タイヤ交換で見落としやすいのは、ジャッキをかける場所を車体の下の見た目で決めてしまうことだ。N-BOX(JF3)のジャッキポイントは、Hondaの取扱説明書の図で、車体側面の下部の前輪のすぐ後ろと後輪のすぐ前に示されている。交換するタイヤに最も近いジャッキポイントに、この車に積んである車載ジャッキをかけるのが取扱説明書の指示だ。
取扱説明書の図が示すジャッキポイントの位置
Hondaの取扱説明書の「ジャッキの取り扱い」の図では、ジャッキポイントは車体の側面の下部、サイドシルの下にある。示されているのは前輪のすぐ後ろと後輪のすぐ前の2か所だ。図の拡大部分では、車載ジャッキの上部の溝に、車体下部の縦向きの板状の部分がはまっている。ジャッキの溝にこの板状の部分を合わせる、と覚えておけばいい。
この図は車の左側面だけを描いたもので、右側面の図は無い。右側のタイヤを替えるときも、取扱説明書の本文にある「交換するタイヤに最も近いジャッキポイントの下にジャッキを置く」に従う。
使うジャッキについて、取扱説明書は「この車に搭載されているジャッキをお使いください」としている。ほかのジャッキは呼荷重が足りなかったり、形がジャッキポイントに合わなかったりすることがある、という趣旨の注意も添えられている。手元に別のジャッキがあっても、まずは車載ジャッキを使うのが筋だ。
この記事の対象はFFのN-BOX(JF3)
JF3は、2017年9月から2023年10月まで販売された世代のN-BOXのうち、FF(2WD)の型式だ(例: 6BA-JF3)。同じ世代の4WDは型式JF4(例: 6BA-JF4)になる。Hondaの発表では、この世代のN-BOXは2017年9月1日に発売され、FFと4WDがあった。この記事はJF3を対象に確かめた内容なので、JF4に乗っているなら、自分の車の取扱説明書で記載を確かめてほしい。
取扱説明書(Web版)の「ジャッキの取り扱い」は、2017年版と2021年版で同じ趣旨の記載になっている(ジャッキの取り出し場所、輪留め、後輪を替えるときのパワースライドドアのメインスイッチOFF、ジャッキポイント以外にかけない、車の下に入らない、搭載のジャッキを使う)。
自分の車の型式が分からなければ、先に見分け方を確かめておく。
車載ジャッキと工具の取り出し場所
ジャッキ・ジャッキハンドルバー・ジャッキハンドルは、スロープの有無で取り出し方が違う。
- スロープ非装備車: カーゴリッドを開けて取り出す
- スロープ装備車: 工具ボックスのリッドを持ち上げて取り出す
取扱説明書の2017年版・2021年版で同じ記載だ。なお、Hondaの発表の時点では、スロープ仕様は2018年春の発売予定とされていた。
作業を始める前に、ジャッキ・ジャッキハンドルバー・ジャッキハンドルがそろっているかを確かめておく。前の節のとおり、使うのはこの車載ジャッキだ。
ジャッキをかける前の準備
ジャッキを出す前に、車を次の状態にしておく。
- 地面が固く、滑らず、水平な場所に停める
- パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをPに入れ、パワーモードをOFFにする
- 交換するタイヤの対角線上にあるタイヤの前後に、石などで輪留めをする(右前を替えるなら左後ろ)
- パワースライドドアが付いた車で後輪のタイヤを替えるときは、パワースライドドアのメインスイッチをOFFにする
4つめは、誤って操作したときにドアが動くのを防ぐためだ。輪留めとメインスイッチOFFは忘れやすいので、ジャッキを置く前に済ませておく。
ナットを緩めてから車体を上げる
順番を間違えやすいのがここだ。ジャッキで上げる前に、タイヤが地面に着いた状態でホイールナットを少し緩めておく。
- ホイールナットを少し緩める
- 交換するタイヤに最も近いジャッキポイントの下にジャッキを置く
- ジャッキの上部がジャッキポイントに当たるまで回し、ジャッキの溝にジャッキポイントがはまったことを確かめる
- ジャッキハンドルとジャッキハンドルバーを使い、タイヤが地面から離れるまで車体を上げる
溝にはまったかどうかは、取扱説明書の図の拡大部分(車体下部の縦向きの板状の部分が溝に入った状態)と見比べると分かりやすい。
下ろしてから本締めする
タイヤを取り付けたら、ジャッキで車体を下ろしてから、ホイールナットを本締めする。
対角線の順に締める
ナットは、対角線上にあるものを順々に締めていく。ナットが4本のホイールなら、十字型に対角線の順で締める。
トルクレンチで規定の締付トルクまで締める
締め付けが緩くても、きつすぎても、タイヤの脱落事故につながる危険がある。締め付けすぎると、ネジ山がつぶれたり、ホイールスタッドが伸びたりする。本締めはトルクレンチを使い、規定の締付トルクまで締める。
規定トルクの値は車種ごとに違う。ところが、確かめたHondaのN-BOX/N-BOX Customの取扱説明書(Web版)のページ(車両仕様一覧の2017年版・2021年版、ジャッキの取り扱い、タイヤの点検、タイヤとホイールの交換)には、ホイールナットの締付トルクの値が書かれていない。値はHondaの販売店などで確かめてから作業する。
