プリウス MXWH60 バッテリー交換 型番LN1と手順

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MXWH60 の補機バッテリーは、EN規格の LN1 サイズで決まりだ。買うときに見るのはこの規格表示と、20時間率容量とCCAの2つの数値で、それ以外の要素は後回しでいい。検索で S34B20R という型番に行き当たった人もいると思うが、それは30系・40系プリウスのもので、60系には付かない。ここでは規格の確定から、荷室での交換手順、交換後の初期設定までを順に追う。

目次

MXWH60 の補機バッテリーは EN規格の LN1

MXWH60 は5代目プリウス(60系)のうち、2.0Lハイブリッドの2WD。エンジン型式は M20A-FXS で、排気量2,000cc、2023年1月からの設定になる。車検証には「6AA-MXWH60」と書かれている。同じ60系でも1.8Lハイブリッドは ZVW60(2WD)と ZVW65(E-Four)、2.0Lの4WDは MXWH65 で、末尾が0なら2WD、5ならE-Fourという区別だ。

このうち補機バッテリーのサイズは、ZVW60・ZVW65・MXWH60・MXWH65 のどれも EN規格の LN1 で共通。エンジンが1.8Lか2.0Lかで変わる部分ではない。EN規格には LN0 から LN5 までのサイズ区分があり、LN1 は下から2番目、容量の目安は45〜52Ah にあたる。

ただし、LN1 と書いてあれば何でもいいわけではない。トヨタは容量と始動性能に下限を設けている。

取扱説明書が決めている交換条件

トヨタの電子取扱説明書(プリウス 60系ハイブリッド車)は、補機バッテリーを交換するときの条件を5つ挙げている。

項目 指定内容
ケースサイズ 交換前と同一(LN1)
20時間率容量(20HR) 同等(45Ah)以上
性能基準値(CCA) 同等(285A)以上 ※M20A-FXS 搭載車
種類 一括排気タイプのカルシウムバッテリー
形状 取っ手の付いているもの

CCA の指定値はエンジン型式ごとに書き分けられていて、2ZR-FXE 搭載車は286A以上、M20A-FXS 搭載車は285A以上。MXWH60 は M20A-FXS なので、見るのは285Aのほうだ。1.8L車の記事や適合表を読んでいると数値が1A違うことがあるが、書き分けの結果であって誤植ではない。

取扱説明書は条件の理由も書いている。ケースサイズが違うと補機バッテリーが正しく固定されないこと、20時間率容量が小さいものを積むと、車を使わない期間が短くてもバッテリーがあがってハイブリッドシステムを始動できなくなるおそれがあること。数字合わせのための下限ではなく、動かない事態を避けるための下限という位置づけになっている。

なお LN1 の外形は、長さ207mm × 幅175mm × 高さ190mm 前後。車両データベース上の MXWH60 の寸法は210×175×190mm と記録されている。LN1 同士なら外形は揃うので、収まりで悩む要素は少ない。

S34B20R は30系・40系の型番

プリウスの補機バッテリーは、世代の途中で規格そのものが変わっている。ここを取り違えると、届いた箱を開けた時点で作業が止まる。

  • 30系(ZVW30)・40系(ZVW40W):JIS規格の S34B20R
  • 50系(ZVW50・ZVW51・ZVW55):EN規格 LN1(純正品番は345LN1-MF系)
  • 60系(ZVW60・ZVW65・MXWH60・MXWH65):EN規格 LN1

つまり EN規格への切り替えは60系からではなく、2015年11月に出た50系の時点で既に起きている。50系までは JIS規格という説明を見かけたら、そこは事実と違う。

S34B20R のような JIS規格の製品は、LN1 とはケースサイズも端子の形状・位置も違う。取扱説明書が「交換前と同一のケースサイズ」を指定し、違うと正しく固定されないと書いている以上、旧型プリウス用の型番を流用する道はない。商品名の「プリウス用」「プリウス対応」という表記だけで選ぶと、30系・40系向けの JIS規格品を掴む。必ず LN1 という規格表示と、対応年式が2023年1月以降であることまで確認する。

