納車したばかりのG42、あるいは中古で手に入れた220iやM240iにドラレコを付けたいものの、輸入車だからディーラーに頼むと工賃が高そうで、そもそも自分で配線を通せるのか不安になりがちです。G42のクーペボディはピラーもフロアも国産セダンとは通し方が違い、電源の取り出し場所も独特です。Aピラーの外し方からヒューズボックスの位置、リアカメラの配線ルートまで、DIYで完結させるための手順を順番に整理しました。
G42の内装構造と配線の全体像
BMW2シリーズ クーペ G42は2022年3月から日本導入されたモデルで、日本仕様は直列4気筒2.0L(B48型)の220i クーペ M Sportと、直列6気筒3.0L(B58型)のM240i xDrive クーペの2グレード構成です。エンジンや駆動方式は違っても、フロント周りの内装パネル構造はほぼ共通で、ドラレコの配線ルートも同じ考え方で通せます。
ドラレコ配線の基本ルートは、フロントカメラをルームミラー付近に設置し、そこから助手席(または運転席)側のAピラーの内側を通し、スカッフプレート下を経由して運転席足元のヒューズボックスまで引く流れです。リアカメラを付ける場合は、天井の内張り端やウェザーストリップの内側を通してトランク側へ回します。
G42はクーペで2ドアのため、ミニバンのように後席ドア開口部で分けて通すルートが取れません。リア配線は左右どちらかのCピラー〜トランク開口部のウェザーストリップ内側を一本で通すのが基本になります。この点が同じBMWでもツーリング(ワゴン)やグランクーペと違う、クーペ特有の作業ポイントです。
配線を通す前に、フロントカメラとリアカメラの設置位置、電源をどこから取るか、映像ケーブルをどちら側(助手席側か運転席側か)に這わせるかを紙に書き出しておくと、あとから通し直す手戻りを防げます。特に前後2カメラ機は、フロントとリアをつなぐ長い映像ケーブルの取り回しが作業の大半を占めるため、最初の経路設計が仕上がりを左右します。
取り付け前に用意する工具と部材
作業を始める前に、内張りを傷めずに外すための工具と、電源を安全に取るための部材をそろえておきます。手持ちの精密ドライバーだけで始めると、樹脂パネルのクリップを割ってしまいやすいです。
内張り脱着に使う工具
Aピラーカバーやスカッフプレートを外すには、金属ドライバーではなく樹脂・ナイロン製の内張りはがし(リムーバー)を使います。BMWの内装パネルは金属クリップとツメの併用が多く、こじる角度を間違えると塗装や樹脂が傷つきます。ヘラ状のものと爪付きのものを数本そろえておくと、隙間の広さに応じて使い分けられます。
- 内張りはがし(樹脂製・数種類の形状)
- 配線ガイド(針金状の通し工具)またはワイヤーストリッパー
- トルクスドライバー(BMWはT20〜T30のトルクスねじを多用)
- 結束バンドと絶縁テープ
電源取り出しに使う部材
電源をヒューズから取る場合は、G42のヒューズ形状(ミニ平型が中心)に合ったヒューズ電源(電源取り出しヒューズ)と、エレクトロタップより信頼性の高いギボシ加工の道具を用意します。ヒューズ電源は必ず定格に合ったものを選び、元のヒューズと同じアンペア数の側に配線をつなぎます。差し込む向きを間違えると常時電源とACCが入れ替わり、キーオフでも電源が切れないため、テスターで通電のタイミングを測ってから固定するのが安全です。
駐車監視を本格的に使う場合は、ヒューズ電源に加えて、電圧監視機能付きの駐車監視ケーブルや外部バッテリーを別途そろえます。輸入車は暗電流(駐車中に流れる待機電流)が国産車より多い傾向があり、監視時間を長く取りすぎると翌朝のバッテリー電圧が落ちやすい点を見込んで部材を選びます。
Aピラーカバーの外し方とエアバッグの注意
配線をルームミラー付近から足元へ落とすには、Aピラーカバーを外す必要があります。G42のAピラーカバーはカバー上部の隙間に内張りはがしを差し込み、手前の金属クリップを外してから上方向へスライドさせて抜く構造です。無理に真横へ引くとクリップの受け側が割れます。
ここで最も気をつけるのが、Aピラー内にカーテンエアバッグが内蔵されている点です。配線をピラー内に落とすときは、エアバッグの展開経路をふさぐような太い束を割り込ませたり、エアバッグ本体やその配線に結束バンドを噛ませたりしてはいけません。万一の展開時に配線が飛散物になったり、展開を妨げたりする恐れがあります。ドラレコの細い配線をエアバッグの手前側(乗員側ではなくガラス寄り)に沿わせ、純正配線に軽く添わせる程度にとどめます。
