納車されたZN8のセンターパネルに、黒いフタだけが収まっている。GR86(ZN8)はオーディオレスが基本の仕様で、ナビもオーディオも自分で決める前提の車として売られている。しかも画面まわりの窓口は先代86(ZN6)の200mmワイドではなく9インチサイズに変わり、流用できるキットも配線も別物になった。ここでは純正ディーラーオプションと社外ナビの選択肢を価格・画面サイズ・必要部品で並べ、どの道を選ぶと車速信号とステアリングスイッチが生き残るのかまで見ていく。
ZN8のナビ選び早見表
ZN8で現実的に選べる道は、販売店で付ける純正ディーラーオプション(DOP)ナビと、自分で選ぶ社外ナビの2系統に分かれる。まず全体像を並べる。
純正DOPと社外ナビの比較表
| 選択肢 | 画面サイズ | 参考価格 | 追加で必要な主な部品 | 性格 |
|---|---|---|---|---|
| 純正DOP NSZT-Y68T(T-Connect) | 9インチ | 約24万円 | 販売店装着のため別途不要 | 窓口いっぱいの純正枠。純正連携が確実 |
| 純正DOP NSZT-W68T(T-Connect) | 7インチ | 約15万9千円 | 販売店装着のため別途不要 | 9インチ窓口に対して画面は小さめ |
| 純正DOP NSCN-W68(エントリー) | 7インチ | 約9万7千円 | 販売店装着のため別途不要 | 価格を抑えた純正枠 |
| 社外9インチ(RQ722・RF722系) | 9V型 | 機種による | 取付キット+電源ハーネス+ステリモ変換 | 窓口を活かせて機能も最新 |
| 社外7インチ(RW722・RZ722系) | 200mmワイド/2DIN | 機種による | 取付キット(隙間パネル)+電源ハーネス+ステリモ変換 | 費用を抑えやすい |
純正DOPの参考価格は、GR86の販売店オプションとして案内されている金額を元にしている(時期・年式で変わるため、見積り時に再確認したい)。
ZN8で画面サイズを最大限使えるのは9インチで、7インチを選ぶと窓口に対して画面が余る。 先代86(ZN6)の200mmワイドを前提に書かれた情報やキットは、ZN8にはそのまま当てはまらない。
社外ナビを選ぶなら専用ハーネスから
社外ナビへ進む場合、最初に必要になるのは電源・車速・バック信号・ラジオアンテナ変換をまとめたZN8専用のハーネスになる。本体だけ買っても、この配線が無いと車速信号を拾えない。
GR86/BRZ(ZN8/ZD8)用 ナビ接続ハーネスセット
純正DOPナビなら入出力を足して伸ばす
純正ディーラーオプションのNSZT-Y68Tを選んだ場合は、HDMI/USB入力を引き出すケーブルセットを足すと外部機器の使い勝手が変わる。
GR86(ZN8)純正OPナビ NSZT-Y68T対応 HDMI・USB変換ケーブルSET
ZN8の窓口は9インチ、ZN6とは別設計
ナビ選びで最初に押さえる寸法は、画面の大きさではなくダッシュボード側の「窓口」になる。ここを取り違えると、買ったナビが物理的に収まらない。
適合キットはNKK-F38P
カナック企画の取付キット適合検索では、ZN8(R3/10〜)のオーディオレス車は「9インチ窓口付車」として登録され、対応する取付キットにNKK-F38P(税抜7,500円)が案内されている。この9インチ窓口という前提があるおかげで、9V型の大画面ナビをパネル加工なしで収められる。
同じ適合表には、ステアリングスイッチ付き車について「取付ける市販カーAVによってはスイッチがご使用いただけます」という注記も置かれている。社外ナビにしたからといってステアリングスイッチが自動的に死ぬわけではなく、後述する変換アダプターを噛ませるかどうかで結果が変わる。
先代86(ZN6)の200mm窓口とは互換しない
同じ適合検索でZN6(H24.04〜R3.10)を引くと、窓口は200mmワイド(NKK-Y55P)と180mmの2DIN(NKK-F30D)として登録されており、ZN8とは別のキット体系になっている。中古で出回るZN6用のナビ取付キットはZN8には使えないため、フリマなどで「86用」と書かれたキットを買うときは型式表記まで見たい。
車体の型式で言えば、ZN8はGR86、ZD8は兄弟車のスバルBRZに当たる。ナビまわりの部品はこのZN8/ZD8で共通設計になっているものが多く、商品説明に「ZN8 ZD8」と併記されていれば適合の見込みは高い。兄弟車との作り分けについては
で扱っている。
純正ディーラーオプションナビを選ぶ場合
