ヘッドライトが片側だけ切れた、ウインカーを白熱球からLEDに替えたい。そんなときに最初につまずくのがバルブの型番選びだ。タントは初代L350Sから現行LA650Sまでの4世代で灯火の構成が大きく変わり、同じ世代でも標準車とカスタムでヘッドライトが別物になる。ロービームはハロゲン車がH4、純正HIDのカスタムがD4R、現行のLA650S系は純正LEDでバルブ交換そのものができない。純正球メーカーの電球適合表とバルブ専門店の適合データを突き合わせ、世代・グレード別の型番と間違えやすい落とし穴をまとめた。
タントのバルブ型番 世代別早見表
純正球メーカーであるポラーグの車種別電球適合表と、fcl.・LIGHT COLLECTIONの車種別適合表を照合すると、タントの灯火構成は次のように整理できる。カッコ内は主にカスタム系グレードに該当する仕様だ。
| 灯火の位置 | 初代 L350S/L360S | 2代目 L375S/L385S | 3代目 LA600S/LA610S | 4代目 LA650S/LA660S |
|---|---|---|---|---|
| ロービーム | H4(カスタム=D4R) | H4(カスタム=D4R) | H4(カスタム=純正LED) | 純正LED(交換不可) |
| ハイビーム | H4一体(カスタム=HB3) | H4一体(カスタム=HB3) | HB3 | 純正LED(交換不可) |
| フォグランプ | H8 | H8 | H16 | L1B |
| ポジション(車幅灯) | T10 | T10 | T10(カスタム=純正LED) | 純正LED(交換不可) |
| フロントウインカー | T20 ピンチ部違い | T20 ピンチ部違い | T20 ピンチ部違い | T20 ピンチ部違い/純正LED |
| リアウインカー | T20 ピンチ部違い | T20(カスタム=S25 ピン角違い) | T20(カスタム=S25 ピン角違い) | T20 ピンチ部違い |
| テール&ストップ | T20 ダブル | T20 ダブル(カスタム=S25 ダブル) | T20 ダブル(カスタム=純正LED) | 純正LED(交換不可) |
| バックランプ | T16 | T16 | T16 | T16 |
| ナンバー灯 | T10 | T10 | T10 | T10 |
表を縦に眺めると、世代が新しくなるほど純正LEDの範囲が広がり、電球を差し替えられる場所が減っていくのが分かる。一方でバックランプのT16とナンバー灯のT10だけは4世代すべてで共通しており、ここは世代を問わずLED化しやすい位置になっている。
型番を決めるのは「世代」と「グレード」の2つ
タントのバルブ選びで取り違えが起きるのは、車種名だけで型番を決めようとするときだ。同じタントでも、世代とグレードという2つの軸で中身が変わる。
車検証の型式欄で世代を特定する
手元の車がどの世代かは、車検証の「型式」欄で判別できる。L350S・L360Sなら初代、L375S・L385Sなら2代目、LA600S・LA610Sなら3代目、LA650S・LA660Sなら現行の4代目だ。末尾が偶数(L360S・LA610Sなど)の型式は4WD仕様を表すが、灯火の型番は2WDと共通と考えてよい。なお車検証の型式には「DBA-」「5BA-」といった類別区分の記号が頭に付くことがあるが、この部分は排出ガス規制の識別記号なのでバルブ選びには関係しない。
標準車とカスタムでヘッドライトが変わる
型番の分かれ目としていちばん大きいのがここだ。標準系のタントはロービームにハロゲンのH4を使うのに対し、タントカスタムは純正HID(D4R)や純正LEDを採用する。H4とD4Rは口金も点灯方式もまったく違うため、グレードを取り違えるとバルブが物理的に入らない。3代目LA600S系ではカスタムのロービームが純正LEDになり、ハイビームだけがHB3のハロゲン球という組み合わせになる。
同じ世代でも前期・後期で違う
3代目LA600S系は平成27年12月のマイナーチェンジを境に、標準車にもLEDヘッドランプの設定が加わった。そのため後期型では、同じ標準車でもH4の個体とLEDの個体が混在する。適合表の年式区分がH25.10〜H27.11とH27.12〜R1.6で分かれているのはこのためだ。年式が境目に近いときほど、実車のライトを見て確かめる価値がある。
初代 L350S/L360S(H15.11〜H19.11)のバルブ型番
初代タントは、標準車がハロゲンのH4ロービーム、カスタム系が純正HIDのD4Rという構成だ。ポラーグの電球適合表では、HID仕様車のロービームがD4R(42V35W)、ハイビームが9005=HB3(12V65W)と記載されている。