搭載位置も世代で違う。50系はエンジンルーム左側、60系は荷室右側で、作業の入口から別物だ。50系向けの交換動画をそのまま手本にしないほうがいい。世代ごとの違いは

でも触れている。

LN1 の中からどう選ぶか

規格が LN1 に決まったあと、実際に何を見て1つに絞るか。判断軸は6つある。

取扱説明書が決める3つの下限

ケースサイズ LN1、20時間率容量45Ah以上、CCA 285A以上。この3つは必須条件であり、下限なので上回るぶんには問題ない。短距離走行が多い、数週間動かさないことがある、ドライブレコーダーなど電装品を足している——そういう使い方なら、容量とCCAに余裕を取る判断が成り立つ。逆に通勤で毎日それなりの距離を走るなら、下限を満たす製品で十分だ。

一括排気と取っ手は購入前に現物確認

取扱説明書は一括排気タイプであること、取っ手が付いていることも指定している。ところがこの2点は、製品の仕様表に必ず書かれているとは限らない。EN規格の製品は側面に排気口を持つのが通例ではあるものの、個別の品番について言い切れる材料はない。商品画像や説明文で、排気ホースをつなぐ接続口と取っ手の有無を自分で見る、という手順として扱ってほしい。

保証年数と保証距離

最後が保証。製品によって2年4万km、2年6万km、3年6万kmといった差がある。数値上の性能が近い製品で迷ったら、ここが決め手になる。

MXWH60 に適合する LN1 バッテリーを比べる

車種適合が明示されている LN1 サイズの製品を、仕様で並べる。価格はAmazonの実売価格で、確認時点は2026年8月14日。日々動く値なので、購入前に必ず現在の表示を見てほしい。

製品 20時間率容量 CCA 外形寸法 保証 価格(確認時点)
パナソニック N-350LN1/PA 45Ah 320A 207×175×190mm 2年または4万km ¥17,980
GSユアサ ECO.R ENJ-355LN1 50Ah 400A 207×175×190mm 仕様表に記載なし ¥19,750
GSPEK D-55566/PL 55Ah 500A 207×175×190mm 2年または6万km ¥14,590

3品とも取扱説明書の下限(45Ah以上・285A以上)は満たしている。 違いは余裕の取り方と保証だ。

取説の下限をそのまま満たす標準的な選択

パナソニック PAシリーズ N-350LN1/PA は、12V・20時間率容量45Ah・CCA 320A・質量11.5kg・補水可能。保証は2年または4万km。容量は取扱説明書の指定値ちょうど、CCAは35A上回る。純正と同じ考え方で戻したい人向けで、廃バッテリー回収用の着払い伝票が付く出品がある。

パナソニック PAシリーズ N-350LN1/PA(プリウス MXWH60 標準地仕様車・廃バッテリー回収用着払い伝票付き)

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容量に余裕を持たせたい場合

GSユアサ ECO.R ENJ シリーズ ENJ-355LN1 は、20時間率容量50Ah・CCA 400A・質量約12.5kg。日本車専用の EN規格バッテリーで、ハイブリッド車の補機用とエンジン始動用の両方に対応する。販売元が挙げる適合例にはプリウス(W50系・W60系)のほか、C-HR HV、カローラ HV、RAV4 HV などが並ぶ。長期駐車が多い使い方なら、容量50Ahという余裕が効いてくる。

GSユアサ ECO.R ENJ ENJ-355LN1(プリウス 6AA-MXWH60 対応・廃バッテリー回収用着払伝票セット)

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始動性能を厚めに取りたい場合

GSPEK(デルコア)ENシリーズ D-55566/PL は、20時間率容量55Ah・CCA 500A・質量13kg、保証は2年または6万km。3品の中では容量もCCAも最も大きい。EN規格 LN1 サイズで、標準車とハイブリッド車の補機用として売られている。

GSPEK ENシリーズ D-55566/PL(プリウス MXWH60 標準地仕様車・LN1サイズ)

