真夏の駐車場に数時間置いたトールへ戻ると、ハンドルもダッシュボードも触れないほど熱くなっている。この車のサンシェード選びで判断が分かれるのは、フロント1枚で済ませるか車一台分を覆うか、そして自分の車が2020年9月のマイナーチェンジより前か後かの2点だ。商品名に「トール M900S」と入っていても専用設計とは限らず、同じブランドの中に汎用品と専用設計が混ざっている。
覆う範囲を決めてから、2020年9月の前後を見る
使い方で進む先は4つに分かれる。毎日着脱してたたんでおきたいならワイヤー式、ガラスに吸盤の跡を残したくないならサンバイザーで挟む式、着脱そのものを無くしたいならロール式、車中泊や仮眠で外からの視線まで切りたいなら全窓セット。覆う面積が1枚と10枚では別物なので、金額だけを横に並べても比べたことにならない。
| 製品 | 覆う範囲 | 固定方式 | 表示価格 | 適合の表記 |
|---|---|---|---|---|
| 趣味職人 ワイヤー式フロント Mサイズ | フロントガラス1枚 | 上部を磁石で留める | ¥2,580 | 説明文に汎用品と明記 |
| CONOYYER フロントガラス用 | フロントガラス1枚 | サンバイザーで挟む | ¥2,599 | トール M900系 に適合 |
| YouCar ロール式フロント | フロントガラス1枚 | 吸盤とバイザーフック | ¥4,880 | 対応車種の記載あり・汎用フリーサイズ |
| 趣味職人 クラフトシェード | 全窓10枚 | 簡易吸盤 | ¥6,480 | 専用設計・カメラ形状の指定あり |
表示価格はいずれもAmazonで確認した時点のもので、日々変わる。効果の方も先に断っておくと、サンシェードで変わるのは日が当たる面の温度で、車内の空気の温度が大きく下がるわけではない。
トール M900S / M910S はどんな車か
型式は2WDがM900S、4WDがM910S
ダイハツの公式諸元表では、2WDのカスタムGターボとGターボが4BA-M900S、カスタムG・G・Xが5BA-M900S、4WDはカスタムG・G・Xの3グレードとも5BA-M910Sになる。頭の4BAと5BAは排出ガス記号で、ターボ車が4BA、自然吸気車が5BA。エンジンはターボが1KR-VET型、自然吸気が1KR-FE型、総排気量はどちらも996cc。サンシェード側は「M900S/M910S」とまとめて書いていることが多く、駆動方式でガラスの仕様が分かれるという記載は諸元表には無い。
全高1,735mmの箱型で、フロントガラスの面積が大きい
同じ諸元表の外寸は全長3,700〜3,705mm、全幅1,670mm、全高1,735mm、ホイールベース2,490mm。全長3,700mm台に対して全高1,735mmという背の高い箱型で、フロントガラスは立ち気味に大きな面積を占める。面積が大きいぶん、汎用品では縁の合い方に差が出やすい。
2016年11月の発売から世代は1つだけ
ダイハツ公式のモデルヒストリーによると、トールは2016年11月発売。2018年12月にスマートアシストIIIを採用、2019年10月に「G Limited II SA III」を追加、2020年9月にマイナーチェンジ、2024年12月に一部仕様変更が入っている。2026年8月時点でも現行車種として公式サイトに載っていて、グレードはトールがGターボ・G・X、トールカスタムがカスタムGターボ・カスタムG。フルモデルチェンジを挟んでいないので、年式が違っても同じ世代向けの商品を探すことになる。
ガラスの実寸は公式の諸元表に載っていない
諸元表にあるのは全長・全幅・全高・室内寸法・ホイールベースまでで、フロントガラス自体の縦横寸法は無い。商品名に付いている寸法表記は出品者側の数字であって、車両を測った値ではない。サイズで迷ったら、自分の車のガラスを実際に測って商品説明の数値と突き合わせるほかない。
サンシェードで変わるのは、日が当たる面の温度
JAFが測ったのは2012年8月のミニバン5台
