峠の手前でチェーン規制の表示に出くわしたとき、荷室にチェーンが積んであるかどうかで引き返すか進むかが決まる。WR-Vのタイヤチェーンは前輪2本に装着し、いま履いているタイヤのサイズに合う製品を選ぶ。WR-Vの取扱説明書(車両仕様一覧)によると純正タイヤは215/60R16と215/55R17の2種類しかないので、選択肢は実質この2択に絞られる。通販の商品名に並ぶ車種名ではなく、タイヤサイズで適合が決まる。
WR-Vのチェーン選びで先に決まっている2つのこと
迷いどころは多いようでいて、装着する場所と対応サイズの2点は車の側で決まっている。残りは予算と好みの問題だ。
| 項目 | WR-V(DG5)の場合 |
|---|---|
| 装着する車輪 | 前輪2本 |
| 純正タイヤサイズ | 215/60R16 95H または 215/55R17 94V |
| リムサイズ | 16×7J または 17×7J |
| 自車サイズの確認先 | 運転席横の車体ラベル |
| 装着時の速度 | 30km/h以下 |
取扱説明書の「冬期のタイヤ」には、タイヤチェーンは前輪に装着し、後輪には装着しないよう明記されている。4本セットを買う必要はなく、前輪用の2本1組で足りる。
サイズについても同じ取扱説明書が「タイヤサイズに適合したチェーンを装着する」ことを求めている。商品名に「WR-V専用」「DG5型に適用」と書かれていても、それはメーカーの適合表と同じ重みを持たない。とくに社外ホイールに替えている車や、スタッドレスを純正と違うサイズで組んでいる車は、車体ラベルの数字と現物が食い違うことがある。買う前に見るのは現物のタイヤ側面と、商品ページの適合サイズ表だ。
自分のWR-Vが16インチか17インチかを確かめる
運転席横のラベルを見る
取扱説明書が案内している確認先は、運転席横の車体に貼ってあるラベル。ドアを開けたところの柱、あるいはドアの縁に貼られている。ここに指定タイヤサイズと空気圧が書かれている。タイヤ側面の刻印を読む方法もあるが、まずはラベルを見るのが早い。
Honda公式サイトのタイプ紹介では、Z+とZの特別仕様車BLACK STYLEが17インチアルミホイールを装備するとされている。ただしX・Z・Z+の標準仕様それぞれが何インチかは公式のウェブページ上で確認できなかったため、グレード名からサイズを逆算するのは避けたい。グレードで判断せず、ラベルの数字で判断する。
ホイールを替えている場合
ホンダアクセスの純正アルミホイールの仕様では、16×7J・17×7Jのいずれもインセット55mm・PCD114.3mmで、インチダウン・インチアップはできないと案内されている。純正の想定は16インチと17インチの2択という前提だ。社外ホイールでサイズを変えている車のチェーン適合は、純正の2サイズの情報からは判断できない。その場合は現物のタイヤサイズを読み取り、そのサイズが適合表に載っている製品を探すことになる。
前輪に付けるのはWR-Vの成り立ちによる
Honda公式サイトのQ&Aには「WR-VはFFのみで、4WDの設定はございません。」と明記されている。発売時のニュースリリースでも全グレードFFとされており、エンジンの力がかかるのは前輪の2本だけだ。
国土交通省がまとめているチェーン規制の説明でも「駆動輪にタイヤチェーンを着けることが基本です」とされている。駆動輪=前輪という車の構造と、取扱説明書の前輪装着指示は同じ結論を指している。4WD車なら前後どちらに付けるかで議論になる場面もあるが、WR-Vにその迷いはない。後輪への装着は取扱説明書が禁じている操作なので、余った1組を後ろに回すといった使い方もしない。
チェーンには3つのタイプがある
国土交通省がまとめているチェーン規制の説明では、自動車用品店などで売られているものであれば問題ないとしたうえで、次の3種類が挙げられている。逆に、薬剤を吹き付けるスプレー型では規制中の区間を通れないとされている。
| タイプ | 素材 | 性格 |
|---|---|---|
| 金属チェーン | 金属製のチェーンやワイヤー | 価格が抑えられ、雪への食いつきが強い。走行時の振動と音は大きい |
| ウレタン&ゴムチェーン | ゴムなどの樹脂 | 装着しやすく、走行中の振動と音が出にくい |
| 布製カバー | アラミドなどの特殊繊維 | 収納が最も小さく装着が速い。走れる距離と路面は限られる |