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参考までに、パナソニック caos ENシリーズ N-355LN1/EN(51Ah・CCA 350A・保証3年または6万km)も60系プリウスの交換実例で使われている品番だ。ただし車種名を明示した出品ではないため、選ぶなら LN1 と対応年式を自分で確かめる必要がある。

買う前に現車で確認すること

ここまで規格で絞ってきたが、最後の判断は現車で取る。確認するのは3つ。

1つ目は車検証の型式と初度登録年月。「6AA-MXWH60」であること、登録が2023年1月以降であることを見る。2つ目は現車に載っている純正バッテリーのラベルで、規格表示・容量・CCAがそのまま書いてある。3つ目は荷室右側のカバーを開けて、排気ホースがどう接続されているかを目で見ておくこと。戻すときに迷わない。

確認をすすめる理由がある。通販の出品を見ると、同じ MXWH60 向けでも「標準地仕様車」「寒冷地仕様車」「標準地/寒冷地仕様車共通」と表記が割れている。実際に同一品番(D-55566/PL)が標準地向けと寒冷地向けの両方の出品に使われている一方、共通と明記する出品もある。どちらが正しいかは販売ページからは判定できない。また車両データベース上、6AA-MXWH60 の適用年式が2023年1月から2025年7月までで区切られている記載もある。表記の揺れを埋められるのは、手元のラベルの実物だけだ。

交換の準備と手順

用意するものと段取り

MXWH60 の補機バッテリーは荷室(ラゲージルーム)の右側にある。リアハッチを開けた内側で、黒いカバーに覆われており、カバー上側の取っ手に手をかけて引き上げると外れる。ボンネットを開けても本体は出てこない。ボンネット内にあるのは救援用の端子だ。

用意するのは、端子ナット用に10mm、固定ステー用に12mm相当のソケット工具、メモリーバックアップ電源、手袋。バックアップを取らずに端子を外すと、車が記憶していた設定が失われる。 取扱説明書自身、補機バッテリーを再接続したあとには初期設定が必要な装備があると案内している。作業の先頭は室内灯を消し、バックアップ電源をつなぐところからだ。走行直後の熱を持った状態は避け、平坦な場所で電源を切ってから始める。電源まわりを触る作業の勝手は

とも重なる。

外す順・付ける順

  1. 荷室右側の黒いカバーを、上側の取っ手を引き上げて外す
  2. メモリーバックアップ電源を接続する
  3. -端子を先に外す(10mmのソケットが使われる例が多い)
  4. +端子を外す
  5. バッテリーを押さえている固定ステーを外す(12mm相当)
  6. 古いバッテリーを降ろし、新しいバッテリーを載せる
  7. 排気ホースと排気穴栓を取り付ける
  8. 固定ステーを締める
  9. +端子を先に付け、最後に-端子を付ける
  10. カバーを戻す

取扱説明書は脱着時に「必ず-端子を先にはずす」と明記している。外すときは-が先、付けるときは+が先——この順序だけは崩さない。

7番の排気ホースは M20A-FXS 搭載車に対する指定で、交換後に排気穴へ排気ホースと排気穴栓を確実に取り付けること、交換前のバッテリーに付いていた排気ホースを使い、車両側の穴部と接続されていることを確認するよう書かれている。実際に交換した人の記録でも、ここの付け忘れが注意点として挙がっている。60系で工具を使う他の作業は

も参考になる。

交換後にやること

取扱説明書には、補機バッテリーを再接続したりメンテナンスを行ったあとにシステムを正しく作動させるため、初期設定が必要な項目が挙げられている。該当するのはパワーバックドアとパワーウインドウの2つ。パワーバックドアは充電・交換後の再接続時に設定が必要、パワーウインドウは正常に働かないときに設定が必要、という書き方だ。この2つは作業のうちに入っていると考えて、カバーを戻す前後に済ませる。

そのほか時計やナビの設定が戻っているかも一度見ておく。使用済みの鉛バッテリーは家庭ごみには出せないので、購入店・カー用品店・回収業者に引き取ってもらう。通販の出品には廃バッテリー回収用の着払伝票が同梱されるものがあり、自分で交換するなら古いバッテリーの行き先を先に決めてから買うと詰まらない。ついでに他の定期交換の時期も見直すなら

