キックス P15 車中泊マット|2WDの段差165mm対策

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道の駅の駐車場でセカンドシートを前に倒し、荷室に寝転んでみて背中の下に残る段に気づく。キックスの車中泊はここでつまずくことが多い。日産が公表している数値では、セカンドシートを前に倒したときの荷室との段差は2WDで約165mm、4WDで約30mmと、同じキックスでも駆動方式でまるごと違う。市販の車中泊マットは厚み5〜10cmの製品が主流で、2WDに残る165mmはマット1枚では埋まらない。

目次

キックスの荷室と車中泊に効く数値

キックス(P15型)は全長4,290mm級のコンパクトSUVで、荷室容量423L(2WD・VDA方式)はこのクラスでは大きいほうに入る。ただし車中泊の可否を決めるのは容量ではなく、寝床として使える面の長さ・幅・平らさのほうだ。

型式と室内の基本寸法

項目 数値
型式(2WD) 6AA-P15
型式(4WD) 6AA-SNP15(2022年7月〜)
全長 4,290mm(Xグレード。AUTECHは4,330mm)
全幅 1,760mm
ホイールベース 2,620mm
室内長 1,920mm
室内幅 1,420mm
室内高 1,250mm
乗車定員 5名
リヤシート 6:4分割可倒式

室内長1,920mmは前席の足元からセカンドシートの背もたれまでを測った数値で、寝床として使える長さとは一致しない。4WDは2022年7月のマイナーチェンジで追加された仕様で、リヤモーターを荷室の床下に積むぶん、荷室まわりの数値が2WDと別物になる。

荷室の公式数値は2WDと4WDで別物

日産の公式FAQは、キックス(P15型)の荷室寸法を2WDと4WDの2列に分けて公表している。車中泊で使う数値だけを抜き出すと次のようになる。

項目 2WD 4WD
セカンドシートを前に倒したときのバックドアからフロントシートバックまでの長さ 約1,385mm 約1,385mm
バックドアからセカンドシートバックまでの長さ 約580mm 約580mm
セカンドシートバックからリヤトリムまでの長さ 約900mm 約845mm
荷室幅(最小) 約980mm 約980mm
荷室幅(最大) 約1,265mm 約1,265mm
荷室高 約925mm 約735mm
セカンドシートを前に倒したときの荷室との段差 約165mm 約30mm
荷室容量(VDA方式) 423L 276L

いずれも日産が示す参考値で、車両の状態や測り方によって前後する。セカンドシートは6:4の分割可倒式のため、片側だけ倒して残りを座席として使う運用もできる。

段差165mmの正体

2WDの荷室高が約925mm、4WDが約735mm。この約190mmの差は、4WDが後輪を駆動するモーターを荷室の床下に収めるために床面を持ち上げていることによる。床が上がった4WDでは、倒したセカンドシートの背もたれと荷室の床がほぼ同じ高さで揃うため、段差は約30mmまで縮む。いっぽう床の低い2WDでは、倒した背もたれのほうが荷室床より高い位置に来て、その差が約165mmとして残る。2WDのキックスで車中泊するなら、この165mmをどう埋めるかが設計の中心になる

荷室容量が2WD 423L・4WD 276Lと大きく開くのも同じ理由で、床が低いぶん2WDのほうが多く積める。床の高さの違いは奥行きにも表れ、セカンドシート背面からリヤトリムまでの長さは2WDで約900mm、4WDで約845mmと55mm短い。4WDは段差が消える代わりに、容積と奥行きを差し出している。

寝床の長さを1,385mmから逆算する

公式値のうち車中泊にいちばん効くのが、セカンドシートを前に倒したときのバックドアからフロントシートバックまでの長さ、約1,385mmだ。

1,385mmはどこからどこまでか

この数値はバックドアの内側からフロントシートの背もたれまでを測ったもので、前席をどこにスライドさせた状態で測ったのかは公表されていない。裏を返せば、前席を前方へ送れば寝床に使える長さは1,385mmから伸びる。ホイールベースは2,620mmあり、前席のスライド代は小さくない。1,385mmは上限ではなく、前席の位置で動く数値だと捉えるのが正しい。自分の車で荷室の床から助手席の背面までメジャーを当てておけば、必要なマットの長さと枚数はその場で決まる。

