エアコンフィルターの交換で HB36S のオーナーがまずつまずくのが、取扱説明書にある 10,000km・12か月という数字を交換時期だと受け取ってしまうところだ。この数字は清掃の目安で、交換の目安は別に車検ごとと書かれている。キャロルはアルトと同じ車体を使う OEM 供給車のため、フィルターメーカーの適合表に載る場合と載らない場合が分かれるという事情もある。時期の読み方と適合の確かめ方、この2点さえ押さえれば選択肢は3つまで絞り込める。
HB36S に適合が確認できるエアコンフィルター3製品
パシフィック工業(PMC)の車種別適合品検索では、キャロルの HB36S の行にエアコン用として PC-916B・PC-916S・EB-916 の3品番が掲載されている。前期・後期、2WD・4WD のどれでも掲載品番は変わらないので、年式や駆動方式で品番を選び分ける必要はない。
いま販売中で在庫が確認できたものを、濾材と価格の違いで並べると次のようになる。
| 製品 | 濾材のタイプ | Amazon実売価格(確認時点) | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| PMC クリーンフィルター PC-916B | 集塵タイプ(活性炭なし) | ¥790 | 費用を抑えて定期交換したい |
| HYNESS NHC-0042J | 活性炭入り | ¥1,900 | においや花粉が気になる |
| ALLED 5層構造タイプ | 活性炭入り | ¥1,678 | 家族で複数のスズキ系軽に乗っている |
価格と在庫は確認した時点のもので、注文するころには動いている可能性がある。金額は目安として見てほしい。
なお HB36S はエアコン用のフィルターを標準で装着している。取扱説明書にも定期的に清掃・交換するよう書かれており、後付けではなく入っているものを入れ替える作業になる。
取扱説明書での呼び方と交換時期の決まり
取扱説明書では「エアフィルター」と呼ばれている
キャロルの取扱説明書での呼称はエアコンフィルターでもクリーンエアフィルターでもなく「エアフィルター」だ。手元の取扱説明書で該当箇所を探すときは、「エアコン、ヒーター」の章にある「エアフィルターを清掃、交換するときは」の項を開く。この呼び方の違いを知らないと、目次を追っても見つけられずに終わる。
清掃の目安と交換の目安は別々に書かれている
取扱説明書が示す時期は、地域によって2つに分かれる。寒冷地や粉じんの多い地域は清掃が 5,000km ごとまたは6か月ごと、それ以外の地域は清掃が 10,000km ごとまたは12か月ごと。そして交換の目安は、どちらの地域でも車検ごととされている。走行距離と期間の数字が並んでいるのは清掃についてであって、交換の周期ではない。
社外品の説明には清掃して再使用することを想定していないものもある。清掃を挟みながら車検ごとに替えるか、汚れたら交換してしまうかは、選んだ製品の説明に合わせて決めればいい。
前期と後期で記載は変わらない
2018年2月奥付の取扱説明書と2020年8月奥付の取扱説明書を比べると、エアフィルターの手順も清掃・交換時期の表も同じ文言・同じ数値だった。年式で作業や目安が変わることを気にしなくていい。
OEM 供給車のキャロルで適合を確かめる方法
適合表で型式が名指しされているかを見る
パシフィック工業(PMC)の適合表では、キャロル HB36S が3つの型式表記に分かれて載っている。DBA-HB36S が2015年1月〜2020年10月の 2WD/4WD、3BA-HB36S が2020年10月〜2021年12月の 2WD、5BA-HB36S(CVT)が2020年10月〜2021年12月の 2WD/4WD。エンジンはいずれも R06A の660ccガソリンだ。車検証の型式欄の記号まで含めて、どの行に当たるかを確かめるのが適合確認の出発点になる。
収録されていないメーカーもある
