WR-V(DG5)のタイヤを自分で替えるとき、最初の分かれ道は、手元にこの車専用のジャッキがあるかどうかだ。WR-V の取扱説明書(2024年版・2026年版)には「この車には、ジャッキが標準で搭載されていません。」とあり、ジャッキアップには別売りの専用ジャッキが要る。もう1つの分かれ道は16インチタイヤ装備車か17インチタイヤ装備車かで、指定空気圧が変わる。道具がそろっているなら当て方と手順へ、まだなら用意する道具の節から読み進めてほしい。
WR-V のジャッキポイントへのジャッキの当て方
WR-V の取扱説明書では、ジャッキは交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの下に置き、ジャッキの上部がジャッキポイントに当たるまで回して、ジャッキの溝にジャッキポイントがはまったことを確かめるよう書かれている。ジャッキポイント以外にはかけない。
ジャッキポイントの位置は取扱説明書の図で示されていて、本文の文章では位置を言葉で説明していない。作業の日より前に自分の車の取扱説明書の図を開き、車体と見比べておくと当日に迷わない。
対象は型式 5BA-DG5 の WR-V で、車台番号は DG5- で始まる。取扱説明書は2024年版と2026年版が公開されている。
もう1つ先に知っておきたいのがスペアタイヤの有無だ。Honda のよくあるご質問では、WR-V はどのタイプもスペアタイヤを搭載しておらず、代わりに応急修理キットを積んでいると案内している(取扱説明書にも「スペアタイヤの装備はありません。」とある)。ジャッキを使うのは、冬タイヤへの履き替えのように替えのタイヤが手元にある場面と考えておく。
作業の前に確かめる値(タイヤサイズ・空気圧・締め付けトルク)
WR-V(DG5)の取扱説明書(2024年版・2026年版)の車両仕様一覧に載る値を表にまとめた。
| 項目 | 16インチタイヤ装備車 | 17インチタイヤ装備車 |
|---|---|---|
| タイヤ | 215/60R16 95H | 215/55R17 94V |
| ホイール | 16×7J | 17×7J |
| 指定空気圧(前輪) | 220kPa(2.2kgf/cm2) | 230kPa(2.3kgf/cm2) |
| 指定空気圧(後輪) | 210kPa(2.1kgf/cm2) | 220kPa(2.2kgf/cm2) |
ホイールナットの締め付けトルクは、取扱説明書のタイヤのローテーションの項に 108 N・m(11 kgf・m) と載っている。トルクレンチはこの値に合わせる。
自分の車がどちらのインチかは、運転席横の車体に貼ってあるラベルで確かめられる。指定サイズと指定空気圧はこのラベルにも載っている。Honda の WR-V のカタログでは、Z は17インチアルミホイール(ベルリナブラック+切削)、Z+ と Z の特別仕様車 BLACK STYLE は17インチアルミホイール(ベルリナブラック)+ブラックホイールナットとなっている。カタログのこのページには X のホイールの記載は無いので、X ならラベルで確かめる。
空気圧はタイヤ温度が低いときに測り、指定空気圧になるまで空気を入れるか抜く。
用意する道具と、別売りのジャッキを選ぶときの確かめどころ
取扱説明書の工具の一覧
取扱説明書の工具の一覧では、ジャッキハンドルバー(別売り)・ホイールナットレンチ(兼ジャッキハンドル)(別売り)・ジャッキ(別売り)・マイナスドライバー・アイボルトが載っている。工具類はカーゴスペース内に収納できる。ナットを回すレンチも別売りなので、交換の日より前にジャッキとレンチをそろえておく。
ジャッキはこの車専用の物を基本にする
WR-V の取扱説明書は、この車専用のジャッキ(別売り)を使うよう書き、ほかのジャッキでは呼荷重が足りなかったり、形状が合わなかったりすることがあるとして、Honda 販売店への相談を案内している。家にある市販のジャッキを使いたいなら、呼荷重が足りるか、ジャッキの溝がジャッキポイントにはまる形か、の2点を販売店に相談して確かめる。迷うなら専用のジャッキを選ぶのが近道だ。
トルクレンチと輪留めも用意する
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、ナットを正しく締めたり緩めたりするにはトルクレンチという専用の工具が要るとしている。輪留めは、交換するタイヤの対角線上にあるタイヤの前後に置く物で、取扱説明書のジャッキアップの手順にも入っている。
ジャッキアップの手順と守ること
取扱説明書の手順
