夜のホテルの車寄せでドアを開けると、路面を切り取る前方の光は白く冴えているのに、車内に灯る明かりだけがどこか黄ばんで沈んで見える。クラウンクロスオーバーのAZSH35は外装の灯火を純正LEDで固めた設計のため、社外バルブを挿し込む余地が最初からほとんど残されていない。手を入れて効果が出るのは室内側で、しかもここは電球を1個ずつ差し替える一般的な作業とは事情が違う。バルブメーカーの適合表とトヨタ公式の室内灯一覧を突き合わせ、AZSH35で実際に交換できる箇所と、そこで選べる製品を箇所別にまとめた。
AZSH35でLED化できる箇所とできない箇所(早見表)
AZSH35はクラウンクロスオーバーの2.5Lハイブリッド車で、型式は6AA-AZSH35になる。A25A-FXS型の直列4気筒にモーターを組み合わせたE-Fourの四輪駆動として2022年9月に発売され、全長4,930×全幅1,840×全高1,540mm、ホイールベース2,850mmというカタログ値を持つ。グレードはX、G、Gアドバンスド、Gアドバンスド・レザーパッケージが用意され、2.4Lターボハイブリッドを積むRS系はTZSH35という別の型式になる。灯火まわりはこの2つの型式がひとまとめに扱われるため、部品選びの条件は共通になる。AZSH35で社外LEDが成立するのは室内側だけで、外装は純正LEDのまま手を入れられない。
| 箇所 | AZSH35の純正 | 社外LEDへの交換 |
|---|---|---|
| ヘッドライト(ロー/ハイ) | 純正LED | 対応製品なし |
| フォグランプ | 純正LED | 対応製品なし |
| ポジション・ウインカー | 純正LED | 対応製品なし |
| テール/ストップ | 純正LED | 対応製品なし |
| ライセンス(ナンバー灯) | 純正LED | 対応製品なし |
| バックランプ | LW5B | 装着不可(スペースの制約) |
| リアフォグ(装着車) | T20シングル | 交換の余地あり |
| ルームランプ・バニティ・ラゲッジ | 純正LED(基板一体型) | 可(基板ごと交換) |
| 足元照明・カーテシ | グレード/オプションで異なる | 可(車種専用品) |
外装の灯火は純正LEDで完結している
LEDバルブメーカーのfclが公開するクラウンクロスオーバー(AZSH35/TZSH35・R4.7〜)の適合表には、ヘッドライトのロービームとハイビーム、フォグランプ、フロントとサイドとリアのウインカー、テール&ストップ、ポジション、ライセンスランプのすべてに「対応製品はありません」と記載されている。これは在庫が切れているという意味ではなく、該当箇所が純正LEDで組まれていてバルブという交換部品そのものが存在しない、という意味になる。光源が灯体に組み込まれた構造では、明るさや色を変えるにはユニットごと交換するか加工するしかない。費用も配線の手間も室内灯とは桁が違ってくるため、外装をいじる前提で製品を探しても行き着く先がない。
バックランプのLW5Bは「装着不可」と書かれている
外装で唯一バルブ規格が明示されているのがバックランプで、AZSH35ではLW5Bという口金が使われている。LW5Bは近年のトヨタ車が純正LEDバルブ用に採用している比較的新しい規格で、国産車の後退灯で長く定番だったT16とは形状が異なり、T20やS25とも互換性がない。さらにクロスオーバーは条件が厳しく、fclの解説ページには「バックランプはLW5B規格ですが、スペースの制約により装着ができない」と明記されている。規格名が一致していても物理的に収まらないため、LW5B対応をうたう汎用品を買っても後退灯は明るくならない。一方でリアフォグランプを装着している車両にはT20シングルが使われており、外装で唯一ここだけ手を入れる余地が残る。同じクラウンでも世代や車種で灯火構成が変わるため、クラウンクロスオーバーのLED交換手順で全体の流れをつかんでから部品を探すと遠回りしなくて済む。
