90系ヴォクシーのバルブを調べていくと、ヘッドライトの型番だけがどこにも出てこないまま行き止まりになる。答えが分かれるのはグレードや年式ではなく、その灯火が電球なのかLEDなのかという一点にある。MZRA90Wでは、トヨタの取扱説明書が電球として挙げている灯火はリヤの方向指示灯ひとつだけで、残りはすべて販売店で交換する側に置かれている。まず自分の車がその型式かを確かめたうえで、どこまでが自分の手で触れる範囲かを順に見ていく。
自分で交換できる電球はリヤの方向指示灯だけ
トヨタの取扱説明書(ヴォクシー・2022年1月版)に載る電球の仕様表は、90系ヴォクシーでは1行しかない。書かれているのは「リヤ方向指示灯/非常点滅灯(アンバーバルブ)」で、W(ワット)数は21。表の注記には「表に記載のないランプはLEDを採用しています」「アンバーバルブはオレンジ色の電球です」と添えられている。
同じ取扱説明書の「電球(バルブ)の交換」でも、自分で交換できるランプとして挙がっているのはリヤ方向指示灯/非常点滅灯だけだ。そして「リヤ方向指示灯/非常点滅灯以外のランプはLEDで構成されています」と明記されている。型番を探しても見つからない灯火があるのは、資料が足りないのではなく、その灯火に電球が使われていないためである。
灯火別の早見表
前後の灯火を、公式の線引きどおりに並べると次のようになる。
| 灯火 | MZRA90Wでの扱い |
|---|---|
| リヤ方向指示灯/非常点滅灯 | 電球(21W・アンバー)/自分で交換できる |
| ヘッドランプ | LED/販売店で交換 |
| 車幅灯 | LED/販売店で交換 |
| デイライト | LED/販売店で交換 |
| フロント方向指示灯/非常点滅灯 | LED/販売店で交換 |
| サイド方向指示灯/非常点滅灯 | LED/販売店で交換 |
| 薄暮灯 | LED/販売店で交換 |
| 制動灯 | LED/販売店で交換 |
| 尾灯 | LED/販売店で交換 |
| 後退灯 | LED/販売店で交換 |
| ハイマウントストップランプ | LED/販売店で交換 |
| 番号灯 | LED/販売店で交換 |
2022年1月版と2024年4月版の取扱説明書を比べても、電球の仕様表と販売店交換の対象一覧はどちらも同じ内容だった。MZRA90Wが作られていた期間を通して、この線引きは動いていないと考えてよい。
MZRA90Wという型式が指す車
MZRA90Wはガソリン車で、駆動方式はFF(前輪駆動)。エンジン型式はM20A-FKS、排気量は2000ccで、グレードはS-ZとS-Gの2つが設定されている。ヘッドランプはLEDが標準、プロジェクターヘッドランプがオプションで、キセノン(HID)の設定はない。
90系の型式は駆動方式とパワートレインで分かれ、MZRA90Wがガソリンの2WD、MZRA95Wがガソリンの4WD、ZWR90Wがハイブリッドの2WD、ZWR95Wがハイブリッドの4WD(E-Four)にあたる。末尾の90と95の違いが駆動方式の違いを表している。
自分の車がどれかは、車検証の「型式」欄で確かめる。ここに6BA-MZRA90Wのように記載される。適合を調べるときは車名やグレード名ではなくこの欄の表記を基準にすると、取り違えが起きにくい。
リヤ方向指示灯の規格と口金の呼び方
公式資料が示しているのはワット数(21W)と色(アンバー=オレンジ色)までで、口金(ソケット)の形状までは書かれていない。純正の状態は、ガラスや発光部がオレンジ色に見えるタイプの電球になる。
口金については、LEDバルブブランドが公開しているノア/ヴォクシーの車種別適合ガイドが「T20ピンチ部違い」としている。このガイドは90系を前期・中期・後期に分けているが、どの区分でもリヤウインカーをT20ピンチ部違い対応で通している。社外品を選ぶときはこの呼び方を手がかりにし、買う前に現車のソケット形状を確認する。公式側がワット数までしか示していない以上、最終的な確認は自分の車が基準になる。
ヘッドランプから番号灯までを自分で替えられない理由
一覧のうち11項目が販売店交換の側に並んでいるのは、それらがLEDで組まれているからだ。LEDは球単体で差し替える構造になっておらず、ユニットごとの扱いになる。取扱説明書がヘッドランプや番号灯を「トヨタ販売店で交換してください」としているのは、その構造から来ている。
フロントウインカーもこの11項目に含まれる。ヴォクシーのフロントウインカーはバルブ交換の対象ではない——それでも通販には、ノア/ヴォクシー90系の名義でフロント用と書かれたウインカーバルブが流通している。この点は後述する適合表の読み方と直結する。
バックランプは資料によって扱いが割れる
後退灯(バックランプ)は、公式と社外で立場が食い違う数少ない箇所だ。取扱説明書は後退灯を販売店交換の側に置き、自分で交換する電球としては案内していない。
一方、LEDバルブブランドの適合ガイドは90系の全グレード共通で「LW5B」という規格を挙げ、純正LEDからのアップグレード対象として扱っている。バルブ専門店が公開している90系ヴォクシーの適合表も、バックランプをLEDのLW5Bが左右2個という記載にしており、規格名は両者で一致している。
自分で手を入れる場合はメーカーの案内から外れることになるので、その前提を理解したうえで判断したい。迷うなら販売店に相談する側に倒すのが無難だ。
90系の年式区分とMZRA90Wの位置
LEDバルブブランドの適合ガイドは、90系を年式で3つに区切っている。前期が令和4年1月から令和7年8月、中期が令和7年9月から令和8年5月、後期が令和8年6月以降。ガソリン車のMZRA90Wは前期と中期に該当する。