カバーを戻すときは、クリップがすべて受け側にはまっているかを手で押して確認します。半差しのままだと走行中に「カタカタ」という異音の原因になります。
ヒューズボックスの位置と電源の取り方
G42のヒューズボックスは、3シリーズ G20と同様に運転席足元、ステアリングコラム下のカバーを外すと現れる位置にあります。グローブボックス内ではなく、ドライバー側の足元パネル奥です。ボディアース(マイナス配線を落とす金属部)は、右側の小物入れを外すと固定用のボルトが出てくるため、そこを利用すると確実に導通が取れます。
電源の取り方は、常時電源とACC(アクセサリー)電源のどちらを使うかで挙動が変わります。
ACC電源(IG連動)で取る場合
エンジン(スタート)をオフにすると同時にドラレコの電源も切れる取り方です。バッテリー上がりの心配が少なく、駐車監視を使わない人に向いています。ヒューズボックス内でACC連動の回路からヒューズ電源で分岐します。取り出し後は、キーオフでドラレコの録画ランプが消えることを必ず確認します。
常時電源+駐車監視で取る場合
駐車中の当て逃げやいたずらも記録したい場合は、常時電源から取るか、駐車監視用の3線式(常時・ACC・アース)ケーブルや専用バッテリーを使います。ただしG42はアイドリングストップやコンピューター制御が繊細で、長時間の駐車監視は車両バッテリーへの負担が国産車より大きくなりがちです。電圧監視機能付き(一定電圧を下回ると自動停止する)のドラレコや外部バッテリーを併用し、始動不能を避ける設計にします。
輸入車は電装系がデリケートなため、電源取り出しに不安がある場合は、この工程だけを整備工場に依頼し、カメラ設置と本体設定は自分で行う分業も現実的です。
取り付けの手順(フロントカメラの場合)
工具と電源部材がそろったら、実際の取り付けに入ります。以下は前後2カメラのうちフロントカメラと本体・電源までの流れです。作業前にバッテリーのマイナス端子を外しておくと、ショートや誤作動のリスクを下げられます。BMWは端子を外すとアイドリングストップや一部設定がリセットされることがあるため、外す前後で警告灯や時計の状態を控えておくと安心です。
手順1:カメラの仮置きと位置決め
まずカメラ本体を両面テープで貼らずに、手で保安基準の範囲(ガラス上部20%以内かルームミラー裏)に当てて、録画される画角と運転視界を確認します。エンジンをかけてモニターで映像を見ながら、ボンネットが映り込みすぎないか、信号機が画面上端で切れないかを確かめてから本固定の位置を決めます。ルームミラー裏に純正カメラがある個体では、その受光部を隠さない位置に寄せます。
手順2:Aピラー側への配線落とし込み
位置が決まったら、カメラから伸びる電源ケーブルをフロントガラス上端とルーフ内張りの隙間に押し込み、助手席側または運転席側のAピラー付け根へ寄せます。Aピラーカバーを外し、カーテンエアバッグを避けてケーブルをガラス寄りに沿わせ、ピラー下端からダッシュボード脇へ落とします。ダッシュボードパネル脇のカバーを一部外すと、ケーブルが通しやすくなります。
手順3:足元への引き回しと電源接続
Aピラー下端まで落ちたケーブルを、スカッフプレート(ドア開口部の樹脂プレート)の内側に沿わせて運転席足元へ回します。スカッフプレートは手前に引き上げるとクリップで外れる構造で、めくった隙間にケーブルを収めます。運転席足元のヒューズボックスまで届いたら、ヒューズ電源で常時またはACCの回路に接続し、アースを右側小物入れ裏のボルトに共締めします。
手順4:仮通電と本固定
配線がすべてつながったら、本固定の前に一度通電し、録画・GPS取得・電源連動(キーオフで切れるか)を確認します。問題がなければカメラを両面テープで本固定し、外したパネル類をクリップの半差しに注意しながら順番に戻します。余ったケーブルは束ねて、可動部やペダル周りに干渉しない位置へ結束バンドで固定します。
リアカメラの配線ルートと固定
リアカメラを付ける場合、フロントカメラから伸びる映像ケーブルを助手席側または運転席側の天井内張り端に沿わせ、Cピラーを経由してリアガラスへ回します。G42はクーペのため、リアガラスは寝ており、カメラは室内側の上部中央に貼り付けます。
- 天井内張りとルーフの隙間にケーブルを軽く押し込みながら後方へ這わせる
- Cピラー付近のウェザーストリップ(ゴムモール)を一部めくり、内側にケーブルを収める
- トランクへ渡す場合は、開口部の蛇腹(グロメット)を通して断線を防ぐ
リアガラスのカメラは、リアデフォッガー(熱線)と重ならない位置に貼ると、後方視界と映像の両方を確保しやすいです。ケーブルはドアやトランクの開閉で挟まれない経路を選び、余長は結束バンドで軽くまとめます。