JAF(日本自動車連盟)のユーザーテスト「真夏の車内温度」は、2012年8月22日と23日に埼玉県戸田市の彩湖・道満グリーンパーク駐車場で行われた。天候は晴れ、気温35度。正午から4時間、駐車条件を変えたミニバン5台を並べ、開始時の室温はどれも25℃に揃えている。供試車はミニバンでトールではないから、以下の数字はトールの値ではなく傾向を示すものとして受け取る。
ダッシュボードと空気では、差の出方が違う
| 条件 | 車内最高温度 | 車内平均温度 | ダッシュボード最高温度 |
|---|---|---|---|
| 対策なし(黒) | 57℃ | 51℃ | 79℃ |
| 対策なし(白) | 52℃ | 47℃ | 74℃ |
| サンシェード装着 | 50℃ | 45℃ | 52℃ |
| 窓開け(3cm) | 45℃ | 42℃ | 75℃ |
| エアコン作動 | 27℃ | 26℃ | 61℃ |
車内の空気で見ると、サンシェードを付けた50℃/45℃も高いままだ。ダッシュボードの最高温度の方は、対策なしの79℃・74℃に対して装着時が52℃で、並びがまるで違う。
JAF自身は「上昇を防ぐことはできない」と書いている
JAFはこのテストの結果を、サンシェード対策や窓開け対策をしていても温度抑制効果は低く、人や動物が耐えられない温度となり、車内温度の上昇を防ぐことはできない、とまとめている。付ければ涼しくなる、という読み方はできない。期待していいのは、ダッシュボードやハンドルに触れたときの熱さと、内装の日焼けの進み方の方だ。
タイプの違いと、比べるときに見る5点
4つのタイプは、着脱の手間と覆える範囲で分かれる
| タイプ | 固定 | 収納 | 引っかかる点 |
|---|---|---|---|
| ワイヤー式 | 上部を磁石などで留める | フレームをひねってたたみ袋へ | 形が合わないと縁に隙間が出る |
| サンバイザー挟み込み | 上端をバイザーで押さえる | ロール状に丸めて袋へ | 下端の押さえ方は製品による |
| ロール式 | 吸盤とバイザーフックで据え付け | 巻き取り式・本体は車内に常設 | 走り出す前に巻き取る |
| 全窓セット | 簡易吸盤 | たたんで収納・場所を取る | 年式やカメラ形状の指定が付く |
ワイヤー式は軽い製品が多く、毎日着脱する使い方と相性がいい。サンバイザー挟み込み式は吸盤を使わないので、ガラスに跡が残らず内装に傷を付ける心配も少ない。ロール式は一度据え付ければ着脱そのものがいらない。全窓セットはフロントに加えてサイドドア・ピラー・後部座席ドア・クォーター・リアまで車一台分を覆うタイプで、車中泊や仮眠で視線を切りたい用途のもの。枚数が多いぶん価格帯は上がる。
比べるときに見るのは5点
①固定方式(磁石・サンバイザー・吸盤)②覆える範囲(1枚か全窓か)③年式と装備の指定④たたんだときの大きさと重さ⑤サイズ表記を自分で確かめる必要があるか。このうち③と⑤は、注文してから気づくと戻せないことがある。
メーカー表記の数値をそのまま比べない
JAFのユーザーテスト「クルマに乗っていれば、日焼けしない?」(2018年4月4日実施)では、フロントガラスはオープンカー以外すべて数値が1桁以下と低かったとされている。約30年前にフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化され、そのフィルムに紫外線をカットする機能も備わっているためだ。ただしJAFは同じページで、同じ車種でも年式・グレードによって装着されるガラスが異なる場合があると断っていて、トールのガラスがどれに当たるかはこの出典からは決められない。商品ページに並ぶカット率や遮光率も出品者やメーカーの自己申告で、測定条件がそろっていない以上、製品間で横に並べて比べる意味は薄い。
商品名の「トール M900S」は専用設計を意味しない
同じブランドの中でも汎用品と専用設計が混ざる
趣味職人の全窓セットは専用設計をうたう一方、同じ趣味職人のワイヤー式フロントは商品説明の冒頭で、本商品は汎用品であり表題に記載している車種に対する専用品ではないと明記している。YouCarのロール式も対応車種としてダイハツ トール M900S M910Sを挙げながら、汎用・フリーサイズであることを併記し、購入前にフロントガラスの形状を確認するよう付け加えている。CONOYYERも一部の車には適用外なのでガラスのサイズを確認してほしいと書いている。商品名の車種表記は適合の保証ではない。