フォグランプは前期・中期のいずれも交換できる部位として設定がない。そして後期ではヘッドライト・フロントウインカー・フォグランプがさらにフル純正LED化され、バルブ交換の対象から外れている。
2026年の一部改良で、ノアとヴォクシーは福祉車両を除く全車がハイブリッドに統一されたと自動車情報媒体が報じている。ガソリンのMZRA90Wは、この改良以降は新車では選べない型式になった。後期型を前提に書かれた情報を自分の車に当てはめないよう、年式の区分だけは先に押さえておく。
ノア/ヴォクシー併記の適合表で間違えない見方
適合情報はノアとヴォクシーを併記した形で公開されていることが多い。ここが誤購入の入口になる。
ノアとヴォクシーではグレード構成が違う
ノアはX・G・Z・S-G・S-Zと幅があるのに対し、ヴォクシーはS-GとS-Zの2つだけだ。ノア側の下位グレードに電球式の灯火が残っていても、ヴォクシーには同じ設定がない場合がある。併記された表を読むときは、その行がヴォクシーのものか、自分のグレードに当たる行かを必ず確かめる。フロント用と書かれたウインカーバルブが90系名義で流通しているのも、この構成差が背景にある。
商品名の型式の並びだけで判断しない
通販には、商品名に複数の型式をまとめて並べた汎用的な出品が多い。型式名が並んでいても、口金の規格が車両側と合っていない例がある。MZRA90Wで交換対象になるリヤ方向指示灯は21Wのアンバーバルブで、社外の適合情報ではT20(ウェッジのピンチ部違い)とされている。P21Wのような差し込み方式の違うバルブは、型式名が併記されていても物理的に入らない。口金の規格と取り付け位置(フロントかリヤか)の両方を見る。
ブレーキ・テールをT20ダブルと書く表がある
社外の適合表には、90系のブレーキランプ/テールランプを「T20ダブル」と記載しているものがある。ただし取扱説明書は制動灯と尾灯をどちらも販売店交換の対象とし、リヤ方向指示灯以外はLEDと明記している。この2つは食い違っており、ここでは公式側の記載を採る。ブレーキ・テール用のバルブを買う前に、現車で電球が入っているかを見ておきたい。
リヤウインカーを社外LEDに替えるときの注意
唯一手を入れられる箇所だけに、ここを社外LED化したい人は多い。押さえる点は3つある。
点滅が速くなる現象への備え
ウインカーの電球を社外LEDへ替えると、消費電力が下がることで点滅が速くなる現象(ハイフラッシャー、いわゆるハイフラ)が起きるのが一般的だ。抵抗を内蔵した製品を選ぶか、別途抵抗やウインカーリレーを足すかを、購入の段階で決めておく。商品側で対策が済んでいるかどうかは選定時に確認する。
色はアンバーを外さない
方向指示器はオレンジ色に点灯する必要がある。純正がアンバーバルブである以上、社外品でもアンバーに光る製品を選ぶ。白く光るものや色味の薄いものは避け、商品説明で車検対応が明示されているかを見る。不安があれば、取り付け後に点灯状態を点検してもらうとよい。
作業時の注意は取扱説明書のとおりに
取扱説明書は交換時の注意として、作業前にランプを消灯すること、消灯直後は高温になっているためその状態では交換しないこと(やけどのおそれ)、電球のガラス部を素手でふれないことを挙げている。加えて、電球・ソケット・電気回路および構成部品を修理または分解しないこと(感電により重大な傷害、最悪の場合は死亡につながるおそれがある)、取り付ける前に切れた電球のW(ワット)数を確認することも記載されている。
よくある質問
MZRA90Wのヘッドライトのバルブ型番は
型番という形では存在しない。取扱説明書はヘッドランプを販売店交換の対象に挙げており、電球の仕様表にも行がない。球切れのように見える症状が出たら、自分で球を探すより販売店に見てもらう流れになる。
フロントウインカーもLEDに替えられるか
フロント方向指示灯/非常点滅灯は販売店交換の側に列挙されており、もともとLEDで組まれている。フロント用と書かれた商品が90系名義で売られていても、MZRA90Wに使えると判断しない。
ハイブリッドのZWR90Wとバルブ構成は同じか
取扱説明書は車種単位の記載で、パワートレインごとに電球の仕様表を分けてはいない。ただし装備の組み合わせは型式やグレードで変わりうるので、自分の車の型式を車検証で確かめたうえで判断したい。
室内灯のバルブ型番はどれか
ここでは断定しない。取扱説明書の電球一覧も販売店交換の対象一覧も外装の灯火を対象にした記載で、室内灯は含まれていない。グレードや装備で仕様が違う可能性があるため、交換したい場合は現車で確かめる。
リヤウインカーの交換に車両の持ち込みは必要か
取扱説明書が自分で交換できると案内している唯一の箇所なので、必須ではない。作業に自信が持てないときや、交換後の点滅の状態が気になるときは販売店に依頼すればよい。
まとめ
MZRA90Wのバルブ型番は、探す範囲を絞れば話が早い。トヨタの取扱説明書で電球として扱われているのはリヤ方向指示灯/非常点滅灯の21Wアンバーだけで、それ以外の灯火はLEDとして販売店交換の対象になっている。
社外品を選ぶ段階では、ノアとヴォクシーの併記表でヴォクシーの行を見ているか、フロントとリヤのどちらの商品か、口金の規格が合っているかの3点を確認する。ここを外すと、型式名が並んでいる商品でも取り付けられない。
自分の車がMZRA90Wかどうか迷っているなら、まず車検証で型式と初度登録年月を確認するところから始める。型式が決まれば、どの資料のどの行を読めばよいかも決まる。

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