納車したクラウン スポーツを夜に走らせると、ヘッドライトもテールも純正のまま十分に明るく、どこをLED化すればいいのか手が止まります。AZSH36Wは外装の灯火が工場出荷の時点でほぼLEDになっていて、旧型クラウンのようにハロゲン球をLEDバルブへ差し替える余地がほとんど残っていません。この型で効くのは、純正が光らない場所を光らせる加工と、唯一バルブ交換が成立するバックランプの強化です。部位ごとに何ができて何ができないのかを、規格と適合の実際に沿って並べました。
AZSH36Wの灯火は工場出荷時からほぼ全LED
クラウン スポーツは2023年10月に登場した2.5Lハイブリッド(E-Four)の型式6AA-AZSH36Wと、プラグインハイブリッドのAZSH37Wで構成されます。LED・HID専門店fclが公開している「クラウン スポーツ AZSH36W(R5.10〜/LED仕様車)」の適合表を見ると、この車のLEDカスタムの前提がはっきりします。
| 部位 | AZSH36Wの純正仕様 | バルブ交換 | 現実的なLEDカスタム |
|---|---|---|---|
| ヘッドライト(Lo/Hi) | LED | 不可 | 交換対象なし |
| フォグランプ | LED | 不可 | 交換対象なし |
| ポジション | LED | 不可 | 交換対象なし |
| ウインカー(前・横・後) | LED | 不可 | 交換対象なし |
| テール&ストップ | LED | 不可 | 交換対象なし |
| ナンバー灯 | LED | 不可 | 交換対象なし |
| バックランプ | LED(LW5B・2個) | 可 | 明るいLW5Bバルブへ交換 |
| リアリフレクター | 非発光の反射板 | — | 純正加工LEDリフレクターで発光化 |
| 室内灯(ルームランプ類) | — | 可 | 車種専用LEDセットへ交換 |
fclの適合表では、ヘッドライトからナンバー灯まで軒並み「LED」と記載され、同社の商品も「適合商品がございません」と表示されます。バルブの規格名が明示されているのはバックランプの『タイプA(LW5B)×2』だけで、外装で球を抜き差しできる場所は事実上ここ一つです。
裏を返すと、AZSH36WのLEDカスタムは「暗い純正を明るくする」作業ではなく、「純正が光らせていない面を光らせる」「唯一残ったバルブの光量を上げる」という二方向に絞られます。予算をどこに置くかも、この二つとルームランプの三本柱で考えると外しません。
リアリフレクターの発光化|純正加工品2製品を比較
AZSH36Wのリアバンパー左右にある反射板は、純正では光りません。ここにLED基板を仕込んで発光させるのが「純正加工LEDリフレクター」で、クラウン スポーツでもっとも見た目の変化が大きいメニューです。名前が似た社外の「LEDリフレクター」とは成り立ちが違い、メーカー純正部品そのものを加工するため、装着後の見た目や固定方法が純正と変わりません。
| 項目 | LEDMATICS T39-40 | ひからせ屋 |
|---|---|---|
| 参考価格(2026年7月時点) | 約33,000円 | 約20,400円 |
| ベース | メーカー純正の新品リフレクター | 自動車純正部品 |
| 反射機能 | 損なわれない | 純正同等(消灯時は反射板として機能) |
| 点灯パターン | ブレーキ連動+スモール連動の2回路 | スモール連動 |
| 明るさ調整 | 記載なし | スモール時に約10〜100%の無段階調整 |
| 純正復帰 | 配線を外す | スイッチでOFF=即純正状態 |
| 保証 | 1年 | 1年 |
ひからせ屋 純正加工LEDリフレクター(無段階減光調整機能+スイッチ付き) クラウンスポーツ AZSH36W/AZSH37W
LEDMATICS AZSH36W/AZSH37W クラウンスポーツ 純正加工LEDリフレクター T39-40
LEDMATICS T39-40|ブレーキ連動とスモール連動の2回路
LEDMATICSのT39-40は、メーカー純正の新品リフレクターをベースに加工した製品です。公式の商品説明では「反射機能が損なわれないため安全」「装着後の外観は無加工の純正同等」と明記されています。
配線はブレーキ連動とスモール連動の2回路が標準装備で、黄色がブレーキプラス、赤色がポジションプラス、黒色がマイナス(アース)という色分けです。左右それぞれ約2mの配線が出ており、車両側のテール配線へ割り込ませて使います。スモールで薄く点灯し、ブレーキで増光する二段の光り方が、リアの厚みを出したい向きに刺さります。
