真夏の屋外駐車場から戻ってきて、ハンドルもシフトまわりも熱を持っている。その対策としてサンシェードを探し始めた eKクロスEV 乗りが最初に踏みやすいのが、「eKクロス用」と書かれた製品をそのまま買ってしまう選び方だ。名前は近いが型式は別で、フロントガラスの形が同じという裏づけはどこにも出ていない。B5AW の適合表記がある4製品を軸に、どこを見て決めるかを整理する。
eKクロスEV のサンシェードは適合表記で決まる
選ぶ順序は単純だ。まずフロントガラス用を1枚押さえ、車中泊や後席の直射日光対策が要るならサイド用を足す。決め手になるのは素材でも価格でもなく、商品ページの適合表示に「eKクロスEV」「B5AW」「2022年6月〜」のいずれかが書かれているかの一点になる。
後席まわりは新車の時点で手当てが入っている。三菱自動車の主要装備一覧では、リヤドアとリヤウインドウに UVカット機能付プライバシーガラスが全車標準装備だ。目隠しだけが目的ならサイド用の優先度は下がり、サイドを足す理由は遮熱と直射日光の遮りに寄る。
今回取り上げる4製品の早見表を先に置く。価格は Amazon の実売価格で、いずれも取得時点の値だ。変動するので、注文画面の表示を必ず確認してほしい。
| 製品 | 対象 | 取付方式 | 販売元の表記 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| FXXKOE | フロント | 吸盤不要 | B5AW型 2022年6月~ に適用/6層構造・遮光率99% | ¥2,999 |
| RUIYA | フロント | 折り畳み式 | B5AW型 専用・車種専用/収納袋付き | ¥2,580 |
| ZTIUR | サイド | 磁石式 | B5AW型 2022年6月~ 対応/通気性・銀 | ¥2,399 |
| YYZAX | サイド | 磁石式 | B5AW型 対応/後席2つ | ¥1,800 |
サンシェード選びに効く範囲で車の素性を押さえる
型式と寸法
eKクロスEV は2022年6月16日に発売された三菱の軽電気自動車で、型式は「三菱・ZAA-B5AW」。主要諸元の公表値は次のとおりだ。
| 項目 | 公表値 |
|---|---|
| 全長/全幅/全高 | 3,395mm/1,475mm/1,655mm |
| ホイールベース | 2,495mm |
| 室内長/室内幅/室内高 | 2,065mm/1,340mm/1,270mm |
| 乗車定員 | 4名 |
| 車両重量 | 1,060〜1,070kg |
| 駆動用バッテリー総電力量 | 20kWh |
| 一充電走行距離 | 180km(WLTCモード) |
全高はルーフレール装着時に異なる旨の注記があり、室内寸法には社内測定値との注記が付く。軽自動車の枠に収まる車体なので、畳んだサンシェードの置き場所は最初から考えておくほうがいい。
新車の時点で入っているガラス
装備の内訳も押さえておく。フロントウインドシールドは99%UVカットガラスが全車標準。リヤドアとリヤウインドウは前述の UVカット機能付プライバシーガラス。フロントドアは、P と G に IRカット/99%UVカットガラスが標準装備で、G ビジネスパッケージだけは UVカットガラスになる。
なお、装備一覧で IRカット(赤外線カット)と明記されているのはフロントドアのガラスだけで、フロントウインドシールドは UVカットの表記にとどまる。これは表記上の話であって、フロントガラスに熱線対策がないと決めつける根拠にはならない。
「eKクロス用」「サクラ用」を流用してよいのか
ここが今回いちばん誤解の多いところだ。同じ三菱自動車が公開している eKクロス(ガソリン車)の主要諸元と比べると、型式は2WD が 5AA-B34W・4AA-B35W、4WD が 5AA-B37W・4AA-B38W で、全高の公表値は2WD 1,650mm、4WD 1,670mm。eKクロスEV の 1,655mm とは一致しない。
一方で全長・全幅・ホイールベース・室内寸法は両車とも同じ数値が公表されている。ではガラスも同じかというと、フロントウインドシールドの形状や寸法が両車で同一である旨の公表は、どちらの主要諸元にも見当たらない。数値が一致する項目があることと、ガラスの型が同じであることは別の話だ。車名の近さを根拠に流用を勧めることはできない。
逃げ道として純正品を選ぶ手もない。三菱自動車が公開している eKクロスEV のメーカーオプションは、先進安全パッケージ、コネクトナビパッケージ、先進安全快適パッケージ、プレミアムインテリアパッケージ、アクティブパッケージ、寒冷地パッケージで、サンシェードに相当する設定はない。基準にできる純正品がない以上、社外品の適合表示が唯一のよりどころになる。
