雨脚が強まった夜、ワイパーを動かしても視界が一瞬しか整わず、すぐ細いスジが戻ってくる。クラウンクロスオーバーのフロントワイパーは、運転席側が650mm、助手席側が450mm。AZSH35でもTZSH35でも長さは同じで、リヤワイパーは装備そのものが無い。迷いどころは長さではなく、同じ長さの中でどれを選ぶかと、替えゴムだけで足りるかの判断になる。
フロントは650mmと450mm、リヤは装備なし
この車種向けとして各社が設定している製品の型番を並べると、どれも650と450の組み合わせを指している。PIAAの雨用がWG65とWG45、雪用がWSVG65AとWSVG45C。NWBの撥水コートのデザインタイプがHD65WとHD45W、BOSCHのエアロツインJ-Fit(+)がAJ65とAJ45で、BOSCHの製品名には650mm・450mmという数値がそのまま併記されている。別々のメーカーの表記が同じ2つの数値に揃っているので、ブレードはこの長さで選んでよい。右ハンドル車なので、長い650mmが運転席側、短い450mmが助手席側になる。
リヤワイパーのほうは、探しても見つからないのが正しい状態だ。自動車情報誌ベストカーの2022年9月の記事によれば、クラウンクロスオーバーは同年9月1日の発売時点でリヤワイパーを持たない。ワイパーメーカーの適合品一覧にもこの車種向けのリヤ用は無く、汎用品を無理に付ける対象でもない。
AZSH35とTZSH35、年式でも分かれない
型式が違ってもワイパーは共通
クラウンクロスオーバーはクラウンシリーズのクロスオーバーモデルで、2.5Lハイブリッドが AZSH35、2.4Lターボハイブリッド(RS系)が TZSH35 という型式になる。ただしNWBの車種別適用検索でも各社の適合品でも、この2つは「AZSH35/TZSH35」あるいは「AZSH/TZSH3#系」と併記された1つの品番設定で、型式ごとに別の長さが用意されているわけではない。車検証を出して自分がどちらの型式かを調べなくても、フロントの長さは650mmと450mmで選べる。
年式区分は2022年9月以降の1つだけ
NWBの適用検索でクラウンクロスオーバーを選ぶと、年式の選択肢は「R4.9〜(2022.9〜)」の1件しか出てこない。PIAAが公表しているこの車種の適合情報も、対象を「R4.9〜」と1区分で示している。発売から現在までに一部改良は入っているが、ワイパーの適合が年式で切り替わる設定にはなっていないので、初期の個体でも後期の個体でも同じ長さでよい。同じ寸法の話でも、
のようにグレードやホイールサイズで数値が動く部品に比べると、確認の手間はかなり軽い。
最後の照合は自分の車で
単純な適合とはいえ、買う直前の照合だけは残る。PIAAもNWBも公式サイトにメーカー・車種・年式をたどる適用検索を用意していて、クラウンクロスオーバーは「R4.9〜」の区分で登録されている。ここまでに挙げた品番はメーカーが設定している例であって、最終的な適合判断は車検証の型式と年式をその検索に入れて確かめるのが確実だ。販売店装着オプションや特殊仕様でワイパーが標準と違う個体も、この照合で気づける。
リヤワイパーが無い車の後方視界
リヤが省かれた背景は、コスト都合というより見た目と空力の判断にある。前出のベストカーの記事では、ルーフ後端から流れるように落ちるリヤウインドウのラインを持つボディで、リヤエンド周りにワイパーが付くと仕立てとして無粋に映るという見方が挙げられている。あわせて、クロスオーバーやクーペSUVのボディラインがリヤへ長く伸びるほど、空力の面でもリヤワイパーが邪魔者として扱われる傾向になると指摘されている。
後方の視界は、後付けのワイパーを探すよりガラス側の処理で組み立てるほうが早い。リヤガラスに撥水処理をしておけば、走行風で水滴が流れて視界を取りやすくなる。停車中や低速では風が当たらず水滴が残るので、その場面はカメラ映像を使うミラーやバックカメラが付いていればそちらで補う。油膜を落としてから撥水施工すると効果が長持ちする。
ブレードごとか、替えゴムだけか
交換のサインは走行中の見え方に出る
拭いた跡に細いスジが残る、拭き終わりに水が膜のように残る、動作のたびにビビリ音がして小刻みに震える、雨の夜に対向車のライトがぼやけて見える。こうした症状が出たら消耗を疑う。ゴムの縁を指でなぞって角が丸くなっている、ひび割れや欠けがある、触ると粉っぽいといった手触りでも判断できる。傷み方は走行距離ではなく、屋外駐車か屋根付きか、直射日光や凍結にさらされる頻度で変わるので、時期ではなく状態で見るほうが外さない。