フォグランプはH8(12V35W)で、これは純正フォグを装着した個体に限った型番になる。ポジション(車幅灯)とナンバー灯はどちらもT10(12V5W)、ルームランプはT10とT10×31が位置によって使い分けられている。
前後のウインカーはT20のピンチ部違い(12V21W)、テールとストップを兼ねる球はT20のダブル球(12V21/5W)だ。バックランプはT16(12V16W)で、後方の灯火は素直な構成といえる。初代は純正LEDの部位がほとんどなく、4世代のなかではバルブ交換の自由度がいちばん高い。
2代目 L375S/L385S(H19.12〜H25.9)のバルブ型番
2代目も前後の基本構成は初代を踏襲しており、標準車のロービームはH4、カスタムは純正HIDのD4Rとハイビームのハロゲン球HB3という組み合わせになる。フォグランプは引き続きH8で、純正フォグ装着車が対象だ。
この世代で押さえておきたいのが、リア周りが標準車とカスタムで分岐する点だ。標準系はリアウインカーがT20のピンチ部違い、テール&ストップがT20のダブル球なのに対し、カスタム系はリアウインカーがS25のピン角違い、テール&ストップがS25のダブル球になる。T20とS25は口金の形そのものが異なるため、ここを読み違えると差し込めない。リアの球を買うときは、標準かカスタムかを先に決めてから型番を選びたい。
ポジションとナンバー灯はT10、バックランプはT16で、この3か所は初代から変わっていない。
3代目 LA600S/LA610S(H25.10〜R1.6)のバルブ型番
ミラクルオープンドアで人気を集めた3代目は、灯火のLED化が進み始めた世代だ。標準車のロービームはH4、カスタムは純正LEDが基本になり、カスタムのハイビームにはHB3のハロゲン球が入る。前述のとおり後期型では標準車にもLEDヘッドランプ車が存在する。
フォグランプの型番は、初代・2代目のH8からH16(12V19W)へ切り替わっている。H8とH16は口金がPGJ19系で似ているが別規格なので、旧型のH8を流用しようとすると噛み合わない。3代目のフォグを買うときはH16指定の製品を選ぶ。
ウインカーはフロントがT20のピンチ部違い(アンバー)、リアは標準車がT20、カスタムがS25のピン角違いという2代目と同じ分岐が続く。テール&ストップは標準車がT20のダブル球、カスタム系は純正LEDのため電球交換の対象にならない。バックランプT16とナンバー灯T10は変わらず共通だ。
4代目 LA650S/LA660S(R1.7〜・現行)のバルブ型番
令和元年7月に登場した現行タントは、灯火のほとんどが純正LEDに置き換わった。fcl.の適合表でも、ヘッドライト・ポジション・テール&ストップは純正LEDで交換用バルブの取り扱いがないと明記されている。現行タントで「バルブ交換」ができるのは、実質的にフォグランプ・リアウインカー・バックランプ・ナンバー灯の4か所に限られる。
フォグランプはL1Bという比較的新しいLED専用規格で、ハロゲン球のH8やH16は入らない。L1B対応をうたった製品を選ぶ必要がある。リアウインカーはT20のピンチ部違い、バックランプはT16、ナンバー灯はT10で、この3か所は従来の規格が残っている。
なお令和4年10月のマイナーチェンジ以降のLED仕様車では、フロントウインカーも純正LEDになる個体がある。ヘッドライトの中身が世代内でも動いているため、現行型こそ実車確認の価値が大きい。ヘッドライト自体を明るくしたい場合は、バルブ交換ではなくフォグランプユニットごと交換する手段が現実的な選択肢になる。
バルブ規格の読み方
型番のアルファベットと数字は、口金の形と点灯方式を表している。意味が分かると適合表が読みやすくなる。
H4・D4R・HB3 — ヘッドライト系
H4はハロゲン球で、1本のバルブにロービームとハイビームの2つのフィラメントが入った兼用タイプだ。だからH4の車には「ハイビーム専用の球」が存在しない。D4Rは放電管(HID/キセノン)で、バラストと呼ばれる安定器で高電圧を作って光らせる。HB3(9005)はハイビーム専用のハロゲン球で、ロービームがHIDやLEDの車に組み合わされる。
H8・H16・L1B — フォグランプ系
H8とH16はどちらもPGJ19系の口金を持つハロゲン球だが、ワット数と形状が違う別規格だ。タントでは初代・2代目がH8、3代目がH16と切り替わっている。L1Bは現行タントが採用するLED専用の規格で、ハロゲン球との互換性はない。
T10・T16・T20・S25 — 小型球の見分け方