同じ理屈は姉妹関係にある軽EVにも当てはまる。ガラスの形状が共通だという公表資料は確認できていないので、他車種向けの製品を回すのではなく、それぞれの車種の適合表記を見て選ぶことになる。
電気自動車の eKクロスEV でサンシェードはどこに効くか
一充電走行距離は180km(WLTCモード)。日常の足として使うぶんには足りるが、余裕が大きいわけでもない。だから空調の使い方が気になる人は多いはずだ。
三菱自動車がEVの乗り方として案内しているところでは、夏場の冷房使用時は風量調整をこまめに行うこと、そして普通充電ケーブルを接続した状態で空調を起動・予約して車内の温度を整えておくことが、走行中の電力消費を抑えることにつながるとされている。乗る前に温度を整えておくのがメーカー自身の推奨だ、と読める。
その機能にあたるのが MITSUBISHI CONNECT のリモートエアコンで、P には標準装備、G にはメーカーオプションとして用意されている。利用にはスマートフォンアプリ「Mitsubishi Motors」のインストールとユーザー登録が必要で、初度登録日から5年間は無料、6年目以降は別途利用料金がかかる。
サンシェードの位置づけはここに重なる。駐車中の日射で車内が高温になるほど、乗車後に冷房で下げるべき温度差は大きくなる。サンシェードはその温度差を小さくする方向に働く道具だ。ただし、使うと電力消費が何%減るか、航続距離が何km伸びるかを示した公表データは、メーカーにも後述のJAFの資料にも存在しない。方向として効くとは言えるが、数値では語れない。
4つの軸で自分に必要な1枚を絞る
フロント用の取付方式
大きく、ガラスに吸盤で留めるタイプと、吸盤を使わずガラスの内側に広げてサンバイザーで押さえるタイプに分かれる。吸盤不要のものは吸盤跡が残らず、着脱も速い。今回のフロント用2製品は、いずれも吸盤不要または折り畳み式として販売元が案内している。毎日つけ外しする道具なので、装着の速さは想像以上に効いてくる。
サイド用の取付方式
サイドウインドウ用は磁石式が主流で、ドア開口部の鉄板部分に磁石を当てて保持する。ガラス面に当てても付かないので、そこは最初に知っておきたい。通気性のあるメッシュ素材なら、窓を少し開けたまま目隠しと遮光ができるため、休憩時や車中泊での使い勝手に差が出る。
どこまで覆うか
カバー範囲は「フロントのみ」「サイド前後」「後席2枚のみ」で分かれ、価格も用途も変わる。日常の駐車で最も効くのはフロントガラス用で、まずここを押さえるのが基本形だ。後席用を足す判断は、車中泊をする、あるいは後席の子どもに当たる直射日光を遮りたい、という具体的な理由に絞ると迷わない。純正のプライバシーガラスと役割が重なる部分があるからだ。
素材の作りと畳んだ大きさ
アルミの層や多層構造をうたう製品がある。厚みや層数が増えれば畳んだときにかさばる方向に働くので、遮光性能の表示と収納性は引っ張り合いになりやすい。収納袋が付く製品は畳み方が決まるぶん、助手席の足元やドアポケットに収めやすい。
B5AW 適合表記のある4製品
以下は販売元が商品ページに記載している内容にもとづく。「遮光率99%」「6層構造」といった表示はいずれも販売元の公表値で、測定条件は示されていない。第三者機関が共通の条件で測ったものではないので、この数字で製品の遮熱性能を順位づけることはしない。並べるのは、何をうたっているかの違いまでだ。
FXXKOE フロント用(適合年式まで明記)
「車専用設計」「三菱 eKクロス EV B5AW型 2022年6月~ に適用」と表記し、6層構造・遮光率99%&UVカット・アルミの層による断熱・折り畳み式・吸盤不要をうたう。適合表示に年式まで入っているのが選びやすいところで、2022年6月以降の車である自分の1台と照らし合わせやすい。
FXXKOE eKクロスEV B5AW型 車専用設計 フロントサンシェード(6層構造・遮光率99%表記・吸盤不要)
RUIYA フロント用(収納袋付き)
「三菱 EKクロスEV B5AW型 専用」「車種専用」と表記し、断熱シート・遮光シート・折り畳み式・収納袋付きをうたう。畳んだ状態の置き場所に困りやすい軽自動車では、袋が付くかどうかは地味に効く差になる。
RUIYA eKクロスEV B5AW型専用 フロントサンシェード(断熱・遮光シート/折り畳み式・収納袋付き)
ZTIUR サイド用(通気性メッシュ)
「eKクロス EV B5AW型 2022年6月~ 対応」と表記し、磁石式・通気性・遮光断熱・UVカットをうたう。色は銀の表記がある。窓を少し開けたまま使いたい人はこちら側の系統になる。
ZTIUR eKクロスEV B5AW型対応 サイドサンシェード(磁石式・通気性メッシュ/銀)
YYZAX サイド用(後席2枚セット)
「eKクロス EV B5AW型 対応」「後席2つ」と表記し、磁石式・通気性・遮光断熱・UVカットをうたう。4製品のなかでは最も手を出しやすい価格帯にある。