車検について同社は「車検対応を保証するものではありませんが今まで多数車検通過した実績があります」と書いています。断言せずに実績で示す表記で、後述する保安基準の考え方と合わせて読むと意味がつかめます。
ひからせ屋|無段階減光とスイッチによる純正復帰
ひからせ屋の製品は、価格が2万円台前半に収まりながら、AZSH36W/AZSH37Wの型式を明記した専用設計です。特徴は無段階減光調整とスイッチで、商品説明ではスモール点灯時に約10%〜100%の範囲で明るさを無段階に調整できるとされています。
もう一つの軸がスイッチです。スイッチをOFFにすれば即座に純正状態へ戻せるため、車検や下取り査定の場面で配線を外す手間が要りません。消灯時は通常のリフレクターとして機能し、反射機能・サイズ・固定方法・装着感はいずれも純正同等、防水も純正同様と説明されています。保証は1年です。
2製品の選び分け
光り方で選ぶならLEDMATICS、扱いやすさで選ぶならひからせ屋、という整理になります。ブレーキを踏んだときの増光が欲しい、リアの見せ場を作りたいという狙いならブレーキ連動の2回路が生きます。一方、初めての電装カスタムで、明るさを控えめに始めたい、いつでも純正へ戻せる余地を残したいなら、減光調整とスイッチを備えたひからせ屋のほうが後戻りが利きます。
価格差は約1万2千円です。この差をブレーキ連動という機能に払うか、調整幅と可逆性に払うかという選択で、どちらも純正部品ベースという土台は共通しています。
バックランプはLW5B|T16のバルブは使えない
AZSH36Wで唯一バルブ交換ができるバックランプですが、ここで多くの人がつまずきます。従来のトヨタ車で定番だったT16のLEDバルブが、そのままでは入りません。
LW5Bという規格の位置づけ
LW5Bは、近年のトヨタ車が純正LEDバックランプに採用している専用形状の規格です。90系ノア/ヴォクシー、40系アルファード/ヴェルファイア、80系ハリアー、60系プリウスなどが同じ系統で、クラウンもセダン・スポーツ・エステートがこの規格に含まれます。純正の時点でLEDバルブが入っているため、社外品は「純正LEDバックランプ交換用」という位置づけになります。
明るさの目安は製品によって幅があります。クラウン スポーツ AZSH36W/AZSH37W(R5.11〜)専用を掲げるDopestの交換用バルブは約2,200ルーメン・6500Kクラスで車検対応と表記され、VALENTIのLW5B交換用「ジュエルLED エクスチェンジバックバルブ」は6500K・1500ルーメンと公表されています。純正から数百ルーメン単位で積み増す想定で、後退時の足元の見え方が変わります。
「LW5B対応」でも装着不可の製品がある
ここが最大の落とし穴です。前述のfclの適合表では、AZSH36Wのバックランプは規格こそ「タイプA(LW5B)」と記載されている一方、同社製品の欄は「装着不可」となっています。規格が合っていても、放熱部の大きさやランプハウジング側の奥行きの都合で、現物が収まらない製品が存在するということです。
つまり、パッケージに「LW5B」と書かれているかどうかだけでは足りません。適合表にクラウン スポーツ/AZSH36Wという車種名そのものが載っているかを、購入前に確認しておきたいところです。汎用のLW5B品を型番だけで選ぶと、届いてから入らないという回り道になります。
バンパーを外す作業に潜む落とし穴
バックランプの位置によってはバンパーやテールランプの脱着が絡みます。Dopestの商品ページには、走行補助や自動運転装置がバンパーに組み込まれている車でバンパーを脱着する場合、電子制御装置整備の認証を受けた専門業者で作業するよう明記されています。
AZSH36Wはトヨタセーフティセンスを標準装備し、センサー類が前後に配置されています。自分で外して戻すつもりでも、センサーの再校正(エーミング)が必要になる可能性を頭に入れておくと、想定外の費用に驚かずに済みます。
室内のLED|ルームランプはパノラマルーフで品番が変わる
外装がほぼ手つかずのAZSH36Wでも、室内は交換の余地が残っています。シェアスタイルがクラウン スポーツ専用のLEDルームランプを設定しており、シャンデリアホワイトとラグジュアリーゴールドの2色から選べます。
フルセットの構成
