URJ202Wで車中泊の道具をそろえるとき、最初に効いてくるのは8人乗りか5人乗りか、そして年式がいつかという2点だ。カタログの室内長は8人乗りのAXで2,690mm、5人乗りのGXで1,945mmと開くが、この745mmは荷室の広さの差ではない。まず自分の車がどちら側かを確かめ、カタログ値は候補サイズの当たりをつける材料として使い、買う寸法は自車の実測で決める。
マット選びの出発点になる3つの数値
8人乗りの3列シート車は、2020年6月発売のAXが室内長2,690mm×室内幅1,640mm×室内高1,200mm。2015年8月発売のAXも同じ2,690×1,640×1,200mmだ。候補マットの当たりをつけるなら、この3つの数値から入る。
ただしカタログの室内長は室内の最前部から最後部までを測った値で、前席が立っている状態を含む。2列目を倒して作る就寝スペースの長さとは別物だ。2,690mmをそのまま「2m69cmの寝床が取れる」と読み替えてはいけない。 マットは一度開封すると返品しにくいので、実測前に発注しないことを以降の前提にする。
URJ202Wはどの車を指すのか
URJ202Wは、200系ランドクルーザーのうち4.6L V8エンジン(1UR-FE型・総排気量4,608cc)を積む車の型式だ。カタログ上は2009年5月発売の区分から設定され、この区分で上級グレードのZXが初めて加わった。型式記号の頭は年式で変わり、2013年1月発売区分と2015年8月発売区分はCBA-URJ202W、2020年6月発売区分は3BA-URJ202W。2020年6月発売のGXの設定期間は2021年8月までと表記されている。駆動方式はフルタイム4WDだ。
グレードは4つあり、乗車定員はZX・AX Gセレクション・AXが3列8名、GXが2列5名。GXはカタログ上2010年8月発売の区分から設定され、2015年8月のマイナーチェンジ後もこの4グレード構成が続いた。車両重量はグレードで2,430〜2,690kgの幅がある。
外寸は全長4,950mm、ホイールベース2,850mmが年式・グレードを通じて共通で、全幅は1,970〜1,980mm、全高は1,870〜1,880mmと表記が分かれる。マット選びに直結するのは外寸ではなく、次に見る室内寸法のほうだ。 同じ型式でもグレードで数値が分かれるのはタイヤも同じで、そちらは
で扱っている。
グレードと年式で室内寸法は食い違う
| 発売区分・グレード | 室内長 | 室内幅 | 室内高 |
|---|---|---|---|
| 2013年1月〜2014年4月 ZX(8人乗り) | 2,715mm | 1,640mm | 1,170mm |
| 2015年8月・2020年6月 AX(8人乗り) | 2,690mm | 1,640mm | 1,200mm |
| 2020年6月 GX(5人乗り) | 1,945mm | 1,615mm | 1,200mm |
前期にあたる2013年1月〜2014年4月のZXは、2015年8月以降のAXと比べて室内長が25mm長く、室内高は30mm低い。5人乗りのGXは室内長が745mm短く表示されるが、これは3列目シートが無いぶん室内の後端の取り方が変わるためで、荷室が狭いという意味ではない。
同じURJ202Wでも、他の年式・グレードの数値を自車の値として扱わない。 カタログ値は候補サイズの当たりをつける材料であって、収まる保証ではない。
就寝スペースはメジャー1本で測る
測る前に順番を決める
- 何人で、どのシートアレンジで寝るかを決める
- その状態で段差の高さ・位置と、使える長さ・幅を測る
- 段差をクッション・収納コンテナ・ベッドキットなどの下地で埋めて平面を作る
- その上に載せるマットの厚さとサイズを決める
マットを先に買ってから寝床を合わせにいくと、厚さも寸法も合わせ直しがきかない。買う順番は寝床が先、マットが後だ。
測るのは5か所
- 寝る体勢を作った状態での前後方向の長さ(荷室後端の内側から前方の障害物まで)
- 荷室の最大幅
- 左右のタイヤハウス間の狭くなった部分の幅
- 床から天井までの高さ
- 倒したシート背面と荷室床の段差の高さと、その段差が後端から何cmの位置にあるか
最大幅とタイヤハウス間の幅は別の数値になるので、必ず両方測る。マットの幅が収まるかどうかは、タイヤハウス間の狭いほうの幅で判断する。
シートを倒す前に取扱説明書を確認する
メーカー公式サイトで公開されている取扱説明書のページには、ランドクルーザーの年式区分ごとのPDFが並んでいる。2010年7月〜2011年12月を先頭に、2013年8月〜2015年7月、2015年8月〜2016年7月と続き、2020年6月〜2021年7月までが200系の販売期間をカバーする。自車の年式に合う区分を選べば、シートアレンジの手順を一次資料で確認できる。
2列目・3列目の格納方式や操作手順は、年式・グレードによって異なる可能性がある。今回の調査では格納方式の年式ごとの差をメーカーの一次資料で裏取りできなかったため、機構については断定しない。指はさみ、シートの確実な固定、積載物の飛び出し防止といった警告は、シートを動かす前に自車の取扱説明書で読む。
マットのタイプと厚さの決め方
4タイプの性格
| タイプ | 段差への強さ | 収納時の体積 | 押さえどころ |
|---|---|---|---|
| インフレーター(自動膨張) | 比較的強い | 大きめ | バルブを開けると自然に膨らむ。厚みと寝心地のつり合いが取れる |
| エアマット | 厚みは出せる | 最も小さい | ポンプでの設営と撤収に手間がかかり、穴あきに弱い |