交換したあとの増し締め
タイヤメーカーのコンチネンタルの案内では、交換後50〜100kmを目安に走ってから、ホイールナットを増し締めする。これはタイヤメーカーの一般的な案内で、N-BOXの取扱説明書に書かれた距離ではない。履き替えた直後は、この増し締めまでを1回の作業と考えておくといい。
ジャッキアップ中にしてはいけないこと
取扱説明書が警告として挙げているのは、車がジャッキだけで支えられている間は、車の下に入らないことだ。ジャッキが外れると、重大な傷害につながるおそれがある。
ほかに、ジャッキを使っている間は次のことをしない(取扱説明書の注意)。
- エンジンをかけたままにする
- 固く平らな場所以外で使う
- ジャッキポイント以外にかける
- 人や荷物を乗せたままにする
- 車内に入る
- ジャッキの上や下に物を入れる
付けるタイヤのサイズと空気圧を確かめる
タイヤとホイールのサイズ
取扱説明書の車両仕様一覧(2017年版・2021年版)のタイヤとホイールは次のとおりだ。
| タイヤサイズ | ホイールサイズ | 載っている車 |
|---|---|---|
| 155/65R14 75S | 14×4 1/2J | N-BOX、N-BOX Custom |
| 165/55R15 75V | 15×4 1/2J | N-BOX Custom |
N-BOX Customには155/65R14の車と165/55R15の車があるので、自分の車がどちらかを先に確かめる。付けるタイヤは、同一指定サイズ・同一種類・同一銘柄で、摩耗差のないものを使う。ホイールごと替えるときは、仕様が純正ホイールと同じものか確かめる。
指定空気圧
| タイヤサイズ | 前輪 | 後輪 |
|---|---|---|
| 155/65R14 | 240kPa(2.4kgf/cm²) | 230kPa(2.3kgf/cm²) |
| 165/55R15(取扱説明書の2017年版) | 210kPa(2.1kgf/cm²) | 210kPa(2.1kgf/cm²) |
| 165/55R15(取扱説明書の2021年版) | 220kPa(2.2kgf/cm²) | 220kPa(2.2kgf/cm²) |
165/55R15装備車は、取扱説明書の版によって値が違う。指定サイズと空気圧は、運転席横の車体に貼ってあるラベルにも書かれている。自分の車の値は、このラベルで確かめる。
履き替えのついでにタイヤの状態を見る
外したタイヤも、これから付けるタイヤも、この機会に見ておく。ウェアインジケーターはタイヤの接地面にあり、ほかの部分より溝が1.6mm浅い。接地面がすり減ってウェアインジケーターと同じ高さになったら、タイヤを交換する。あわせて、激しい摩耗・傷・亀裂・異物が無いかも見る。
空気圧は、タイヤの温度が低いときに測る(取扱説明書の案内)。履き替えたら、走り出す前のタイヤが冷えているうちにラベルの値に合わせておくといい。
よくある質問
スペアタイヤは積んでいる?パンクしたらどうする?
N-BOX/N-BOX Customにはスペアタイヤの装備が無い。小さな穴のパンクは、タイヤパンク応急修理キットで応急修理する。キットが使えないのは、応急修理剤の有効期限が切れているとき、タイヤが2本以上パンクしているとき、約4mm以上の切り傷や刺し傷によるパンクのとき、側面など接地面以外が傷んでいるとき、空気がほぼ抜けた状態で走ったとき、タイヤやホイールが外れたり壊れたりしたときだ。損傷が大きいときはけん引が必要になる。
ガレージジャッキはどこにかければいい?
確かめた取扱説明書のページが示すジャッキポイントは、車載ジャッキをかける側面の位置だけだ。ガレージジャッキ(油圧式のフロアジャッキ)で車体の前や後ろの中央を持ち上げる位置は書かれていない。ほかのジャッキは形が合わないことがあるという注意もあるので、ガレージジャッキを使うなら、かける位置を販売店や整備工場で確かめてからにする。
ホイールナットの締付トルクは?
確かめた取扱説明書のページには値が書かれていない(「下ろしてから本締めする」の節を参照)。Hondaの販売店などで値を聞き、トルクレンチで締める。
タイヤは何本まとめて替えればいい?
取扱説明書では、4本を同時に交換することが勧められている。少なくとも、前輪か後輪の左右は一緒に交換する。
まとめ
最初にやるのは、車検証で型式と初度登録年月を確認することだ。型式がJF3なら、この記事が対象にしている車だ。
- ジャッキポイントは、取扱説明書の図で車体側面の下部の前輪のすぐ後ろと後輪のすぐ前。交換するタイヤに最も近い位置にかける
- 使うのは、この車に積んである車載ジャッキ
- 車がジャッキだけで支えられている間は、車の下に入らない
- ナットは上げる前に少し緩め、下ろしてから本締めし、走ったあとに増し締めする
- タイヤのサイズと空気圧は、運転席横のラベルで確かめる
N-BOX(JF3)のほかの整備やパーツ選びは、次の記事も参考にしてほしい。

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