汎用品で困らない使い方、困る使い方
内装の日焼けとダッシュボードの熱を軽くしたいだけなら、縁が多少余る・足りないは実害になりにくい。困るのは、光漏れを嫌う場合と、仮眠で外からの視線を切りたい場合だ。この2つは縁の合い方がそのまま結果に出るので、専用設計の側へ寄せた方が読みが立つ。
フリーサイズ表記の製品は自分で寸法を確かめる
CONOYYERは商品名に145x85cmとある一方、説明文にはLサイズとSサイズの設定があると書かれていて、名前の寸法と説明が一致していない。YouCarは幅約76.5〜145cm、高さ0〜249cmの伸縮設計としている。どちらも購入前に自分のガラスを測って照らし合わせるのが前提の書き方だ。
2020年9月のマイナーチェンジが全窓セットの適合を分ける
2020年9月に変わったもの
ダイハツ公式のモデルヒストリーによると、2020年9月のマイナーチェンジではフロントバンパーとグリルを新デザインにし、内装を刷新、シート形状を変更、ダイハツの小型車で初めて電動パーキングブレーキを設定した。予防安全機能のスマートアシストも進化し、夜間歩行者検知や追従二輪車検知への対応、全車速追従機能付ACC、路側逸脱警報機能が加わっている。ボディ外寸が変わったという記載は、諸元表にもヒストリーにも無い。
ステレオカメラの形の違いが隙間になる
効いてくるのは外寸ではなくフロントガラスの上部だ。趣味職人のクラフトシェードの商品説明には、本製品は2020年9月のマイナーチェンジから採用された次世代スマートアシストのステレオカメラ対応品であり、それ以前のスマアシIIとスマアシIIIのステレオカメラは形状が異なるため隙間が空いたりうまく合わない場合がある、返送交換ができないので理解の上で検討してほしい、と書かれている。返送交換ができない以上、注文前に自分の車がどちらかを確かめるしかない。
スマートアシスト非装着車は上部中央に隙間が出る
同じ商品説明には、スマートアシスト非装着車の場合はフロントガラス上部の中央に数cmの隙間ができる、との注記もある。全窓セットで視線を切るのが目的なら、この隙間をどう扱うかまで含めて考えることになる。前か後かは車検証の初度登録年月で見当が付き、初度登録が2020年の秋前後にかかる車なら取扱説明書か販売店でスマートアシストの世代を確かめておくと間違いがない。
トール M900S / M910S で選べるサンシェード4選
折りたたんで積んでおくなら趣味職人のワイヤー式
商品説明によると、内容はワイヤーシェード1つ、重量は約180g。シェードを広げてフロントガラスに合わせ、上部を磁石で固定するだけで、サンバイザーで取り付ける手間がないとされている。使用後はワイヤーフレームをひねって小さくたたみ、付属の収納袋に入れてドアポケットやシート背面に保管できる。汎用品と明記されている点だけ承知して選ぶ。表示価格は¥2,580。
趣味職人 ワイヤー式フロントサンシェード Mサイズ(トール M900S/910S系 対応・汎用品表記)
吸盤の跡を残したくないならCONOYYER
商品説明では適合車種をトール M900系などとしている。取り付けはフロントガラスに合わせてサンバイザーに挟むだけで、吸盤や傘の柄を使わないため、ガラスに吸盤の跡が残らず内装に傷を付ける心配もないとされる。収納バッグと固定ロープが付属し、1本のロールにまとめられる。サイズ設定の説明が商品名の寸法と食い違うので、注文前にどのサイズを選ぶのかだけ確認しておく。表示価格は¥2,599。
CONOYYER フロントガラス用サンシェード THORロゴ付き(トール M900系 適合表記・サンバイザー固定)
着脱そのものを無くすならYouCarのロール式
