車中泊マットの寸法は、カタログの室内寸法ではなく、寝るときのシートアレンジを実際に作ってからメジャーで測った数値で決める。トヨタが公表している諸元ではAAHH40Wの室内長は3005mm、室内幅は1660mmだが、これは前席を含む室内全体の数値で、寝床として使える範囲とは別物だ。決めることは3つ、どのモードで寝るか、実測値はいくつか、取扱書が禁じている敷き方を外せているか。この順で片づけると、商品ページの寸法表を見た時点で合うか合わないかを自分で判断できる。
買う前に決めるのはこの3つ
順番はこうなる。まずシートアレンジのモードを決める。次にその状態を実際に作って寝床を測る。そのうえで、取扱書が禁じている2つ、シートレールの上に敷くことと、フラットにしたまま走ることを外す。この3つ目が敷き方と収納の条件を決めてしまうので、寸法だけ先に決めると後から選び直しになる。
AAHH40Wは、トヨタの取扱書のメンテナンスデータでFFモデルとして区分されている型式で、2023年6月以降に発売された40系アルファードのハイブリッド車のうち前輪駆動車を指す。4WDのハイブリッド車はAAHH45Wという別の型式なので、適合表を見るときはここを取り違えないようにしたい。
AAHH40Wという型式と、土台になる寸法
車検証の型式欄で確かめる
自分の車が対象かどうかは、自動車検査証の型式欄を見れば分かる。6AA-AAHH40Wと記載されていればこの記事の対象で、4WDのAAHH45Wやガソリン車は別の表記になる。中古で買った車やグレードの記憶があいまいなときは、ここを見るのが一番早い。
室内寸法と外寸
トヨタが公表している諸元では、室内長3005mm×室内幅1660mm×室内高1360mm、外寸は全長4995mm×全幅1850mm、ホイールベース3000mm。全高は装着タイヤで変わり、19インチ装着車が1945mm、17インチと18インチ装着車が1935mmとなっている。室内寸法の3つの数値は、マットの寸法をそのまま決める数値ではない。使うのは室内高1360mmだけで、これは厚みを決めるときの頭上の余裕として効いてくる。
同じ型式でも定員が2種類ある
同じ6AA-AAHH40Wでも、乗車定員はグレードで分かれる。トヨタが公表している諸元では、2023年6月発売のハイブリッドZとハイブリッドエグゼクティブラウンジが7名、2025年1月発売のハイブリッドXが8名だ。室内寸法は3グレードとも同じだが、座席の形まで同じとは限らない。カスタムパーツ全般の見取り図は
にまとめてある。
シートアレンジ4モードの使い分け
トヨタの取扱書は、フロントフラットモードを「フロントシート・セカンドシートをフルフラットにする」、リヤフラットモードを「セカンドシート・サードシートをフルフラットにする」、ラゲージモードを「サードシートを格納する」、リラックスモードを「サードシートを格納、または後方へ移動し、セカンドシートを後方へ移動する」と定義している。どのモードで寝るかを決めないまま寸法を選ぶと、敷く場所も必要な長さもずれる。
セカンド+サードで寝るリヤフラットモード
大人が横になる前提ならまずこれを試す。取扱書の手順は、平坦な場所に駐車してパーキングブレーキをかけたうえで、サードシートのシートベルトとアームレストを格納し、中央席のヘッドレストを外して外側は最下位まで下げ、背もたれを後方いっぱいに倒してからシートを後方へ移動する。セカンドシートも同じくヘッドレストを外して背もたれを倒し、シート間の隙間をなくすよう調整して仕上げる。フルフラットという語が使われているが、段差が残る前提で厚みを考えたほうがいい。
サードシートを格納するラゲージモード
サードシートを跳ね上げ、シート脚部から出したベルトを壁面ロック部と結合して面ファスナーで固定する方式だ。床は広がるが、跳ね上げたシートは立った状態で残る。取扱書は、セカンドシートの位置によってはサードシートがあたって格納できないことがあると注意しており、先にセカンドの前後位置を調整しておく。荷室の使い方は
も参考になる。
前席側を使うフロントフラットモード
1人か2人で、荷物を後ろに積んだまま寝たいときの選択肢。必要なマットの長さがリヤフラットモードとは変わるので、両方を試して測ってから決めるのが確実だ。なお取扱書は、どのモードでも操作後にシートを揺さぶって固定を確認するよう警告している。
取扱書の2つの注意が、マットの条件になる
シートレールの上には敷かない
トヨタの取扱書は「シートレールの上にマットなどを敷かないでください。」と明記している。レールをまたいで敷くことを前提にした固定方法は最初から候補から外す、と読み替えるのが実務的だ。敷いてよい範囲が決まると、必要な幅の上限も自然に決まる。床の保護そのものは
の領分になる。
フラットのまま走らない=毎回畳む前提になる
取扱書はもう1つ「フラットにした状態で人や荷物を乗せて走行しないでください。」と書いている。寝床を作ったまま移動することは想定されていない。出発のたびに畳んで積み直す運用が前提になるので、畳みやすさと畳んだあとの置き場所が、寝心地と同じ重さの選定条件として効いてくる。あわせて取扱書は、セカンドシートの背もたれを必要以上に倒すと体がシートベルトの下にもぐり、腹部に強い圧迫を受けたり肩部ベルトが首にかかると警告している。
実測でサイズと厚みを決める
長さの測り方
使うモードの状態を実際に作ってから、倒したセカンドシートの背もたれ前端からラゲージ後端までを測る。この数値の内側に収まる長さのマットを選ぶ。身長方向に足りないときは、頭側と足側のどちらを詰めるかを先に決めておくと候補が絞れる。