- 地面が固く平らで滑りにくい場所に停め、パーキングブレーキをかけ、シフトを P に入れ、パワーモードを OFF にする。
- 交換するタイヤの対角線上にあるタイヤの前後に輪留めをする。
- 交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの下にジャッキ(別売り)を置き、前の節の当て方で溝にはまったことを確かめる。
- ジャッキハンドルとジャッキハンドルバー(いずれも別売り)を奥まで差し込んで使い、タイヤが地面から離れるまで車体を持ち上げる。
持ち上げる前にナットを少し緩めておく
乗りものニュースの交換手順の解説では、車種を限らない一般の手順として、ジャッキをかけたら車を持ち上げる前にレンチでナットを少しだけ緩めておくとしている。タイヤを替えられる高さまで上がったらリジッドラックをかけ、用意できないときは代わりの備えとして、車体の下に交換するタイヤ・ホイールを置いておく。リジッドラックをかける位置は自分で決めず、販売店に確かめてから使う。
守ること(取扱説明書の警告と注意)
取扱説明書は警告として、車がジャッキだけで支えられているときは、車の下に入らないよう書いている。車がジャッキから外れて、下にいる人が重大な傷害を負うおそれがある。車体の下に置いたタイヤは万一の備えで、体を入れてよい理由にはならない。
注意として挙がっているのは次の6つだ。
- エンジンをかけたままにしない
- 地面が固い平らなところ以外では使用しない
- ジャッキポイント以外にかけない
- 人や荷物を乗せたままにしない
- ジャッキ使用中に車内に入らない
- ジャッキの上や下にものを入れたりしない
タイヤの付け外しとナットの締め方
締める順番と2段階の締め付け
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、ナットが5〜10個あるホイールは星を描く順、4個のホイールは十字の対角線順に締める。整備士は、まず規定トルクの半分にトルクレンチを合わせて各ナットを締め、そのあと規定トルクに合わせ直して締めるという。自分の車のナットの数を数えてから順番を決める。
締める前に、ナットのネジ部や、ナットとホイールの間のゴミ・砂・サビを取る。汚れがあると偽のトルクが出て、正しく締まらないことがある。締めすぎるとネジ山がつぶれたりホイールスタッドが伸びたりし、ブレーキのローターやハブが歪むこともある。反対に緩いと、走行中にホイールが外れるおそれがある。
着地させてから規定トルクで締める
乗りものニュースの交換手順の解説では、ナットを地面に近い位置から対角線の順に締め、ジャッキをゆっくり下ろして着地させてから、最後にトルクレンチで規定トルクで締める。WR-V なら、着地後にトルクレンチを取扱説明書の 108 N・m に合わせて締める。
50〜100km 走ったら点検する
コンチネンタルの解説では、タイヤ交換のあと 50〜100km を目安に走ってからナットを点検し、必要なら締め直すとしている。整備工場などでは、この距離を走った車に無料の増し締めをしていることが多い、ともある。自分で替えたときほど、この点検を予定に入れておきたい。
冬タイヤやアルミホイールに履き替えるときの注意
4輪とも同じタイヤにそろえる
取扱説明書のタイヤとホイールの交換の項では、タイヤは4輪とも同一指定サイズ・同一種類・同一銘柄で摩耗差のないものを使うよう書いている。違うと運転に関わるシステムが正常に働かなくなったり、動力伝達装置に悪い影響が出たりするおそれがある。4輪同時の交換を勧め、難しいときは前輪または後輪の左右をセットで交換する。ホイールは仕様が純正ホイールと同じものか確かめる。
純正アクセサリーのアルミホイールに替えるとき
Honda 純正アクセサリーのアルミホイールの案内では、WR-V 用の16インチ(16×7J・PCD114.3mm・インセット55mm)は16インチホイール装備車用で、スチールホイール装備車に付けるときはアルミホイール用ホイールナットが必要とされている。17インチ(17×7J・PCD114.3mm・インセット55mm)は17インチアルミホイール装備車用だ。どちらも標準装備のホイールサイズからのインチダウン・インチアップはできない。スチールホイールからアルミホイールに履き替えるときは、ナットもホイールに合う物か確かめる。
ローテーションの時期と回転指示マーク
取扱説明書のタイヤのローテーションの項では、特定のタイヤだけが偏って減らないよう、5,000km 走行したときにローテーションをするよう案内している。入れ替え方は図で示され、回転指示マークのあるタイヤはマークが前へ向くように取り付ける。季節の履き替えでタイヤを外すときに、付ける位置もあわせて決めておくと手間が1回で済む。