身長別に足りない長さ

大人が足を伸ばして眠るには、身長に10cmほど足した平らな面が要る。荷室側で確保できる約1,385mmと比べると、不足はこうなる。

身長 必要な長さの目安 約1,385mmに対する不足
155cm 約1,650mm 約265mm
165cm 約1,750mm 約365mm
175cm 約1,850mm 約465mm

不足ぶんは前席から借りる。助手席を前いっぱいまでスライドさせ、背もたれを前方へ倒すと、その背面が荷室から続く面の一部になる。ヘッドレストが外せる形状なら抜いておくと、面のつながりがよくなる。運転席は起こしたまま荷物置き場として残すと、就寝スペースを削らずに済むうえ、移動が必要になったときすぐ動かせる。

就寝レイアウトの3パターン

同じキックスでも、1人か2人か、一晩泊まるのか仮眠なのかで組み方が変わる。成立する型は大きく3つある。

パターン1|荷室+助手席(1人泊の基本形)

セカンドシートを全倒しし、助手席を前端までスライドさせて背もたれを前へ倒す。荷室の約1,385mmに助手席の背面がつながり、大人1人が足を伸ばせる面ができる。2WDなら、この作業の前に低い荷室床を埋めて背もたれの高さに合わせておく。頭をバックドア側に、足を前席側に向けると、幅の広い荷室側に肩が収まって寝返りが打ちやすい。

パターン2|前席リクライニング(設営ゼロの仮眠)

荷物を降ろしたくない、設営に手間をかけたくないときは、運転席か助手席を目一杯倒すだけで済ませる。ただし前席の背もたれは水平まで倒れないため、長時間眠ると腰に負担が出る。数時間の仮眠までと割り切り、腰の下にクッションをひとつ入れて反りを支えると持ちがよくなる。荷室に荷物を積んだまま眠れるのがこの型の強みで、移動と休憩を繰り返す長距離移動と相性がいい。

パターン3|荷室1人+前席1人(2人泊)

2人で泊まるなら、荷室と前席に分かれる。荷室で平らに使える幅は最小で約980mmしかなく、大人2人が横に並ぶには足りないためだ。荷室側の1人は6:4の背もたれを全倒しして寝て、前席側の1人はリクライニングで寝る。キックスで大人2人が並んで平らに寝られる面は作れないという前提を最初に置くと、装備選びの無駄がなくなる。

段差165mmを埋める3つの手段

2WDに残る約165mmは、市販の車中泊マットの厚み(多くは5〜10cm)では埋めきれない。マット1枚で解決しようとせず、床の高さを合わせてからマットを敷く、という順序で考える。

純正ラゲッジフラットボードで面を作る

日産はキックス(P15型)用のラゲッジフラットボードを純正アクセサリーとして設定している。公式の説明は「ラゲッジの段差をなくし、長物などが出し入れしやすいフラットなスペースを実現します」というもので、価格は35,020円(2WD車用・取付費と消費税込み)。低い荷室床の上に置くことで床面が上がり、倒したセカンドシートの背もたれと高さが揃う。設定が2WD車用だけなのは、そもそも4WDには埋めるべき段差がほとんど無いためだ。裏返せば元の深さに戻る作りのため、泊まらない日は荷室を深いまま使える。

ただしこの板は荷物を載せる前提の部品であり、寝具のベースとして人の体重を支える用途は想定されていない。上で眠る使い方をするなら、耐荷重と年式ごとの適合を販売店で確かめてから決めたい。

硬い箱で床の高さを合わせる

純正オプションを足さない場合は、低い荷室の床を自前で埋める。収納ボックスやクーラーボックス、畳んだ衣類を敷き詰めて背もたれの高さに近づけ、その上からマットを通しで敷く。ここで効くのが詰め物の選び方で、埋め物は「柔らかいもの」ではなく「潰れないもの」を選ぶ。潰れる詰め物の上にマットを載せると、体重がかかった場所だけ沈んで段が復活する。硬い箱で高さを作り、マットは表面をならす役に回すと安定する。

段差の約165mmに対して、市販の収納ボックスは高さ15〜20cmの製品が多く、寸法の相性はよい。荷室幅の最小が約980mmなので、幅30〜40cmの箱を2〜3個並べれば横方向も埋まる。中身が空だと潰れるため、道具や衣類を詰めてから使う。

