DG64Vのスクラムバンに使えるサンシェードは、フロントガラス1枚だけのものから窓8面を全部覆うセットまで幅がある。仕事で日中に停めている時間が長いのか、荷室をフラットにして仮眠を取るのかで、必要な枚数も出ていく金額も変わる。覆う範囲を先に決めてしまえば、あとは固定方式と適合表記を読むだけで候補は絞れる。
用途で決まる、覆う枚数の目安
日中に停めている時間が長く、乗り込んだ瞬間のハンドルの熱さと内装の傷みを抑えたいだけなら、フロントガラス1枚で足りる。仮眠や着替えで前まわりの視線を切りたいなら、フロントガラスと前席サイドの3面。車中泊で車内を暗くしたいなら、スライドドア・クォーター・リアの5面まで加えて計8面になる。
数千円の製品と1万円台の製品が同じ検索結果に並ぶのは、性能の等級が違うからではない。覆う枚数と、車種ごとの型紙を起こす手間の差だと考えたほうが実態に近い。もう1つ先に言っておくと、サンシェードは車内の空気を涼しくする装備ではない。効き目がはっきり出るのはダッシュボードの表面温度のほうで、その根拠は次の節で数字を出す。
候補4製品の比較
価格は2026年8月27日に確認したAmazonの実売価格で、注文時の価格と在庫の状況は販売ページで確かめてほしい。
| 製品 | 覆う面数 | 固定方式 | 適合表記の性格 | 価格 |
|---|---|---|---|---|
| GAFAT フロントガラス用 | フロント1面 | サンバイザーで挟む | DG64V/DG64W 2005年〜2015年と明記 | 3,300円 |
| 趣味職人 ワイヤーサンシェード 単品Sサイズ | フロント1面 | 上端を磁石で留める | メーカーが説明文で汎用品と明記 | 2,480円 |
| 趣味職人 プライバシーサンシェード フロントセット | フロント3面 | 簡易吸盤 | スクラムバンDG64V系・専用設計と記載 | 14,500円 |
| 趣味職人 プライバシーサンシェード リアセット | リア5面 | 簡易吸盤 | スクラムバンDG64V系・専用設計と記載 | 17,900円 |
面数が同じでも適合表記の性格は揃っていない。ここが今回いちばん取り違えやすいところなので、後の節で読み方を分けて書く。
下がるのは空気の温度ではなく、ダッシュボードの表面
JAFが2012年8月に実施した真夏の車内温度テストでは、外気温35度の駐車場にミニバン5台を正午から4時間置き、条件ごとに車内最高温度・車内平均温度・ダッシュボード最高温度を計測している。対策なし(黒)が57℃/51℃/79℃、サンシェード装着が50℃/45℃/52℃。窓開け(3cm)は45℃/42℃/75℃だった。
読み取れるのは2つ。サンシェードを付けても車内最高温度は50℃に達していて、空気の温度はほとんど救われていない。一方でダッシュボードの表面は79℃から52℃へ、差にして27℃下がっている。ハンドルやダッシュボードの触れないほどの熱さと、直射日光による内装の傷みを抑える装備、という位置づけで買うのが正しい。
ただし供試車はミニバンで、DG64Vのスクラムバンを測った数値ではない。軽バンで同じ差が出ると読み替えないでほしい。
紫外線はフロントよりサイドから入る
JAFが2018年4月に実施した車内の紫外線量テストでは、フロントガラスがクリアガラスで1.2μW/㎠、UVカットガラスで0.5μW/㎠以下。これに対して前席ガラスはクリアガラスで1,050μW/㎠、UVカットガラスで275μW/㎠以下、スーパーUVカットガラスで1μW/㎠以下と、仕様によって桁が変わる。後席ガラスとリアガラスはクリアガラスで1,000μW/㎠超だった。UVラベルを運転席に置いた30分の試験では、クリアガラスの車が16分30秒で色を変えている。
つまりフロント用のシェードに日焼け対策を期待するのは筋が違う。紫外線を狙うならサイドや後方の窓を覆う製品になる。なお、この車の純正ガラスがどの仕様かは確認できていないので、自車がUVカットガラスかどうかはここでは断定しない。
DG64Vの窓は前後合わせて8面
マツダの2005年9月13日付ニュースリリースによると、スクラムバンの4代目にあたるDG64V系は同年9月にフルモデルチェンジして発売された軽商用車で、当時のグレードはPA・PU・PC・バスター、ルーフタイプにはハイルーフの記載がある。
窓の構成は、車種専用セットの商品内容から数えるとフロントガラス1面、前席のサイドドアガラス2面、スライドドアガラス2面、クォーターガラス2面、リアガラス1面の計8面。専用セットがフロント3面とリア5面に分かれているのは、この8面をそのまま2つに割った構成で、全部の窓を覆いたければ両方を買うことになる。片方だけ買って「全窓セットのつもりだった」となるのが、この車種でいちばん多い取り違えだろう。