が使える。

交換時期の目安と、弱ってきたサイン

JAF が公開しているバッテリーの解説では、ハイブリッド車・電気自動車の補機バッテリー(12V)の交換時期の目安を2〜5年程度としている。一般的なガソリン車も2〜5年、アイドリングストップ搭載車は2〜3年で、3年以上経過したものは内部の劣化が進んでいる可能性が高いという説明だ。これはハイブリッド車全般の一般的な目安であって、MXWH60 を対象に測った値ではない。

交換のサインとして挙げられているのは4つ。始動時にセルモーターの音が弱々しくなる、アイドリングストップの作動頻度が減る、本体の膨らみや端子周辺の汚れが出る、前回交換から2〜3年以上経っている。バッテリーが上がる原因は過放電と破損・劣化の2つで、過放電の典型はライト類や室内灯の消し忘れ、半ドアによる室内灯の点灯とされている。

上がってしまった場合の救援用端子はボンネット内にある。M20A-FXS 搭載車ではヒューズボックス周辺だ。取扱説明書は救援時、救援車のエンジン回転を少し高めにして約5分間、自車の補機バッテリーを充電するよう説明している。寿命と費用の考え方は

にまとめてある。

走行用の駆動用バッテリーとは別物

ここまで扱ってきたのは12Vの鉛バッテリー(補機バッテリー)で、走行に使う駆動用の高電圧バッテリーはまったく別の部品だ。JAF もハイブリッド車の駆動用バッテリーについて、5年または走行10万kmなどの長期保証が付くと説明している。高電圧を扱うため、点検や交換は販売店に任せる領域で、自分で外したり分解したりする対象ではない。

よくある質問

MXWH60 と ZVW60 で補機バッテリーは違うのか

サイズはどちらも EN規格 LN1 で同じ。違うのは取扱説明書が求めるCCAの数値で、2ZR-FXE の ZVW60 は286A以上、M20A-FXS の MXWH60 は285A以上と書き分けられている。

30系プリウスの S34B20R は使えるのか

使えない。S34B20R は JIS規格で、LN1 とはケースサイズも端子の形状・位置も違うため、車両側に固定できない。

LN1 なら容量やCCAが大きいものに替えてもよいのか

45Ah・285Aは下限なので、上回るぶんには差し支えない。サイズ区分が LN1 から外れないことだけ確認する。

寒冷地仕様と標準地仕様で型番は変わるのか

販売ページの表記が割れていて、変わるとも変わらないとも言い切れない。現車の純正バッテリーのラベルに書かれた規格・容量・CCAを見るのが確実だ。

交換は自分でできる作業なのか

荷室右側でカバーを外し、10mmと12mm相当のソケットで端子とステーを扱う作業で、特殊工具は要らない。メモリーバックアップ電源と、排気ホースの再接続まで手が回るかどうかが分かれ目になる。

まとめ

MXWH60 の補機バッテリー交換で押さえるのは5点。

  1. 型番は EN規格の LN1。S34B20R は30系・40系のもので、60系には付かない
  2. 下限は20時間率容量45Ah以上・CCA 285A以上。M20A-FXS 搭載車の数値はこちら
  3. 一括排気タイプで取っ手付き。これは商品ページで自分の目で確かめる
  4. 外すときは-端子から、付けるときは+端子から。排気ホースと排気穴栓の取り付けを忘れない
  5. 再接続後はパワーバックドアとパワーウインドウの初期設定を行う

まず車検証で型式と初度登録年月を確認する。そこから荷室のラベルを見れば、買うべき1本は10分で決まる。

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この記事を書いた人

車種別パーツ適合情報サイト「パーツ選び.com」の編集部。タイヤサイズ・エンジンオイル量・ワイパー適合・フィルター型番など、2,400本以上の記事と全80車種対応の早見表を公開中。適合値はメーカー公式の諸元・取扱説明書や部品メーカーの公式適合表で確認したものを優先し、確認できない数値は載せない方針で運営しています。

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