非金属タイプには品質の目安になる制度もある。JASAA(日本自動車交通安全用品協会)の認定制度の説明では、協会規格JASA432に基づいて製造され、認定委員会立会いのもとでの実車走行試験に通った製品が認定品になるとされている。耐久性能は600km以上、高速道路本線やインターチェンジの坂道走行、トンネル内での装着走行などの試験が課される。認定マークは収納ケースの外側に、認定票はチェーン本体に表示されるので、店頭でも現物で見分けられる。認定の対象は主に乗用車用の非金属製チェーンで、トラック用途やスパイクタイヤへの使用は対象外とされている。
純正スチールチェーンを価格の物差しにする
ホンダアクセスの純正アクセサリー情報では、WR-V用のタイヤチェーン(スチール製)が2品番用意されている。215/60R16タイヤ用が08T01-621-A01、215/55R17タイヤ用が08T01-621-B02で、価格はどちらも25,300円(税抜23,000円)。純正側もタイヤサイズごとに品番を分けているという事実そのものが、サイズで選ぶという原則の裏付けになる。
ただし条件が1つある。この純正チェーンには「※スタッドレスタイヤには装着できません。」という注意書きが付いている。冬はスタッドレスに履き替えたうえで、規制区間に備えてチェーンも積んでおきたい——という使い方を考えている人にとっては、純正は最初から候補から外れる。あわせて「※タイヤサイズを確認してお買い求めください。」とも案内されている。
社外品はこの25,300円を上限の目安として見ればいい。冬の出費全体で予算を組むなら、他の装備との兼ね合いも先に見ておきたい。
社外品を見るときの4つの軸
1. 適合サイズ表に自分のサイズがあるか
最優先はここ。商品ページの適合サイズ表に215/60R16または215/55R17の記載があるかを確認する。チェーンはタイヤの外径と幅に合わせて寸法が決まる部品で、車種名だけでは決まらない。純正チェーンがサイズごとに品番を分けているのと同じ理屈だ。
2. どのタイプにするか
年に1〜2回、スキー場の駐車場までの数kmで使うなら布製カバーでも用が足りる。冬に何度も雪道を走る、あるいは規制区間の峠を越える予定があるなら、走行距離に耐える金属または非金属のチェーンを選びたい。判断の基準は「何km、どんな路面を走るか」で、価格ではない。
3. 装着方式と収納性
雪の降る路肩で、手袋をしたまま作業することになる。ジャッキアップ不要をうたう製品か、車を動かさずに1本を装着し切れるか、収納ケースが荷室のどこに置けるサイズか。手順の少なさがそのまま実用性になる。分割された小片を複数個タイヤにはめる緊急脱出型は、価格が安く収納も小さい代わりに、面での接地ではなく点での引っかかりになる点が他のタイプと違う。
4. 認定表示の有無
非金属チェーンなら、JASAA認定品かどうかが分かりやすい目安になる。表示が見当たらない製品は認定品ではないものとして扱い、適合サイズ表と購入者のレビューで判断材料を補う。
WR-V向けとして販売されているチェーン4製品
在庫と適合の確認が取れた製品を、性格の違いが分かる順に並べる。価格はいずれもAmazonの実売価格(確認時点)で、季節によって動く。どの製品も、購入前に適合サイズ表で自分のタイヤサイズを確かめる手順は省けない。
| 製品 | タイプ | 実売価格(確認時点) |
|---|---|---|
| RDRDN 非金属チェーン | ウレタン・ゴム系 | 11,189円 |
| WOIHM 非金属チェーン | ウレタン・ゴム系 | 10,999円 |
| RDRDN スノーソックス | 布製カバー | 6,599円 |
| ZTIUR ゴム製10個セット | 分割装着型 | 3,499円 |
全周タイプの非金属チェーン
タイヤの接地面を全周にわたって覆うタイプ。サイズ調節機構を備え、ジャッキアップなしで装着できるとされている。純正スチールチェーンの半分以下の価格で、スタッドレスタイヤの上からも使える選択肢になる。
RDRDN WR-V DG5型用 非金属タイヤチェーン 全周タイプ サイズ調節可
同じ性格でもう1つ。車両を動かさずに装着できるとうたう製品で、価格帯もほぼ同じ。この2つはどちらを選んでも役割は変わらないので、適合サイズ表の記載と購入者のレビューで決めればいい。
WOIHM WR-V DG5型用 非金属タイヤチェーン 2024改良型
布製のスノーソックス
タイヤに布のカバーをかぶせる方式。収納が小さく、荷室の隅に常備しておける。装着の速さでは他のタイプに並ぶものがない。国土交通省の説明でも布製カバータイプは規制中に使えるものとして挙げられているので、規制対応という目的も果たす。ただし走れる距離と路面が限られるので、長い雪道を走り続ける使い方には向かない。
RDRDN WR-V DG5型用 スノーソックス 布製タイヤチェーン
分割装着型
