ランドクルーザー200のURJ202Wに載るバッテリーは、1つに決まっていない。バッテリーメーカーGSユアサの車種別適合検索は、GX・AXを80D26L、ZXを105D31Lと分けて登録している。しかも市販の適合データベースどうしでも記載が割れているので、通販で買う前に現車のバッテリー本体で型番を読む工程まで入れておきたい。
URJ202Wの型番は80D26Lと105D31Lに分かれる
GSユアサの適合検索には、ランドクルーザー(J200)4600cc・車両型式CBA-URJ202W・エンジン型式1UR-FEとして2行が登録されている。仕様欄が「GX、AX」の行(販売開始2010年7月)は80D26L、仕様欄が「ZX」の行(販売開始2009年4月)は105D31L。
どちらの行も、標準搭載と寒冷地仕様に同じ型番が入っている。寒冷地仕様だから別の型番になる、という読み替えは要らない。ただしこれはURJ202Wの話であって、同じ表のランドクルーザー バン(J100・KR-HDJ101K)は標準搭載80D26Rに対して寒冷地仕様が105D31Rと変わる。他のランクルで聞いた話をそのまま持ち込まないほうがいい。
そして2通りあることが分かっても、それだけでは自分の車の1つが決まらない。理由は後の節で書く。
URJ202Wは2009年4月からの4.6L V8
URJ202Wは200系のうち、4.6L V8「1UR-FE」(4,608cc)を積む車両型式だ。2009年4月のマイナーチェンジで、4.7L V8「2UZ-FE」のUZJ200Wから置き換わり、同時にATが6速化されて最高出力318PS・最大トルク46.0kgmとなり、ZXグレードが新設された。グレードはGX、AX、AX Gセレクション、ZXの4つで、乗車定員はGXが5名、AX・AX Gセレクション・ZXが8名。
型式には排出ガス規制記号の違いでCBA-URJ202Wと3BA-URJ202Wの2つがある。3BA-は2020年6月から2021年7月までのモデルで、全長4,950mm・全幅1,980mm・全高1,870〜1,880mm、6AT、WLTCモード燃費6.7〜6.9km/L。後継のランドクルーザー300(VJA300W/FJA300W)の販売開始は2021年8月なので、それ以前の200系だと分かっていればまずURJ202WかUZJ200Wのどちらかになる。
中古で手に入れた個体なら、先に車検証の車両型式を見る。先代のCBA-UZJ200W(4700cc・2UZ-FE・2007年9月販売開始)はGSユアサの適合検索で標準搭載・寒冷地仕様とも80D26Lで、URJ202Wとは登録が別行になっている。見た目が似ていても行が違えば話が変わる。
80D26Lと105D31Lの違いは長さ約5cmと性能ランク
電池工業会によると、自動車用バッテリーのJIS形式は4つの要素でできている。先頭の数字が性能ランクで、総合性能(始動性能・容量)を表し、数値が大きいほど性能がよくなる(50未満は2刻み、50以上は5刻み)。次のアルファベットがサイズ記号で、幅と箱の高さの組み合わせを表し、A→Hの順に大きくなる。続く数字が長さの概寸法(約cm)で、末尾の記号が端子位置(R・L・記号なし)だ。
これを当てはめると、80D26Lは性能ランク80・サイズ記号D・長さ約26cm・端子位置L、105D31Lは性能ランク105・サイズ記号D・長さ約31cm・端子位置L。記号Dは幅173mm・箱高さ204mmなので、2つの違いは長さの約5cmと性能ランクだけで、幅と高さは共通ということになる。適合データベースに載っている実寸でも、80D26Lが260×173×204mm・5時間率容量55Ah、105D31Lが310×173×204mm・5時間率容量64Ahだ。
幅と高さが同じだから、店頭で並んでいる状態では違いが目に入りにくい。取り違えは長さで起きる。
合わせるのはサイズと端子位置、選べるのは性能ランク
GSユアサはよくある質問で、新車搭載とは異なる型式に交換できるかという問いに「新車搭載と同じサイズ、端子極性(Rタイプ・Lタイプ)、性能ランクを満たすバッテリーに交換してください」と回答している。読み替えると、サイズ記号と長さ、端子位置は現車と同じにそろえ、選択の余地があるのは性能ランクだけということだ。