商品説明は対応車種をダイハツ トール M900S M910Sとし、購入前に必ずサイズを確認するよう注意書きを添えている。最初に取り付けてしまえば、使うときは引っ張って引っ掛けるだけ、不要なときは自動巻き取りで収まる。生地はオックスフォード布に銀チタンコート、フレームはアルミ合金、裏地は黒で視線も遮るとされている。表示価格は¥4,880。
YouCar ロール式フロントサンシェード(ダイハツ トール M900S/M910S 対応表記・フリーサイズ)
車中泊で全窓を覆うなら趣味職人のクラフトシェード
トール M900S/910S系の専用設計をうたう全窓セット。内容はフロントガラス1枚、サイドドアガラス2枚、ピラーガラス2枚、後部座席ドア2枚、クォーターガラス2枚、リアガラス1枚の合計10枚。簡易吸盤で着脱し、使わないときはたたんで収納できる。外からの視線を遮るため車中泊にも使えるとされている。カメラ形状の指定があるのは4製品の中でこれだけなので、前の節の確認を済ませてから注文する。表示価格は¥6,480。
趣味職人 クラフトシェード 全窓10枚セット(トール M900S/M910S系 専用設計・車中泊向け)
使うときに外せない、視界と貼り付けの話
走行中は前方・側方を遮らない
サンシェードは駐車中に使うもので、前方や側方の視界を遮ったまま走らないのが前提。ロール式のようにガラスへ据え付けたままにできる製品でも、走り出す前にシェードを巻き取って視界を空ける。
貼るフィルムと置くサンシェードは別の話
JAFの解説では、フロントガラスと運転席・助手席の窓ガラスには、検査標章など指定されたもの以外(可視光線透過率が70%以上になるものは除く)を貼り付けることが原則として禁止されている、とされている。同じ解説では、後部座席の側面窓とリアウインドウには貼ることができるとも書かれていて、前席まわりと後方で扱いが分かれる。ここで対象になっているのはガラスに貼るフィルムで、置く・吸盤や磁石で留めるサンシェードは、この貼り付け規制が直接掛かる対象ではない。
よくある質問
トール M900S のフロントガラスは何cmですか
ダイハツの公式諸元表に載っているのは全長・全幅・全高・室内寸法・ホイールベースまでで、ガラス自体の寸法は無い。公式の値で答えられない以上、商品ごとのサイズ表記を見て、自分の車のガラスを実際に測って照らし合わせることになる。
サンシェードを付けると車内は何℃下がりますか
JAFの実測は、サンシェードを付けても車内の空気の温度は高いままだと示している。JAF自身も温度抑制効果は低く車内温度の上昇を防ぐことはできないと結論しているので、何度下がるという形では答えられない。
4WDのM910Sでも同じ商品が使えますか
諸元表には、駆動方式でガラスの仕様が分かれるという記載は無い。ここで挙げた4製品も、適合表記にM900SとM910Sの両方、またはM900系を挙げている。
2020年9月より前のトールでも全窓セットは使えますか
趣味職人のクラフトシェードはマイナーチェンジ以降のステレオカメラに合わせた製品で、それ以前のスマアシIIとスマアシIIIとは形が違うため隙間が空く場合があると商品説明にある。返送交換ができない以上、先に自分の車の年式を確かめておく。
ルーミー用と書かれた商品はトールに使えますか
この記事でそろえた材料からは断定できない。商品の適合欄にトール M900S / M910Sが入っているかどうかで見るのが早い。装備の差やパーツの互換については別記事にまとめてある。
まとめ
毎日着脱してたたんでおくなら趣味職人のワイヤー式、吸盤の跡を避けたいならCONOYYER、着脱をやめたいならYouCarのロール式、車中泊で全窓を覆うなら趣味職人のクラフトシェード。買う前に確かめるのは2つで、その商品が汎用品か専用設計か、そして自分の車が2020年9月のマイナーチェンジより前か後か。後者は車検証で型式と初度登録年月を確認するところから始める。
趣味職人 ワイヤー式フロントサンシェード Mサイズ(トール M900S/910S系 対応・汎用品表記)
趣味職人 クラフトシェード 全窓10枚セット(トール M900S/M910S系 専用設計・車中泊向け)
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