一方でデンソーのクリーンエアフィルター適合品番検索では、マツダの車種一覧にキャロルが入っていない。載っているのは AZ-オフロード、AZ-ワゴン、CX-3、CX-30、CX-5、CX-60、CX-60 PHEV、CX-7、CX-8、CX-80、MAZDA2、MAZDA3、MAZDA6、MPV、MX-30 で、同社は検索データベースに車種がない場合は対応する製品がないと注記している。他社から供給を受けている車種では、こうした収録の有無がメーカーごとに割れる。適合表に無いメーカーの製品を寸法だけで代用しようとしないほうがいい。
同じ車体を使うアルトワークス側の選択肢を見比べると、この事情が分かりやすい。
純正品番の表記は販売ページごとに割れている
今回の調査では、HB36S のエアコンフィルターの純正品番を一次資料から確定できなかった。取扱説明書に品番の記載がなく、PMC の適合表もエアコン用の列には純正品番を併記していない(オイル用・エア用の列には併記がある)。販売ページ側では複数の番号がばらばらに掲げられていて、どれが正しいかを判断できる資料が見つからなかった。外形寸法も二次情報の間で値が食い違っている。純正品番で照合したいなら、マツダ販売店に車台番号を伝えて確認するのが確実だ。
濾材のグレードで何が変わるか
集塵タイプと活性炭入りタイプ
パシフィック工業(PMC)の製品情報によると、品番末尾の記号がグレードを表す。B は活性炭を持たない集塵タイプ、S は活性炭入脱臭タイプに SEK マーク認証を加えたもので同社がシリーズ最高品質と位置づけている。C は活性炭タイプに抗菌・防カビ・抗アレルゲンを載せたもの。においが気になるかどうかが、集塵タイプで足りるか活性炭入りが要るかの分かれ目になる。
抗菌・脱臭を足した上位グレード
EB(イフェクトブルーシリーズ)は銀イオンと亜鉛イオンで抗菌・脱臭し、2種類のゼオライトで脱臭すると説明されている。HB36S に掲載される3品番でいえば、PC-916B が集塵タイプ、PC-916S が活性炭入脱臭に認証を加えたもの、EB-916 がこのイフェクトブルーシリーズに当たる。
グレードの考え方は他のスズキ系の軽でも共通なので、姉妹車の記事も判断材料になる。
交換しないまま使うとどうなるか
デンソーの製品情報では、フィルターの目詰まりで通気が悪化してエアコンの効きが低下する可能性があること、活性炭の働きが落ちて排ガス臭を感じることがあると説明されている。走行距離に比例してチリやホコリで目詰まりし、通風性能が下がっていくとも書かれている。風が弱くなったと感じたときに真っ先に疑う部品がここだ。
用途別に3製品を比べる
費用を抑えたいなら集塵タイプ
PC-916B は、PMC の適合表で HB36S に掲載されている3品番のうち集塵タイプに当たる。商品名にも品番とタイプが明記されていて、適合年式の表記は 3BA-HB36S の掲載年式と一致する。3製品のなかでは最も価格が低く、車検ごとの交換を淡々と続けるならこれで十分だ。活性炭を持たないので、においへの対策を求めるなら次の選択肢に進むことになる。
PMC クリーンフィルター PC-916B(除塵タイプ)
においや花粉が気になるなら活性炭入り
HYNESS の NHC-0042J は、販売ページ上でキャロル HB36S の2015年1月〜2022年1月に対応すると表記されていて、HB36S の販売期間をひととおりカバーする書き方になっている。年式で迷いたくない場合に選びやすい。活性炭入りで PM2.5 対応・花粉や黄砂への対策・消臭を掲げているが、これらは商品側の表記であり、第三者の試験で確かめられた値ではない。
HYNESS エアコンフィルター NHC-0042J(活性炭入り・PM2.5対応)
複数の車種に対応する多層タイプ
ALLED の製品は、スペーシア MK53S、ジムニー JB64、アルト HA36S、ハスラー MR52S/MR92S、キャロル HB36S、フレア MJ55S/MJ95S、フレアクロスオーバー MS52S をまとめて適合表記する汎用タイプで、適合品番にはスズキ側の番号を掲げている。活性炭入りの特殊5層構造という説明も商品側のもの。家族で対象車種に複数乗っているならまとめ買いしやすいが、在庫は少ない表示だった。
ALLED エアコンフィルター(活性炭入り・5層構造)
