはいつすればいい?
タイヤメーカーのコンチネンタルの一般的な目安では、交換後に50〜100km 走ってからだ。マツダの指定ではないので、目安として使う。
スペアタイヤは積まれている?
2015〜2018年の CX-3 DK5AW の取扱説明書によると、標準では搭載されていない。代わりにタイヤパンク応急修理キットが格納されている。
まとめ:作業の前に確かめること
- 車検証の車台番号に合う版の取扱説明書を手元に用意したか
- ジャッキアップ指定位置(2つのふくらみの間の中央)を取扱説明書の図で確かめたか
- 車に搭載されているジャッキと輪止めを用意したか
- 108〜147N·m(DK5AW が対象の2015年2月〜2016年10月の版と2017年6月〜2018年4月の版の値)で締められるトルクレンチがあるか。無いなら本締めを頼む先を決めたか
- 50〜100km 走ったあとの増し締め(コンチネンタルの一般的な目安)を予定に入れたか
同じ CX-3 DK5AW のほかの作業や、マツダのほかの車種のタイヤ交換は次の記事にまとめている。

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