WR-V は FF(前輪駆動)だけで、4WD の設定は無い。雪道に出るなら、チェーンの選び方もあわせて確かめておく。
出先でパンクしたとき(スペアタイヤが無い WR-V の対応)
WR-V はスペアタイヤを積んでいないので、出先のパンクは、応急修理キットで一時的に補修できる場合と、けん引や販売店・ロードサービスへの連絡が要る場合に分かれる(分かれ目は下の節)。Honda は、キットの収納場所と付属の説明書を前もって確かめておくよう案内している。
まず安全な場所に停める
取扱説明書のパンクの項では、ハンドルを持ったままブレーキで徐々に減速し、安全な場所に停めるよう書いている。固く水平で滑りにくい場所を選び、パーキングブレーキをかけ、シフトを P に入れ、非常点滅表示灯をつけ、パワーモードを OFF にする。タイヤの傷みが大きいときはけん引が要る。小さな穴なら、付属の応急修理キットで一時的に補修して販売店まで走れる。刺さったくぎなどは抜かない(抜くと応急修理ができなくなることがある)。
応急修理キットが使えない場合
取扱説明書では、次のときは応急修理キットが使えず、Honda 販売店かロードサービスに連絡する。
- 応急修理剤の有効期限が切れている
- タイヤが2本以上パンクしている
- 約4mm以上の切り傷や刺し傷によるパンク
- 路面に接する部分以外の傷
- ほぼ空気が抜けた状態で走った
- タイヤがホイールから外れている
- ホイールが壊れている
コンプレッサーで10分以内に指定空気圧に届かないときも、応急修理はできない。
応急修理の後に守ること
修理の後は、10分または 5km 走ったあと安全な場所に停めて空気圧を確かめる。空気圧が 130kPa 未満なら修理できないので、運転をやめて連絡する。法定速度を守り、高速道路では 80 km/h 以下を守り、急ブレーキ・急ハンドルを避け、速やかにタイヤの修理か交換をする。キットでの補修は一時的なもので、そのまま使い続けるものではない。
コンプレッサーは車のアクセサリーソケット(12V 専用)から電気を取り、連続の使用は15分以内とされている。応急修理剤は有害で、一酸化炭素がたまる密閉された場所では作業しない。
よくある質問
WR-V にジャッキは積まれている?
WR-V(DG5)の取扱説明書(2024年版・2026年版)では、ジャッキは標準で搭載されていない。ジャッキアップには、この車専用のジャッキ(別売り)が要る。ホイールナットレンチも別売りだ。
ホイールナットの締め付けトルクは?
WR-V(DG5)の取扱説明書のタイヤのローテーションの項に載る値は 108 N・m(11 kgf・m)。社外のホイールやナットに替えたときは、その製品の説明書もあわせて確かめる。
空気圧はいくつに合わせる?
WR-V(DG5)の取扱説明書の車両仕様一覧では、16インチタイヤ装備車は前輪 220kPa・後輪 210kPa、17インチタイヤ装備車は前輪 230kPa・後輪 220kPa。どちらの車かは運転席横の車体のラベルで分かる。
交換の後に増し締めは要る?
タイヤメーカーのコンチネンタルの解説では、50〜100km を目安に走ってからナットを点検し、必要なら締め直すとしている。
タイヤの替えどきはどこで見る?
取扱説明書のタイヤの点検の項では、接地面のウェアインジケーター(摩耗限界表示)はほかの部分より溝が 1.6mm 浅く、接地面が減ってこれと同じ高さになったら交換するとしている。タイヤがつぶれているように見えたら、すぐに空気圧を確かめる。
まとめ
WR-V(DG5)でタイヤ交換を始めるなら、まず用意するジャッキの候補を1つに絞り、そのうえで呼荷重とジャッキポイントへのはまり方を Honda 販売店に確かめてから買う。取扱説明書(2024年版・2026年版)では、ジャッキもホイールナットレンチも別売りだ。
- ジャッキは交換するタイヤにもっとも近いジャッキポイントの下に置き、溝にはまったことを確かめる。位置は取扱説明書の図で見る
- ナットは着地させてから、トルクレンチで 108 N・m に締める
- 空気圧は16インチと17インチで違うので、運転席横のラベルで自分の車の値を見る
- スペアタイヤは無い。出先のパンクは、小さな穴なら応急修理キットで一時的に補修して販売店まで走り、速やかに修理か交換をする。タイヤの傷みが大きいときはけん引が要り、キットが使えない場合(パンクの節の一覧のとき)は Honda 販売店かロードサービスに連絡する

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