選び方の4基準
覆う範囲
最初に決めるのはここだけでいい。フロント1枚・フロント3面・全8面のどれかを用途から選べば、候補は自動的に絞れる。同じ軽バンでも荷室の使い方によって答えが変わるので、他車種の考え方も見ておくと比較しやすい。
固定方式
この車種向けに流通しているのは、広げてサンバイザーで挟む方式、上端を磁石で留める方式、簡易吸盤でガラスに貼り付ける方式の3つ。毎日着け外しするなら手数の少ない方式が続けやすく、長時間停める用途では面で押さえる方式のほうが落ちにくい。クォーターやリアのように窓ごとに形が違う面を覆う製品は、吸盤で位置を決めるものが中心になる。
畳んだときの大きさと重さ
軽バンは室内の余白が荷室の使い方に取られるため、シェードの置き場所が意外と問題になる。折りたたんで収納袋に入るか、ドアポケットやシート背面に収まるかを見ておきたい。重量の目安が商品説明に出ていることもあり、たとえばワイヤー式の単品には約180gという記載がある。
適合表記の読み方
対応する型式と年式を明記して専用設計をうたう製品と、タイトルに車種名と型式が入っていてもメーカー自身が説明文で汎用品と断っている製品が、同じ検索結果に並んでいる。タイトルだけを見て専用品と判断せず、商品説明の適合欄と、商品内容が何枚入りなのかを読んでから注文する。これだけで返品の手間はかなり減る。
候補4製品を用途別に見る
フロントガラス1枚から始めるなら
GAFATのフロントガラス用サンシェードは、対応車種を「マツダ・スクラムバン 4代目/マツダ・スクラムワゴン 2代目 DG64V/DG64W型 2005年~2015年」と表記している。メーカーの商品説明によると、高密度アルミメッキ反射層・ポリウレタン耐熱断熱層・UVチタン銀コーティング断熱層・ナノ断熱遮光素材の4層構造で、紫外線を99%以上カットし、実車データに基づく1対1の設計としている。これらはいずれもメーカーの表記で、第三者機関が測った値ではない。
取り付けは広げてフロントガラスに当て、サンバイザーで挟んで固定する方式。形状を保つ芯材が入っていて畳んでも変形しにくく、収納袋が付く。日中の駐車がほとんどで、まず1枚から試したい人向けだ。
GAFAT スクラムバン/スクラムワゴン DG64V・DG64W 対応 フロントガラス用サンシェード
毎日着け外しするなら
趣味職人のワイヤーサンシェード フロント単品Sサイズ(品番17s-f002-fu)は、広げてフロントガラスに合わせ、上部を磁石で固定する方式。サンバイザーを使わずに着脱できるぶん、乗り降りのたびに付け外しする使い方でも手が止まらない。重量は約180gで、ワイヤーフレームをひねって小さく畳み、付属の収納袋に入れてドアポケットやシート背面に置ける、というのがメーカーの説明だ。
ただし1つ断っておくことがある。商品タイトルに車種名と型式が入っているが、メーカーは説明の先頭で「本商品は汎用品です。表題に記載している車種に対する専用品ではありません」と明記している。専用設計として選ぶ製品ではなく、着脱の手数と収納性を取る製品として扱ってほしい。
趣味職人 ワイヤーサンシェード フロント 単品 Sサイズ(メーカー表記は汎用品)
前まわりの視線を切りたいなら
趣味職人のプライバシーサンシェード フロントセット(品番01s-f002-fu)は、適合表記が「スクラムバンDG64V系」。商品内容はフロントガラス1枚とサイドドアガラス2枚で、簡易吸盤で脱着し、使わないときは折りたたんで収納できるとしている。各車種に合わせた専用設計で隙間なくフィットする、日本の職人が1つずつ作る、というのがメーカーの説明だ。
注意したいのは範囲で、メーカー自身が「本製品は【フロントセット】です。フルセットではありません」と明記している。仮眠や着替えで前まわりだけ隠せればよいならこれで足りるが、後ろの窓は別売りになる。
趣味職人 プライバシーサンシェード スクラムバン DG64V フロントセット(3面)
車中泊で暗くしたいなら
同じシリーズのリアセット(品番01s-f002-re)は、スライドドアガラス2枚、クォーターガラス2枚、リアガラス1枚の計5枚。適合表記と脱着方式、生地の説明はフロントセットと同じで、こちらにも「本製品は【リアセット】です。フルセットではありません」と書かれている。フロントセットと合わせて初めて8面が埋まるという関係を頭に入れて注文する。
