G45 の X3 で自分でタイヤを替えるときに見落としやすいのは、車載ジャッキの用途だ。BMW の X3 のオーナーズマニュアル(2025 年モデル・米国英語版)は、車載ジャッキを車輪交換のために短い時間だけ車を上げる物とし、夏用と冬用の履き替えのような頻繁な使用向けには作られていないとしている(日本仕様の取扱説明書と 2026 年モデル以降の版は確かめていない)。同じ取扱説明書では、ジャッキは交換する車輪に最も近いジャッキポイントの長方形のくぼみに差し込み、ホイールボルトは対角の順に 140N・m で締めるとしている。
G45 のタイヤ交換の要点
位置と数値を先に表にまとめる。値はどれも X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)の記載で、ほかの版での確かめ方は次の節に書く。
| 項目 | 2025 年モデルの取扱説明書(米国英語版)の記載 |
|---|---|
| ジャッキを掛ける所 | 交換する車輪に最も近い、ホイールハウス横のジャッキポイントの長方形のくぼみ |
| 上げる高さ | 交換する車輪が地面から最大 3cm 浮くまで |
| 締め付けトルク | 140N・m(101 lb ft)。対角の順に締める |
| 締まりの確認 | 校正されたトルクレンチで確かめる |
| 車載ジャッキの用途 | 車輪交換のために短い時間だけ上げる物。季節の履き替えのような頻繁な使用向けではない |
対象の車と手順の出典
英語版 Wikipedia の BMW X3 (G45) の項目によると、G45 は X3 の第 4 世代で、第 3 世代の G01 の後継にあたる。2024 年 6 月 19 日に発表され、生産は 2024 年 8 月から。モデルイヤーは 2025 年からで、北米と欧州では 2025 年モデルとして 2024 年後半に売り出された。Car Watch の発売の記事によると、日本では 2024 年 11 月 28 日に発売され、グレードは X3 20 xDrive xLine(2.0L 4 気筒ガソリンターボ)・X3 20d xDrive M Sport(2.0L 4 気筒ディーゼルターボ)・X3 M50 xDrive(3.0L 6 気筒ガソリンターボ)で、どれも 8 速 AT・4 輪駆動の xDrive・48V マイルドハイブリッドとされる。
手順と数値は、BMW の X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)の記載による。2025 年モデルの X3 の取扱説明書は G45 の世代に当たる。ただし取扱説明書自身が、仕向け地によって装備と記載が違うことがあると断っている。日本仕様の取扱説明書(オーナーズ・ハンドブック)の本文と、2026 年モデル以降の版は確かめていない。作業の前に、自分の車の取扱説明書(車のディスプレイで見られる取扱説明書を含む)で同じ記載を確かめてほしい。
作業の前に工具と応急用タイヤを確かめる
BMW の X3 のオーナーズマニュアル(2025 年モデル)では、パンク修理キットを使う場合は路上で空気圧が下がってもすぐに車輪を交換しなくてよいことがあるとし、ジャッキなどの車輪交換の工具は、必要ならディーラーか専門の整備工場で用品として手に入るとしている。工具と応急用タイヤを車から出す手順にも「装備に応じて」と断りがある。装備によってはジャッキや工具・応急用タイヤが積まれていないことがあるので、いざというときの前に荷室と車載工具を一度見ておく。JAF の案内でも、ジャッキやレンチ、テンパータイヤ(応急用タイヤ)が標準で積まれていない車が増えているとしている。
車載工具と応急用タイヤの置き場所
応急用タイヤとジャッキなどの工具が積まれている車では、どちらも荷室の床板の下にある。日本仕様の G45 に積まれているかどうかは、出典で確かめられていない。
ホイールボルトがロック付き(盗難防止用)なら、ボルトの刻みに合う専用のアダプターが無いと緩められない。アダプターの置き場所は装備によって違うので、工具と一緒に探しておく。
トルクレンチを用意する
取扱説明書は、締まっているかを校正されたトルクレンチで確かめるよう求めている。タイヤメーカーのコンチネンタルも、ナットを正しく締めたり緩めたりするにはトルクレンチという専用の工具が要るとしている。手元に無いときは、JAF の案内のとおり、本締めの後できるだけ早くガソリンスタンドや修理工場で規定トルクに締めてもらう。
車を上げる前の準備と輪止め
- 交通から十分に離れた、固く滑りにくい地面に停める。
- ハザードランプを点け、パーキングブレーキを掛ける。
- 前輪がまっすぐ前を向くまでハンドルを回し、ハンドルロックを掛ける。
- ギアを入れるか、セレクターを P に入れる。