だから80D26Lと105D31Lを好みで入れ替える、という発想は成り立たない。幅と高さが同じでも長さが約5cm違うので、取り付け金具に対して長すぎたり短すぎたりするし、ケーブルの届く範囲も設計どおりではなくなる。容量が大きいほうが得に見えても、載せる場所が受け付けない。
端子位置はさらに直接的だ。GSユアサは交換手順のページで「バッテリーの端子位置(極性:Rタイプ・Lタイプ)は同じものを取り付けてください。電子部品の破損、焼損や火災の原因となります」と注意している。URJ202Wは公式の適合表でも第三者のデータベースでも端子位置はLで一致しているので、Rタイプは選択肢に入らない。
適合表どうしで記載が割れる。最後は現車のラベルで決める
ここがこの車のややこしいところだ。メーカー公式のGSユアサはGX・AXを80D26Lとしているが、第三者運営のバッテリーサイズ適合データベースには、2010年8月〜2012年1月のGXを105D31Lと載せているもの、2014年4月〜2015年8月のAX Gセレクションを105D31Lと載せているものがある。一方で2019年10月〜2020年5月のGXと2020年6月〜2021年7月のGXは80D26Lで、公式と一致する。上位装備のグレードほど105D31L側の記載が現れやすい、という傾向は見えるが、どのグレードがどちらかを適合表の突き合わせだけで確定させることはできない。
GSユアサ自身も適合検索ページで「車名、排気量、車両型式、エンジン型式、年式が同じでも、車種によってはマイナーチェンジ、特殊仕様車およびオプション設定車などでは搭載バッテリーが異なる場合がありますので、必ず実際に搭載されているバッテリー型式をご確認下さい」と書いている。例として挙がっているのはトヨタ パッソで、同じDBA-KGC30・同じ1KR-FEでも、TRC・VSCシステム装着車かどうかで34B19Lと44B20Lに分かれるという。装備の違いで型番は動く。
したがって買う前の最終確認は、いま載っているバッテリーの上面ラベルに書かれた型番を自分の目で読むことになる。プラス極とマイナス極は上面の+-表記で分かり、プラス極は端子が太くなっている。同じラベルには出荷前の充電年月日が6桁の数字(左から日月年)で入っているので、今のバッテリーを何年使ってきたかも同時に読める。
交換の目安は2〜3年。症状が出てからでは遅い
GSユアサは通常車用とアイドリングストップ車用の寿命を2〜3年、ハイブリッド車の補機用を3〜5年としている(車種や使用状況で異なる)。電池工業会も推奨交換時期を2年から3年とし、寿命に達する前の早めの交換を勧めている。
電圧が低下すると、エンジンの始動性能が落ち、バッテリーが上がりやすくなる。ヘッドライトやルームランプが暗くなったり、パワーウィンドウの動きが遅くなったりもする。端子が緑・白・黒に変色するのはそれぞれ硫酸銅・炭酸鉛・硫酸鉛で、バッテリーが劣化して慢性的な過充電になると起こるとされ、見つけたら点検の合図だ。
「突然死」という言い方をよく聞くが、GSユアサは、バッテリーと車の性能が上がって寿命の直前まで症状に気付きにくくなっただけで、性能が突然悪くなるのではなく徐々に劣化した結果としてバッテリー上がりが起こる、と説明している。同社は2年以上使用しているバッテリーが一度上がったら新品への交換を勧めている。型番が2通りある車で、上がってから慌てて探すのは分が悪い。動いているうちに型番を確定させておきたい。
参考までに、JAFのロードサービス救援データ(2024年度年間・四輪)では、出動理由の1位が過放電バッテリーで758,649件・構成比34.44%、3位が破損/劣化バッテリーで186,700件・8.48%。総合計2,202,672件に対してこの2項目を足すと945,349件・42.92%になる(この足し算はこの記事で行ったもので、四輪車全体の集計値だ)。
交換作業の進め方
先に断っておくと、バッテリーの搭載位置と固定金具の形状は車両メーカーの設計で決まっていて変更できない、とGSユアサは説明している。この記事で確認できた資料にはURJ202Wの搭載位置を裏づける記載がないため、実際の位置や金具の外し方は現車と車両の取扱書で確認してほしい。同社は「バッテリーの交換は車両の取扱説明書等を参照の上、自己責任で行ってください」と明記しているし、パナソニックも詳細は購入したバッテリーの取扱説明書を確認するよう案内している。作業場所が取れないときや自信がないときは、販売店・整備工場に任せる判断でいい。