ゴム製の小片を10個、タイヤに順にはめていく方式。価格が最も低く、収納も小さい。ぬかるみや圧雪で動けなくなったときに脱出するための装備として割り切るなら選択肢になる。面ではなく点で路面をとらえる構造なので、常用ではなく非常用に置く位置づけになる。取扱説明書は乾燥路面でチェーンを装着したまま走ることを避けるようにしているので、脱出したら外すという使い方とも噛み合う。
ZTIUR WR-V DG5型用 ゴム製スノーチェーン 10個セット 緊急脱出向け
WR-Vの冬支度を他の装備とまとめて考えるなら、こちらも参考になる。
雪が降る前にやっておく
自宅の駐車場で一度付けてみる
買ったチェーンは、雪が降る前に自宅で一度装着してみる。暗くて寒い雪道の路肩が初装着の場になると、説明書を読む余裕も手先の自由も効かない。試着で手順と所要時間を体に入れておけば、当日にチェーンを付けるか引き返すかの判断も速くなる。
装着当日の流れ
取扱説明書に沿った手順はこうなる。平坦で安全な場所に停める。前輪2本にチェーンを装着する。取扱説明にしたがって張り具合を整える。少し走ってから増し締めや張り直しをする。ブレーキラインやサスペンションと接触していないかを確認する。そのうえで30km/h以下で走る。走行中に車体に当たる音がしたら、そのまま走り続けずに停めて確認する。
雪が切れて乾いた路面が続く区間に入ったら外す。取扱説明書は乾燥路面での装着走行を避けるよう記載している。
使ったあとは融雪剤や泥を洗い流し、水気を切って乾かしてから収納する。濡れたまま袋に戻すと次の冬に出したときの状態が悪い。金属タイプはとくに錆の進みが早い。
チェーンの脱着で靴に付いた雪は、そのまま車内に持ち込まれる。足元の水対策も冬支度の一部だ。
チェーン規制と、冬の路面での義務は別の話
国土交通省がまとめているチェーン規制の説明によると、規制が実施されるのは大雪特別警報や大雪に対する緊急発表が行われるような異例の降雪があるとき。対象は急な上り下りがある峠など、過去に雪による立ち往生や通行止めが起こった場所のうち、チェーンの着脱場所と待機場所がある区間で、国道と高速道路を合わせて14箇所が指定されている。目的は通行止めの時間を短くすることにある。
この規制中は、スタッドレスタイヤを着けていてもタイヤチェーンをしていない車は通れない。4WD車についても、重量が大きく下り坂での制動距離が長くなることから、チェーンなしでは通れないと説明されている。スタッドレスがあるからチェーンは要らない、という理解は規制の場面では成り立たない。
規制とは別に、日常的な義務もある。国土交通省の地方整備局の案内では、積雪または凍結した路面での冬用タイヤの装着などいわゆる防滑処置の義務が、都道府県道路交通法施行細則または道路交通規則で規定されている(沖縄県を除く)。違反行為には反則金が適用される場合があり、普通車で6千円、大型車で7千円とされている。
よくある質問
スタッドレスタイヤを履いていればタイヤチェーンは要らない?
普段の雪道はスタッドレスで走れるが、チェーン規制が出た区間はスタッドレスだけでは通行できない。規制区間を通る予定があるなら、両方を用意しておく必要がある。
WR-Vの後輪にタイヤチェーンを付けてもいい?
取扱説明書が後輪への装着をしないよう明記している。装着は前輪2本のみ。
布製のタイヤチェーンでもチェーン規制の区間を通れる?
国土交通省の説明では、布製カバータイプは金属チェーン・ウレタン&ゴムチェーンと並んで規制中に使えるものとして挙げられている。一方、薬剤を吹き付けるスプレー型では通れないとされている。
純正のスチールチェーンはスタッドレスタイヤにも使える?
使えない。ホンダアクセスの純正アクセサリー情報に、スタッドレスタイヤには装着できないという注意書きが付いている。
チェーンを付けたままどれくらいの速度で走れる?
取扱説明書は30km/h以下としている。高速道路の規制区間でも同じ制約がかかる前提で走る。
まとめ
WR-Vのタイヤチェーン選びは、前輪2本という装着位置と、215/60R16か215/55R17かというサイズの2点で決まる。取扱説明書(車両仕様一覧)が示すとおり純正タイヤは2種類だけなので、最初にやることは運転席横のラベルで自分の車のサイズを確認すること。そこが決まれば、あとは走る距離と予算でタイプを選べばいい。
そして買ったら、雪が降る前に一度付けてみる。当日の路肩で説明書を開くことにならないよう、手順を先に通しておく。冬支度をもう1つ進めるなら、視界を確保するワイパーも同じ時期に見直しておきたい。
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