取扱説明書どおりの交換手順
フィルターの場所と取り外し
フィルターはグローブボックスの奥にある。取扱説明書の手順では、まずグローブボックスの側面を矢印の方向に押し込んで取り外す。続いてホルダーを外し、エアフィルターを引き出す。
新しいフィルターの入れ方
新しいフィルターは、取り付け方向マークの矢印を上向きにして挿入するよう指示されている。そのあとホルダー右側のつめをケース側にひっかけてから取り付ける。この順序を飛ばすと固定が甘くなるので、つめの位置を先に見ておきたい。
方向マークの向きを入れる前に確認する
入れる向きを間違えると、そのフィルターが本来出せる性能は出ない。矢印はフィルター本体の枠に印字されているので、箱から出した段階で上下を決めてしまい、グローブボックスの奥に手を入れてから迷わないようにしておく。
自分で交換するか販売店に頼むか
取扱説明書は販売店での作業を勧めている
取扱説明書には、清掃または交換の際に車内部品を破損するおそれがあるとして、マツダ販売店での清掃/交換(有料)を勧める案内がある。新しいエアフィルターもマツダ販売店で購入するよう書かれている。自分で作業するなら、この注意が前提にあることを承知したうえで進めることになる。
自分で作業する場合に気をつけること
引っかかるのはグローブボックスを外す場面で、樹脂のつめを無理に押し込めば割れる。清掃で済ませるか交換するかの判断は、選んだ製品が再使用を想定しているかどうかで決まる。工具や作業時間の見通しが立たないなら、車検や点検のついでに頼んでしまうほうが結果的に早いこともある。同じ車体での他の消耗品交換の勝手を知りたいなら、ワイパー側の記事も参考になる。
よくある質問
キャロル HB36S にエアコンフィルターは最初から付いているのか
付いている。取扱説明書にエアフィルターを取り付けている旨と、定期的に清掃・交換する旨が書かれている。新設ではなく交換の作業になる。
エアコンフィルターはどこに付いているのか
グローブボックスの奥だ。グローブボックスの側面を押し込んで外し、ホルダーを外すとフィルターが取り出せる。同じ位置関係の車種の作業例は、スズキ側の記事でも確認できる。
交換の目安はどれくらいか
取扱説明書では車検ごととされている。あわせて示されている走行距離と期間の数字は清掃の目安なので、混同しないようにしたい。
アルト HA36S 用と書かれた製品は使えるのか
適合表の上では、アルト HA36S(自然吸気・ターボ)やアルトワークス HA36S に掲載される品番はキャロル HB36S と同じ PC-916B・PC-916S・EB-916 だった。ただしこれは適合表の品番が一致するという話であって、アルト用と表記された個々の商品がキャロルに使えるかどうかは、その商品の適合表記を1件ずつ見て判断する必要がある。
純正品番はどれが正しいのか
今回の調査では確定できなかった。販売ページごとに複数の番号が併記されていて、取扱説明書にも適合表のエアコン用の列にも記載がない。番号で買いたい場合は販売店に車台番号を伝えて確認してほしい。なお後継型のキャロル HB37S は別の車体で、部品も別と考えたほうがいい。
HB36S のエアコンフィルター選びのまとめ
最初にやることは、グローブボックスの奥から今のフィルターを1枚抜いて、枠の印字と汚れ具合を自分の目で見ることだ。そのうえで車検証の型式欄を確認し、DBA・3BA・5BA のどの表記かを押さえておく。
選ぶ順序は、適合表で HB36S が名指しされている品番かどうかを最優先し、次ににおいが気になるかで集塵タイプか活性炭入りかを決める。時期の判断は取扱説明書の基準に戻り、走行距離の数字ではなく車検ごとを交換の区切りにする。とりあえず1枚替えて様子を見たいなら、いちばん価格の低い集塵タイプから入るのが無駄がない。
PMC クリーンフィルター PC-916B(除塵タイプ)
同じ HB36S の車内まわりでは、夏場の日差し対策もあわせて検討したいところだ。
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