同社のフルセットは、フロントセンターランプ1個・リアセンターランプ1個・バニティランプ2個・カーテシランプ4個という構成で、車内の光る場所をまとめて置き換えます。フロントのみ、リアのみ、バニティ+カーテシのみといった部分セットも用意されているため、まず運転席まわりだけ試すという入り方もできます。保証は1年です。
運転席・助手席の足元を照らすフットランプも別売で設定があり、ホワイトのほかブルーやアイスブルーなど複数色から選べます。室内の演出は外装と違って車検の制約が小さく、失敗してもやり直しが利く領域です。
標準車とパノラマルーフ装着車の違い
見落としやすいのがここです。クラウン スポーツはパノラマルーフの有無でフロントセンターランプの形状が異なり、シェアスタイルも「標準車用」と「パノラマルーフ装着車用」を別品番で設定しています。自分の車がどちらかを確認してから注文しないと、フロント側が入らないという結果になります。
天井を見上げてガラスルーフが入っているかどうかを見れば判断できます。注文画面でセット内容を選ぶ段階でも標準/パノラマの選択が出るため、そこで取り違えないようにしておきます。
車検と保安基準|発光リフレクターの線引き
リフレクターを光らせる改造は、車検との関係を理解してから手を出す領域です。ここを曖昧にしたまま安価な社外品を選ぶと、検査で外す羽目になります。
反射機能が残るかどうかが分岐点
道路運送車両の保安基準は、後部反射器の装備を義務づけています。市販の「LEDリフレクター」の中には、反射板そのものを発光ユニットに置き換えてしまい、消灯時に反射器として働かない製品が少なくありません。この状態は基準を満たさず、検査で問題になります。
一方、この記事で挙げた2製品はいずれもメーカー純正のリフレクターを土台に加工したもので、LEDMATICSは「反射機能が損なわれない」、ひからせ屋は「消灯時は通常のリフレクターの役割を果たし、反射機能・サイズ・固定方法・装着感は純正同等」と説明しています。土台の反射器が生きているかどうかが、両者を分ける最初の線です。
「その他の灯火」に掛かる制限
反射器が生きていても、発光させる以上は追加の灯火として扱われます。保安基準第42条は「その他の灯火等の制限」を定めており、細目告示では、その他の灯火の光度は300カンデラ以下であること、点滅する灯火や光度が増減する灯火を備えてはならないこと、後方に白色を表示する反射器を備えてはならないことなどが規定されています。
赤色に光り、後方に向き、300カンデラを超えない範囲であれば、追加の灯火としての枠に収まる設計になります。逆に、白色や青色で光らせる、パターン点滅させるといった方向へ振ると、基準から外れていきます。
メーカーの表記をどう読むか
LEDMATICSが「車検対応を保証するものではありませんが今まで多数車検通過した実績があります」と書いているのは、この領域の実情を正直に映した表現です。最終判断は検査員に委ねられる部分があり、メーカーが一律に保証しきれる性質のものではありません。
だからこそ、ひからせ屋のスイッチのように、すぐ純正状態へ戻せる仕組みには価値があります。検査当日にOFFにできるという逃げ道が、そのまま安心料になります。
取り付けの実際|テール電源の取り出し方
発光リフレクターの取り付けは、部品を差し替えるだけでは終わりません。スモールとブレーキの信号を車両から拾う配線作業が必ず付いてきます。
カプラーオンのハーネスを使う
LEDMATICSはAZSH36W/AZSH37W専用の「テール電源取り出しハーネス」を約3,300円で用意しています。純正テールのカプラーの間に挟み込むだけで、黄色=ブレーキ、赤色=スモール、黒色=アースの3本が取り出せる構造です。純正配線に傷を付けずに済むため、原状回復のしやすさが段違いになります。
注意点として、左右のリフレクター配線をそれぞれのテールに接続する場合は2個必要です。片側へまとめて配線するなら1個でも足ります。純正配線を切ってエレクトロタップで割り込ませる方法は、断線や接触不良の温床になりやすく、後から売却する車ほど避けたい選択です。
自分でやるか、店に頼むか
配線の割り込み自体は電装カスタムの基本作業で、テールランプ裏へアクセスできれば難易度は高くありません。ただしAZSH36Wはリアバンパー内にセンサー類が通っており、内張りやバンパーの脱着が絡む瞬間に難易度が跳ね上がります。
工具と経験があれば自分で完結できますが、迷いがあるなら電装が得意なショップに預けるほうが結果的に安く付きます。部品は自分で用意し、取り付けだけを依頼する持ち込み対応の店を探すのが現実的な落としどころです。
よくある質問
AZSH36Wのヘッドライトをもっと明るいLEDに交換できますか?