AZSH35対応の室内LED 4製品を比較する
室内側は事情がまったく違う。ルームランプやバニティランプは純正の時点でLEDだが、基板にLED素子が直接埋め込まれた構造のため、電球を差し替えるのではなく基板ごと入れ替える製品を選ぶことになる。実際にクロスオーバーの室内灯を交換したオーナーの作業記録にも「クロスオーバーは基盤の中にLEDが埋め込まれているので、基盤毎交換が必要になります」と書き残されている。この前提を外して汎用のT10バルブを買い集めると、1個も装着できないまま作業が終わる。
| 製品 | 対応箇所 | 構成 | 実売価格 |
|---|---|---|---|
| カーキャンパージャパン LEDルームランプ 7点セット | 室内灯まわり全般 | 7点・車検対応・ポン付け | 2,340円 |
| 純正交換 LED車専用 ルームランプセット(ホワイト) | ルームランプ・バニティ・ラゲッジ | 最小構成・LED車専用設計 | 950円 |
| Virauto カーテシランプ LED(ロゴ投影付き) | ドアカーテシ | 2個セット・取付工具付き | 1,758円 |
| 2LOOP フットランプ 2点 LED | 足元照明 | 3チップSMD・アイスブルー | 1,200円 |
価格は執筆時点のもので変動する。購入前に商品ページで最新の価格と、年式・型式の適合表記を確かめておく。
室内をまとめて替えるなら7点セット
車内の光をひととおり更新するなら、7点構成のセットから入るのが素直な順番になる。対応年式が「令和4.9〜」と明記されており、これは2022年9月というAZSH35の発売時期とそのまま一致する。車検対応をうたい、加工なしのポン付けを前提とした構成のため、内張りはがしでレンズを外せれば作業は完結する。セット品の利点は室内の複数箇所で色温度が揃うことで、前席のルームランプだけ白くして後席が黄色いまま取り残されるという、中途半端な仕上がりを避けられる。
カーキャンパージャパン クラウンクロスオーバー LEDルームランプ 7点セット(AZSH35/TZSH35)
最小構成から試すなら純正交換タイプ
いきなり全箇所に手を入れるのが不安なら、ルームランプ・バニティランプ・ラゲッジランプに絞った純正交換タイプから始める手がある。商品名に「LED車専用」と明示されており、基板一体型の純正LEDを前提に設計されている点が、汎用バルブとの決定的な違いになる。1,000円を切る価格のため、まず1か所で色味と明るさを確かめてから他の箇所へ広げるという進め方ができる。ハリアー80系と共用の設計になっていることからも、この世代のトヨタ車で共通の基板形状が使われている事情が読み取れる。
純正交換 LED車専用 ルームランプ・バニティ・ラゲッジ(クラウンクロスオーバー AZSH35/TZSH35)
足元照明とカーテシは演出系として足す
フットランプとドアカーテシランプは、明るさを稼ぐためではなく雰囲気を作るための灯火になる。2LOOPのフットランプは3チップSMDを使った2点構成で、発光色にアイスブルーが指定されている。カーテシ側はロゴを路面へ投影するタイプが流通しており、取付工具が同梱されるため単体で作業が完結する。ただしトヨタ公式の室内灯一覧では、フロント足元照明とリヤ足元照明、ドアミラー足元照明が「グレードやオプションによって装備が異なる」箇所として扱われている。自分の車両にその灯火が付いているかを先に確認しないと、届いた製品の行き場がなくなる。ドアを開けて足元とドアミラー下の照明が光るかどうかを、注文前に一度見ておく。
失敗しない選び方3つの基準
AZSH35の室内灯は口金の形が同じでも中身が汎用品と違うため、選び方の勘所も一般的な車種とはずれる。購入前に見るべき点は3つに絞れる。
「LED車専用」「純正交換」の表記があるか