YYZAX eKクロスEV B5AW型対応 サイドサンシェード 後席2枚セット(磁石式・通気性)
サイド用でひとつ注意がある。届く枚数、つまりどの窓の分が何枚入るかは製品やページ内の選択肢で変わる。上の2製品でも、一方はタイトルに「後席2つ」と枚数が明記されているが、もう一方には枚数の記載がない。前席まで覆いたいのか後席だけでよいのかを決めてから、注文画面の枚数表示を見て確定させたい。なお適合表示はどれも販売元の自己申告であることは、念のため頭に置いておく。
買ったあと最初の1回で迷わない使い方
フロント用(吸盤不要タイプ)の流れはこうなる。降車前に、車内側からフロントガラスに沿ってシェードを広げて当てる。左右の端をサンバイザーを下ろして押さえ、位置を固定する。ルームミラー付近に切り欠きがある製品なら、ミラーの根元を逃がして収める。乗車時は取り外して畳み、収納袋に戻してから発進する。
サイド用の磁石式は、当てる場所を間違えやすい。磁石はガラス面ではなくドア開口部の鉄板部分に付くので、ガラスだけに当てても保持されない。こちらも発進前に外す。
日々の往復で効いてくるのは、畳んだあとの置き場所だ。助手席の足元に放り出すと乗り降りのたびに踏むことになるので、袋に入れてドアポケットか後席の足元に定位置を作っておくと続けやすい。
走行中の扱いと、効果の限界
守るべき線が2つある。ひとつは法令だ。道路運送車両の保安基準 第29条は、第3項で前面ガラス及び側面ガラス(告示で定める部分を除く)について運転者の視野を妨げないものであることを求め、第4項で、それらの窓ガラスには検査標章や保安基準適合標章など限定列挙されたもの以外を装着・貼り付けしてはならないと定めている。フロントガラスと前席側面のサンシェードは駐車中に限って使い、発進前に必ず外す。後席側面やリヤウインドウも、後方の視界をふさぐ使い方は避ける。
もうひとつは効果の限界だ。JAFが実施したユーザーテスト「真夏の車内温度」では、外気温35度の条件下で、対策をしない黒色車の車内最高温度が57℃・ダッシュボード最高温度が79℃だったのに対し、サンシェードを装着した場合は車内最高温度50℃・ダッシュボード最高温度52℃だった。触れる部分の温度差は大きいが、車内の空気そのものは50℃に達している。
同テストの結論は、サンシェードや窓開けの対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇は防げない、というものだ。テスト車は eKクロスEV ではなく一般の乗用車だが、期待値の置き方としてはこの数字を基準にしたい。サンシェードは上昇の程度を緩める道具であって、涼しさを保つ装備ではない。使っていても、子どもや高齢者、ペットを車内に残さない。
よくある質問
eKクロス(ガソリン車)用と書かれたサンシェードは eKクロスEV に使えるのか
使えるとは言えない。全高の公表値が一致せず(eKクロス 1,650mm/1,670mm に対し eKクロスEV 1,655mm)、フロントガラスの形状が同一である旨の公表もない。B5AW の表記がある製品を選ぶのが確実だ。
後席にもサンシェードは必要か
必須ではない。リヤドアとリヤウインドウには UVカット機能付プライバシーガラスが全車標準で入っているため、目隠し目的なら追加の必要性は下がる。後席に当たる直射日光を遮りたい、車中泊で暗さがほしい、という理由があるときに足せばいい。
装着したまま走ってよいのか
だめだ。保安基準第29条第4項が、前面ガラスと側面ガラスに限定列挙されたもの以外の装着・貼り付けを認めていない。駐車中だけの道具として扱う。
サンシェードを使うと航続距離は伸びるのか
伸びるかどうかを示した公表データがない。乗車後に下げるべき温度差が小さくなるという方向は説明できるが、何km・何%という数字はメーカーにもJAFにも見当たらないので、数値での効果は示せない。
汎用サイズの製品ではだめなのか
フロントガラス用に関しては避けたい。ガラスの形に合わせて作られる道具なので、寸法が合わなければ端に隙間が残り、押さえも効かない。車種名の記載がない汎用品や、別型式向けの表記しかない製品は候補から外す。
まとめ
優先順位を1行に畳むと、適合表記の確認が最優先、次にカバー範囲(フロントだけか、サイドまで足すか)、素材や販売元の公表数値は決め手にしない、となる。自分の車の型式と初度登録年月がはっきりしないなら、車検証を出して型式が B5AW であることと登録年月を確認するところから始めるといい。
効果についての前提も置き直しておく。サンシェードは温度上昇を緩めるものであって、防ぐものではない。そのうえでフロント用を1枚、必要ならサイド用を足す——この形が eKクロスEV での基本になる。
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