厚手マット1枚で押し切る場合の限界

床合わせをせず、厚みのあるマットだけで段をまたぐ組み方もできる。10cm級のインフレータブルマットなら、165mmの段の上に載せても体が完全に落ち込むことはない。ただし段の角がマットの下に残るため、そこに腰が来ると一晩で効いてくる。この組み方を選ぶなら、頭と足の向きを調整して、体の重い部分が段の真上に来ないようにする。厚みと段差の関係は車中泊マットの選び方の早見表でも整理している。

マットのサイズ・厚み・素材の決め方

段差の処理方針が決まって、はじめてマットの仕様が決まる。キックスの公式数値から導ける制約は幅と厚みの2つだ。

幅は980mmが実質の上限

荷室幅は最大で約1,265mmあるが、これはいちばん広い部分の数値にすぎない。平らな面として使える幅は最大値の1,265mmではなく、最小値の約980mmで考える。これを超える幅のマットはタイヤハウスの張り出しに乗り上げて波打つ。シングルの車中泊マットは幅600〜700mmの製品が多いため、1枚なら余裕をもって収まる。2枚並べると1,200〜1,400mmとなり約980mmを大きく超えるため、荷室で大人2人が横並びに眠る構成は寸法的に成立しない。

厚みは天井までの余裕とセットで決める

床の高さをフラットボードや箱で揃えた前提なら、マットの厚みは5〜8cm程度で足りる。床合わせをせずマットだけで押し切るなら10cm級を選ぶ。厚みを増やすほど頭上の余裕が減る点にも注意したい。荷室高は2WDで約925mm、4WDでは約735mmまで下がる。4WDに10cmのマットを敷けば、車内で身を起こしたときの頭上空間はそのぶん削られ、着替えの姿勢に無理が出てくる。

素材別の性格

種類 段差への強さ 携帯性 備考
インフレータブル(自動膨張式) 中〜高 厚みを出しやすく、空気量で硬さを調整できる
ウレタン・EVAフォーム 低(かさばる) 潰れにくく、床合わせの土台に使える
エアーマット(空気式) 低〜中 薄く畳めるが、段の上では沈み込みが出やすい

キックスのように大きな段差を前提とする車では、潰れにくさが効く。空気だけで体を支えるタイプは段の角に当たった部分から沈んでいくため、床合わせを省いた使い方とは噛み合わない。厚手のインフレータブルを1枚通しで敷くか、フォーム材で土台を作って薄いマットを重ねるか、どちらかに寄せると失敗が減る。

マット以外に用意したい車中泊グッズ

寝床が決まれば、残るのは光・電源・空気・温度の管理になる。

目隠しは全窓ぶんを見込む

夜の車内は、室内灯を点けた瞬間に外から丸見えになる。フロントだけでなくリヤドアとバックドアのガラスまで覆って、はじめて落ち着いて眠れる。キックスは車種専用形状のサンシェードが各社から出ており、選び方はキックスのサンシェード比較にまとめてある。プライバシーガラスは日中の視線対策にはなるが、夜に灯りを点ければ中は見えると考えておく。

照明は電球色を選ぶ

天井の純正ルームランプは就寝前の読書や着替えには光が拡散せず、手元だけが暗くなりやすい。白色の強い光は寝つきも妨げる。電球色のLEDに替えるか、吊り下げ式のランタンを別に持ち込むと車内で過ごす時間が変わる。純正からの交換手順はキックスのLEDルームランプで扱っている。

電源は補機バッテリーを温存する

キックスはe-POWER専用車で、駆動用のリチウムイオンバッテリーと12Vの補機バッテリーを別々に積む。車内のシガーソケットやUSBから取れる電気は補機バッテリー側から出ており、システムを止めたまま長時間使えば上がる。照明やスマホ充電はポータブル電源を別に持ち込み、車両側のバッテリーは動かすための電源として温存するのが安全側だ。日産も車中泊向けのポータブルバッテリーを純正アクセサリーに設定している。補機バッテリーの規格や交換の目安はキックスのバッテリー交換ガイドで確認できる。

換気と結露、季節別の備え

大人1人が一晩で吐き出す水分は無視できず、朝には窓の内側が白く曇る。窓を数センチ開けて空気の通り道を作るのが基本で、そのままでは虫が入るため、ドアガラスに被せる防虫ネットを併用する。前後で対角に開けると空気が流れやすく、結露も減る。