販売店で装着する純正DOPナビは、配線もキットも販売店側が用意するため、施主が部品を揃える手間がない。その代わり価格は高めに振れる。
9インチのNSZT-Y68Tが上位モデル
GR86の純正DOPで9インチに当たるのがT-ConnectナビのNSZT-Y68Tで、参考価格は約24万円。7インチのT-ConnectナビNSZT-W68Tが約15万9千円、エントリーナビのNSCN-W68が約9万7千円という並びになる。近年はさらに新しい世代のモデル(NMZN-Y73Dなど)も選べるようになっており、商談時にどの世代が案内されるかは時期によって動く。
窓口が9インチである以上、7インチの純正ナビを入れると周囲がパネルで埋まる格好になる。見た目の収まりを優先するなら、純正枠のなかでは9インチを軸に考えたい。
純正ナビ装着車だけが使える連携パーツがある
純正DOPナビを選ぶ実利は、価格表に出てこないところにある。ZN8向けアクセサリーには「ディーラーオプションナビ装着車のみ」という条件付きの製品が存在し、たとえばリバース連動のオートダウンミラーは、DOPナビ側の信号を使う前提で作られている。社外ナビにするとこの種の純正連携パーツが選べなくなるため、後付けしたい装備がある人は先に条件を確認しておきたい。
純正を選びにくくする要素
一方で純正DOPは、価格に対する画面世代や動作の軽快さで社外ナビに見劣りする場面がある。地図更新の扱い、スマートフォン連携の作法、動画入力の自由度あたりは、同じ予算なら社外機のほうが選択肢が広い。純正で不足を感じた部分は、HDMI/USB入力の増設のような後付けで埋めるやり方もある。
社外ナビに必要な部品を揃える
社外ナビは本体価格だけ見ると魅力的だが、ZN8で正しく動かすには本体以外に3系統の部品が要る。ここを外すと「音は出るが車速が拾えない」「バックで画面が切り替わらない」といった中途半端な仕上がりになる。
電源ハーネス(車速・バック・ステリモ配線)
ナビ取付を扱う専門店の配線適合表では、ZN8/ZD8(R3/10〜)向けの電源ハーネスとしてJP-CA115TS(5,500円)が案内されている。これはGR86/BRZ専用の電源ハーネスで、ステアリングリモコン線・アンプリモート・ラジオアンテナ変換に加えて車速信号までまとめて引き出せる構成になっている。
車速信号はナビの自車位置精度に直結するため、トンネルや高架下で位置が飛ぶかどうかがここで決まる。Amazonで流通しているZN8/ZD8用のナビ接続ハーネスセットも、電源・車速・バック信号・ラジオアンテナ変換をひとまとめにした同じ役割の製品で、4千円台から手に入る。
ステアリングリモコン変換はナビメーカー別
ステアリングスイッチを社外ナビで生かすには、ナビのメーカーに合わせた変換アダプターを追加する。同じ配線適合表では、カロッツェリア向けにJP-CA45STRT(1,650円)、ケンウッド向けにJP-CA39STRK(1,980円)、イクリプス向けにJP-CA112STRT(770円)が案内されている。変換はナビメーカーごとに別部品なので、ナビの機種を決めてから買う順序にしたい。
バックカメラの変換
純正カメラを社外ナビにつなぐ場合は、トヨタ4ピンの信号をRCAに変換するアダプター(JP-CA14BS・4,180円)が必要になる。カナック側の適合表でも、販売店装着カメラは社外ナビに替えると機能を失う場合があり、変換アダプターで対応できる旨が注記されている。カメラを新規に付けるのか、既存カメラを生かすのかで買う部品が変わる。
隙間パネルと取付奥行き
9インチ窓口に7インチクラスの200mmワイドや2DINナビを収める場合は、余った部分を埋める隙間パネルを併用する。物理的には収まるが、窓口とナビの大きさの差がそのまま見た目に出る。あわせて、ナビ本体は配線を含めた奥行き寸法が必要になるため、フローティング以外の機種では取付部の奥行きを事前に確認しておきたい。
配線の取り回しや電源の取り出しそのものに不安があるなら、同じ内装の外し方を扱った
と
が参考になる。
画面サイズ別の候補(カロッツェリア適合例)
メーカー公式の車種別適合検索は、機種選びの答え合わせに使える。カロッツェリアのGR86(R3/10〜現在)向け適合を見ると、サイズごとの対応がはっきり分かれている。
9V型フローティング(RF722系)
ダッシュボード手前に画面が浮くフローティング構造で、RF722・RF722-DCが適合として並ぶ。窓口の奥行きに縛られにくく、大画面をZN8のコクピットに持ち込みやすい。視界に画面が張り出すため、着座位置との干渉は現車で見ておきたい。