どちらを買うかは劣化している場所で決める
ゴムの縁が波打つ・欠ける・硬くなっているだけで、金具にガタがなく塗装も荒れていないなら、替えゴムだけで戻ることが多い。一方、ブレード本体を持って揺すったときに接合部がカタつく、金具に浮きサビが出ている、ガラスへの当たりが均一でない、といった状態なら、ゴムを新しくしても圧力が均等にかからず拭きムラが残る。この場合はブレードごと替える。ゴムだけの交換を何度も重ねてきた車も、一度ブレードごと入れ替えたほうが基準がそろって判断しやすい。
替えゴムは長さだけでは選べない
650mm・450mmという長さが効くのはブレードを買うときで、替えゴムは長さを合わせただけでは装着できない。替えゴムはブレードの金具レールにはめ込む部品なので、合わせるのはメーカーが定める呼番と、ゴムの断面形状・幅、そして金具の有無(レール付きか、ゴムのみか)になる。流通している製品の表記を見ると、PIAAのこの車種向け雨用替えゴムは運転席側が呼番82、助手席側が呼番7、雪用では65Aと45Cという別の値だ。同じ650mm・450mmの車でも、付いているブレードが純正なのか他社のデザインタイプなのかで適合する替えゴムは変わる。今付いているブレードの品番を確かめてから選ぶ。
長さが合っていても付かないことがある
市販ブレードは取付形状ごとに品番が分かれていて、長さが同じでも形状が違えば取り付かない。通販では長さを大きく表示して形状の記載が小さい商品もあるので、商品ページの適合車種欄にクラウンクロスオーバーとAZSH35/TZSH35の型式が明記されているかを見る。型式の記載がなく長さだけを売りにした汎用品は、適合の確証が取れないので避けたい。
形状の系統もそろえておきたい。この車に設定されているブレードはフラットな形状のデザインタイプ(エアロタイプ)が多く、各社の適合品にもエアロ・フラット形状の製品が並ぶ。骨組みが露出した従来型のトーナメントタイプに替えること自体は製品として存在するが、形状が変わると見た目に加えて高速走行時の浮き上がりや、格納した位置での収まりの印象も変わる。純正と同じ系統を選んでおくと想定外が少ない。判断が付かないときは、先に触れた公式の適用検索に戻って自分の車の区分を確かめる。
同じ650mm・450mmの中からどれを選ぶか
選ぶときの判断軸
- 払拭の質 — 拭き残しやスジの出にくさ
- 静粛性 — ビビリ音や作動音の出にくさ
- 耐久 — ゴムの持ちと紫外線・凍結への強さ
- ガラス側との相性 — 撥水コーティングを施工しているか、油膜が残っていないか
- 価格と入手性 — 左右セットで買えるか、替えゴムが後から手に入るか
屋外駐車か、降雪地か、高速走行が多いか。使用環境によってどの軸を優先するかが変わる。
種類ごとの性格
撥水タイプは拭くたびにガラスへ撥水成分を移すもので、走行風で水滴が飛びやすくなる代わりに、ゴム自体の消耗は早めに出やすい。グラファイトタイプはゴム表面に黒鉛を焼き付けて滑りをよくしたもので、ビビリ音を抑える方向に効く。シリコンタイプは撥水の持続を狙ったもの。デザイン(エアロ・フラット)タイプは骨組みがなく走行風で浮きにくい形状で、純正の見え方に近い。雪用は金具部分をゴムで覆って凍結による固着を防ぐ構造で、冬季専用として使う。
ガラスに撥水コーティングを施工しているなら、撥水タイプを重ねるより非撥水のグラファイトタイプのほうが落ち着くことが多い。成分が過剰になって水滴の動きが不安定になったり、ビビリが出やすくなったりするからだ。コーティングをしていないガラスなら、撥水タイプで手軽に撥水効果を得る使い方が合う。新品に替えてもビビリが止まらないときは、ワイパーよりガラス面の状態を先に疑う。
降雪地と冬の扱い
通常のブレードは金具部分に雪が詰まって凍ると、ガラスへの当たりが不均一になって拭けなくなる。積雪地で乗るなら冬季だけ雪用ブレードに替えるのが確実で、この車種にも650mm・450mmの雪用が各社から出ている。凍り付いた朝は、無理に動かす前に解氷スプレーやデフロスターでガラスとゴムの固着を解く。凍ったまま作動させるとゴムが裂けたり、モーターやリンク機構に負担がかかる。降雪が見込まれる夜はワイパーを立てておくと固着を避けられる。
製品ごとの比較は
にまとめてある。
交換の手順
外す前の準備