夏は閉め切った車内の温度が上がるため、標高の高い場所や風の抜ける駐車場を選ぶ判断が効いてくる。冬は逆に底冷えする。冷えは床から上がってくるため、断熱マットを寝具の下に一枚足すと体感が変わる。エンジンを回し続けての空調維持は、排ガスと騒音の面で駐車場のルールに触れることが多い。寝袋と断熱で温度を作るほうが無難だ。

2代目キックス(P16型)は数値が変わる

キックスは2026年6月に2代目のP16型へ切り替わり、初代のP15型は同月で国内販売を終えた。ボディが一回り大きくなり、荷室の数値も入れ替わっている。中古で初代を探している場合も、新型を検討している場合も、どちらの世代の数値を見ているかを取り違えないようにしたい。

P16の荷室数値

項目 P15(2WD) P16(2WD) P16(e-4ORCE)
セカンドシート前倒時の長さ 約1,385mm 約1,500mm 約1,500mm
セカンドシートバックからリヤトリムまで 約900mm 約885mm 約750mm
荷室幅(最小) 約980mm 約1,025mm 約945mm
荷室高 約925mm 約870mm 約705mm
荷室容量(VDA方式) 423L 476L(100V AC非装着車) 340L

P16は前倒し時の長さが約1,500mmまで伸び、荷室幅の最小値も約1,025mmへ広がった。寝床として使える面は初代より素直に大きい。4WDにあたるe-4ORCEでリヤモーターぶん床が上がる構図は初代と変わらず、荷室高は約705mmまで下がる。

P15のマットはP16に流用できるか

幅は問題になりにくい。P15の最小幅約980mmに合わせて選んだマットは、最小幅が約1,025mmへ広がったP16でもそのまま収まる。長さも前倒し時が約1,500mmへ伸びているため、初代向けに買ったマットが入らなくなることはない。作り替えが要るのは、荷室の高さに合わせて自作した床上げ用のボードや箱のほうだ。段差の量が世代で変わる以上、土台は測り直しになる。

よくある質問

キックスで大人2人が並んで寝られる?

荷室に2人並んで寝るのは寸法的に難しい。平らに使える幅は最小で約980mmまでで、大人2人ぶんの肩幅には足りないためだ。2人で泊まるなら、1人が荷室、もう1人が前席のリクライニングという分割型になる。同じe-POWERを積むノートでも事情は変わらず、ノートe-POWERの車中泊レイアウトでも前席の活用が前提に置かれている。

4WD(SNP15)なら段差30mmでそのまま眠れる?

段差はほぼ消えるが、別の制約が入れ替わりで出てくる。4WDは荷室の床が上がっているぶん荷室高が約735mmと低く、天井までの余裕は2WDより小さい。荷室の奥行きも約845mmと2WDより55mm浅い。段差処理から解放される利点は大きいものの、寝床の長さを前席から借りる手順は4WDでも省けない。

純正ラゲッジフラットボードの上で寝てもいい?

この板は荷物を載せてフラットな面を作るための部品で、人が上で眠る用途を前提に売られてはいない。就寝ベースとして使う前に、耐荷重を販売店で確かめておきたい。荷重を一点に集めたくない場合は、板の上に硬めのフォームマットを一枚挟むと接地面が広がる。

エアコンを付けたまま一晩過ごしてもいい?

e-POWERはバッテリーの残量が減ればエンジンが自動で始動して発電するため、空調を維持すると夜通しエンジンが始動と停止を繰り返す。排ガスがこもる場所では一酸化炭素中毒のおそれがあり、騒音も周囲に及ぶ。多くの道の駅がアイドリングを控えるよう求めていることもあり、寝袋と断熱で温度を作るほうが筋がいい。

キックスの寝床づくり まとめ

キックスの車中泊は、日産が公表している荷室の数値をそのまま設計図に使える。セカンドシートを前に倒したときの段差は2WDで約165mm、4WDで約30mm。まず自分の車がどちらかを確かめ、2WDなら純正のラゲッジフラットボードか硬い箱で床の高さを揃える。そのうえでマットは幅約980mm以内・厚み5〜8cmを目安に選び、足りない長さは前席を前へスライドさせて補う。公式の約1,385mmは前席の位置で動く数値であり、そこから伸ばせる。2026年6月に登場した2代目のP16型は前倒し時の長さが約1,500mmへ広がったが、4WDで床が上がる構図は変わらない。この順序で決めていけば、4.3m級のコンパクトSUVでも一晩眠れる面は作れる。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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