fclの適合表では、AZSH36Wのヘッドライト(ロー・ハイとも)は純正LEDで、交換用バルブの適合商品はありません。ハロゲン車のようにバルブだけを差し替える構造ではないため、光量を上げたい場合はレンズユニットごとの社外品や光軸調整といった別の手段になります。純正の状態で必要十分な配光が確保されている型です。
バックランプにT16のLEDバルブは使えますか?
使えません。AZSH36Wのバックランプは純正LEDで、規格はLW5B(タイプA)が2個です。T16は従来のハロゲン/白熱球用の規格で、形状が異なります。購入時は「LW5B」の表記に加えて、適合表にクラウン スポーツやAZSH36Wの車種名が載っているかどうかまで見ておくと、届いてから入らない事故を防げます。
発光リフレクターを付けると車検に落ちますか?
一律に落ちるわけではありません。判断を分けるのは、消灯時に反射器として機能するかどうかと、発光させたときに「その他の灯火」の制限(光度300カンデラ以下、点滅や光度の増減がない、後方は赤色)に収まっているかどうかです。純正部品を加工したタイプは反射機能が残るため土台をクリアしやすく、スイッチ付きの製品なら検査時に消灯して臨めます。
パノラマルーフ装着車でもルームランプは交換できますか?
交換できますが、専用品番を選ぶ必要があります。クラウン スポーツはパノラマルーフの有無でフロントセンターランプの形状が違い、シェアスタイルも標準車用とパノラマルーフ装着車用を別に設定しています。注文時にどちらかを選ぶ画面が出るため、天井のガラスルーフの有無を確認してから進めます。
PHEVのAZSH37Wでも同じ製品が使えますか?
この記事で挙げた発光リフレクター2製品は、いずれもAZSH36WとAZSH37Wの両方を適合として明記しています。バックランプのLW5Bも共通で、Dopestの専用バルブはAZSH36W/AZSH37Wの両型式を対象としています。ハイブリッドとプラグインハイブリッドで駆動系は違っても、灯火まわりの構造は共通と考えて問題ありません。
まとめ|AZSH36WのLEDカスタムは効く順番がある
AZSH36Wは外装の灯火が最初からLEDで固められているぶん、やみくもにバルブを買っても行き場がありません。手を入れる順番を決めておくと、予算も作業も無駄になりません。
見た目の変化を最優先するなら、まずリアリフレクターの発光化です。純正が光らせていない面が光るため、変化量が一番大きく出ます。明るさを控えめに調整したい、いつでも純正へ戻したいならスイッチと無段階減光を備えたひからせ屋、ブレーキ連動の増光まで欲しいならLEDMATICSのT39-40という選び分けになります。
実用の底上げを狙うなら、バックランプのLW5B交換です。唯一バルブ交換が成立する場所で、後退時の視界に直結します。ただし規格名だけで選ばず、適合表に車種名が載っているかを見てから買います。室内の雰囲気を変えたいなら、パノラマルーフの有無に注意しつつルームランプの専用セットへ。この三つを押さえれば、AZSH36Wでできるライトカスタムはほぼ網羅できます。
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