準備するもの
GSユアサが挙げているのは、スパナ、ゴム手袋、保護メガネ、車両側ケーブルターミナル清掃用のワイヤーブラシやサンドペーパー。パナソニックは保護メガネとゴム手袋の着用に加えて、10mmスパナ(車両により異なる場合あり)、軍手や養生テープなど絶縁できるもの、そして作業前に金属に触れて静電気を放電しておくことを挙げている。
ラジオ、時計、カーナビなどの電装品とコンピューターのメモリバックアップが必要かどうかは、事前に自動車販売店や車両の取扱説明書で確認するようGSユアサが案内している。パナソニックによれば、バックアップ電源を使えばメモリーを保護できる。
外す順序
走行直後なら、バッテリーを30分以上休ませて化学反応が落ち着いてから始める。走行直後はバッテリー内にガスが溜まっていて、爆発事故につながる恐れがあるためだ。エンジンを止め、ライトや電装アクセサリーを全てOFFにし、キーを抜く。トヨタのG-BOOK加入車などはコンピュータが稼働している場合があるので、作業開始まで6分程度待つ(必要な待機時間は車両で違うので取扱書を見る)。
- マイナス端子(アース側)のケーブルターミナルを外す
- プラス端子のケーブルターミナルを外す
- 取り付け金具を外し、バッテリーを取り出す
マイナスからという順序は守る。車のボディーとバッテリーのマイナス端子は直結されていてボディーにはマイナスの電気が流れているため、プラス端子から外そうとすると工具の端がボディーに接触してショートする恐れがある、とGSユアサは説明している。最悪の場合はバッテリーの爆発や車両側コンピューターの故障につながる。
取り付ける順序
古いバッテリーを外したら、搭載位置の周辺を掃除する。取り付け台に小石や砂などの異物があると、電槽が破損したり固定できなかったりする。ケーブルターミナルが腐食していれば、サンドペーパーやワイヤーブラシで清掃してから付ける。
- 新しいバッテリーを、取り付け金具ががたつかないように固定する
- プラス端子にケーブルターミナルを付ける
- マイナス端子にケーブルターミナルを付ける
- 端子カバーがある車両はカバーを元通りに取り付ける
- ケーブルターミナルと取り付け金具にゆるみがないこと、エンジンルームに工具を置き忘れていないことを確認する
- エンジンを始動する
締め付けは強いほどよいわけではない。GSユアサはバッテリー端子を意外にデリケートだとしたうえで、「ケーブルターミナルを左右に動かしても、動かない程度がちょうど良い締め付け具合です」と書いている。パナソニックも、取付金具やケーブル端子を締めすぎるとバッテリーや端子の変形・破損の原因になると注意している。
作業でいちばん危ないところ
工具でプラス端子とマイナス端子を同時に触れさせない。GSユアサは、マイナス端子とプラス端子が工具などの金属で接触(ショート)すると、スパークによる引火爆発や火災の原因になると注意している。端子の上に工具を置く、端子の間をまたいで持ち替える、といった動作を作らないだけでも違う。
引火の相手はバッテリーが出すガスだ。充電中は水の電気分解で酸素と水素が発生し、水素ガスは非常に引火しやすいため火気厳禁で、走行中も発電機から充電されている状態にある。電池工業会は、液不足のまま使用していると内部の劣化部品から火花が発生してガスに引火し破裂する危険があるとし、分解すれば内容物で化学やけどを負ったりショートで発熱したりするため危険、改造は破裂の原因になるとしている。
バッテリー液は希硫酸だ。電池工業会は、液が皮膚や衣服についたらきれいな水で洗い流し、目に入った場合はすぐにきれいな多量の水で洗い流して医師の診察を受けるとしている。GSユアサはさらに踏み込んで、人体に大変有害で炎症等のやけどを引き起こし、目に入った場合は最悪失明の恐れがあるとして、直ちに多量の水で洗い流して医師の治療を受けるよう求めている。こぼれた液はアルカリ性薬剤で中和してから多量の水で洗い流す。
持ち運びは水平を保って両手で扱う。斜めに傾けたり横倒しにすると、液栓口や排気孔から電解液が漏れ、やけどや衣服の損傷、車両の損傷につながる。重量物なので落下による怪我にも気をつける。なお電池工業会は、交換時期を超えたバッテリーは規定液面内であっても破裂する可能性があるとしている。液が足りていることは、まだ使えることの保証にはならない。
交換したあとにやること