システムを切り、ワイパーが停止位置に戻っていることを確認する。作業しやすい位置まで動かしたい場合は、車種によってサービスポジション(メンテナンスモード)の操作がある。ボンネット後端のカウルに格納された状態のままアームを起こそうとすると干渉することがあるので、無理に力をかけない。ガラス面にたたんだタオルや厚手の布を敷いて養生してから、アームを立てる。ブレードを外したアームは金属がむき出しで、ばねの力でガラスに倒れると割れる恐れがある。立てたまま放置せず、風の強い日の作業も避ける。
古いブレードを外す
アームとブレードの接続部にあるロック(爪やレバー)を探し、解除しながらブレードをアームの軸に対してスライドさせると外れる。固くて動かないときはロックが解除しきれていないことがほとんどなので、力任せに引かず接続部をもう一度見る。外したブレードは、新品と長さや接続部の形を見比べるためにその場へ置いておく。
新しいブレードを取り付ける
袋から出した時点で、650mmが運転席側・450mmが助手席側であることを確認する。接続部をアームの軸へ差し込み、カチッと音がしてロックがかかるまで押し込む。取り付けたら軽く引っ張って抜けないことを確かめる。ロックが甘いと走行中の風圧や作動の反動で外れることがあるので、この確認は省かない。保護カバーが付いている製品はここで外す。
替えゴムだけを交換する場合
ブレードはアームに付けたままでもよいが、作業しやすいようアームを立てて行う。ブレード端のストッパー側から、金具レールごと古いゴムを引き抜く。新しいゴムには金具レールが付属する製品とゴムのみの製品があり、付属していなければ古いゴムから金具レールを移し替える。このとき金具の向き(凹凸や曲がりの方向)を間違えるとゴムが波打つので、外す前に向きを覚えておく。差し込んだら、最後にストッパーが確実にかかっているか確認する。
取り付け後の動作確認
アームをゆっくりガラス面へ戻し、養生に使ったタオルを外す。システムをかけてウォッシャー液を出しながら数往復させ、拭き残しやスジが出ないか、異音がしないか、左右のブレードが干渉しないかを見る。乾いたガラスの上で空拭きするとゴムを傷めるので、必ず水をかけた状態で動かす。停止位置に正しく戻るかもあわせて見ておく。
この車で起きやすい買い間違い
- 左右の取り違え — 650mmと450mmは200mmも違うので、逆に付けると拭き残しが大きく出るか、アームの可動範囲に収まらず隣のブレードやピラーに当たる。左右セット品でも、袋から出した時点でどちらが650mmかを見てから作業に入る。
- リヤ用を探し続ける — 装備自体が無いので、探した時間がそのまま無駄になる。
- 替えゴムを長さだけで選ぶ — 呼番と断面形状が合わないとレールにはまらない。
- 原因がガラス面なのにワイパーを替え続ける — 油膜や鉄粉、樹脂系のワックスが残っていると、新品のブレードでもスジやギラつきは消えず、ゴムの縁も早く傷む。
最後の1つは案外多い。交換の前に油膜取りでフロントガラスを磨き、水をかけたときに水膜が均一に広がる状態にしてから新品を付けると、本来の払拭性能が出るうえに寿命も延びる。症状が出てから慌てやすい消耗品という意味では、
も同じで、時期ではなく状態で見る部類だ。
よくある質問
リヤワイパーのサイズは何mmか
クラウンクロスオーバーにリヤワイパーは装備されていないため、リヤのサイズは存在しない。ワイパーメーカーの適合品一覧にも、この車種向けのリヤ用は設定されていない。
AZSH35とTZSH35でサイズは違うのか
違わない。適合品はどちらの型式も併記した1つの品番設定で、フロントは運転席650mm・助手席450mmだ。
年式や一部改良でサイズは変わったのか
変わっていない。適用検索の年式区分は2022年9月以降の1つだけで、発売から現在まで同じ長さで選べる。
替えゴムだけの交換で足りるのか
ゴムの劣化だけなら足りる。金具のガタや浮きサビが出ているならブレードごと替える。替えゴムを買うときは長さではなく呼番と断面形状で選ぶ。
運転席側と助手席側はどちらが650mmか
長い650mmが運転席側、短い450mmが助手席側になる。
まとめ
買う前に見るところを並べておく。
- フロントは運転席側650mm・助手席側450mm
- リヤワイパーは非装備。リヤ用は探さない
- AZSH35とTZSH35は共通で、年式区分も2022年9月以降の1つだけ
- ブレードは取付形状、替えゴムは呼番と断面形状まで確認する
- 注文前にPIAAかNWBの適用検索へ車検証の型式と年式を入れて照合する
ついでに手を付けるなら、
も同じ日に済ませやすい。寸法を控えておく話として
も並べておく。

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