フロントカメラの取り付け位置と車検基準
フロントカメラの貼り付け位置は、見た目だけでなく保安基準で範囲が決まっています。道路運送車両の保安基準第39条により、フロントガラスに貼れるのは「ガラス開口部の実長の20%以内の範囲」または「ルームミラーによって遮へいされる前面ガラスの範囲」とされています。
つまり、フロントガラス上部から20%以内、もしくはルームミラーの裏に隠れる位置に設置するのが安全です。この範囲を外れて視界の中央付近に貼ると、保安基準違反となり車検に通らない可能性があります。車検の検査標章(ステッカー)に重ねて貼るのも避けます。
G42はルームミラー裏に運転支援用のカメラユニットがある個体もあるため、その周辺を避け、ミラー基部の脇か上部の視界を妨げない位置にドラレコ本体を寄せると、純正機能とも干渉しにくくなります。
取り付け後に起きやすいトラブルと対処
配線と設置が終わったあとに気づく不具合は、原因の切り分けができれば多くが自分で直せます。代表的な症状と確認ポイントを整理します。
エンジンを切っても録画ランプが消えない
キーオフでも電源が落ちない場合は、常時電源側に配線がつながっている状態です。駐車監視を使わないなら、ヒューズボックス内でACC連動の回路へつなぎ替えると、始動オフと同時に電源が切れます。逆に駐車監視を使いたいのに切れてしまう場合は、ACC側に入っているため常時電源へ変更します。
ラジオやナビにノイズが乗る
ドラレコの電源やケーブルがアンテナ配線や車両のコンピューター配線に近すぎると、ノイズが混入することがあります。ケーブルの取り回しを純正配線から少し離す、アース位置を金属ボディの塗装を軽く剥いた導通の良い点に変える、ノイズ対策済み(フェライトコア付き)の製品を選ぶ、といった対処が有効です。
走行中にパネルから異音がする
「カタカタ」「ビビリ音」が出る場合は、外したAピラーカバーやスカッフプレートのクリップが半差しのままか、配線の余長が内張り裏で遊んでいる可能性があります。該当パネルを一度外し、クリップを奥までしっかりはめ直し、ケーブルを結束バンドで固定して遊びをなくします。
よくある質問
G42のドラレコ取り付けをディーラーや店に頼むと工賃はどのくらいですか
前後2カメラで、電源をヒューズから取る一般的な取り付けの場合、輸入車は国産車よりやや高めに設定されることが多く、店舗や作業内容によって幅があります。正確な金額は作業前に必ず見積もりを取り、Aピラー脱着やリア配線の有無で変わる点を確認してください。金額を断定できないため、複数店の見積もり比較をおすすめします。
駐車監視機能を使うとバッテリーは上がりませんか
常時電源で長時間の駐車監視を行うと、車両バッテリーが消耗します。G42のような輸入車は電装負荷に敏感なため、電圧監視機能付きのドラレコや駐車監視用の外部バッテリーを併用し、一定電圧を下回ったら録画を自動停止する設定にすると、始動不能のリスクを下げられます。
配線をエアバッグの近くに通しても大丈夫ですか
Aピラー内にはカーテンエアバッグがあるため、配線をエアバッグ本体やその純正配線に固定したり、展開経路をふさぐように太い束を割り込ませたりするのは避けてください。ドラレコの細い配線をガラス寄りに軽く沿わせる程度にとどめ、結束バンドでエアバッグ部品を締め付けないようにします。
DIYと業者依頼、どちらがよいですか
内張り脱着とヒューズ電源の扱いに慣れていれば、DIYで十分完結できる作業です。ただし輸入車の電装系は繊細で、電源取り出しのミスは費用のかさむトラブルにつながることもあります。電源工程だけ業者に任せ、カメラ設置と設定を自分で行う分業なら、費用を抑えつつ失敗のリスクも減らせます。
まとめ
BMW2シリーズ クーペ G42へのドラレコ取り付けは、フロントカメラをルームミラー付近に設置し、Aピラー内側からスカッフプレート下を通して運転席足元のヒューズボックス(ステアリングコラム下)まで配線を引くのが基本ルートです。クーペのためリア配線はCピラー〜トランク開口部を一本で通す点が国産ミニバンと異なります。
作業の要点は、Aピラー内のカーテンエアバッグを避けて配線を通すこと、電源はACC連動か常時電源かを用途で選ぶこと、そしてフロントカメラは保安基準(ガラス上部20%以内・ルームミラー裏)を守ることの3点です。輸入車の電装系に不安があれば、電源工程だけ業者に任せる分業も検討して、安全に取り付けを進めてください。

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