エンジンをかけて調子が違って感じても、たいていは学習値のリセットだ。GSユアサは、学習機能付きのコンピューターを搭載した車両では交換時に学習情報がリセットされ、初期状態に戻るがしばらく走行するうちに再学習して元に戻ると説明している。ただし一部のアイドリングストップ車などはコンピューター初期化作業が必要な場合があるので、その場合は車両販売店に相談する。
外した古いバッテリーは家庭ごみに出せない。鉛や希硫酸が含まれているためで、GSユアサは購入店への引き取りを相談するか、各自治体の取り決めに沿って処分するよう案内している。引き取り先は買うときに決めておくと持て余さずに済む。国内のバッテリー製造事業者は鉛再資源化協会(SBRA)を設立して使用済みバッテリーの回収と再資源化を行っており、樹脂は再生樹脂に、端子や極板の鉛は再精錬されて再生鉛として再びバッテリーに使われる。
かかるお金は、バッテリー本体、取り付けを依頼する場合の作業工賃、古いバッテリーの引き取りの3つに分けて考える。105D31Lは80D26Lより長さで約5cm大きく、5時間率容量も64Ahと55Ahで違うが、実際にいくらになるかは依頼先と時期で動くので、見積もりを取って確認してほしい。
よくある質問
80D26Lの代わりに105D31Lを載せてもいい?
サイズを変える方向の交換は勧められない。GSユアサの原則は新車搭載と同じサイズ・端子極性・性能ランクを満たすものへの交換で、この2つは長さが約26cmと約31cmで違う。上げてよいのは性能ランクの数値だけだと考えておく。
URJ202Wはアイドリングストップ車・充電制御車?
確認できた資料の間で扱いが割れていて、断定できない。GSユアサの適合検索にはアイドリングストップ車と充電制御車を示す環境対応欄があるが、URJ202Wの2行にはどちらの表示もない。一方、第三者データベースには充電制御を「○」とするサイト、「プレミアム充電対応」と書くサイトがあり、2020年6月以降のGXを扱うページには「アイドリングストップ:なし」と明記されている。判断は取扱書と現車の型番に委ねてほしい。参考として、GSユアサはアイドリングストップ車には耐久性の高いアイドリングストップ車用を、充電制御車には短時間で素早く充電できる充電制御車対応を勧めている。
満充電の電圧はいくつ?いつ測る?
自動車用バッテリーの公称電圧は12Vで、GSユアサによれば厳密には満充電状態で12.72V(気温20℃)。充電直後は端子電圧が見かけ上高くなるため、正確な電圧は充電後30分以上経過してから計測するとされている。電圧が低ければ充電不足の可能性があり、補充電しても上がらないなら寿命の可能性がある。
バッテリー液の点検と補水はどうする?
液量点検は日常点検項目として法律で定められていて、GSユアサは毎月の点検を求めている。減ったときに入れるのは精製水で、最高液面線(UPPER LEVEL)まで。硫酸成分は蒸発しないので足すのは水分だけでよく、水道水や井戸水は不純物が放電や短寿命の原因になるため使わない。同社は自家用乗用車用バッテリーについてメンテナンスフリーではないと明言している(VRLAタイプは補水不要)。
しばらく乗らないときはどうすればいい?
駐車しているだけでも、ECUや時計、カーナビのバックアップ電源として通常10〜20mA(車によってはそれ以上)の暗電流が流れ続ける。GSユアサは少なくとも1〜2週間に1回以上まとまった距離を走ることを目安とし、2週間以上乗らないとバッテリーが上がる恐れがある、2週間程度乗らなかったら1時間程度走行することを勧めている。短時間・短距離や渋滞の多い経路は、充電量より放電量が上回りやすい。
まとめ:買う前に押さえる5点
- 型番の候補はGX・AXが80D26L、ZXが105D31Lの2通り
- 発注前に現車の上面ラベルで型番を読み、資料と食い違わないか照合する
- サイズ記号Dと長さ、端子位置Lは現車と同じもの。性能ランクだけが選べる
- 外すのはマイナスから、付けるのはプラスから。締め付けは動かない程度まで
- 古いバッテリーの引き取り先は、購入と同時に決めておく
型番さえ確定してしまえば、あとは順序を守るだけの作業だ。迷いが残るなら、現車のラベルを写真に撮って販売店に見せるのがいちばん早い。

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