最も外してはいけないのがこの1点になる。純正がハロゲン電球の車なら、T10と書かれた汎用バルブを必要な数だけ買えば話が済む。AZSH35は純正の時点でLEDが基板に実装されているため、バルブを抜き差しする口が存在しない。商品名や説明に「LED車専用」「純正交換」「基板ごと交換」と書かれている製品だけが候補になり、型式名だけを並べてT10と記載された製品は、AZSH35の室内灯には収まらない。適合欄にAZSH35とTZSH35の両方が記載されているかどうかも、あわせて見ておく。
色は純白か電球色かで決める
同じ箇所向けでもホワイトと電球色の設定が分かれていることが多く、車内の見え方はここで大きく変わる。ホワイトは荷室に積んだ荷物の輪郭や、足元に落とした小物の色を見分けやすくする方向になる。電球色は純正からの色の落差が小さく、木目調のパネルや本革シートの色味を不自然に転ばせない。後席で人を乗せる時間が長いなら電球色、荷室と足元の視認性を取るならホワイトという二択で考えると迷いが減る。ホワイトを選ぶ場合も、青みが強く出る製品は内装の質感を安く見せることがあるため、純白と明記されたものを軸にする。
適合年式と型式を照合する
クラウンという名前は16代目だけでもクロスオーバー、スポーツ、セダン、エステートに枝分かれしており、室内の灯火構成はそれぞれ違う。AZSH35のクロスオーバーは2022年9月発売のため、商品ページの対応年式が「令和4年9月〜」あるいは「2022年9月〜」となっているかが目印になる。ここが2023年11月開始になっている製品は、スポーツやセダン向けの設定が混在している可能性がある。型式欄にAZSH35とTZSH35が並記されていれば、クロスオーバー用として設計された製品だと判断できる。
取り付けの手順と工具
室内灯の交換そのものは、工具さえ用意すれば30分前後で終わる作業になる。それでもつまずく人の詰まり方は決まっており、次の3点を頭に入れておくだけでほぼ潰せる。
レンズは内張りはがしで浮かせる
ルームランプのレンズは樹脂の爪で固定されている。マイナスドライバーを直接当てると天井の内張りに白い傷が残り、クラウンの内装ではその傷が目立つ位置に残り続ける。プラスチック製の内張りはがしを爪の隙間へ差し込み、てこの原理で少しずつ浮かせれば割らずに外れる。工具は数百円で手に入るため、LED本体と一緒に用意しておくと作業が一度で片づく。カーテシランプ用の製品には取付工具が同梱されるものもあるので、手持ちの工具と重複しないかを確認しておく。
基板一体型は固定が固い
クロスオーバーの室内灯を実際に交換したオーナーの作業記録では、フロントセンターのルームランプについて「爪や、部品が折れるんじゃないかってぐらい、固く外れません」と書かれている。基板ごと交換する構造のぶん固定も強く、電球を抜くだけの車種と同じ感覚で力を入れると爪を割る。焦って一点に力を集中させず、複数の爪を順番に少しずつ浮かせるのが安全な進め方になる。バニティランプや後席側は比較的素直に外れるため、難所を最後に回すという手順にすると失敗の目が減る。
組み戻す前に点灯を確かめる
基板を差し込んだら、レンズを閉じる前にドアを開けて点灯を確認する。極性や接触の問題で光らない場合、レンズを全部組み戻してから気づくと二度手間になる。7点セットのように箇所数が多い製品ほど、1か所ずつ点灯を見ながら進めるほうが結果的に速い。点灯しないときは不良品と決めつける前に、基板の向きと端子の当たりをもう一度見直す。
車検で問われる灯火と問われない灯火
室内側と外装側では、車検で見られる基準がはっきり分かれる。ここを取り違えると、心配しなくてよい箇所で悩み、注意すべき箇所を見落とすことになる。
室内灯には明るさの規定がない