Tから始まる型番はウェッジ球で、口金がガラスの根元から直接伸びた差し込み式だ。数字は直径をミリで表しており、T10が車幅灯やナンバー灯、T16がバックランプ、T20がウインカーやテールに使われる。SではじまるS25はバヨネット(BA15s系)と呼ばれる円筒形の金属口金を持つ球で、ピンをひねって固定する。タントのカスタム系リア灯火にはこのS25が使われる。
適合表に出てくる「ピンチ部違い」はT20の根元のくびれ形状の違い、「ピン角違い」はS25の左右のピンの高さが揃っていない構造を指す。どちらも誤挿入を防ぐための形状差なので、記載どおりの品を選ぶ。
LED化の前に押さえておきたい3点
型番が合っていても、LEDに替えたとたん不具合が出ることがある。事前に知っておくと手戻りが少ない。
ハイフラ(ウインカーの高速点滅)
ウインカーをLEDにすると消費電力が下がり、車が「球が切れた」と誤検知して点滅が速くなる。これがハイフラ現象だ。抵抗器を追加するか、ハイフラ防止抵抗を内蔵したLEDバルブ、あるいはICリレーへの交換で解消する。タントのウインカーをLED化するなら、抵抗内蔵タイプを選んでおくと配線作業が減る。
車検で見られる色と明るさ
保安基準では、ウインカーの色はアンバー(橙)、バックランプは白色と定められている。アンバー以外の色に光るウインカーや、色付きのバックランプは車検で指摘を受ける。ヘッドライトをLED化する場合は色温度だけでなく、光軸とカットラインが純正の配光から外れていないかが問われる。
純正LED部位は交換できない
早見表で「純正LED」と書いた位置は、LEDチップがランプユニットに直接組み込まれているため、球だけを抜き差しする構造になっていない。切れた場合はユニットごとの交換になり、費用も作業も別物だ。現行LA650S系のヘッドライトを社外バルブで明るくすることはできないため、明るさに不満があるならフォグランプ側で補う考え方に切り替えることになる。
よくある質問
タントのヘッドライトはH4ですか?
標準系のタントであればH4が基本になる。ただしタントカスタムは初代・2代目が純正HIDのD4R、3代目が純正LEDを採用しており、H4ではない。4代目のLA650S/LA660Sは標準・カスタムともに純正LEDでバルブ交換ができない。H4かどうかはグレードと世代で決まるため、車検証の型式とヘッドライトの光り方をあわせて確かめるのが確かな進め方だ。
タントカスタムのフォグランプの型番は?
世代で変わる。初代L350S系と2代目L375S系はH8、3代目LA600S系はH16、現行のLA650S系はLED専用規格のL1Bだ。いずれも純正フォグランプを装着した個体に限った型番になる。H8とH16は口金が似ているが別規格なので、世代をまたいだ流用はできない。
現行タント(LA650S)はバルブ交換できますか?
できる位置が限られる。ヘッドライト・ポジション・テール&ストップは純正LEDのため交換の対象外で、実際に手を入れられるのはフォグランプ(L1B)、リアウインカー(T20ピンチ部違い)、バックランプ(T16)、ナンバー灯(T10)の4か所になる。ヘッドライトを明るくしたい場合は、バルブではなくフォグランプユニットの交換で対応するのが現実的だ。
リアウインカーがT20とS25で分かれるのはなぜですか?
標準車とカスタムでリアコンビネーションランプの設計が違うためだ。2代目L375S系と3代目LA600S系では、標準系がT20のピンチ部違い、カスタム系がS25のピン角違いを使う。口金の形そのものが異なるので、グレードを取り違えると差し込めない。購入前にレンズを外して口金の形を見ておくと取り違えを避けられる。
バックランプの型番は全世代でT16ですか?
初代L350Sから現行LA650Sまで、バックランプはT16(12V16W)で共通している。ナンバー灯のT10とあわせて、この2か所は世代やグレードを問わず同じ規格が使われている数少ない位置だ。世代がまたがってもLED化しやすい部分といえる。
まとめ
タントのバルブ型番は、世代とグレードの2軸で決まる。ロービームは標準車がH4、カスタムが初代・2代目でD4R、3代目で純正LED、現行のLA650S系は標準・カスタムともに純正LEDで交換できない。フォグランプは初代・2代目がH8、3代目がH16、現行がL1Bと世代ごとに切り替わっている。リア周りは標準車がT20系、カスタムがS25系という分岐があり、ここが取り違えの多い箇所だ。一方でバックランプのT16とナンバー灯のT10は全世代共通で、迷いにくい。
車検証で型式を押さえ、標準かカスタムかを確認し、迷ったら実際にバルブを抜いて口金の形を見る。この3段階を踏めば、型番選びで失敗する余地はかなり小さくなる。

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