9V型ラージ(RQ722系)
窓口にそのまま収まるラージサイズがRQ722・RQ722-DC。ZN8が9インチ窓口を持つおかげで成立する組み合わせで、純正然とした収まりと大画面を両立できる。純正DOPの9インチと同じ土俵で比較する相手になる。
7V型200mmワイド(RW722)と2DIN(RZ722)
費用を抑えるなら7V型。200mmワイドのRW722、180mmの2DINに当たるRZ722が適合に入る。どちらも隙間パネルを併用する前提で、画面は窓口より小さくなる。
8V型ラージは適合が無い
見落としやすいのがここで、同じ適合検索で8V型ラージサイズは「適合機種なし」となっている。8インチクラスの大画面を狙って機種を絞り込むと、ZN8では行き止まりになる。大画面を求めるなら8インチではなく9インチへ振るのが、この車の窓口設計に沿った選び方になる。
取り付け後に効いてくる周辺パーツ
ナビ本体が決まったら、使い勝手を左右する周辺の入出力を詰める。
USB/HDMI入力の増設
ZN8/ZD8向けには、純正ナビと社外ナビの双方に対応するUSB・HDMIソケットが流通している。スマートフォンの画面をミラーリングしたい、外部プレーヤーをつなぎたいという用途では、ナビ本体の入力端子の有無とあわせてソケット側を用意しておく。ナビを決める前に、HDMI入力に対応した機種かどうかを仕様表で見ておくと後戻りが減る。
純正DOPのNSZT-Y68Tを選んだ場合も、前掲の専用HDMI変換ケーブルとUSBケーブルのセットで動画入力を引き出せる。純正ナビは外部入力の間口が狭いぶん、この一手で用途が広がる。
内装の質感と同時進行で考える
ナビ交換はセンターパネルまわりを外す作業になるため、内装の照明系を触るなら同じタイミングでまとめたほうが効率がいい。ナビ本体と周辺部品を足した費用感は
で他のパーツと並べて比較できる。
よくある質問
ZN8に先代86(ZN6)用のナビ取付キットは流用できますか
使えない。ZN6は200mmワイド(NKK-Y55P)と180mm/2DIN(NKK-F30D)の窓口、ZN8は9インチ窓口(NKK-F38P)として別々に登録されている。中古品を買うときは「86用」ではなく型式のZN8表記まで確認したい。
社外ナビにするとステアリングスイッチは使えなくなりますか
ナビメーカーごとの変換アダプターを追加すれば使える場合が多い。カロッツェリアならJP-CA45STRT、ケンウッドならJP-CA39STRK、イクリプスならJP-CA112STRTといった具合に、ナビの機種を決めてから対応する変換を選ぶ。適合表にも、取り付ける市販カーAVによってスイッチが使用できる旨が注記されている。
純正のバックカメラは社外ナビでも映りますか
トヨタ4ピンをRCAに変換するアダプター(JP-CA14BSなど)を使えば映せる。ただし販売店装着のカメラは、社外ナビに替えると一部機能が失われる場合があると適合表にも注記があるため、ガイド線表示などの動作は個別に確認したい。
ZN8に8インチのナビは取り付けられますか
カロッツェリアの車種別適合では、GR86(R3/10〜)に8V型ラージサイズの適合機種は無い。大画面を狙うなら9V型(ラージまたはフローティング)、費用重視なら7V型という二択になる。
純正ナビ装着車限定のアクセサリーとは何ですか
リバース連動のオートダウンミラーのように、ディーラーオプションナビの信号を利用する前提で作られた製品がある。社外ナビにするとこの手の純正連携パーツが選べなくなるため、装着したい後付け装備があるなら先に条件を見ておきたい。
まとめ:ZN8のナビは窓口から逆算する
GR86(ZN8)はオーディオレスが前提の車で、ナビ選びは9インチ窓口という物理条件から逆算すると迷いが減る。純正DOPなら9インチのNSZT-Y68T(約24万円)が窓口に素直に収まり、オートダウンミラーのような純正連携パーツの道も残る。社外ナビなら取付キットNKK-F38Pを土台に、車速まで含む専用電源ハーネス、ナビメーカー別のステアリングリモコン変換、必要ならカメラ変換を足す構成になる。
機種はカロッツェリアの適合例で言えば9V型ラージのRQ722系かフローティングのRF722系が窓口を活かせる方向で、8V型には適合が無い点だけ先に頭に入れておきたい。先代ZN6のキットは使い回せないという一点さえ外さなければ、ZN8のナビ選びで大きく踏み外すことはない。
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