メーカーは遮光生地が外からの視線も遮ると説明しているが、窓枠との隙間の残り方や外の明るさで見え方は変わるので、完全に見えなくなると考えないほうがいい。人目が気になる場所では、覆う枚数を増やすより停める場所を選ぶほうが効く。
趣味職人 プライバシーサンシェード スクラムバン DG64V リアセット(5面)
走らせる前に外す、という運用にする
国土交通省が示す不正改造の具体例では、窓ガラスに関する項目が2つ挙がっている。1つは運転席および助手席の窓ガラスへの着色フィルムの貼り付けで、基準は着色フィルムを貼り付けた状態での可視光線透過率70%未満のものは不可(道路運送車両の保安基準第29条)。もう1つは前面ガラス等への装飾板の取り付けで、前面ガラスおよび側面ガラス(運転席後方部分を除く)が対象、装飾板を装着した状態での可視光線透過率70%未満のものは不可とされている。対象は大型車に限らず、被牽引自動車以外のすべての自動車だ。
ここで名指しされているのは着色フィルムと装飾板であって、着脱式のサンシェードそのものではない。だから「サンシェードは第29条の70%規定に違反する」と言い切ることはできない。それでもエンジンをかける前にフロントと前席サイドのシェードを外す、という運用は変えないでほしい。運転席より後ろを覆う製品についても、ドアミラーや後方の見え方が変わるなら走行前に外す。
取り付けと保管でつまずかないために
サンバイザーで挟む方式は、シェードを広げてフロントガラスの内側に当て、上端をサンバイザーを下ろして押さえる。左右に余った部分はガラスの隅に寄せてAピラー側の隙間を減らす。芯材の入ったタイプは広げれば自然に形が出るので、無理に折り目を付けない。
吸盤式は、貼り付ける前にガラス内側のほこりや油膜を拭き取る。吸盤は中心から押して空気を抜くと保持力が出やすく、外れやすくなってきたら吸盤の面を水で洗って乾かしてから使う。夏場は車内が高温になるため、取り付けたまま長期間放置せず、使うときに付けて使わないときは外す。
しまい方も決めておきたい。畳んで収納袋に入れ、ドアポケットやシート背面など置き場所を固定する。ダッシュボードの上に置いたままにすると視界の妨げになるうえ、走行中に滑って落ちる。荷室に放り込むと荷物の下敷きになって芯材が曲がることがある。
注文前の確認も1つ。この世代にはハイルーフの設定があり、グレードはPA・PU・PC・バスターが用意されていた。ルーフ形状やグレードの違いで窓の形やガラスの仕様に差が出るかどうかは確認できていないので、販売ページの適合表記と、自車の型式・車台番号を照らし合わせてから注文する。
よくある質問
DG64VとDG64Wでサンシェードは共通に使えますか
今回挙げたフロントガラス用の1点は、対応車種としてDG64VとDG64Wの両方を明記している。一方で専用セットの適合表記は「スクラムバンDG64V系」で、ワゴン側の記載はない。製品ごとに書き方が違うので、共通で使えると一括りにはできない。買う製品の適合欄を個別に読むのが確実だ。
フロントガラスだけでも効果はありますか
用途によっては十分だ。ダッシュボードの表面温度を抑えて内装の傷みを減らす目的なら、フロント1枚で狙いは果たせる。ただし前の節で見たとおり、車内の空気の温度はほとんど変わらないし、紫外線が入ってくるのは主にサイドの窓だ。日焼けや目隠しが目的なら1枚では届かない。
走行中も付けたままにできますか
前面ガラスと運転席側面ガラスの視界をふさいだまま走らせない、というのが基本の運用になる。着脱式かどうかで判断を変えず、発進前に外して決まった場所にしまう。後ろの窓を覆う製品も、後方やドアミラーの見え方が変わるなら同じ扱いにする。
窓を開けて寝たいときはどうすればよいですか
窓にかぶせるメッシュ型という別のカテゴリの製品がある。狙いが遮光ではなく通気と虫の侵入防止なので、車内を暗くしたい場合の代わりにはならない。暗さがほしいなら遮光生地の製品を選び、通気がほしいならメッシュ型を足す、と分けて考える。荷室のつくり方から見直したいなら、他車種の実例も参考になる。
まとめ
まず車に行って、覆いたい窓を実際に数えてほしい。前だけなのか、前3面なのか、スライドドアとクォーターとリアまで含めた8面なのか。それが決まれば買うものは1つか2つに絞れる。そのうえで車検証の型式と車台番号を控え、販売ページの適合表記と突き合わせる。
期待する効果の置きどころも確認しておきたい。サンシェードで変わるのは車内の空気の温度ではなく、ダッシュボードまわりの熱と、外からの視線の通り方だ。そこを外さずに選べば、数千円の1枚でも1万円台のセットでも、買ってから後悔することは少ない。
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