- 交通の流れが許したら同乗者全員に降りてもらい、ガードレールの外側など危なくない所にいてもらう。必要なら停止表示器材などを適当な距離に置く。
- 装備に応じて、工具と、必要なら応急用タイヤを出す。
- 車が転がらないようにしてから、ホイールボルトを半回転だけ緩めておく。
取扱説明書は、車が転がらないよう追加で備えることを勧めている。平らな場所なら、交換する車輪と対角の位置の車輪の前と後ろに輪止めを置く。緩い下り坂で交換しなければならないときは、前輪と後輪の両方の車輪の下に、転がる向きに逆らう側へ輪止めや石などを置く。
ジャッキポイントの位置と車載ジャッキの掛け方
ジャッキポイントの見つけ方
ジャッキポイントは取扱説明書の図に示された位置にある。使うのは交換する車輪に最も近いジャッキポイントで、ホイールハウス(タイヤが収まる部分)の横にある長方形のくぼみにジャッキを差し込む。決められた所以外に差し込んで上げると、車を傷めたり、上げる途中でジャッキが滑ったりするおそれがある。位置は自分の車の取扱説明書の図と見比べて確かめる。
車載ジャッキで持ち上げる手順
- 片手でジャッキを支え、もう片方の手でクランクハンドル(またはレバー)を持つ。手や指をはさまないよう、ジャッキを使う間はこの手の位置を変えない。
- 交換する車輪に最も近いジャッキポイントのくぼみにジャッキを差し込む。
- クランクハンドルを時計回りに回してジャッキを伸ばす。
- ジャッキに車の重さが掛かったら支えていた手を離し、片手でクランクハンドルを回し続ける。
- ジャッキの足が垂直に伸び、ジャッキポイントの真下で直角に立っているかを見る。
- ジャッキの底の面全体が地面に着き、交換する車輪が地面から最大 3cm 浮くところまで上げる。
ジャッキを使うときの安全の決まり
- 上げた車の下に入らない。車を走れる状態にしない。
- ジャッキの下に木の台などの支えを置かない。支えの耐える重さを超えて車が倒れるおそれがある。
- 柔らかい・でこぼこの・滑りやすい地面(雪・氷・タイルなど)ではジャッキが滑るおそれがある。できるだけ平らで固く滑りにくい地面で作業する。
- 上げた車を横から押したり急に引いたりしない。車がジャッキから落ちるおそれがある。
- 車載ジャッキはこの車をこの車のジャッキポイントで上げるための物で、ほかの車や荷物を上げるのには使わない。
取扱説明書は、すべての注意を守ってもジャッキが倒れて車が落ちるおそれは残るとしている。
ホイールの外し方と付け方
ロック付きのボルトは、アダプターをボルトに当てて緩め、外したらアダプターを外す。付けるときはアダプターをボルトに合わせて当てて締め、締め終えたら外す。ロック付きボルトにインパクトレンチを使わない。ボルトを傷めることがあるので、手回しのホイールレンチだけで緩め・締めする。
付け替えは次の順に進める。
- ホイールボルトを外し、ホイールを外す。
- 新しいホイール(または応急用タイヤ)を当て、まず 2 本以上のボルトを対角の順に手で締まるところまで締める。
- 残りのボルトも手で締めてから、すべてのボルトを対角の順に締める。
- クランクハンドルを反時計回りに回してジャッキを縮め、車を下ろす。
- ジャッキを外し、元の場所に収める。
タイヤメーカーのブリヂストンも、ナットをガタが無くなるまで締めてからジャッキを下ろし、下ろした後に本締めする流れを案内している。
ホイールボルトの締め付けトルクと締める順序
取扱説明書の値は 140N・m(101 lb ft)で、ボルトは対角の順に締める。締め終えたら、校正されたトルクレンチで締まりを確かめる。
1 回で締め切らない方がよい。コンチネンタルは、整備士がまず規定トルクの半分の値で各ナットを締め、その後に規定値へ設定し直して締め切るやり方を紹介している。ブリヂストンも、1 か所をいきなり締めず、それぞれのナットを 2〜3 回に分けて均等に、できるだけ対角線の順で締め、本締めは必ずトルクレンチで自動車メーカーの規定トルクに合わせるよう案内している。
締めすぎにも気を付ける。JAF の案内では、無理に締め付けるとボルトが破損する場合があるとしている。トルクレンチで規定値に合わせたら、それ以上は締めない。
交換した後に確かめること
- 外したホイールは、必要なら荷室に積む。
- できるだけ早く空気圧を確かめ、必要なら合わせる。指定の空気圧は運転席側のドアの柱(ドアを開けた所)の表示にある。測るのはタイヤが冷えているとき(走った距離が 2km 以内か、走った後 2 時間以上動かしていないとき)で、温度が上がると空気圧も上がる。
- パンクを知らせる機能の初期化か、タイヤ空気圧を見張る機能のリセットをする(装備によってどちらかになる)。
- トルクレンチでの確認がまだなら済ませる。
- 損傷したタイヤは、近くのディーラーか専門の整備工場で交換してもらう。