ルームランプ、バニティランプ、ラゲッジランプ、足元照明には明るさの数値基準が定められておらず、検査官が1つずつ点灯させて確認する項目にもならない。色味も基本的に好みで選べるため、アイスブルーのフットランプのような色付きの製品も室内向けとして流通している。ただし車外へ強く漏れる色の光は他の交通を妨げる灯火として扱われることがあるため、青系を選ぶなら足元のように外から見えにくい位置に留めておくと角が立たない。
外へ向いた灯火は色が指定される
神経を使うのは外へ光を出す灯火のほうになる。後退灯は保安基準で白色と定められており、色付きの製品を入れると不適合になる。もっともAZSH35のバックランプはLW5Bが装着不可とされているため、そもそも社外品を入れる場面が来ない。ナンバー灯やヘッドライトも純正LEDで手を入れる余地がなく、結果としてAZSH35では車検で問題になる改造の入り込む隙が構造的に少ない。室内は好みで選び、外装は純正のまま残すという線引きで考えれば、検査で困る場面はほぼ生まれない。
よくある質問
AZSH35のヘッドライトを社外LEDに交換できますか
できない。AZSH35のヘッドライトはロービーム・ハイビームともに純正LEDが灯体へ組み込まれた構造で、バルブメーカーの適合表でも対応製品なしと表記される。光源だけを差し替える口が存在しないため、明るさを変えるにはユニットごとの交換や加工が前提になる。費用と手間が室内灯とは桁違いになるため、現実的な選択肢になりにくい。
バックランプをLEDにして明るくできますか
現状では難しい。AZSH35の後退灯はLW5Bという口金だが、fclの解説ページではスペースの制約により装着ができないと明記されている。規格名が合う製品を取り寄せても、収まる空間がないため装着に至らない。後方の視認性を上げたい場合は、バックカメラやリアフォグ側の対策を検討するほうが早い。
汎用のT10バルブを買えば室内をLED化できますか
できない。AZSH35の室内灯は純正の時点でLEDが基板に実装されており、バルブを抜き差しする構造になっていない。交換には基板ごと差し替える車種専用品が必要で、商品名に「LED車専用」「純正交換」と書かれた製品だけが候補になる。口金の名前だけで選ぶと、届いた製品が1個も付かないという結末になる。
足元照明が付いていない車両にも取り付けできますか
車両側の装備を先に確認する。トヨタ公式の室内灯一覧では、フロント足元照明・リヤ足元照明・ドアミラー足元照明はグレードやオプションによって装備が異なる箇所として扱われている。純正の灯火そのものが無い場合、交換用のLEDを買っても差し込む先がない。ドアを開けて足元が光るかどうかを見てから注文する。
TZSH35(RS系)とAZSH35でLEDの適合は変わりますか
変わらない。灯火まわりの適合表はAZSH35とTZSH35をひとまとめの区分で扱っており、室内灯のセット品も両方の型式に共通で対応する。2.5Lハイブリッドか2.4Lターボハイブリッドかというパワートレインの違いは、室内やリアの灯火構成には及んでいない。購入時は対応年式が令和4年9月以降になっているかだけを確かめればよい。
まとめ AZSH35のLEDは室内が主戦場
AZSH35はヘッドライトもポジションもウインカーもテールも純正LEDで固められており、外装のバルブ交換という発想がそもそも成立しない。唯一規格が明示されているバックランプのLW5Bもスペースの制約で装着不可とされ、外装で残るのはリアフォグ装着車のT20だけになる。手を入れて効果が出るのは室内側で、ここは純正LEDが基板に実装されているため「LED車専用」「純正交換」と明記された車種専用品を選ぶのが唯一の道になる。まとめて更新するなら車検対応の7点セット、まず試すなら1,000円を切る純正交換タイプ、雰囲気を足すならフットランプとカーテシという住み分けで考えると迷わない。足元照明はグレードとオプションで装備が分かれるため、注文前にドアを開けて光るかどうかを見ておく。
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