| 高反発ウレタン | 沈み込みにくい | かさばる | 設営不要で耐久性が高い。畳めない製品もある |
| 銀マット(発泡ポリエチレン) | 単体では段差が出る | 小さい | 安価で断熱に効く。下敷きとして併用する前提 |
段差の残る車内で1枚だけ選ぶなら、インフレーターか高反発ウレタンから当たるのが現実的だ。 銀マットは他のマットの下に敷く役として数えておく。
厚さは下地が決まってから選ぶ
厚手(おおむね8cm以上)は倒したシートの背もたれと荷室床の段差や傾斜を吸収しやすく寝心地が安定するが、畳んだときの体積が大きく、車内に置いたままにするなら積載スペースを食う。薄手(3〜5cm程度)は畳みやすく持ち運びやすい代わりに、下地の凹凸がそのまま背中に出る。
どこまで平らな下地を作れるかが決まってから厚さを選ぶと外しにくい。 段差をマット1枚で解決しようとせず、下地で高さを合わせてから載せる。荷室に何をどう積んで平面を作るかの組み立て方は
の考え方が近い。ただし寸法は車が違えば別物だ。
8人乗りと5人乗りで変わること
5人乗りのGXは3列目が無いぶん、寝床づくりの工程が1つ減り、2列目の扱いだけを考えればよい。8人乗りのAX系・ZXは3列目をどう処理するかで使える長さも段差の位置も変わるので、まず3列目の状態を固定してから測る。
カタログ室内長の差(8人乗り2,690mmと5人乗り1,945mm)は3列目の有無による定義差なので、この数値の大小で車中泊のしやすさを比べない。 必要なマット寸法も、この数値ではなく実測から出す。
車内で寝るときの安全
エンジンは切る
JAFが行ったユーザーテストでは、雪で車が埋まった状況を想定し、エンジンをかけた状態で車内の一酸化炭素濃度を計測している。対策をしなかった車は開始直後から濃度が上がり、16分後に短時間暴露限度の400ppmに達し、その6分後には測定上限の1,000ppmに達した。窓を5cm開けた条件では開始5分で100ppm台に上がり、増減を繰り返したのち約40分後に400ppmへ、その後すぐ800ppm台になった。一方、マフラー周辺を除雪した車は終始一酸化炭素がほとんど検知されなかった。
窓を開けての換気は補助にしかならず、単独の対策にはならない。 就寝時はエンジンを切るのが原則で、やむを得ずかけるならマフラー周辺を定期的に除雪して排気口をふさがない状態を保つことが最優先だ。寒さ対策はエンジンに頼らず、寝袋・断熱マット・電源を使わない防寒具で組み立てるほうが安全になる。
積んだ物を固定する
マットや寝具、収納コンテナは走行中に動かないよう固定する。急ブレーキや衝突では車内の荷物が前方へ飛ぶため、後席側に高く積み上げた荷物は乗員に当たりうる。ルームミラーからの後方視界や側方の視界をふさぐ高さまで積まない。就寝用の装備を積んだまま走る使い方をするなら、走行時と就寝時で積み方を切り替える前提で道具のサイズを選ぶ。
エンジンを切って夜を過ごすなら、電装品の使い方とバッテリーの状態も併せて見ておきたい。交換の目安は
で扱っている。
道の駅で寝てよいのか
国土交通省の道の相談室は、道の駅駐車場での車中泊について見解を示している。道の駅は交通事故防止のため24時間利用できる休憩施設なので、運転の途中で疲労回復のために車内で仮眠をとるなどすることはかまわない。ただし駐車場など公共空間における宿泊利用は基本的に遠慮してほしい、という内容だ。
仮眠と宿泊は別の扱いになっている。 別途、宿泊利用のための駐車スペースを設けている道の駅もあるので、詳細は各道の駅の案内で確認してから利用する。
よくある質問
180cm前後の大人が足を伸ばして寝られますか
自車で測るまで確定しない。カタログの室内長は前席が立った状態を含む値なので、そこから引き算して寝られる長さを出すことはできない。2列目を倒した状態で荷室後端の内側から前方の障害物までを測り、その数値と身長を突き合わせる。
2列目を倒せば平らになりますか
段差や傾斜が残る前提で組んだほうがいい。今回の調査では格納方式まで裏取りできていないので、平らになるとは書けない。下地で高さを合わせてからマットを載せる段取りにしておけば、段差が残っても対応できる。
8人乗りと5人乗りでマットのサイズは変わりますか
変わりうる。ただしカタログ室内長の745mm差から判断するのではなく、3列目の状態を決めたうえでの実測値で比べる。
前期と後期でマット選びの条件は変わりますか
室内寸法が一致しない。2013年1月〜2014年4月のZXは2,715×1,640×1,170mm、2015年8月以降のAXは2,690×1,640×1,200mmで、長さで25mm、高さで30mmずれる。シートアレンジについては、自車の年式に対応する取扱説明書で確認する。
他のランドクルーザーの車中泊記事を参考にしていいですか
段取りの考え方は参考になるが、寸法とシート機構は流用しない。300系や250系、プラドは室内の作りが別なので、数値をURJ202Wに当てはめると外れる。読み比べるなら
と
が近い題材だ。
まとめ
自分の車がどの区分かを確かめるところから始める。車検証で型式と初度登録年月を確認すれば、この記事のどの数値を見ればよいかが決まる。
そのうえで、カタログ寸法で候補サイズの当たりをつけ、自車の就寝スペースを実測して確定し、残った段差は下地とマット厚で埋める。この3手順は順番を入れ替えない。安全面は1つだけ持ち帰ればよく、それは就寝時にエンジンを切ることだ。
車内の目隠しをどう作るかまで含めて考えるなら、
の組み立て方が参考になる。

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