幅の測り方
左右のトリムやタイヤハウスの内側で、一番狭いところを測る。幅は一番狭い箇所が上限で、平均的な広さで選ぶと敷いたときに端が浮く。
厚みは段差から逆算する
倒した面には座面と背もたれの合わせ目などの段差が残る。段差より厚いマットで吸収するか、段差を別のクッションで埋めてから薄いマットを重ねるかの二択だ。判定は、寝たときに足が下がらず水平の姿勢になっているかで行う。厚みを増やすほど室内高1360mmに対する頭上の余裕は減るので、車内で起き上がって着替えるかどうかまで含めて決める。
種類は「毎回どこに積むか」で選ぶ
インフレータータイプはバルブを開けて置いておけば膨らむので厚みを出しやすく設営も速いが、畳んだときの体積は大きめになりやすい。エアマットは空気を入れる手間がかかる代わりに、畳めば小さくなる。高反発ウレタンやEVAなどの折りたたみ式は空気を入れる手間がなく、段差を埋める下敷きとしても使えるが、厚みを求めると畳んでもかさが残る。
選ぶ基準は寝心地そのものより、毎回どこに畳んで積むかと、何分で寝床を作りたいかの2つだ。走行前に畳む前提がある以上、収納したときの大きさは後から効いてくる。荷物の定位置を先に決めておくと必要な寸法も絞られる。積む場所を車外に逃がす手もあり、その場合は
が選択肢になる。
AC100Vが使えることは、厚みの判断に効く
コンセントの位置と使い方
取扱書によると、アルファードのハイブリッド車にはAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントが室内に1個、ラゲージルームに1個あり、使えるのは消費電力の合計が1500W以下まで。通常の運転中はパワースイッチがREADY状態でAC100Vスイッチを1回押して起動し、走行機能を止めた非常時給電システムでは、パワースイッチをONにしてREADYが点灯していない状態で3回連続で押す。電源側で暖を取れるなら、床からの冷えを厚みで防ぐ必要は下がるので、厚みより収納性を優先する判断もできる。
給電中に守ること
取扱書は、守らないと重大な傷害や死亡につながるおそれがあるとして、次を挙げている。非常時給電の使用中に子どもや介護を必要とする方、ペットを車内に残さないこと。ぬれた手で操作せず、雨水が付着したときは乾燥後に使うこと。駆動用電池の残量が減ると自動的にガソリンエンジンが作動すること。車庫内など換気が悪い場所や、雪が積もった囲まれた場所では適切な換気設備が必要になること。落雷時は給電しないこと。傾いた場所や坂道では使わないこと。使わないときはコンセントのふたを閉じる。
車中泊そのもののリスクを外さない
マットが担うのは姿勢のリスク
取扱書には「万一の場合には」の章に「車中泊が必要なときは」という項目があり、車中泊はエコノミークラス症候群や熱中症、一酸化炭素中毒などのリスクを伴うため十分な注意が必要だと警告されている。トヨタが公開している防災情報は、こまめに水を飲む、携帯トイレを車内に備蓄する、足を水平に伸ばせる環境を作る、定期的に体を動かす、の4点を挙げている。3点目の「足を下げて寝ない」がマットの担当で、厚みの判定基準もここから来ている。
冬はエンジンを切る、夏は駐車場所と換気
JAFのユーザーテストでは、ボンネットまで雪に埋まった状態でエンジンをかけると、16分後に車内の一酸化炭素濃度が400ppm、22分後には1000ppmに達した。1000ppmは約3時間ほどで死に至る濃度と説明されている。同じ条件でもマフラー周辺の雪を取り除いた場合は濃度がほとんど上昇しなかった。降雪時に車内にとどまるならエンジンを切り、マフラー周辺の除雪を定期的に行う。夏は涼しい場所に駐車して換気をこまめに取る。窓の目隠しは
で扱っている。
よくある質問
AAHH40WとAAHH45Wでマット選びは変わる?
型式としては前輪駆動と4WDの違いで、この記事で扱った数値はAAHH40Wとして確認したものだ。AAHH45Wの室内寸法は確認していないので、そのまま当てはめずに自分の車で測ってほしい。測り方の手順自体は共通で使える。
40系用と書かれたマットはAAHH40Wでも使える?
商品側の40系用という表記が、どのグレードのどのシートアレンジを基準にしているかまでは分からない。実測した長さと幅の内側に収まるかどうかで判断する。個別商品の適合はこちらでは確認できていない。
リヤフラットモードにすれば段差はなくなる?
取扱書はモードの説明としてフルフラットにすると書いているが、段差の有無や深さを示す数値は確認できていない。段差が残る前提で、厚みか下敷きのどちらかで吸収する設計にしておくほうが安全側だ。
マットを敷いたまま走ってもいい?
取扱書がフラットにした状態で人や荷物を乗せて走行しないよう明記しているので、走る前に畳むか降ろす。この前提があるから、収納したときの大きさが選定条件に入ってくる。
まとめ
決める順番はモードを先に、寸法は後だ。リヤフラットモードかラゲージモードかフロントフラットモードかを決め、その状態を実際に作って長さと幅を測り、段差から厚みを逆算する。そのうえでシートレールの上に敷かないこと、フラットのまま走らないことという取扱書の2つを満たす形に絞る。室内長3005mm・室内幅1660mm・室内高1360mmは室内全体の数値なので、寝床の寸法として使わない。
候補が1つに絞れたら、最後にその寸法を自分の車の実測値と突き合わせて確定させる。製品を並べて比べたいときは
、寝床以外の道具も含めて組み立てたいときは
が続きになる。

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