走った後の増し締めも欠かさない。締め付けトルクが適切でなかったり、走り始めの環境の変化などで、走るうちにまれにナットが緩むことがある。コンチネンタルはタイヤ交換後 50〜100km を目安に走った後にナットを点検し、必要なら締め直すよう案内している。ブリヂストンも、取り付け後約 100km 走った段階でトルクレンチで緩みを点検するよう勧めている。
夏用と冬用の履き替えで気を付けること
X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)が頻繁な使用向けではないとしているので、季節の履き替えに車載ジャッキは使わない。自分で履き替えるなら、使う道具と当てる位置を取扱説明書かディーラーで確かめてからにする。ジャッキの位置が分からないまま適当な所に掛けるのは危ない。分からない・自信が無いときは、タイヤ販売店や整備工場に任せる方が確実だ。自分で履き替えた後の締め付けと増し締めは、前の 2 つの節と同じ手順で行う。
パンクしたときはタイヤの種類で動き方が変わる
パンクや大きな空気圧の低下があると、メーターに黄色の警告灯が点き、コントロール・ディスプレイに記号とメッセージが出る。速度を落として注意して停まり、急なブレーキとハンドル操作を避ける。
次に、付いているタイヤの種類を確かめる。ランフラットタイヤは、タイヤの側面に RSC の文字を丸で囲んだ印がある。
- ランフラットタイヤ: BMW の X3 のオーナーズマニュアル(2025 年モデル)では、空気圧が無くなっても限られた安定を保てるとし、控えめに運転して 80km/h を超えないよう求めている。走れる距離の目安は、平均的な積載で条件が良いときに最大 80km で、実際の距離は積載・速度・路面・気温で変わる。トレーラーを引いているときは 60km/h を超えない。
- 普通のタイヤ: パンクしたまま走り続けない。応急用タイヤがあれば付け替える。
応急用タイヤは、故障したタイヤやホイールを交換するまでの一時的な物で、1 本だけ付けて使う。寸法が特別なので、ブレーキでの安定が下がる・止まるまでの距離が延びる・ハンドルの効き方が変わることがある。荷室の応急用タイヤの空気圧も定期的に確かめておく。
工具や応急用タイヤが積まれていない・ホイールが外れない・作業に自信が無いときは、無理をせずロードサービスやディーラー、整備工場に頼る。上げた車を横から押したり引いたりして外そうとしない。
よくある質問
車載ジャッキでスタッドレスタイヤに履き替えてよい?
勧めない。BMW の X3 のオーナーズマニュアル(2025 年モデル・米国英語版)は、車載ジャッキを車輪交換のために短い時間だけ上げる物とし、夏用から冬用への履き替えのような頻繁な使用向けではないとしている。
ホイールボルトの締め付けトルクは?
X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)では 140N・m で、対角の順に締める。日本仕様の取扱説明書と 2026 年モデル以降の版では確かめていないので、自分の車の取扱説明書で同じ値かを見てから締める。
ジャッキやレンチが積まれていないときは?
X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)は工具の積み込みを「装備に応じて」としており、装備によっては積まれていないことがある。ジャッキなどの工具は、必要ならディーラーか専門の整備工場で用品として手に入る。路上で困っているならロードサービスに頼る。
パンクしたランフラットタイヤで何km/hまで走れる?
X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル(米国英語版)では 80km/h を超えないとし、トレーラーを引いているときは 60km/h を超えないとしている。距離の目安は最大 80km だが、平均的な積載で条件が良いときの値で、積載・速度・路面・気温で変わる。
まとめ
作業の前と後に、次の点を順に確かめる(値は X3 のオーナーズマニュアル 2025 年モデル・米国英語版の記載)。
- 自分の車の取扱説明書で、同じ位置と値が載っているか
- ジャッキ・工具が積まれているか(装備によって違う)、ロック付きボルトならアダプターの置き場所(装備によって違う)、トルクレンチを用意できるか
- ジャッキは、交換する車輪に最も近いホイールハウス横のジャッキポイントのくぼみに差したか
- 車輪は地面から最大 3cm までしか上げていないか
- ボルトは対角の順に 140N・m で締め、トルクレンチで確かめたか
- タイヤメーカーの目安どおり、50〜100km ほど走った後に増し締めの点検をしたか
- 季節の履き替えに車載ジャッキを使っていないか
同じ G45 のほかの記事も参考にしてほしい。

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